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2023年12月9日土曜日

書評『明治四年 久留米藩難事件』(浦辺登、弦書房、2023)ー 明治新政府に抹殺された知られざる「反政府運動」の原点を解明する

 

歴史作家で書評家の浦辺登さんより、最新刊の『明治四年 久留米藩難事件』(弦書房、2023)をご恵贈いただいた。 

浦辺さんとは、ネット書店bk1(現在はhonto)で、ともに「書評の鉄人」と評された頃からの10年以上に及ぶおつきあいである(といっても、まだ一度も直接お目にかかったことがないのだが・・)。 

福岡に居を定めて、世界全体を視野におさめたうえで、九州を中心とした日本近現代史を発掘されている方だ。とくに漢文で書かれた墓碑銘や顕彰碑などの石碑を中心にした解読作業には頭が下がる。 


■明治新政府によって抹殺された事件 

さて、『明治四年 久留米藩難事件』だが、明治4年(1872年)に久留米藩を舞台におこった知られざる事件をとりあげたものである。  

帯に「明治新政府によって闇に葬られた重大事件の全貌に迫る!!」とあるように、地元の久留米の人間ですら知らない大事件を解明したものだ。 

「明治維新」は、民衆が抱いていたある種のユートピア願望を背景にして、西南雄藩を中心にした武士層や草莽の志士たちによって、軍事的に断行された「革命」である。 

だが、革命が成就したあかつきには、民衆が求めていた年貢減免や身分差別解消などの夢はことごとく新政府によって裏切られていく。「御一新」などではまったくなかったのだ。なかでも失望と裏切られ感をつよく抱いたのが武士層である。モットーとして掲げた「攘夷」はどこにいってしまったのだ、と。 

そんな不平士族たちが、九州を震源地にして「第二維新」ともいうべき反政府の反乱をおこしていくことになる。 

1876年(明治8年)に爆発した「神風連の乱」と「秋月の乱」、「萩の乱」、そして最後に「西南戦争」(1878年)。武力反乱の時代がおわったあとは、言論を中心とした「自由民権運動」に引き継がれていく。 そして、その出発点となったのが、じつは「久留米藩難事件」(1872年)だったのだ。

歴史の教科書はおろか、歴史小説にも取り上げられることなく埋もれてしまった史実である。 本書の登場人物は、正直いって知らない人名ばかりである。地元の人でも知らなくなってひさしいのだから、仕方がないことだ。 

なぜなら、事件を細分化してそれぞれ命名し、事件が重大化して全国レベルに波及しないように処理したのが明治新政府だったのである。

「革命」というものがもつ、シビアで冷酷な性格がそこに如実に示されているというべきであろう。 


■「薩長史観」や「司馬史観」への異議申し立て

隣接する佐賀とはまた違って、久留米という土地は、隣接独特の風土をもっている。

古くは勤王家の高山彦九郎がそこで自決し、近代化プロセスのなかではブリジストンなど数々の世界企業を生み出し、さらには現代には松田聖子やチェッカーズを生み出した土地であると著者はいう。 

明治維新革命のさなかだけでなく、革命後にもまだまだ知られていない史実が埋もれている。いや、抹殺されたまま現在に至っている。それは東北だけではない。九州もまたそうなのである。 

勝者の側に立った「薩長史観」、あるいは歴史の明るい側面ばかりに光をあてた、いわゆる「司馬史観」なるものへの異議申し立てともいうべき本である。久留米そのものにも関心がなくても、読むことを薦めたい。

歴史は地層のように重層的に重なっている。そして、人間関係もまた複雑にからみあっている。その地層を掘り起こし、複雑に絡み合った糸をほどいていくのが歴史家の使命である。 




目 次
はじめに 
第1章 幕末期・久留米藩の特殊性―金鉱山と洋船を保有していた 
第2章 明治四年・久留米藩難事件 
第3章 事件後の反政府事件―西南戦争をへて自由民権運動へ 
第4章 事件現場を歩く 関連年表ー明治4年・久留米藩難事件を中心に 
石碑原文 
久留米藩難事件処罰対象者 
あとがき 
主要参考文献 
主要人名索引


著者プロフィール
浦辺登(うらべ・のぼる)
1956年、福岡県筑紫野市生まれ。福岡大学ドイツ語学科在学中から雑誌への投稿を行うが、卒業後もサラリーマン生活の傍ら投稿を続ける。インターネットサイトのオンライン書店  bk1 では「書評の鉄人」の称号を得る。現在日本の近代史を中心に研究している。著書多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)

 

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