「半日断食」はじめて一年になります。
「半日断食」とは、夜食べてから、翌朝の朝食は抜いて、昼食までいっさい食事をとらない「プチ断食」のことです。
一年つづけた結果、半日断食がきわめて効果の大きなものであることがわかりました。
夜9時までに夕食を済ませるとしたら、翌日の12時までの約15時間は、なにも食べずに胃腸をやすませてあげることが可能になります。いいかえれば「一日二食」ということになりますね。
医学的な根拠は、甲田光雄(こうだ・みつお)医学博士(1924~2008)によります。
前掲の写真は、甲田医学博士の『断食・少食健康法-宗教・医学一体論-』(甲田光雄、春秋社、新版 2003、原本 1980)です。この本には、甲田先生自身の体験もまじえて、少食健康法がなぜいいのか、そしてどう実行するのかについて詳細に書かれています。
甲田医学博士の先行者は「西式健康法」を提唱された西勝造(にし・かつぞう)博士(1884~1959) 。「西式」(にししき)の「朝食無用論」が医学の専門家によるはじめての半日断食の提唱でしょう。
甲田博士は、この西式健康法や、断食療法、生菜食健康法など自然医学の研究のうえ、さらに桜沢式食養(・・いわゆる米国で大流行のマクロビオティック)など各種の民間健康法を自ら実践・研究し、これらを応用するユニークな健康指導医として開業されました。
右の写真は、西勝造博士の『原本・西式健康読本』(西 勝造、西 大助=校訂、早乙女勝元=解題、農山漁村文化協会、1979 原本 1949)です。
西式健康法(にししき・けんこうほう)とは、西勝造医学博士が1927年に創始した健康法、西医学(にし・いがく)、西式強健術、テトラパシーとも呼ばれているそうです。部分しか見ない部分還元主義の現代西洋医学を批判し「宗教医学一体論」を唱える総合的な健康法です。この「宗教医学一体論」を甲田博士は継承したわけですね。
西勝造博士は、上掲書の第14章「朝食廃止論」に、なぜ朝食が有害かについて、古今東西のさまざまな文献や医学的知識にもとづいて主張されています。
朝食を食べないというのは一般的な医学界の "常識" に反することですし、慣れないと空腹感を感じるかもしれません。ですが、いったん「生活習慣」となってしまえば、何の疑問も感じることなく、当たり前になってしまいます。
わたしについてですが、さすが朝起きてから昼食をとるまで水だけで過ごすこということはしていません。
朝起きたら水飲んで、あのあとは暑い紅茶飲みながら黒砂糖をかじります。糖分を摂取しないと、アタマが働かないからです。ただし、健康のため精製していない黒砂糖です。精製済みのグラニュー糖はカラダによくないのでいっさい摂取しません。
沖縄物産店のわしたやで購入した沖縄県産の黒砂糖をいろいろ試食してみましたが、現在では「西表島(いりおもてじま)の黒糖(こくとう)」に落ち着きました。わたしは一週間で一袋を消費しています。
昼食もそれほど量は食べなくなりました。午前中食べないと、昼食を食べ過ぎるのではないかと最初は思っていたのですが、前日の夜から何も食べていませんので胃が収縮してしまており、たいして食べられないのです。ちょっとでも食べ過ぎると満腹感を通り過ぎて苦しくなるくらいです。
そのかわり、夕食は栄養バランスを考えてキチンと摂っています。
そうそう、先週、健康診断受けましたが、血液検査では「異常なし!」。検査結果はパーフェクトでしたよ(^.^)/~~~
自分のカラダが求める量だけ食べればいいのですね。フツーのお医者さんは「朝食抜くな!」とバカの一つ覚えのように言いますが、わたしは自分のカラダの声に忠実に従ったほうがいいと思います。カラダが欲すれば食べる、飲む。カラダが欲しないのであれば食べなければいい。カラダが軽いと、ココロも軽い!!
朝食抜きの一日二食に慣れると、それが当たり前になります。
じつは、わたしはもともと朝食は食べない人間でした。ところが、海外出張が多くなって海外滞在が長くなるとホテルで朝食を食べてしまう。朝食代金が宿泊料に含まれていることが多いので、もったいないとばかりについつい余計なものまで食べてしまう。貧乏性でしょうね。
その結果、朝食を食べる生活習慣がついてしまい、太りすぎでダイエットしても、またじきにリバウンドするという繰り返し。これでは意味がないと、一念発起して断食に参加することとしました。成田山新勝寺の断食参籠修行の存在をインターネット検索で知りました。その体験記はこのブログに書きました。
その断食参籠修行中に、偶然のことですが、「西式健康法」を知ったのです。そのあと「甲田式」を知りました。そのことについては、成田山新勝寺「断食参籠(さんろう)修行」(三泊四日)体験記 (5) 断食二日目 に書きました。
一般にはそのものズバリのタイトルである『奇跡が起こる半日断食-朝食抜きで、高血圧、糖尿病、肝炎、腎炎、アトピー、リウマチがぞくぞく治っている! -(ビタミン文庫)』(甲田光雄、マキノ出版、2001)を挙げておきましょう。
サプリメントが足りない栄養分を補うという「足し算の発想」なら、断食とは余分なものは摂取しないというう「引き算の発想」です。いま日本でも流行りの断捨離(だんしゃり)に通じるものがありますね。
米国人のエグセクティブが実行しているとかいうパワー・ブレックファストなるものは、まさに愚の骨頂としかいいようがありません。早死にしたければ、贅沢して大量に食え!ということでしょうか。米国でもマドンナなど感度の高い人たちは、すでに触れたマクロビオティックなど実践していることは周知のとおりです。
断食が意味をもつのは、マイナスをポジティブに評価するという発想であることも銘記しておきたいものです。
『奇跡が起こる半日断食-朝食抜きで、高血圧、糖尿病、肝炎、腎炎、アトピー、リウマチがぞくぞく治っている! -(ビタミン文庫)』(甲田光雄、マキノ出版、2001)
目 次
序章 断食との出会い
第1章 半日断食のやり方
第2章 半日断食のすごい効果
第3章 半日断食で驚くほどやせて健康になった10人
第4章 半日断食で難病が治った、奇跡が起きた20人
第5章 半日断食の効果を高める西式健康法
第6章 半日断食なんでも Q&A
付録 断食・絶食療法が受けられる主な施設全国リスト
著者プロフィール
甲田光雄(こうだ・みつお)
1924年、東大阪市に生まれる。大阪大学医学部卒。元大阪大学非常勤講師。日本綜合医学会会長、医学博士、甲田医院院長。中学、陸軍士官学校以来、病弱のため、しばしば休学をくり返す。その間、現代医学の治療を続けながら回復せず、これに絶望を感じ、以来、西式健康法、断食療法、生菜食健康法など、自然医学の研究に向かう。その後、桜沢式食養など各種の民間健康法を自ら実践・研究し、これらを応用するユニークな健康指導医として開業。もっぱら現代医学では難治とされる種々の疾患に挑戦して多くの治験例を挙げている。2008年に逝去。
PS こんな「半日断食」本も出版されていた
『半日断食で病気知らず薬いらず』(玉那覇康高、島袋史=監修、マキノ出版、2022)という本が出版されていることを知った。
「95歳の薬剤師が55年以上実践」とある。自分のカラダをつかって実験し、効果は持続的であることが実証済みだということだ。「西式健康法」の影響を受けているという。
「朝食抜き」がカラダに悪いという「妄言」に騙されないように!(2024年4月18日 記す)
<関連サイト>
甲田光雄 NPO法人日本食養協会
西式健康法通信(西式公認)
断食参籠修行 - 大本山成田山
朝食害毒論(西勝造、中庸出版社、昭和12年=1937年) 国会図書館「近代デジタルライブラリー)
カントの規則正しい独身生活-散歩、会食、チーズ(樋口直哉、ダイヤモンドオンライン、2014年10月9日)
・・・「1日に1度しか食事をしない彼は、夕方から人々を集めた会食という形をとった。 カントはこう言っている。 「1人で食事をすることは、哲学する学者にとっては不健康である」。 食事中、哲学や学問の話は厳禁。世間話に終始した。食事はカントにとって頭を休める大切な時間だったのだ」。
半日断食どころか一日一食である!
一流アスリートが「朝食を食べない」理由。 実践したら、なぜかわかった (現代ビジネス、2014年12月21日)
(2014年10月9日、2015年1月27日 情報追加)
<ブログ内関連記事>
成田山新勝寺「断食参籠(さんろう)修行」(三泊四日)体験記 (総目次)
書評 『千日回峰行<増補新装>』(光永覚道、春秋社、2004)
・・最初の700日目とその後の300日目にはさまれた、生まれ変わりのための激しくも厳しい 9日間の断食・断水・不眠・不臥の苦行についても語られる
『鉄人を創る肥田式強健術 (ムー・スーパー・ミステリー・ブックス)』(高木一行、学研、1986)-カラダを鍛えればココロもアタマも強くなる!
・・著者の高木一行氏は1カ月間の断食を実行している(・・これは真似しないよう!)
本日よりイスラーム世界ではラマダーン(断食月)入り
・・イスラームの断食は断食月の1カ月間、日の出から日没のあいだだけ。日没後は飲食可能
書評 『修道院の断食-あなたの人生を豊かにする神秘の7日間-』(ベルンハルト・ミュラー著、ペーター・ゼーヴァルト編、島田道子訳、創元社、2011)-修道院における「断食」は、減量法を越えてスピリチュアルへの道を拓く
・・キリスト教もカトリックには断食が存在する
「生命と食」という切り口から、ルドルフ・シュタイナーについて考えてみる
・・You're what you eat. 何を食べてきたかで人間はわかる。もちろん、何を食べてこなかったかによっても
(2014年1月28日 情報追加)
(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!)
end