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2022年3月30日水曜日

映画『ブダペスト市街戦1956 ソビエト軍侵攻』(2007年、ハンガリー)ーハンガリーもまたロシア(=ソ連)から侵略され、激しい「市街戦」を戦った

 
「ハンガリー動乱」(1956年)のことを忘れてはいけない。ハンガー人は「ハンガリー革命」と呼ぶ。 念頭にあるのは、おなじく最終的に失敗に終わった「1848年革命」である。

日本では「プラハの春」(1968年)ばかりが言及されるが、このときはソ連の戦車隊がプラハを包囲したものの、最終的に市内に突入することはなかった。 

これに対して、1956年の「ハンガリー革命」においては、ソ連の戦車隊は首都ブダペストをはじめ、ハンガリー国内に突入して激しい「市街戦」となり、ハンガリー人の抵抗を暴力的に鎮圧したのである。現在でもブダペスト市内の建物には、市街戦の際の弾痕が残っているのを確認できる。 

当時の実写フィルムをもとにしたドキュメンタリーもあるが、こんな映画がハンガリーで製作され公開されていたことを紹介しておきたい。 

映画『ブダペスト市街戦1956 ソビエト軍侵攻』(2007年、ハンガリー)である。「ハンガリー革命」の50年後に製作されたものだ。 日本未公開で、DVD版のみ提供されている。格安で販売されていたのでだいぶ前に入手していたものを、一昨日はじめて視聴してみた。 
  
内容的には、まあ「B級青春映画」ともいうべきものであろう。ハンガリー語の原題は A nap utcai fiuk、英語版は The Sun Street Boys とある。これをさらに日本語訳すれば「太陽通りの少年たち」となる。このタイトルでは、当然のことながら日本では売れないだろうな。


さて、映画の内容はというと、ソ連軍の侵攻に対して銃をもって立ち上がったブダペスト市民たちのなかには、主人公とその仲間たちの不良少年グループもいたという回想談風のストーリーである。紅一点の女子をめぐる恋愛模様でもある。エルヴィスをつうじて西側世界とつながっていた1956年。青春映画というのは、そういう意味だ。 

映画館を拠点にして、その前にバリケードを築いて戦車の進入を阻止しようとするものの、装甲の厚い戦車にライフルや機関銃を撃っても意味はなく、かろうじて戦車のなかに投げ込んだモロトフ・カクテル(=火炎瓶)が効果を出したくらいだ。とはいえ、ソ連軍の最初の侵攻は阻止することに成功した。

ソ連軍の侵入を阻止したぞ!、と意気の上がった少年たちだが、最終的には戦車の火砲を前にしてはなすすべもなく、その多くが犠牲となり、生き残ったのは主人公などごくわずかとなって終わる。その生き残りの少年が、50年前を振り返って回想するという物語の構造になっている。ところどころに、貴重な実写フィルムが差し込まれている。




■むしろ『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』を見るべき

とはいえ、同時期の2006年に製作されたハンガリー映画『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』と比べたら、はるかに見劣りするのは仕方ない。


『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』は、1956年オリンピック・メルボルン大会でのハンガリーとソ連の水球対戦を描いたスポーツ映画であり、自由を求める政治運動と恋愛が重なりあったドラマチックな青春ドラマでもある。ソ連に対する怒り、抵抗もむなしく鎮圧されたた悔しさ、悲しみなど、感動的な作品になっている。 


原題は Szabadság, szerelem(自由、愛)。英語版タイトルは Children of Glory となっている。

「1956年関連」の映画を見るなら、ドラマ性も高く、映画のできばえもはるかに勝る『君の涙 ドナウに流れ』をおすすめしたい。




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2022年3月29日火曜日

映画『キリングフィールド 極限戦線』(2019年、ジョージア)ー不法占領された「シンディシ」。繰り返される「ロシアは停戦協定を守らない」という事実

 
『キリングフィールド 極限戦線』(2019年、ジョージア)という映画を amazon prime video で視聴。101分 。

「本国で記録的大ヒット!2020年アカデミー賞®国際長編映画賞ジョージア代表作品。“南オセチア紛争”の真実と負傷兵を救った村人たちの《驚愕》の実話」と宣伝文にある。 

2008年以降「ジョージア」と呼ぶように要請したこの国は、かつてグルジアと呼ばれていた。グルジアはロシア語だから使用したくない、と。

タイトルと予告編を見てから視聴することを決めたが、リアルな戦闘シーンは映画の冒頭だけだった。むしろ、映画の9割は、ロシア軍の侵攻後にその占領下に入った住民たちの苦難が描かれる。これこそが、この映画のテーマである。 


原題は、SHINDISI(ジョージア語で   შინდისი さすがにこれは 読めないな)。舞台となった「シンディシ」村のことだ。いたってシンプルなタイトルだが、現代に生きるジョージア人にとっては、日本人にとっての「エトロフ」や「クナシリ」に該当する地名である。 


内容解説にこうある。amazon prime video の解説をそのまま引用していこう。

2008年8月11日、ロシア・ジョージア戦争の休戦2日目。南オセチア自治区を巡るジョージアとロシアの衝突。同月12日には停戦が宣言されていたが、首都トビリシから60キロ離れた農村シンディシ付近では、ロシアの第58部隊と22名からなるジョージアの小隊が激しい戦闘を繰り広げていた。 
ロシア軍は戦車や戦闘機まで駆使し、圧倒的な軍事力でジョージア軍に迫っていく。戦闘の結果、ジョージア軍は17名が死亡、5名が重傷のまま戦場に取り残された。 
戦火を逃れ、ほとんどの住民が避難した中、村に残っていた農民一家は、戦場に取り残された重傷のジョージア兵を家に匿い、手当てをする。しかし、そこへロシア兵がジョージア兵探索にやってきて…。 

映画の最後に、「ジョージアの国土の 20% がロシアに占領された」と字幕にでてくる。ジョージアの自治州アブハジアと南オセチアは、現在なおロシアに占領されたままだ。 

「エトロフ」や「クナシリ」とおなじく、「シンディシ」もまた、ロシアに「不法占領」されたままになっている。


ロシアは停戦協定を守らない。これは何度も繰り返されてきた事実だ。 

「ロシア・ジョージア戦争」についてもそうだし、第二次世界大戦末期のポツダム宣言受諾後の「北方領土」もまたそうだった。ソ連軍による火事場泥棒的な占領行為は絶対に忘れてはならない! 

(ジョージア版のオリジナル予告編)

ロシアの占領下に生きるジョージアの住人たち。リアルな戦闘シーンもさることながら、あらたな支配者のもとで生きる苦難に目を向ける必要がある。

ウクライナにおいてもまた、「ロシアのウソ」が繰り返されている。




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2022年3月28日月曜日

映画『バンデラス ウクライナの英雄』(2019年、ウクライナ)ーウクライナ側の視点でウクライナ東部の戦闘を描いたアクション映画

 
ウクライナ映画を探していたら、映画『バンデラス ウクライナの英雄』(2019年、ウクライナ)というものが見つかったので、先週のことだが  amazon prime video で視聴した。112分。  

ロシアによる軍事侵攻(=ウクライナ戦争)の渦中にあるウクライナ東部。この地域のロシア語住民を中心とした「親ロシア派」に対して、支配地域をめぐって激しい戦闘を続ける「ウクライナ政府軍」を、後者の立場から描いた映画だ。原題は、Позивний "Бандерас" 英語タイトルは、Call Sign "Banderas"(コールサイン「バンデラス」)。

2014年に「クリミア併合」によって領土を奪われたウクライナだが、ウクライナ東部のドンバス地方もまた、実質的にウクライナからの分離を目指す「親ロシア派」によって支配されている。先般、プーチンが一方的にドネツク州とルガンスク州の「独立」を承認して軍事侵攻を開始したことは周知のとおり。 

映画の舞台となっている農村は、まさにその最前線にあって親ロシア派と政府軍と対峙しており、停戦状態がいつ破綻するかわからないという強い緊張状態にある。 

そんな状態のなか、あらたにウクライナ政府軍から派遣されてきた主人公の情報将校が特殊任務を遂行する。彼はこの村の出身である。 


戦争アクションスリラー映画として楽しめるエンタテインメント作品だが、映画をみただけでは、いまいちその背景がわかりにくい。わからなくても、手に汗握る内容なので大いに楽しめる映画だが、背景がわかればウクライナ情勢を理解する1つのヒントになるだろう。 

日本語版のタイトルにも含まれる「バンデラス」とはなにか? 

それは、ウクライナ独立派の英雄ステパン・バンデラにちなむものだろう。バンデラは、第2次大戦中にナチスドイツに接近して、ソ連からの独立運動のリーダーの1人として活躍した「ウクライナの英雄」だ。  

だからこそ、プーチンは「バンデラ主義者」を目の敵にしているのである。「ナチを排除する」という発言の背景にあるものは、現実に存在する極右のネオナチと、ナチスドイツに接近したバンデラと重なり合うのである。 


ウクライナ側の視点でウクライナ東部の戦闘を描いた戦争アクション映画なので、当然のことながら「親ロシア派」は敵として描かれている個人が特定されないように、黒の目出し帽をかぶった、顔のない戦闘服姿の男たちとしてのみ扱われる。 

とはいえ、複雑にからみあった状況は、農村の住民を引き裂いている。おなじ村の村民が「親ロシア派」をめぐって引き裂かれているからだ。

親類関係も、友人関係もまた。誰もがその現実に、苦い思いと悔恨を感じている。 そう一筋縄でいかないのが、ウクライナの現状なのだ。 そんな現実も見えてくる映画である。




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2022年3月27日日曜日

巨匠アンジェイ・ワイダ監督の映画『カティンの森』(2007、ポーランド)をようやく視聴ー大国のはざまで翻弄されてきたポーランド現代史の悲劇

 
アンジェイ・ワイダ監督の映画『カティンの森』(2007年、ポーランド)をようやく視聴。大国ドイツと大国ソ連のはざまに位置するポーランドが味わった現代史の悲劇を扱った作品だ。123分。 

 重くて深く、かつ暗いテーマを扱った作品だけに、なかなか気軽に見る気持ちにはならない映画だが、いま進行中の「ウクライナへ戦争」に際して、ふたたび最前線となったポーランドについて知る上では避けて通れない内容といえよう。

 
構想50年、製作17年となったのは、まさに「現代史」がテーマであるからだ。現代史は、立ち位置によって語られ方が大きく異なる性格をもつ。なぜなら、現存者が多数いるだけに扱いが難しいからだ。 

1939年9月1日に電撃戦によって、西部からポーランドに侵攻してきたのがドイツ軍であった。東部から侵略してきたのがソ連軍。同年8月に締結されていた「独ソ不可侵条約」にともなう「密約」によって、独立を回復していたポーランドはふたたび分割占領されることになる。

ポーランドは、最終的にソ連軍がドイツ軍を駆逐することによって「解放」されたわけだが、占領が始まった段階で、ポーランド軍の将校1万数千人(!)がソ連の捕虜となり、最終的に虐殺され、カティンの森に埋められるという事件が発生している。それがこの映画のテーマである「カティンの森」事件だ。

 
1943年にドイツ軍がソ連に侵攻した際、カティンの森でポーランド将校たちの虐殺死体を発見、ソ連軍によるものと非難した。1945年にはドイツ軍を追い払ったソ連が、虐殺はドイツ軍によるものであったと宣伝活動を行う。ピンポンのように揺れ動く状況で、ポーランドは翻弄されることになるが、大戦後にソ連圏に入ったポーランドでは事件の真相を語ることは不可能となる。 
 
そんな事情があったから、ソ連崩壊まで「カティンの森」の真相を究明したり、それについて語ることができなかったのだ。だが、犠牲者となったのはソ連軍の捕虜となって虐殺された将校たちだけではない。大学人や知識人たちは、ナチスドイツの犠牲になったことも映画では取り上げられている。


冷戦時代にソ連の支配下で生きることを余儀なくされたポーランド人たちの姿は、米軍占領時代を除いて他国による支配が繰り返されたことのない日本人には、想像を越えたものがあるというべきだろう。 


さすが巨匠アンジェイ・ワイダ監督の作品だけに、緊密な構成と映像美には圧倒される。映像は重厚だが美しい。映画の舞台は基本的にポーランド南部の古都クラクフ。ワイダ監督の出身地でもある。大規模な蜂起が展開したワルシャワと違って、破壊されることとのなかったクラクフは美しい(・・わたしも一度訪れたことがある。アウシュヴィッツへのアクセス都市でもある)。 


ラストシーンは、ポーランド軍の将校がソ連軍によって処刑されていくシーンとなるが、将校たちが後ろ手に縛られ、至近距離から後頭部を拳銃で打ち抜かれるシーンの連続には、さすがに目を背けたくなる。視聴に際してR15の年齢制限があるのは当然だろう。 

だからこそ、精神状態が良好なときでないと、内容的に見るのがつらい映画であるが、日本と日本人にとっては「ロシアをはさんで隣国」となるポーランドとポーランド人について、より深く知るためには、かならず見なくてはいけない映画だと、あらためて強く感じるのである。





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2022年3月26日土曜日

映画『スターリングラード 史上最大の市街戦』(2013年、ロシア)ー「史上最大の市街戦」をロシア映画で見る

 
 史上最大の「市街戦」といえば、いうまでもなく「スターリングラード攻防戦」だろう。絶滅戦争となった「独ソ戦」の最大の山場の1つである。 

「スターリングラード攻防戦」は、ヴォルガ川下流域の都市スターリングラード(・・ロシア国内。ソ連崩壊後はヴォルゴグラードに改称)の奪い合いとなった「市街戦」だ。1942年8月から翌年2月にかけての激戦で、最終的にドイツ軍がソ連軍に包囲されて全滅した。 

その「世界最大の市街戦」を体感して追体験するために映画を見る。しかも、ドイツ側からではなく、ロシア側で製作された映画で。ハリウッド映画ではなく、ソ連崩壊後のロシア映画で。 それがこの『スターリングラード 史上最大の市街戦』(2013年、ロシア)だ。  

この映画を見るのは初めてだが、いきなり日本語(!)の音声が流れてきたのに驚かされた。

一瞬、設定を間違えたか(?)と思ったがそうではなく、じきにロシア語に変わって日本語の字幕が登場。 プロローグは、なんと映画公開の2年前の「3・11」(2011年)の東北から始まるのだ。

津波で崩壊した街瓦礫の下に生き埋めになったドイツ人の救助にあたるロシアから派遣されてきた救援隊員。この設定にも意味がある。「独ソ戦」では全面衝突した両国の国民だが、「恩讐を越えて」という人道的テーマの現れである。

地震と津波という自然災害と、戦争という人為的な災害には違いはあるが、一般市民が巻き込まれて犠牲になるという点では共通している。このプロローグが、この映画において重要な意味をもっており、エピローグでもふたたびそのシーンとなる。 日本、ドイツ、ソ連(ロシア)という因縁の関係。


映画は、そのロシア人の救援隊員の母がスターリングラード攻防戦で生き抜いた一人だという設定になって、紅一点の若き日の母と、最後まで戦い抜いて戦死していったソ連軍将兵たちが主人公たちとなる。

3D映像でCG使いすぎ、スローモーション多過ぎなので、ややマンガちっくだなという違和感があるものの、ロシア側(・・というよりも時代背景としてはソ連側)か描いたエンタテインメント作品として興味深い。 どうも現実のロシア人は、ロシア民謡に代表される、日本人が長年抱いていた固定観念とは違って、こういう派手なものが好きなようだ。

おそらく、ソ連軍にはロシア人だけでなく、ウクライナ人もモンゴル人も将兵として参加していただろうが(・・しかも映画でもセリフにでてくるが「ノモンハン」体験者も含まれる)、ロシア映画としてはロシア人を主人公にするのは不自然なことではない。 

また、敵のドイツ人も人間として公平に描いており、この映画の制作年である2013年が、西側との関係悪化が始まった「クリミア併合」(2014年)以前のものであったことを想起するする必要があろう。 



おそらく、ロシア人は「スターリングラード攻防戦」をロシアの国難として見なしているだろうし、「独ソ戦」の「戦勝記念日」(5月9日)を大々的に政治活用してきたプーチン政権もまたそれを強調してきた。 

だが、そういった歴史的背景や政治的位置づけは別にして、「世界最大の市街戦」がどのようなものであったかを想像するためには、この映画を見る価値はあるだろう。 

もちろん、ロシア映画史上最大のヒット作となったというこの映画は、あくまでもエンタテインメント作品として受け止めるべきだが。配給はソニーピクチャーズ。 




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2022年3月25日金曜日

「サクラ サク」(2022年3月25日)ー 同じ場所に植えられていても桜の木には個性がある。木によっては咲き始めるタイミングが異なる

 
 
東京ではすでに5日前に「開花宣言」がでている(2022年3月25日現在)。
  
江戸川区の荒川の堤で、桜が咲いているのを見かけた。遊歩道に桜並木がある。いずれもソメイヨシノ(染井吉野)である。


桜並木を見ていると気がつくことがある。満開の桜の木があれば、まだまだ花芽がつぼみ状態の桜の木もある。


桜が咲き始めているが、同じ場所に植えられていても、木によって咲き始めるタイミングが異なるのは面白い。

同時に一斉に咲き出すわけではないのだ。個体ごとの違いはすくなからずある。 桜の木にも個性があるわけだ。
  
一分咲きとか二分咲きという表現があるが、桜は一斉に開花が始まるわけではない。そういえば、うちの近所の桜も、いつも咲くのが早く、散るのも早いな、と。


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2022年3月21日月曜日

習近平(68歳)とプーチン(69歳)は一心同体ではない!ーThe Economist の今週号(2022年3月17日号)の表紙は、習近平(X)とプーチン(P)

 
The Economist  の今週号(2022年3月17日号)の表紙は、習近平(X: Xi)とプーチン(P: Putin)「オルタナティブな世界秩序」というタイトルだ。

何やら集合論の「ベン図」のような構図だが、なかなかうまいなあ、と感心してしまう。 大男の習近平の顔が、小男のプーチンの顔より大きいのは、物理的にいって当然だが、中国とロシアの関係をうまく示している。 

GDPによる経済規模からいったら中国はロシアの10倍以上あるが、軍事面ではロシアは中国の先輩格にあたるから、そこまで顔の大きさの違いはないわけだ。

(現在の中ロ関係の逆転状況を象徴的に表現した The Economist 2019年7月27日号のカバー)

また、プーチンはけっして習近平の「部分集合」ではないという事実も示している。 

両者がまじわる領域(X∩P)は反欧米という「共通集合」であるが、両者のあいだには異なる領域がある。中ロは一心同体ではないのだ。

「二つの国家の友情に限界はない」(friendship between the two states has no limits)というキャプションが、皮肉に響く(笑) 


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