話題になっていたものの、リアルタイムでは見ていなかった『VIVANT』第1シーズンの全10話(2023年)を2日かけて、amazon prime でぶっ続けで視聴。
すでに第2シーズンが2026年7月26日(日)から「第11話」として始まっていることもあり、まずは第1シーズンを見ておかないと話の展開がわからなくなってしまうからね。
おそらくアフガニスタンなど、紛争の多い中央アジアのさまざまな国をイメージして合成したのであろう、中央アジアに位置する架空の「バルカ共和国」を舞台にした、国際アクションスリラーのインテリジェンスもの。日本のTVドラマにしてはじつにめずらしい設定だ。
バルカ共和国は、モンゴルとロシア、中国に国境を接しているという設定。ロケの大半はモンゴルだが、たいへんすばらしい。日本のTVドラマにしては、えらくカネかけてチカラの入った作品だな、と。
モンゴルの俳優も主要な登場人物でキャスティングされ好感がもてる。セリフもかなりの部分がモンゴル語で日本語字幕、現地関連の文字表記はモンゴルで使用されているキリル文字。ディテールもなかなか凝っている。
VIVANT(ヴィヴァン)というのは、フランス語ではなく、日本語の「別班」(べっぱん)のことだ。自衛隊出身者によって構成される、ヒューミントを中心とした超法規的なインテリジェンス組織のことだとされる。国会質疑でも取り上げられたが、日本政府はその存在を公式に否定している。
『自衛隊の闇組織 ― 秘密情報部隊「別班」の正体』(石井暁、(講談社現代新書、2018)というノンフィクション作品がある。
身分を擬装した自衛隊員が、国際諜報の世界で活動してきたことを、陸軍中野学校以来の「負の遺産」だとして、著者が知り得た情報をまとめあげたレポートだ。このドラマにはこの本にインスパイアされて制作されたようだ。ドラマに原作はない。まったくのオリジナル作品である。
このドラマは、警察の公式組織である「公安」と、自衛隊の非公式組織である「別班」との対立と協調をベースにしているわけだが、そもそも「別班」は存在そのものが否定されている秘密組織である。
いや、だからこそ、フィクションとして描ける余地も大きいのだ。 このドラマはあくまでもフィクションであり、エンタメ作品として純粋に楽しむべきだ。近松門左衛門の表現だが「虚実皮膜」というではないか。
とはいうものの、砂漠でのアドベンチャーを体験しているのだが、準主演の阿部寛が無精髭のヒゲづらなのに対して、主演の堺雅人がきれいに顔が剃られていている不思議さ。日本人が大好きなセンチメンタルな要素が強すぎること。バルカ側の人物たちを演じる日本人俳優の日本語があまりにもなめらか過ぎる、などなど。ちょっと興ざめな感もするのだが・・・
欠点が皆無ではないが、全編を通してアドベンチャーものとして、アクションものとして、最後まで飽きることなく視聴できた。きわめて面白い作品であった。第2シーズンが始まっているが、好きな時間帯に TVer で視聴するつもりだ。
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・・日露戦争ではみずから志願して軍事探偵(=スパイ)として活躍したとされる中村天風
書評『諜報国家ロシア ― ソ連 KGB からプーチンの FSB 体制まで』(保坂三四郎、中公新書、2023)― ソ連時代から始まる「諜報機関」の本質を知らずに現在のロシアの体制を理解することはできない
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