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2026年1月10日土曜日

映画『天心』(2013年、東映)をDVDで視聴(2026年1月10日)― 岡倉天心になりきった竹中直人の熱演で岡倉天心が生身の肉体をもった存在として甦る

 

映画『天心』(2013年、東映)をDVDで視聴。岡倉天心の後半生を映像化した伝記映画である。
    
岡倉天心は言うまでもなく、明治維新後に消滅の危機にあった日本美術の再興を実現したプロデューサーだ。
     
エリート文部官僚として美術行政全般を主導し、若くして美校校長となって日本画家を育成、野に下っては日本美術院を立ち上げ、晩年はボストン美術館のキューレーターとして日中国・日本美術部門の責任者として功績を残している。
 
その天心の破天荒までの人生を描いた熱い映画である。主たる舞台は、晩年の天心が気に入って拠点を移した茨城県北部の五浦(いづら)太平洋に面した絶景の地である。太平洋を挟んだ米国と日本を往復する生活を送りながら、心身を休める場所として選んだのが五浦であった。



 
五浦を舞台にして、天心とその弟子たちとの日々を中心に据え、かれらにかかわる女性たちを描いたヒューマン・ドキュメント映画である。その意味では『「日本画」の誕生物語―天心と4人の弟子たち」としたほうが映画の内容に即しているのではないか。
 
「4人の弟子たち」とは、「日本画」の大成者である横山大観、菱田春草、下村観山、そして木村武山である。この映画では、とくに菱田春草が主要な脇役として取り上げられているが、わずか2時間の尺に天心の人生を描くうえでは、よくできた脚本といえるだろう。


(4人の弟子たち 残された写真の映像化 映画よりスクショ)

 
それにしても、天心を演じた竹中直人の熱演ぶりには脱帽する。多摩美大出身ということもあろう、美術界のカリスマであった天心になりきっているのだ。

実際の天心は当時としては長身の大男だったらしいので、その点は割り引く必要がある。とはいえ、すばらしい演技であった。もともと形態模写からTVデビューした人だけに、英語の発音も堂に入っている。


(再建された「六角堂」)

 
天心が五浦につくった「六角堂」は、「3・11」の大津波で流されてしまったが、この映画をつうじて六角堂が再建され、実写されている。


(六角堂のなかから太平洋を見る)


ときにみずから茶を点て、瞑想の場としていた六角堂から眺める太平洋。このシーンを味わうことができるのも、この映画ならではの醍醐味だ。奇妙な道服を身につけ、小船を浮かべての海釣り。


(小船を浮かべての海釣り)

 
「岡倉天心、生誕150年 没後100年記念」として製作された映画である。製作からすでに13年たっているが、このフレーズからわかるのは、天心はわずか50歳で亡くなっていることだ。全力で走り抜いた、太く短い人生であったのだ。


(太平洋の彼方から登る太陽)


100年以上前に生きた人物であり、すでに歴史上の人物となっている。だが、生身の肉体をもった俳優によって演じられることで、実際に生きていた人物として再現され、視聴する者が実感することができるのである。
 
映像のもつチカラがそこにある。
 
  
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