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2024年6月30日日曜日

書評『赤と青のガウン オックスフォード留学記』(彬子女王、PHP文庫、2024)ー オックスフォード大学で博士号を取得するということ

 

天皇皇后両陛下の英国公式訪問(2024年6月22日~29日)で、英国滞在の最終日の28日にお二人にとっての母校であるオックスフォード大学を訪問されたことがニュースになっている。 

この機会を利用して、『赤と青のガウン オックスフォード留学記』(彬子女王、PHP文庫、2024)を読むことにした。彬子女王(あきこじょうおう)は、「ヒゲの殿下」の愛称で国民的人気のあった三笠宮寛仁(ともひと)親王のご長女である。 

皇族であり、しかも研究者でもある。こういうあり方は生物学者でもあった昭和天皇以来、当たり前のものとなっているが、女性皇族として博士号(Dr. Phil)を取得されたのは、彬子女王がはじめてなのだという。5年間の研鑽ののち2010年に学位を取得された。 


オックスフォード大学のマートン・コレッジ(・・天皇陛下が皇太子時代に留学したのもここである)における留学体験記は、2012年に雑誌連載、2014年に単行本として出版されたらしいが、文庫化されるまでまったく知らなかった。熱心な読者によるX(旧Twitter)の投稿がキッカケになって、文庫本として復刊されたそうだ。 

たいへんよくできたエッセイであり、オックスフォード大学で博士号を取得するということがどういうことか、その体験のない者にとっては、じつに興味深い内容であった。しかもなかなか読ませるもののある、良質な体験記である。 


■19世紀後半の英国における日本美術熱

博士論文のテーマは、19世紀後半の英国における日本美術収集にかんするものであり、オックスフォード大学と大英博物館の所蔵品を調べるため、英国現地にいなければ不可能な研究である。 

美術史全般や日本美術史に関心がある人なら、なおさら興味深く読めることだろう。 



その意味でも、たいへん貴重な研究であり、その成果は広く日本国民が共有したいものである。


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■オックスフォード大学




■19世紀後半の英国における日本美術熱





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2024年6月28日金曜日

民主主義が危機的状況にあると語られるいまこそ、「アメリカン・デモクラシー」を理解するためにトクヴィルの『アメリカのデモクラシー』を読まなくてならないと思う今日この頃(2024年6月28日)

 

世界中の民主主義国で民主主義が危機的状況にあると語られることが多くなっている。その震源地とされるのがトランプのアメリカだ。 

むかし中学生の頃だったろうか、語呂合わせで英単語を覚えたとき、民主主義を意味する「デモクラシー」(democracy)は「でも暮らしいい」と覚えたものだ(笑) だからこそ、デモクラシーの理念と実態は維持しなくてはならない。

それはさておき、もともとギリシア語の「デモス」(=人民)と「クラシア」(=権力)の合成語であることからもわかるように、民主主義は愚民主義に堕してしまう危険を秘めている。実際に1930年代にナチス支配を生み出したワイマール共和国という前例がある。 





90分の大統領選ディベートを最初から視聴したが、バイデンの老人ぶりが際だった印象が強い。4年後のアメリカを指導しているバイデンを想像するのは難しい。もちろん、トランプの発言と内容には問題も多いが、力強さは感じられた「見た目は9割」である。




最終的にどちらが勝つことになろうと、大統領選における投票権をもたない日本国民は蚊帳の外ではあるが、民主主義国だけでなく、世界全体に与える影響はきわめつきに大きいので、注視せざるをえないのである。 

そんな「アメリカン・デモクラシー」であるが、1776年の独立革命から半世紀をへた1830年、調査旅行でアメリカを訪問し、詳細なレポートを製作したフランス人がいる。

アレクシー・ド・トクヴィルである。フランス革命後に生きたフランス貴族として、先行する民主主義国アメリカを研究したのであった。 

アメリカを知るための必読書とされるのが、トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』である。1835年に第1部、1840年に第2部がフランスで出版されている。  

この本は、さまざまな分析に引用されるので断片的に読んではいるが、わたしもまた、まとまった形では読んだことがない。「読まれざる古典」といえようか。 

とはいえ、日々の出来事を追っていくだけでは見えてこないものがある。気合い入れて読まなくてはならないと思って10年前に購入したのだが、そのまま積ん読化して、いまだに通読していない岩波文庫版の4冊本。 

そろそろ、腰を据えて読まなくてはならないと思っているきょうこの頃だ。 


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2024年6月25日火曜日

高校時代に購入して読んで、大いに感心した『サーカスが来た! ー アメリカ大衆文化覚え書き』(亀井俊介、文春文庫、1980)は、いまなおアメリカを知るための必読書だ 

 

高校時代の1980年に購入して読んで、大いに感心したのがこの『サーカスが来た! アメリカ大衆文化覚え書き』(亀井俊介、文春文庫、1980)という本だ。  

「19世紀アメリカの大衆文化」について書かれた本だが、21世紀の現在も、アメリカがこの時代の延長線上にあることがわかる、すぐれた内容の名著である。 

なんといっても北米大陸は広い。わたしも滞米中には東海岸から西海岸まで鉄道(=アムトラック)とバス(=グレイハウンド)をつかって陸路で「大陸横断」を2回行っているが、じつに広大なのである。 

このような広大な大陸で、移動式のエンタメであるサーカスや、文字ではなく「しゃべり」の文化である巡回講演会が発展したのは北米ならではなのである。巡回講演会は現在でも各種のセミナーの原型である。巡回講演会の講師は、エマソンのようにキリスト教の牧師から転身した人も少なくない。 

先日のことだが、ひさびさに必要があって引っ張り出してきて、44年ぶり(!・・それだけ持ち続ける価値のある本なのだ)、その一部を読んだ。 

大筋はさておき、もちろん細かい内容などまったく記憶から消えていたが、事実関係の究明に徹した詳細な記述はじつに濃いものがあることが読んでいてわかった。人名などの固有名詞は、聞いたことのないようなものばかりである。忘れてしまって当然である。 

「あとがき」によれば、もともと原本は1976年に東京大学出版会から出たものだそうだから、基本的に専門書なのである。だからこそ、濃い記述が一貫しているのであろう。

とはいえ、学術書でありながら、一般書として読めるものとなっているのは、文春文庫として再刊されたことからも、それは明らかだとわかる。 

日本とは違って、歴史のきわめて短いアメリカではあるが、そうはいっても現在は過去の延長線上にあり、もちろん未来も現在の延長線上にある。 

歴史を知ることは現在を知ることであり、未来を考えることでもある。19世紀の痕跡は建築物などのハードだけではなく、さまざまな制度やその他ソフト関連として、いまでもいたるところに発見できるはずだ。 

この本をはじめて読んだ頃は、まずは大学に入ることが最優先事項であり、海外留学など考えたこともなかったが、実際に留学が実現してアメリカで暮らし、休暇中には旅をしていた頃、この本の知見は自分の「ものの見方」に大いに役だったのである。 

著者の亀井俊介氏はアメリカ文化研究の泰斗ともいうべき人だが、90歳を越えたいまなお現役で著作を出し続けている。すごいことだなと感心するばかりだ。 



PS その後、岩波同時代ライブラリーから復刊され、現在は2013年に復刊された平凡社ライブラリー版が流通している。 


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目 次(文春文庫版) 
サーカスが来た! ― 世界の驚異を運ぶ機関 
オペラ・ハウスで今夜 ― 大衆演芸の世界 
さすらいの教師たち ― にぎやかな講演運動 
ガンファイターへの夢 ― ダイム・ノヴェルから西部劇へ 
ターザンの栄光と憂鬱 ― 二十世紀のヒーロー 
ハリウッド、ハリウッド ― 希望の星かがやく「聖林」 
ジープに乗って山こえて ― わがアメリカ大衆文化 
あとがき 
解説(鶴見俊輔) 


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書評『反知性主義 ー アメリカが生んだ「熱病」の正体』(森本あんり、新潮選書、2015)ー アメリカを健全たらしめている精神の根幹に「反・知性主義」がある


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2024年6月24日月曜日

『流体感覚』(吉福伸逸、雲母書房、1999)という 25年前に出版され、11年前に入手した本を、2024年になってはじめて通読してみた

 
 蔵書整理を行っていたら、本の山のなかから出てきた本が面白いので、ついつい読んでしまった。

『流体感覚』というタイトルの対話本伝説のセラピストとよばれ、「精神世界」というジャンルを日本に定着させた吉福伸逸氏と3人の対話。出版社は雲母書房。「雲母」と書いて「きらら」と読むようだ。  

なによりもタイトルに惹かれるものがある。対話者は、松岡正剛、社会学者の見田宗介、宗教学の中沢新一の3人。豪華メンバーであり、それぞれが個性の強い面々である。 

1989年の3人との対話と、吉福氏がセラピストを辞めてハワイに移住し、サーファーとなってから10年後の1999年。おなじ3人との対話と再対話が収録されている。 

古本で入手して2013年に読み始めたが、そのままになっていたもの。11年のときを経て、はじめて全部読んでみた。出版からすでに25年たっている。四半世紀である。 

テーマはもちろん興味深い。とくに「自己」(セルフ)というものを中心に据えているからだ。しかも、知的刺激に富んだものだ。 

そして、1989年当時、1999年当時、そして1989年と1999年のあいだに起こったことを2024年という時点から振り返りながら読む。なかなか乙なものである。 

出版して活字にしておけば、後世になってから読む人もいるということだ。 対談者のうち、吉福伸逸氏と見田宗介氏は、すでに故人となっている。 時は流れ25年、つまり四半世紀もたつとそうなっていくのである。


目 次
対談者: 松岡正剛 
Ⅰ アルタード・ステイツと自己編集(1989年) 
Ⅱ 情報と身体(1999年) 

対談者: 見田宗介
Ⅲ 自己について(1989年) 
Ⅳ 愛とエゴイズム(1999年) 

対談者 中沢新一
Ⅴ トランスパーソナルをめぐって(1989年) 
Ⅵ 日本人の霊性ーシャマニズムと仏教(1999年) 

あとがき 吉福伸逸



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2024年6月22日土曜日

『死の貝 ー 日本住血吸虫症との闘い』(小林照幸、新潮文庫、2024)を読了。初版から25年目に初文庫化されたこのノンフィクションは読みであり!

 

『死の貝 ー 日本住血吸虫症との闘い』(小林照幸、新潮文庫、2024)を読了。このノンフィクションは面白い。読みであり!  

X(旧 twitter)の新潮社による投稿でこの文庫の存在を知って、この5月に即購入、旅先で1/3まで読み進めながら、その後忙しさにまぎれてデイパックに入れたまま、存在すら忘れていた。本日、残りの2/3を一気読みした。 

「日本住血吸虫症」という漢字語じたいが、おどろおどろしい。これは、長きにわたって原因がわからないまま、山梨県を中心に日本各地の特定の地域で水田耕作農家を苦しめてきた「地方病」のことだ。恐るべき感染症である。 

この感染症の謎をつきとめ、寄生虫の存在と宿主となっていた巻き貝を特定し、治療法を考え出し、さらには感染源を断ち切るための100年におよぶ闘いが描かれている。 

事実関係をたんたんと述べていく文体なのだが、事実のもつ迫力と、謎の解明と撲滅にむけて情熱を傾けてきた医者たちの取り組みが読ませるのである。 

日本での闘いは、日本で完結して終わりというわけではない。「日本住血吸虫症」は「日本」とついているが日本に限られるわけではなく、フィリピンや中国の長江下流域、そして東南アジア、さらにはアフリカでも猛威を振るってきたらしい。

フロントランナーであった「近代日本」の苦闘の成果は、第2次大戦末期にフィリピンで対策にあたった米軍の経果もまじえて、世界全体に還元されることで大いに貢献もしているのである。

まことにもって「有用な知識」は人を救うのである。



■ネットによって実現した初版から25年目の「文庫化」

帯にもあるように「Wikipedia3大文学」の1つということは、読み応えのあるWikipediaの記事が、このノンフィクション作品をベースに執筆されているからだ。

とはいえ、Wikipedia の文章には終わらせず、オリジナルを読む価値は大いにある。 


映画化されて有名になった新田次郎の『八甲田山死の彷徨』はずいぶん昔に読んでいるので、読んでないのは吉村昭の『羆嵐(くまあらし)』だけということになる。 

初版が1999年、文庫化されたのはなんと25年後の2024年である。今回の文庫化は大いに意義あることだ。 

わたし自身は、公衆衛生や感染症は専門ではないので、純粋に楽しみのための読書としてこのノンフィクションを読んだわけだが、読みながら思っていたのは、子ども時代にさんざん脅かされてきた「日本脳炎」についてである。 

現在はワクチンがあって感染者は激減している「日本脳炎」だが、致死的な感染症に「日本」とつけられているのは、なんだかなあ、と。感染症撲滅の偉業は誇るべきではあるのだが・・・ 
 

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