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2018年7月31日火曜日

JBPress連載コラム第31回目は、「まるでスイスのような知られざるタイの避暑地-タイ北部の山岳地帯でコーヒーが栽培されるまで」(2018年7月31日)


JBPress連載コラム第31回目は、「まるでスイスのような知られざるタイの避暑地-タイ北部の山岳地帯でコーヒーが栽培されるまで」(2018年7月31日) ⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53662

7月というのに猛暑日が続いている。ここまで暑いのは異常としかいいようがない。まるで赤道直下のシンガポールか、緯度はもう少し上になるがバンコクにいるような気分だ。 

じつはタイにも避暑地がある。タイは植民地化を免れたので、避暑地は王室関係の離宮や別荘として開発された。 

今回は、タイ北部の地方都市チェンライの北にある風光明媚な山岳地帯ドイトン(Doi Tung)と、そこで栽培されているタイのコーヒーを中心に、タイ北部の国境地帯について見ていきたいと思う。


(ドイトンコーヒー 筆者撮影)

タイ北部のチェンライにはぜひ一度は行ってみてほしいし、機会があれば、ぜひ「タイのスイス」ドイトンまで足を伸ばしてみてほしい。ここがほんとにタイ?」という感想をもつことになるだろう。そしてお土産にはドイトン・コーヒーを買うことをお勧めしたい。

(以下略) 

つづきは本文にて 
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53662





<ブログ内関連記事>

コーヒーは漉茶(こしちゃ)である!

仕事で人間の尊厳を取り戻すライフストーリーを描いた "How Starbucks Saved My Life" という「スタバ本」は、「働く意味」について考えさせてくれる

『Sufficiency Economy: A New Philosophy in the Global World』(足るを知る経済)は資本主義のオルタナティブか?-資本主義のオルタナティブ (2)


「タイのあれこれ」 全26回+番外編 (随時増補中)






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2018年7月26日木曜日

書評『プラナカン ー 東南アジアを動かす謎の民』(太田泰彦、日本経済新聞出版社、2018)ー 東南アジアに関心のある人は必読!


普段あまりリアル書店にはいかないのだが、丸善ジュンク堂の店頭で見かけて、パラパラとページをめくってみて即座に購入を決めたのがこの本。 タイトルは、『プラナカン-東南アジアを動かす謎の民-』(太田泰彦、日本経済新聞出版社、2018)。ことし6月の新刊書だ。 


「プラナカン」(peranakan)とは、マレー語で「現地生まれの人」という意味。といっても、現地人のマレー人のことではなく、16世紀以来、次から次へとやってきた支配者ポルトガル、オランダ、そして英国と現地人とのあいだでミドルマンとして商売を回してきた、17世紀の明末清初時代以降に中国大陸から渡ってきた華人の末裔のことだ。とくに英国支配下で富を築き上げた人たちである。 


マレーシアやシンガポールに「ニョニャ料理」という、スパシーだが甘酸っぱいエスニック料理があるが、その「ニョニャ」(nyonya)とはプラナカンの女性のことだ。料理は母から娘へと伝わるものだからそう呼ばれる。男性のことは「ババ」(baba)という。 



(マレーシアの海峡都市マラッカのニョニャ料理店前にて筆者)

高い美意識によって形成された、独特の色彩感覚で知られるプラナカンの文化は、東洋と西洋が混じり合う東南アジア(当時の英領マラヤ)でこそ花開いたものだといえるだろう。ニョニャ料理と同様、ハイブリッド文化なのである。 


じつはシンガポール建国の父で、長年にわたって指導者としてシンガポールをサバイバルさせてきたリー・クアンユーも、本書によればプラナカンだったのだという。この事実は初めて知った。


リー・クアンユーは、一般には客家(ハッカ)系として知られているが、正確にいうと「客家系のプラナカン」ということになる。 だが、リー・クアンユーは、1965年に独立したシンガポールの国民統合を図るため、そのことは終生にわたって秘してきたのだという。華人系がマジョリティーだとはいえ、多民族国家であり、しかも貧しい華人たちを敵に回さないための政治的決断であった。 

そんなシンガポールだが、リー・クアンユーの長男で現首相のリー・シェンロンは、シンガポールの文化政策としてプラナカンであることをカミングアウトしたのだという。2008年のことだ。ビジネスオンリーではシンガポールが生き残れないと痛感している首相は、地場の文化発展のために、土着の文化に目を向けさせるのが狙いなのだ、著者は説明する。 


(シンガポールの加東にあるプラナカン料理店 筆者撮影)

シンガポールに駐在した日経記者である著者は、プラナカンの実態を知るために、シンガポール、マレーシアのマラッカ、ペナン、そしてタイのプーケット、バンコク、インドネシアのボゴールと取材を続ける。プラナカンは、東南アジアからオーストラリアにかけて広く分布しており、ネットワークでつながっている「見えざる存在」なのである。 



(タイ・プラナカン・アソシエーション プーケットにて筆者撮影)

わたくしも個人的には、シンガポール、マレーシアのマラッカ、ペナン、そしてタイのプーケット、バンコク、インドネシアのボゴールはすべて歩いているが、ボゴールのプラナカンについては知らなかったので、たいへん興味深かった。これらの都市の旧市街は、いわゆるコロニアルスタイルだが、むしろプラナカン建築といったほうがいいのだろう。




プラナカンについては、すでににシンガポール在住の女性著者たちによる『マレー半島 美しきプラナカンの世界』(イワサキ チエ、丹保美紀、産業編集センター、2007)というビジュアル本があって、そちらのほうがプラナカン文化の紹介本としてはすぐれていると思うのだが、『プラナカン-東南アジアを動かす謎の民-』は、東南アジア全域を視野に納めている点と、2008年以降の状況を知ることができて興味深いものがあった。 

現在の東南アジアはASEAN諸国でもあり、中小規模の「国民国家」の集合体であるが、こういった多種多様な民族と宗教と文化で織りなされる東南アジアには、プラナカンという知られざる人たちが基層部分に存在することに目を向けることが重要だ。 


東南アジアに関心のある人は、ぜひ読むべきとおすすめしたい。






著者プロフィール 
太田泰彦(おおた・やすひこ)  
日本経済新聞論説委員兼編集委員。1961年生まれ。北海道大学理学部卒業(物理化学専攻)、1985年に入社。米マサチューセッツ工科大学(MIT)留学後、ワシントン、フランクフルトに駐在。2004年より編集委員兼論説委員。一面コラム「春秋」の執筆を10年間担当した。2015年に東京からシンガポールに取材拠点を移し、地政学、通商、外交、イノベーション、国際金融などをテーマにアジア全域で取材。2017年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


目 次  
プロローグ 謎に包まれた民  
第1章 リー・クアンユーの秘密  
第2章 色彩とスパイス  
第3章 日本が破壊したもの・支えたもの  
第4章 通商貴族の地政学  
第5章 明日を継ぐ者  
エピローグ 消えていく時がきた  
あとがき  
主な参考文献





<関連サイト>


プラナカン・ミュージアム(Pernakan Museum 英語)
・・2008年にシンガポールに開設されたミュージアム

ババ・ニョニャ(プラナカン)民族料理図鑑

(2018年8月19日 項目新設)



PS タイ・プラナカン・アソシエーションの写真を一枚追加した。プーケットにて筆者が撮影したものである。(2018年9月9日 記す)

PS2 シンガポールの加東(カトン)地区にあるプラナカン料理店の看板の写真を追加。筆者撮影。この色彩感覚がまさにプラナカンなのだ。(2018年10月7日 記す)


<ブログ内関連記事>

巨星墜つ リー・クアンユー氏逝く(2015年3月23日)-「シンガポール建国の父」は「アジアの賢人」でもあった


書評 『中国は東アジアをどう変えるか-21世紀の新地域システム-』 (白石 隆 / ハウ・カロライン、中公新書、2012)-「アングロ・チャイニーズ」がスタンダードとなりつつあるという認識に注目! 
・・ほとんど英語を母語として使用してきたリー・クアンユー氏は典型的なアングロチャイニーズである

華人世界シンガポールの「ハウ・パー・ヴィラ」にも登場する孫悟空-2016年の干支はサル ③
「タイガーバーム」創業者の「タイガー・カー」(改造車)
「タイガー・ビア」で乾杯!!

書評 『マレーシア新時代-高所得国入り-(第2版)』(三木敏夫、創成社新書、2013)-「進む社会経済のイスラーム化」は必読

『東南アジアを学ぼう-「メコン圏」入門-』(柿崎一郎、ちくまプリマー新書、2011)で、メコン川流域5カ国のいまを陸路と水路を使って「虫の眼」でたどってみよう!

(2018年7月28日 情報追加)



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2018年7月23日月曜日

『なす、大量消費!』という本をドラッグストアで見つけて購入した-レシピ本は最強の実用書


ドラッグストアに買い物に行ったついでに雑誌のコーナーの前にいたら、このムック本が目に飛び込んできた。 

『なす、大量消費!』 というタイトルと写真はインパクトあり! 

パラパラっとやってみて、値段も消費税込みで500円だし手頃なので、雑貨や水と一緒に購入。正式名称は、『なす、大量消費!-「作りおき」できる60レシピ-(大量消費シリーズ1) 』(オレンジページブックス、2018

熱い日が続いているし、なす料理のレパートリーを増やしたいと思っていた矢先だったので、まさにドンピシャのタイミング。こんな本を求めていたんだよ、と。 

刺さる商品というものは、自分のなかにあるニーズが満たされた瞬間に購買が成立するものだなとあらためて実感。





<ブログ内関連記事>

『檀流クッキング』(檀一雄、中公文庫、1975 単行本初版 1970 現在は文庫が改版で 2002) もまた明確な思想のある料理本だ

邱永漢のグルメ本は戦後日本の古典である-追悼・邱永漢

『こんな料理で男はまいる。』(大竹 まこと、角川書店、2001)は、「聡明な男は料理がうまい」の典型だ

マンガ 『きのう何食べた?』(よしなが ふみ、講談社、2007~)

『禁断のレシピ』(多賀正子・枝元なほみ、NHK出版、2014)は、「大人の絵本」。たまにはカロリー気にせず豪快に食べまくりたい!






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2018年7月22日日曜日

酷暑日の続く7月の日本-これはもう「火責め」としかいいようがない(2018年7月22日)


明らかに疲労蓄積だな。噛んでもないのに口内炎が複数。知らないうちに歯茎にも。どこまで続く泥濘(ぬかるみ)ぞ。もとい、いつまで続く酷暑日よ・・・。

 連日の猛暑とか酷暑なんていってるが、もはや「火責め」というべきだろう。

火責めとは、火を使ってする拷問だ。 数日前のことだが、ベッドに入って眠る前に思い出したのが、この絵画。マイフェイバリットの、いまは亡き吟遊詩人レナード・コーエン(Leonard Cohen)の一番最初のアルバム Songs of Leonard Cohen のCDジャケットのウラ。

鎖につながれ火あぶりにされる美女! カナダのモントリオール出身の作家で詩人で歌手のレナード・コーエンが、この絵画をなぜジャケットに選んだのかは定かではないが(・・収録された歌の歌詞には言及なし)、むかしこのアルバムを購入して以来、気になっている。 

もしかして、ジャンヌ・ダルクかしらん?  だとすると、レナード・コーエンには「ジャンヌ・ダルク」(Joan of Arc)という曲もあることだし。 

まあ、それはさておき、ここ数日は、まさにこんな「火責め」状態にあるような気分だ。






<関連サイト>


Leonard Cohen - Songs of Leonard Cohen [FULL ALBUM] *HQ(YouTube)

Leonard Cohen - Joan of Arc(YouTube)



<ブログ内関連記事>


レナード・コーエン(Leonard Cohen)の最新アルバム Old Ideas (2012)を聴き、全作品を聴き直しながら『レナード・コーエン伝』を読む

心頭滅却すれば 火もまた涼し(快川紹喜)-ありのままを、ありのままとして受け取る




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2018年7月19日木曜日

書評『チベットに舞う日本刀 ー モンゴル騎兵の現代史』(楊海英、文藝春秋、2014)ー モンゴルは現在に至るまで「分断民族」となっているという事実を直視せよ!



『チベットに舞う日本刀-モンゴル騎兵の現代史-』(楊海英、文藝春秋、2014)を読んだ。長らく積ん読状態だったが、ようやく読むことにしたのだ。

読んでみて、じつに読み応えのある好著だと感じた。モンゴル現代史だけでなく、日本近現代史、中国現代史とチベット現代史に関心のある人にとっても読むべき本だと確信する。 

著者の楊海英(よう・かいえい)氏は、現在は中国領となっている南モンゴル(かつて内蒙古と呼ばれていた地域)出身のモンゴル人の人類学者。モンゴル名はオーノス・チョクト、日本名は大野旭。現在は日本国籍を取得、日本語で著作を旺盛に執筆、司馬遼太郎賞の受賞者でもある。 

この本は、そんな著者が描いたモンゴル現代史である。ビルマ(=ミャンマー)やベトナム、インドネシアなどの東南アジア諸国は、英国やフランス、オランダといった西欧諸国の植民地からの独立を戦ったが、モンゴルの場合は西欧ではなく中国からの独立を戦ったのである。民族の英雄チンギスハーンの時代から700年、かつての栄光ははるか遠く、モンゴル民族は少数民族として圧迫されていた。 

そんなモンゴル民族にとって「近代化」のモデルとなったのが、ユーラシア大陸の西からやってきたロシア(=ソ連)と、アジアではいち早く近代化を達成した日本(=大日本帝国)であった。圧迫された少数民族にとっての悲願は、「民族自決」による独立達成であった。 

ソ連の影響下で独立を達成したのが北モンゴル(=外蒙古)のモンゴル人民共和国で、ソ連についで世界で二番目の社会主義国となった。この件については、『草原の革命家たち』(田中克彦、中公新書、1973)という知られざる名著に活写されている。ソ連崩壊後にはモンゴル国となり、日本の大相撲の力士を多数輩出していることは周知のとおりだ。 

南モンゴル(=内蒙古)もまた北モンゴルにならって独立達成に向けて奮闘、将来のモンゴル民族統一を目指していた。

騎馬遊牧民族のモンゴル人は、日露戦争で大きな活躍を成し遂げた、秋山好古率いる日本陸軍の近代騎兵に着目し、陸軍士官学校への留学を通じて、近代化されたモンゴル騎兵が再生することになる。




その舞台となったのが帝国陸軍の習志野騎兵学校であり、第1部第1章のタイトルが「青春の習志野」となっているのはそのためだ。

この点は、船橋市や八千代市を含めた「広域の習志野」の住民としてはうれしい限りだ。 現在の陸上自衛隊習志野駐屯地は、第一空挺団の本拠地であり、基地内には「日本騎兵之地」の石碑がある。

その後、日本の大陸進出によって創り出された満洲国で、モンゴル騎兵を育成するための興安軍官学校が設立され、日本の影響圏のなかで多くのモンゴル人騎兵が育成されることになる。日本の大陸進出の野心と、民族自決を目指すモンゴル人の意図が合致したのであった。しかしながら、それは同床異夢ではあったが・・。 

1939年のノモンハン戦争(=ハルハ河戦争)は、日本軍とソ連軍との激突であったが、日本側とソ連側の双方でモンゴル人将兵が対峙することになった。まことにもって「分断民族」の悲劇としかいいようがない。日蒙二世の青年を主人公とした安彦良和氏の傑作歴史冒険活劇マンガ『虹色のトロツキー』に活写されているとおりだ。

しかも、「五族協和」を謳った満洲国においては、モンゴル人だけが優遇されることはなく、不倶戴天の敵である中国人と対等の扱いを強いられた。日本人による統治方針とモンゴル人の願望とのズレが拡大していったのだ。民族自決を目指していたモンゴル人の日本への不満が高まっていく。 

日本の敗戦によって日本が大陸から撤退すると、南モンゴルは最終的に中国共産党の支配下に組み込まれる。大戦後の戦後構想を取り決めた「ヤルタ会談」(1945年)において、当事者であるモンゴル人不在のまま、大国間の密約により、スターリンの主張に基づき南モンゴルは中国の勢力圏と決められたからである。 モンゴル統一の夢は潰えたのだった。

そして、1949年の中華人民共和国成立後、モンゴル騎兵も人民解放軍に組み込まれることになる。毛沢東は、モンゴル騎兵の実力を熟知しており、最大限に利用しようと考えていた。 

モンゴル騎兵が実戦に投入され功績をあげたのは、1958年から1960年にかけて実行された「チベット侵攻」である。これが、本書のタイトルである『チベットに舞う日本刀』ということになる。モンゴル騎兵は、中国共産党の傭兵として利用されたのだ。 

抵抗勢力とみなされたチベット民族に振り下ろされたモンゴル騎兵の日本刀、おなじチベット仏教を信仰するチベット人に対する殺戮行為は、モンゴル人にとっては悔やんでも悔やみきれないものとなる。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマのダライは、海(=大草原)を意味するモンゴル語なのである。 

毛沢東は、伝統的な中国人の異民族支配の手法である「夷(い)をもって夷(い)を制す」を実践したのである。自ら手を下すことなく、漢人にとっての異民族であるモンゴル人にチベット人制圧を行わせたのである。この事実は、この本を読むまで知らなかった。チベット侵攻自体が非難すべきだけでなく、モンゴル騎兵が絡んでいたとは・・。

中国共産党がなすことは、じつに極悪非道としかいいようがない。 

チベット侵攻においてモンゴル騎兵の実力を知り抜いた毛沢東は、諸刃の剣であることを認識しており、文化大革命時代には反乱の目をつむためにモンゴル騎兵を解体モンゴル民族の虐殺を開始する。一説によれば10万人規模のモンゴル人が殺されたのだという。まさにジェノサイドである。チベット人やウイグル人だけではない、モンゴル人もまた抹殺対象となり、土地を奪われていったのである。 

ソ連の影響下で辛酸をなめることになったとはいえ、北モンゴルは独立を獲得し、現在に至るまで独立を確保できているのに対し、南モンゴルは現在に至るまで中国共産党による圧政のもとに、民族固有の生活習慣や文化を否定され、苦しんでいる。 

日本人の認識においては、ドイツとベトナムが統一したあと、朝鮮民族が最後の「分断国家」と認識されているようだが、アジアではモンゴル民族がいまだに「分断民族」のままとなっていることを認識しなくてはならない。 



その意味では、モンゴル現代史やチベット現代史、中国現代史に関心のある人だけでなく、アジアの現状に関心のある人は、読むべき本であると思うのである。

本書の姉妹編である『日本陸軍とモンゴル-興安軍官学校の知られざる戦い-』(中公新書、2015)とともに読むことをすすめたい。







『チベットに舞う日本刀 ー モンゴル騎兵の現代史』 
目 次  
はじめに-日本人よ、「モンゴル」を忘れないでほしい!
主要登場人物紹介 
第1部 民族の自決 
 第1章 青春の習志野   
 第2章 燃ゆる興安嶺   
 第3章 狼煙あがるホルチン草原   
 第4章 馬蹄轟く天安門 
第2部 中国の傭兵  
 第5章 「ヨーロッパの中世よりも暗黒」なチベット   
 第6章 武功輝くタングラ山   
 第7章 血潮滾るジュクンド   
 第8章 サムライたちの崑崙   
 第9章 意気揚々青海湖   
 第10章 女神の崑崙路   
 第11章 悲恋の玄界灘 
おわりに-日本人よ、「自虐」にも「自尊」にもなるな 
参考文献と資料



『日本陸軍とモンゴル ー 興安軍官学校の知られざる戦い』 
目 次  
まえがき 
序章 軍人民族主義者とは何か  
第1章 騎兵の先駆と可愛い民族主義者 
第2章 民族の青春と興安軍官学校 
第3章 植民地内の民族主義者集団 
第4章 興安軍官学校生たちのノモンハン 
第5章 「チンギス・ハーン」のモンゴル軍幼年学校 
第6章 「草原の二・二六事件」と興安軍官学校の潰滅 
終章 「満蒙」残夢と興安軍官学校生の生き方  
あとがき 
参考文献  
関連年表 





<関連サイト>


書評 日本人よ、「モンゴル」を忘れないでほしい! (文: 楊 海英 (静岡大学教授)、2014年11月14日)
・・「はじめに」より転載






<ブログ内関連記事>


■満蒙時代の南モンゴル(=内蒙古)

「赤羽末吉スケッチ写真 モンゴル・1943年」(JCIIフォトサロン 東京・半蔵門)に立ち寄ってきた(2016年6月18日)-絵本作家の赤羽末吉が撮影した戦前の内蒙古

『スーホの白い馬-モンゴル民話-(日本傑作絵本シリーズ)』(大塚勇三・再話、赤羽末吉・絵、福音館書店、1967)-「良質な絵本」もまた大事にしていくべき「昭和遺産」だ

書評 『回想のモンゴル』(梅棹忠夫、中公文庫、2011 初版 1991)-ウメサオタダオの原点はモンゴルにあった!

書評 『ノモンハン戦争-モンゴルと満洲国-』(田中克彦、岩波新書、2009)-もうひとつの「ノモンハン」-ソ連崩壊後明らかになってきたモンゴル現代史の真相

書評 『帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」-機密公電が明かす、戦前日本のユーラシア戦略-』(関岡英之、祥伝社、2010)-戦前の日本人が描いて実行したこの大構想が実現していれば・・


■チベット問題

「チベット・フェスティバル・トウキョウ 2013」(大本山 護国寺)にいってきた(2013年5月4日)

「チベット蜂起」 から 52年目にあたる本日(2011年3月10日)、ダライラマは政治代表から引退を表明。この意味について考えてみる
映画 『ルンタ』(日本、2015)を見てきた(2015年8月7日)-チベットで増え続ける「焼身」という抗議行動が真に意味するものとは



■習志野と馬・騎兵

陸上自衛隊「習志野駐屯地夏祭り」2009に足を運んでみた

「下野牧」の跡をたずねて(東葉健康ウォーク)に参加-習志野大地はかつて野馬の放牧地であった


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