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そうそう、ビールについても書いておかねばならない。
いまミャンマーでは圧倒的に「ミャンマー・ビア」(Myanmar Beer)の天下になっており、古都マンダレーですら、あえて注文しないとミャンマービールをもってくる。
夕食の際、「せっかくマンダレーにきているんだから、マンダレービールが飲みたい!」という声がどこからともなくわきあがってきたのも当然だ。さっそく追加注文してもらったマンダレービールは二種類あり、青ラベルがラガー、赤ラベルがストロング・エール、青はすっきり味、赤は濃いい味だ。
マンダレーでマンダレービールを飲む、こんな当たり前のことが当たり前でなくなったのも12年前との違いである。
ミャンマービールが市場に初めて出たのは1997年らしい。なるほど、前回ミャンマービールを飲んだことがなかったわけだ。毎日、昼も夜もミャンマービール飲み続けていたが、ビール市場の勢力地図交代というのは、実は大きな変化なのかもしれない。
いまではミャンマービールがミャンマーではトップシェアで、いたる所で看板を見ることになる。また、シンガポールのタイガービールも健闘している。
ビールのほかには、ミャンマーのウイスキーやラム酒があるが、今回は一回も試してみなかった。
前回ラム酒は飲んだがあまりうまかったという記憶がなかったことと、タイのウイスキーがうまくないのでミャンマーも同じだろうと思ったのがその理由である。
ちなみにタイのメコン・ウイスキーが好きだと公言しているのは秋篠宮殿下だが、この嗜好傾向には正直いって同意しかねる。
ついでだから一般消費財についても触れておくと、中国の影響が大きいなどといわれるわりには、中国製品によって席捲されているわけではない。中国製品ははきりいって低価格のブランド力のない商品ばかりである。
ヤンゴンのショッピングセンター--12年前に比べると驚くほど増えている--にいくと、棚に並んでいる商品は圧倒的に隣国のタイ製品が多い。比較的豊かな消費者が対象だからだろうか。
"なんちゃって日本食品"の OISHI や インスタント麺の MAMA などのタイ・ブランドが幅をきかせており、なんだかほっとしたりもする。
ちなみに OISHI は東南アジア各国や中国でも事業展開しているが、ミャンマーでライセンス生産しているとは知らなかった。自腹切ってでも現地は踏んでみるものである。
また、ミャンマービールの写真を拡大していただけるとわかると思うが、ビアグラスはタイからの輸入品であることにも注目されたい。
食品産業といえば、トロピカル・フルーツについても書いておかなくてはならない。今回の投資ミッションのテーマそのものだから。
雨期はフルーツの最盛期であり、東南アジアでみかけるトロピカルフルーツは、もちろんもれなくミャンマーにもある。パイナップル、スイカ、パパイヤ、バナナは一年中、またこの時期ではマンゴー、マンゴスチン、ランブータン、ザボンなど。
今回、マンダレー近郊のマンゴー農園を訪問した。マンダレーはマンゴーの産地らしい。最盛期はすぎていたのだが特別にマンゴーを食べさせていただいたが、実にうまかった。3種類のマンゴーの食べ比べをしたが、個別の銘柄名を忘れてしまったのと、ビルマ語の名称では記憶に残りにくいのも仕方がない。
農園では、マンゴの栽培方法、果実の収穫方法も実際に見せていただき、たいへん興味深いものがあった。ロンジーはいた若者がするするとマンゴーの木に登って果実をとる。慣れたものである。
中国のミャンマー投資は基本的にエネルギー資源、鉱物資源といわれており、また最大の輸出アイテムはパイプラインによるタイ向けの天然ガスであるが、実際に現地にいってみてわかるのは、ミャンマーは農業国である、という事実である。
豊富な農産品はコメやフルーツだけでなく、ごま、お茶、グリーン・アスパラガス、こんにゃく、しょうが、ターメリック(=ウコン)、などなど多数に及ぶ。沖縄産のウコン茶の材料は実はミャンマーから輸入したものも一部ある、と聞いたことがあるが、意外と日本人はすでに口にしているのかもしれない。
しかしながら、ミャンマーという「国家ブランド」(state brand)には、現在の日本ではポジティブな響きとイメージがないのが、ビジネスの観点から見るとると残念といわざるをえない。
また、マンゴーについていえば、フィリピンのセブ島のマンゴーといい勝負しているのだが、ロジスティクスの観点からいうと、フィリピンにくらべてミャンマーは日本から距離的に遠いのもデメリットの一つなのだ。
とはいえ、農業という切り口からミャンマーや東南アジアをみる。これは重要なポイントだ。
ミャンマー再遊記 (5)につづく
<ブログ内関連記事>
「ミャンマー再遊記」(2009年6月) 総目次
「三度目のミャンマー、三度目の正直」 総目次 および ミャンマー関連の参考文献案内(2010年3月)
(2015年10月4日 項目新設)
(2012年7月3日発売の拙著です)
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