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2021年3月5日金曜日

書評『CIAスパイ養成官 ― キヨ・ヤマダの対日工作』(山田敏弘、新潮社、2019)― 米国で「ガラスの天井」を破った知られざる日本女性の人生

 

『CIAスパイ養成官-キヨ・ヤマダの対日工作』(山田敏弘、新潮社、2019)を読んだ。米国でキャリアを全面開花させた、知られざる日本女性のライフストーリーであり、情報活動をつうじた日米関係の「戦後史」でもある。  

セキュリティ問題を主たるテーマに取材活動を続けている国際ジャーナリストによる本だ。この人が発掘しなければ、キヨ・ヤマダという米国籍の日本人の存在そのものが知られることはなかったであろう。 

なぜなら、彼女はCIAの職員だったからだ。CIAにおける勤務実態については、現役中は当然のこと、リタイア後も基本的にディスクローズされることはない。現在進行形の活動に多大な支障を来すからだ。それはCIAにおけるポジションがいかなるものであるかにかかわりない。 

キヨ・ヤマダ・スティーブンスン(=山田清:1922~1999)は、46歳から77歳までの32年間にわたって、日本語教官としてCIAに勤務しただけでなく、対日情報活動にも携わっていたのである。教官時代には、何度か極秘に来日もしているらしい。 

「戦前」の日本に生まれ、日本社会に違和感を感じていた彼女は、日本から脱出したいと願い続けてきた。日本女子大卒の彼女は、湘南白百合高校で英語教師をしながら「フルブライト奨学金」による米国留学のチャンスをつかみ、語学教育法では有名なミシガン大学で修士号を取得する。

米国空軍軍人と結婚したことで米国籍を取得することになったが、広大な米国だけでなく駐留軍のあるドイツにも及ぶ、国内外で転勤の多いのが軍人であり、その結果、じっくり腰を据えて仕事をすることは難しかった自分が専門とする分野でキャリアを構築することが長年にわたってできなかったのだ。

そんな彼女が46歳でつかんだのが、専門を活かすことの出来るCIAの日本語教官というポジションだった。遅咲きのキャリア開始であるが、以後の32年間の勤務のなかで「ガラスの天井を破った」のである。 

この本は、情報公開がけっしてされることのない、そんな日本女性の知られざるライフストーリーを、細い糸をたぐり寄せながら取材し、再構成したものだ。 

CIAという情報機関について、海外の情報活動において不可欠な実用語学について、個人の生き方とキャリアについてなど、いろんな読み方が可能であろう。面白い本だった。 


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目 次
プロローグ 墓碑銘がない日本人CIA局員
第1章 「私は CIA で、ガラスの天井を突き破ったのよ」 
第2章 語学インストラクターと特殊工作 
第3章 生い立ちとコンプレックス 
第4章 日本脱出 
第5章 CIA入局 
第6章 インストラクター・キヨ 
第7章 最後の生徒 
エピローグ 奇妙な「偲ぶ会」


著者プロフィール
山田敏弘(やまだ・としひろ)
国際ジャーナリスト、米マサチューセッツ工科大学(MIT)元フェロー。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版などに勤務後、MITを経てフリー。数多くの雑誌・ウェブメディアなどで執筆し、テレビ・ラジオでも活躍中。『ゼロデイ-米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋、2017)など。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものに加筆)


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2010年12月13日月曜日

書評 『語学力ゼロで8カ国語翻訳できるナゾ-どんなビジネスもこの考え方ならうまくいく-』(水野麻子、講談社+α新書、2010)-「仕事ができる人」の心得は「ロジカルシンキング応用編」でもある




「仕事ができる人」の心得-「ロジカルシンキング応用編」

 この特許翻訳者の女性は、なんと地頭(ぢあたま)のいい人であろうか! と感歎する思いで読んでいた。
 
 夫も子どものいる主婦でありながら、いや、そうだからこそというべきか、きわめて効率的な仕事の方法を編み出して、実行している人である。

 一言でいってしまえば、この本は、論理的思考力に基づいた「仕事ができる人」の心得、を書いた本だといってもいいだろう。

 本書は、大きく分けて二部構成だと思って読むといい。

 前半は「第1章 語学力と論理的思考力」と「第2章 知識とは選択肢のこと」、後半は「第3章 生き残りのカギは発想の転換にあり」と「第4章「重ね刷り」方式の翻訳」そして「第5章 まだまだできる役割分担」。

 前半は、特許翻訳という具体的な材料を使って説明された、論理的なものの考え方について。
 後半は、特許翻訳に限らず、実務翻訳全般に応用可能な、パソコンをフルに使い回した効率的仕事の進め方の、スグに使える実践的ノウハウの公開。

 実務翻訳に従事する人、あるいは目指している人は最初から最後まで全編を読むべきである。急がば回れの話だけでなく、すぐに使えるノウハウが紹介されている。

 副題になっている 「どんなビジネスもこの考えならうまくいく」に惹かれて本書を取り上げた人は、前半だけでも読む価値は十分にある。


 正直いって思うのは、本書で紹介されていることは、実は出来る人はみな無意識にやっていることなのだ。

 だが、本書の特色は、特許翻訳という自分の得意フィールドのなかで、著者自身が実際に試して効果が実証済みのノウハウを、きわめて具体的に解説していることなのである。私のノウハウも全部バラされてしまったな、という感想をもつ。

 エッセンスは、私なりの表現を使えば、「分割して統治せよ!」、「論理的類推のフル活用」、「Google検索のフル活用」、「仮説を論理的に推論して検証せよ!」とでもなろうか。直接読んで確認してみてほしい。間違いなく使える「ものの考え方のノウハウ」である。読んだらぜひ実地に応用してみてほしい。

 しかしながら、本書で多用されている「母国語」という表現はやめてほしい。すべて「母語」といいかえてもらいたい。「母国語」などという意味不明でセンシティビティに欠けた表現は、聡明な本書の著者にはふさわしくないだろう。

 とはいえ、最初に書いたように本書の前半は、どんな世界でも通用する、論理的思考力に基づいた「仕事ができる人」の心得である。

 また、全編通して読んですぐに実践に移せば、実務翻訳の世界での「仕事ができる人」に、必ずや一歩近づくことになるだろう。

 「ロジカルシンキング応用編」といってもいい内容の本書は、ぜひ多くの人にすすめたい。


<初出情報>

■bk1書評「「仕事ができる人」の心得-「ロジカルシンキング応用編」」投稿掲載(2010年4月20日)





目 次

第1章 語学力と論理的思考力
第2章 知識とは選択肢のこと
第3章 生き残りのカギは発想の転換にあり
第4章 「重ね刷り」方式の翻訳
第5章 まだまだできる、役割分担


著者プロフィール

水野麻子(みずの・あさこ)

1968年、静岡県に生まれる。神奈川県立外語短期大学卒業(1989年)。八洲学園大学卒業(2007年)。有限会社サグラーシェ代表取締役社長。23歳のときに、語学力なし・専門知識なし・実務経験なしの状態から、翻訳者になると決めて2週間で独立。1歳半の娘を抱えながら、営業をまったくせずに口コミなどで数ヵ月先まで予約でいっぱいの状態となる。処理量は平均的な翻訳者の5~6倍。他に例を見ない視点・アイデア・工夫で、バブル崩壊直後や現在の不況下でも平均翻訳月収150万円を維持。このアプローチを翻訳関連企業にも指導。大手メーカーの開発コンサルタントとして翻訳ソフト開発にも従事する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


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