「ラオス・フェスティバル2010」(東京・代々木公園)にいってきた。2007年に続いて3年ぶり2回目の開催となる。
「日ラオス外交関係樹立55周年記念事業」の一環で、ちょうど先週にはラオス人民民主主義共和国の首相が来日していた。首相歓迎パーティへの招待もいただいていたが、所用のため出席できなかったが。
「ラオス・フェス2010」は、5月22日(土)と23日(日)の二日間の開催。「ラオス・フェスティバル2010」公式サイト
つい先週末が「タイ・フェスティバル2010」であったが、やはりというか当然というか、「タイ・フェス」の熱狂ぶりとはまったく異なって、あまりゴミゴミしていなくてよかった。
すでにイベント化している「タイ・フェス」は年末の上野アメ横のような喧噪だが、「ラオス・フェス」のほうは余裕があって、まだまだ手作り感があるのがよかったといえる。
全体で 69 の出展者のうち、ラオス関係の出展が 26 ということが、こじんまりとした印象を与える原因となっているが、ラオス料理を食べてビア・ラオ(Beerlao)を飲めたので満足である。
■お目当てはラオス料理
ラオス人留学生の店で「ラオスそうめん」を食べる。4月のラオス新年のパーティで食べて以来であるが、ココナッツミルクが辛さを中和したスープで食べる、米麺のそうめんはうまい。一杯400円という価格はラオスの物価を考えると安くはないが、ここ東京では仕方がないだろう。収益金は有益なことに使ってほしい。
(これが通称ラオスそうめん)
このほかラオス料理を食べようと思ったのだが、どうもこれといったものがないので、かわりにイサーン料理にすることにした。タイ東北部のイサーンはもともとラオス系住民がタイ王国に編入されたこともあり、料理も基本的にラオス料理ときわめて近い。タイ料理店の出店もあるので、イサーン料理を買うことに。
「イサーン料理三点セット」(ガイヤーン、ラープ、カオニャオ)とビア・ラオで食べる。ガイヤーンは骨付きの焼き鳥をスライスしたもの、ラープはブタ挽肉のピリ辛サラダ、カオニャオは蒸しモチ米である。このように食べるとイサーン料理を食べているのか、ラオス料理を食べているのかよくわからなくなるのが面白い。
(ビアラオ)
「アジアで一番旨いと賞賛されたラオス・ビール」という宣伝を書いたバナー広告が、ビア・ラオの輸入正規代理店のブースに掲げられているが、たしかにビア・ラオは旨い。オーストラリア企業との合弁で、製造設備も最新鋭のものになっているので、品質的にもまったく問題ない。ヴィエンチャンの工場見学をしたかったのだが、休業日で入場できなかったのが残念だが、次回ヴィエンチャンにいく機会があればぜひ訪れてみたいと思っている。
■小国ラオスは独自の文化と歴史をもつ存在だ
「タイ・フェス」は冒頭に書いたように異常なまでの熱気で、今後も間違いなく毎年開催されていくだろうが、「ラオス・フェス」は何年後になるのだろうか?昨年は「ベトナム・フェス」だったし、持ち回りということだろう。
人口がたったの626万人しかいないラオスは(・・先にも書いたように、タイの北部や東北部はラオス系住民なので総人口はもっと多い)、人口大国のベトナム(8,600万人)とタイ(6,600万人)に挟まれた緩衝国(バッファー・ステート)としての性格ももつが、独自の文化と歴史をもった独立国であることを忘れてはならない。
ところで、代々木公園の隣で開催されていた、FIFAワールドカップ・南アフリカ大会に出場する日本選手団の「SAMURAI BLUE出陣式」が、同じく22日(土)に行われていた。大会まであと20日後に迫っているからだ。アナウンスで選手を呼ぶ声が聞こえてきた。ブルーのユニフォームを着せられた巨大な坂本龍馬像が立っている。
まあ結果がどうなるかは別にして、日本選手団の健闘を祈りたい。
■ラオスは内陸の小国
この日本に比べれば、ラオスは本当に小国だ。ラオスと比べると、資本力の点でも、人的資源の点においても比較にならないほど大国なのが日本である。この背景があって、はじめてワールドカップへのチケットも手にすることができる。
ラオス人が、ラオスにくらべればはるかに大国である日本に寄せる思いは強い。
とくに近年は北部国境で接する超大国中国が南下政策の一環として、ますますそのプレゼンスを強めている。中国が勢力拡大を強化しているのはミャンマーだけではない。
このまま中国の思うままにさせてしまってよいのか!?
少しでもそう思う日本人は、ラオスも含めた東南アジアにもっと関心を深めてほしい。
中国とインドという超大国に挟まれたインドシナ地域は、まさに読んで字のごとく、インドとシナ(=中国)の狭間に存在する地域である。
地政学的に見て、インドとシナ(=中国)の中間に位置する東南アジアは、文明的にはインド文明と中華文明の狭間で、その両者が交差する地域である。基層が上座仏教であるラオスは、広義のインド文明圏に属しているが、華僑華人の存在によって中華文明の影響も受けている。しかしながら、根本においてインドでも中国でもない、東南アジアの民である。
集団化することにってバランシング・パワーとなることを意図して結成されたアセアンではあるが、やはりこの地域で日本が果たす役割はきわめて大きいのである。
幸いなことに、ラオスに直接投資を行う日本企業も増えているという話を関係者からは聞いている。人口規模が小さいのが玉にキズであるが、人口密度の低いラオスは農業を含めて、ポテンシャルはまだまだある。
ラオス料理から入って、ラオスそのものと、こうした国際問題にも関心を抱いてほしいものだと思う。
(Google Map でみる内陸国ラオス)
PS 読みやすくするために改行を増やし、写真も大判に変更。今回、ラオスの地図を挿入した。(2014年5月27日 記す)
<ウェブサイト情報>
「ラオス・フェスティバル」公式サイト
<ブログ内関連情報>
ラオスよいとこ一度はおいで-ラオスへようこそ!
東西回廊とメコン川を横断する「第2タイ=ラオス友好橋」-開通記念セレモニー(2006年12月20日)出席の記録
仏歴2553年、「ラオス新年会」に参加してきた(2010年4月10日)-ビア・ラオとラオス料理を堪能
「ラオス・フェスティバル2014」 (東京・代々木公園)にいってきた(2014年5月24日)
イサーン料理について-タイのあれこれ(番外編)
(2014年5月26日、28日 情報追加)
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