いまから26年前の1992年7月にギリシアの島伝いにトルコの西海岸に渡航したのだが、その際にとある地方都市(・・名前を失念。そのときのメモを見ればわかるのだが)でトルコ絨毯を購入した。
ひまつぶしで絨毯屋に入ったのだが、まずはチャイ(=トルコティーのこと。紅茶)が振る舞われる。もちろん無料だ。トルコではチャイは小さなグラスで供される。買っても買わなくても、チャイが出てくるのがトルコ流。いきなり商談に入るのではなく、雑談をしてくつろぎながら、おもむろに商談に移っていく。そもそも絨毯は安い商品ではない。
そうこうしているうちに、店内に巻いて丸めて壁に立てかけて並べられている絨毯を、店主がどんどん広げ始めていく。あれよあれよという間に、「これはいい柄だろう」と繰り返しながら、何枚も何枚も絨毯が広げられていく。
単なるひやかしのつもりでいたのだが、なかなかいい柄の絨毯があったので欲しくなってしまった。相手の手の内に乗せられたというわけだが、これは商売のテクニックで使われる「フット・イン・ザ・ドア」といやつだろう。最初はその気がなくても、だんだん雰囲気に飲まれて、その気になっていくという人間心理を活用したメソッドだ。
そして購入を決めたのが、この絨毯(上掲の写真)。いかにもトルコ絨毯という感じで、デザインもカラリングもすごく気に入っている。値段は、もう1枚とあわせて10万円くらいだったかな? カードで支払いをしたのだろう。旅の途中だったので、日本に送ってもらうことにした。どうなるかな、と少し不安はあったが、日本に帰国後にちゃんと届いたから、いまここにある。いい柄でしょう。
トルコ絨毯は、使い込めば使い込むほど、いい味が出るといわれるが、たしかにそう思う。一点一点が純毛で手織りなので、一つとして同じものはない。購入してから、なんと26年! 少し色あせした部分はあるが。やはり、いいものはいい! 美術品じゃないから、使い込むことに意味がある。 そもそも耐久消費財の絨毯は、世代をまたいで受け継がれて行くものだ。
同じようなものでも、大都市のイスタンブールの大きな絨毯屋だと1.5倍から2倍以上はすることが、旅の続きでイスタンブールにいってみてわかった。 その絨毯屋でも同じようにチャイを振る舞われながら雑談をしたのであった。店内では水タバコを吸っているトルコ人もいた記憶がある。雑談のなかでわかったが、絨毯屋の店主のオヤジはユダヤ系だった。日本語も多少はしゃべることのできる人だった。
イスタンブールのその店では、トルコ国内のものだけでなく、黒海沿岸のカフカース(=コーカサス)地方から持ち込まれてくる絨毯があるので(・・そんな場面に遭遇した)、イスタンブールの大きな店の方がいいかもしれない。だが、選択肢が多すぎると選ぶのが難しくなる。狙い目は、地方都市の絨毯屋ではないかな?
2018年8月には、トルコリラが暴落している。この時期こそ、トルコ絨毯を購入するチャンスかもしれない。
以上、トルコ絨毯のすすめでした。
<関連サイト>
トルコ絨毯はアナトリア絨毯(Anatolian rug)ともいう。トルコはアナトリア半島に位置しているからだ。Wikipedia の Anatolian rug の項目が参考になる。
<ブログ内関連記事>
この本が面白い!-26年ぶりに再読した『トルコのもう一つの顔』(小島剛一、中公新書、1991)、そしてその続編である漂流する『漂流するトルコ-続「トルコのもう一つの顔」』(旅行人、2010)
「ナマステ・インディア2010」(代々木公園)にいってきた & 東京ジャーミイ(="代々木上原のモスク")見学記
・・東京ジャーミイ(="代々木上原のモスク")はトルコ政府の支援で再建された立派なモスク
書評 『1492 西欧文明の世界支配 』(ジャック・アタリ、斎藤広信訳、ちくま学芸文庫、2009 原著1991)-「西欧主導のグローバリゼーション」の「最初の500年」を振り返り、未来を考察するために
・・「『1492』年にスペインから追放されたユダヤ人は、オスマントルコ帝国が全面的に受け入れた。 彼らはイスラムの地で、そして何よりもオスマン帝国で最も歓迎される。「オスマン帝国ではバヤズィト二世が『これほど役に立つ臣民を追放するキリスト教徒君主たちのばかさ加減』に驚き、行政機関と人民に彼らの入居を手助けするよう勧告している。(・・中略・・) こうしてイスタンブール、サロニカ、アドリアノプール、ギリシアの島々、つまり混血の人たちの土地が、ほぼ五世紀の間、多くの自由なユダヤ人共同体にとって避難と活動の場所となる。
私はたまたま1992年にトルコのイスタンブールを訪れたことがあるのだが、そのとき冷やかしで入ったトルコ絨毯屋で店主と英語でいろいろ会話をしていた際、「1492-1992」と刺繍された赤いペナントが眼に入ったので店主に尋ねてみたところ、店主のおやじは自分がユダヤ人であること、先祖がスペインから追放されてトルコに移住したユダヤ人の家系であることを話してくれた。」
書評 『物語 近現代ギリシャの歴史-独立戦争からユーロ危機まで-』(村田奈々子、中公新書、2012)-日本人による日本人のための近現代ギリシア史という「物語」=「歴史」
映画 『消えた声が、その名を呼ぶ』(2014年、独仏伊露・カナダ・ポーランド・トルコ)をみてきた(2015年12月27日)-トルコ人監督が100年前のアルメニア人虐殺をテーマに描いたこの映画は、形を変えていまなお発生し続ける悲劇へと目を向けさせる
クルド人の独立国家樹立は心情的には共感するのだが・・・。増殖が止められない主権国家の弊害が指摘される現在、「民族自決」原則の積み残し課題はどうなるのか?
欧州に向かう難民は「エクソダス」だという認識をもつ必要がある-TIME誌の特集(2015年10月19日号)を読む
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