有名だがまだ見てなかった映画を見ている今日この頃だが、ようやく『ファイト・クラブ』(1999年、米国)を見ることができた。昨年2020年12月のことだ。主演のブラッド・ピットがカッコいい。
社会の底辺層で、出口なしの状態で鬱屈している男たちのルサンチマンを解放するクラブ、それがファイト・クラブだ。
思う存分殴り合うことでフラストレーションを解消するだけでない、コトバを媒介にしない肉体のぶつかり合いのなかに、至高の絶頂体験(=エクスタシー)を一瞬だけ味わうのだ。社会的地位も、カネのあるなしも一切関係ない、ある意味では on an equal footing な世界がそこにある。ただし、男だけの閉鎖的なメンズクラブだ。
この秘密クラブを主催するのはブラッド・ピットが演じる主人公。だが、彼はもう一人の主人公である自動車の事故査定を行うビジネスマンの「影」なのか、「幻想」なのか?
名前をなくし、全員が丸刈りとなり、個性を抹消して没個性となった「同志的結合」のファイト・クラブが向かう先は?
物欲を否定したシンプルな世界への指向性。たしかに、これは21世紀以降の若者の意識の動きを先取りしたものであるかもしれない。描かれているのは暴力的世界であり、ある種の暴力革命への指向性でもあるのだが。2001年の「9・11」を予見していたという評価があるが、それは一面に過ぎないだろう。
ただし、この映画が製作され公開されてから、2021年でもう21年以上もたつのだ。
映画のなかにはスマホも携帯電話もいっさい登場しない。最初からそう意図していたのかどうかはわからないが、なんだかすごく古い時代の話のような気がしてしまう。SFではないから、それはそれでいいのだが・・・
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