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2024年5月9日木曜日

『渡部昇一 青春の読書』(渡部昇一、WAC、2015)は600ページもある大著だが、面白いのでついつい最後まで読んでしまった

 

『渡部昇一 青春の読書』(渡部昇一、WAC、2015)が面白いので、ついつい最後まで読んでしまった。
  
少年時代から25歳でドイツ留学まで、「本で語る青春期」である。ドイツ留学時代は『ドイツ留学記』とあわせて読むべきであろう。

かつては「知的生活」などバカにしていたのだが、3年前にいまさらながら渡部昇一にはまってしまい、社会評論以外の英語関係や言語学関連の本を片っ端から読みまくったことがある。

その際に『渡部昇一 青春の読書』の存在も知ったのだが、さすがに大枚はたいて614ページもある大著を購入して読もうとまでは思わなかった。

今回、読もうと思ったのは、「教養」について渡部昇一氏がどう捉えているのか知りたいと思ったからだ。70歳で借金して書斎を新築し、15万冊の個人蔵書をつくりあげた渡部昇一氏。

古本で比較的安く入手できたので、さっそく意味始めたら、これが面白い。

そんな渡部氏だから、おそらく「教養」にポジティブな評価を示しているのだろう、そう思っていたのだが、読み進めているうちに、その予想は大きく裏切られた。

「教養主義」の「教養」ではないのである! 「教養主義」の担い手であった、都市中間層とは「ハビトゥス」がまったく違うのである。

都市生活者で中流以上の「教養」とは縁のない、地方の一般庶民の家庭に育ったことが語られる。

渡部氏は、山形県の鶴岡出身である。鶴岡というと高山樗牛や石原莞爾などを排出したことで知られているが、庄内地方の旧士族が形成した知的風土について語られるものの、渡部氏自身はそういった世界とは縁のないところで生きてきたことがわかる。

といっても、地方出身だがいわゆる上昇志向とも違う。田中角栄的なルサンチマンが出発点にあった、激しい上昇志向をともなった野心ではない。
  
渡部氏の「教養」は、そうは言ってないが、むしろ「雑学」に近いものといっていいのではないか。渡部氏自身は "general enlightenment"(=一般的啓蒙)という表現をつかっている。

戦前の「キング」など、講談社系の「面白くてためになる」総合雑誌文化で育ったことを強調している。当時の一般庶民の「教養」は、基本的に「修養」であり、それに幅広い一般知識が供給されたことが「啓蒙」となったのである。知識レベルが底上げされたわけである。

英語の enligtenment の文字通りの意味は、 enligten すること、つまり「光をあてる」ことであり、その原義が発展して「啓発する」という意味になった。つまり、暗闇を明るくするということであり、それを知性にあてはめると、知識を得て賢くするということになる。あるいは「悟り」という意味もある。

渡部氏が、「セルフ・ヘルプ」系の「通俗道徳」の重要性を説いていること、そうでありながら努力だけではだめで、運をつかむことが重要だという認識を示していることは大事なことだ。

大いに共感するのは、間違ってもそれらを指して "liberal arts"( =リベラルアーツ)などとは口にしない潔さである。いや知的誠実性というべきか。

「旧制高校」から「新制高校」への過渡期の人なので、教養主義的な「教養」ではないのだ。だからこそ、『知的生活の方法』がよく売れたのだろう、と『渡部昇一 青春の読書』を読んでいて大いに納得した。

『渡部昇一 青春の読書』には、渡部氏が苦学した「青春時代」に読んできて、人生の糧になった本がたくさん紹介されているが、なかでもアレクシス・カレルの『人間 この未知なるもの』はぜひ読みたいという気にさせられた。
 
ノーベル医学賞を受賞しているアレクシス・カレルだが、「ルルドの奇跡」を目の当たりにした自然科学者による『ルルドへの旅』は、ずいぶん昔に読んで大いに感心したことを覚えている。大いに物議をかもしたらしい『人間』は読んだことがないからだ。

このほか、敗戦後の上智大学という、ある意味では特異な環境で知的形成した渡部昇一氏について、多くを知ることができた。カレルとともにパスカルの『パンセ』が愛読書だったというのも興味深い。カトリックだから上智にいったのではなく、上智にいったからカトリックになったのであった。

その他、取り上げるべきことは多々あるが、「ほんとうの教養」とはなにかを考えるうえでも、読んで損のない本だといっていいかもしれない。内発的な好奇心や、外発的な出来事にどう対応するかが大事なのだ。


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