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2013年9月11日水曜日

幻の芋焼酎・青酎(あおちゅう)を飲んで青ヶ島の苦難の歴史に思いをはせ、福島の苦難について考える


「青酎」(あおちゅう)はボトルがグリーンですが、名前は「青酎」。芋焼酎ですが鹿児島のものではありません。

青ヶ島の芋焼酎だから「青酎」なのです。アルコール度数は 35度、けっこうきついです。ロックで飲むと、サツマイモの香りが香ばしくててじつにうまい!

青ヶ島は、東京都に所属する離島。伊豆諸島にあります。ずいぶん前になりますが、20数年前に一度だけ訪れたことがあります。

竹芝桟橋からフェリーで三宅島経由で八丈島へ10時間。八丈島からは漁船タイプの小型の高速艇で約2時間半で青ヶ島に到着しますが、晴れていたのにもかかわらずものすごい揺れで船酔いになりそうなのをこらえながらの旅でした。

ところが青ヶ島は港まで断崖絶壁が迫っており、しかも波が高くて接岸がむずかしいので、船に乗り降りするのがじつにたいへんなのです。バランス失うと海に落ちてしまいます。港には荷揚げ用の小さなクレーンも設置されています。

島ではじめて知ったのが、この「青酎」。漁業と農業、そしてお役所と公共事業以外には、これといって産業のない青ヶ島は、正真正銘の離島なのです。緊急用のヘリコプターは設置されていますが。

観光資源といえば、絵に描いたように典型的なカルデラ型の噴火口と温泉くらいでしょうか。噴火口があるといことは火山であることを意味しています。青ヶ島は過去になんども噴火して島民は苦労してきました。

とくにたいへんだったのが江戸時代の安永年間(18世紀末)の噴火による島民の八丈島への全島避難なんと全島避難から39年後(!)に島民の青ヶ島への帰還が実現したのですが、これについては民俗学者の柳田國男が「青ヶ島還住記」という随筆で詳細に語っています。

30年が一世代であるとすれば、39年といえば孫の世代になってしまいますが、それでも青ヶ島の住民は帰還の道を選んだのです。


青ヶ島の旅から戻ったあと図書館で借りてコピーしたものが、先日のことですが偶然のことに書庫のなかからでてきました。『定本 柳田國男集第一巻』(筑摩書房、1963)収録の『島の人生』の一篇です。

その中心になるのは「青ヶ島のモーゼ」と呼ばれた佐々木次郎太夫(ささき・じろだゆう・・・)という人物です。モーゼとは言うまでもなく「モーゼの十戒」のモーゼ、ユダヤ民族をエジプトから約束の地まで導いた実在の人物です。

青ヶ島の「還住」(かんじゅう)については、すぐに読める文章がネットにあります。wikipedia の「還住」の内容を引いておきましょう。

伊豆諸島の青ヶ島で、安永9年(1780年)に始まった噴火活動が天明5年(1785年)になって激しさを増したため、島民が八丈島に避難して無人島になった後、文政7年(1824年)の旧青ヶ島島民全員の帰還、そして島の復興を達成し、天保6年(1835年)に検地を受けるまでの経過・・(以下省略)・・

「3-11」で「集団移住」を強いられた福島の方々。江戸時代には、青ヶ島の歴史という先行例があるのです。「青ヶ島還住記」は柳田國男全集に収録されているので、ぜひ機会をつくって読んでみてほしいと思います。

地震と噴火は火山列島に住む日本人にとっては避けて通ることのできない宿命です。東京都に属する伊豆諸島では、大島や三宅島もまたなんども避難を余儀なくされてきた歴史をもっています。

もちろん原発問題は地震と津波そのものの被害というよりも二次被害に近いものではありますが、青ヶ島の島民が39年(!)かけてでも帰還の道を選択したという事実は心にとめておきたいものです。

福島には「島」というコトバが含まれています。日本には鹿児「島」や広「島」、宇和「島」など陸地にあっても「島」という文字をふくんだ地名が多いのは、「島」というコトバにはもともとテリトリー(=領域)という意味があったためでしょう。

だから福島のみなさんも、おなじ「島」としての青ヶ島の事例をぜひアタマのなかにいれておいていただくとよろしいかもしれません。まだ21万5千人の方々が避難生活を送られているという事実に心が痛みますが、広「島」も復活し、青ヶ「島」も還住に成功したわけです。

「帰還」はあきらめてはならないのです。思い続けていれば必ず実現する日は来るのです。


PS 本日(2013年9月11日)は2011年の「9-11」から12年、かつ2001年の「3-11」から2年半にあたる日ですが、ポジティブな話題を提供したいと思い青ヶ島の「環住」について書いてみました。








<関連サイト>

青ヶ島酒造合資会社 (青ヶ島の「青酎」の製造元)
・・購入先はネットで「青酎」で検索されるといろいろでてきます。下記は一例です。




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(2014年9月1日 情報追加)



(2012年7月3日発売の拙著です)







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