「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2024 禁無断転載!



2013年9月1日日曜日

本日(2013年9月1日)は関東大震災から90年 ー 知られざる震災記録ルポルタージュの文庫本2冊を紹介



つい先日のことだが、ことし2013年の8月に宮武外骨の著作が一冊、文庫本として復刊された。

『震災画報』(宮武外骨、ちくま学芸文庫、2013 発行:1923~24年=大正12~13年)である。

不敬罪での禁錮3年をはじめ、生涯に入獄4回、罰金・発禁などの筆禍29回という戦歴を誇る在野の反骨のジャーナリストであった宮武外骨(みやたけ・がいこつ 1867~1955)が、関東大震災の直後から自分が経営する出版社の半狂堂(!)から発行した「画報」を一冊にまとめたものだ。

みずからの目で見て聞いた話を、文体は口語体で、しかも絵入りの和紙和装本として予約出版された合計6冊である。

内容の一部はその後あきらかになった事実とは異なる伝聞情報が含まれているということだが、これはリアルタイムの情報伝達である以上、避けられないことだろう。

宮武外骨といえば、この文庫版の解説を執筆している吉野孝雄は親類縁者にあたる人だが、宮武外骨の伝記のタイトルが『過激にして愛嬌あり-宮武外骨と「滑稽新聞」-』(ちくまブックス)というものだった。

1983年の初版を愛読して以来、わたしは宮武外骨のファンであるが、この話はまた別の機会にしたいと思う。

それにしても「過激にして愛嬌あり」とはなんとステキなキャッチフレーズであることか。「過激」なことを言うだけでは嫌われて遠ざけらだけ。愛嬌がないと共感を得ることはできないということなわけだ。座右の銘にしたいものだ(笑)

だが、この『震災画報』では、事実の収集とそのコメントに専念しており、過激でも愛嬌でもないことを記しておく。過激だとしたら、震災による被災という事実そのものが過酷で過激なのだ。





「総目次」の一部(全6冊の内容を項目別に整理した目次になっている)

論説
地震学の知識概略
上野公園に集った避難者
尋ね人の貼紙
上野山王台の西郷隆盛銅像
吉原の遊女
貧富平等の無差別生活
東京を去った百万の避難者
見聞雑記
写真銅版の実景または図画
その他







さて、文庫で読める知られざる震災記録ルポルタージュということで、もう一冊紹介しておきたいと思う。

『東京震災記』(田山花袋、河出文庫、2011 初版 1924年)である。

田山花袋(1871~1930)といえば近代日本文学史の名前のでてくる文学者である。いわゆる自然主義文学の作家として『田舎教師』や『蒲団』などの作品で有名だ。高校時代、授業で聞いたが現在に至るまで読んだことがないのだが(笑)

だが、ここのところ岩波文庫から田山花袋の随筆が復刻されており、それを読むと意外なことに軽妙洒脱な文体でなかなか面白い文章を書いていることがわかった。

『温泉めぐり』(岩波文庫、2007)である。これは紀行文である。また、『東京の三十年』(岩波文庫、1981)も貴重な回想録といえるだろう。

そんなジャーナリストで筆も立つ田山花袋が書いた記録ルポルタージュが『東京震災記』である。東日本大震災後に河出文庫から復刻された。

宮武外骨の『震災画報』が、どちらかといえば現在のニュース報道やブログ記事のようなものだとすれば、田山花袋のものはさすがに文学者だけあって、じっさいに交わした会話なども織り込んで臨場感のある読み物に仕上がっている。

内容については目次をご覧いただきたい。




目次の一部

この世の終りかと思った
一寸先きはわからない
金棒の音
混乱したシインがシインに重って表現派の絵
Sの話
I君の話
その時のさま
『オッ地震』
瓦の落ちる音
白い不愉快の雲
その雲に当たった夕日
『下町はえらい火事だ』
以下、項目多数


関東大震災については、吉村昭によるノンフィクション作品の傑作である『関東大震災』(初版1973年、現在は文春文庫)があって読んだ人も多いと思う。わたしもずいぶん昔になるが吉村氏の本で関東大震災の全貌を知ることができた。

それでもあえてこの文庫本2冊を紹介するのは、震災の当事者が書いたものだからである。日本の企業社会で強調される三現主義(=現場・現物・現実)をそのまま実践した記録でもあるからだ。

震災の被害とその後の人災もさることながら、震災後の復興について知ることができるのである。

だが、思えばわずか22年後の1945年(昭和20年)3月11日、東京は米軍による大空襲でふたたび焼け野原となった。今度は天災ではなく、無能な政治指導者たちが招いた人災であったが・・・

その大空襲からさらに68年、いまのところなにもなく過ごしてきたが、東日本大震災以後さまざまな研究成果が「NHKスペシャル」の特集などをつうじて一般化してきており、すでにつぎの大地震の可能性も想定せざるをえない状況になってきている。

しかし、そのときいったいどうなるのか。
いや、どう行動できるのだろうか・・・




<関連サイト>

MEGAQUAKEⅢ 巨大地震 よみがえる関東大震災 ~首都壊滅・90年目の警告~(NHKスペシャル 2013年8月31日)


<ブログ内関連記事>

「今和次郎 採集講義展」(パナソニック電工 汐留ミュージアム)にいってきた-「路上観察」の原型としての「考現学」誕生プロセスを知る
・・関東大震災からの復興、再生から始まった「考現学」

We're in the same boat. 「わたしたちは同じ船に乗っている」

「天災は忘れた頃にやってくる」で有名な寺田寅彦が書いた随筆 「天災と国防」(1934年)を読んでみる

永井荷風の 『断腸亭日乗』 で関東大震災についての記述を読む

「リスボン大地震」(1755年11月1日)後のポルトガルのゆるやかな 「衰退」 から何を教訓として学ぶべきか?

書評 『震災復興の先に待ちうけているもの-平成・大正の大震災と政治家の暴走-』(山岡 淳一郎、2012)-東日本大震災後の日本が「いつか来た道」をたどることのないことを願う

両国回向院(東京)で戦後はじめて開催された「善光寺出開帳」にいってきた(2013年5月4日)+「鳥居清長名品展」(特別開催)

鎮魂-「阪神大震災」から15年目に思い出したこと

大震災のあと余震がつづくいま 『方丈記』 を読むことの意味


(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end