映画『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(中国、2017年)の日本語字幕版を amazon prime video で視聴。中国で爆発的ヒットした作品だという。
この映画は、一言で要約してしまえば、「中国版ランボー」が超人的活躍する「愛国エンターテインメント」ということになろう。「ランボー」とは、もちろんシルベスター・スタローン主演映画の主人公のことだ。
ここのところ、やたら「戦狼外交官」とか「戦狼」を枕詞にした中国共産党の好戦的態度が目につく。その「戦狼」とはいったいなにか? それは、映画『戦狼』からきたものだ。じゃあ、どんな映画か見ておくのも損ではあるまい。
というわけで実際に視聴してみた。143分の映画は、まさにてんこ盛りで、これはカネかけてるなあ、という感想。ハリウッド映画のいいとこ取りではあるが、エンターテインメントとしては悪くない。最後までハラハラしながら楽しめる。最初から「愛国エンターテインメント」だと割り切って見ていれば、鼻しらむこともあるまい。まあ、そんなもんだろうな、と。
内容は以下のとおり。amazonのサイトから引用しておこう。
「アフリカ、マダガスカル海域。一人の男が、海賊に襲われた貨物船を救出した。男の名はレン。元特殊部隊「戦狼」の精鋭だ。とある事件から軍籍を剥奪されたレンは、反政府 勢力に殺害された恋人・ロンの敵を討つべく、この地に渡っていたのだ。しかし、その最中、反乱が勃発。命からがら護衛艦に避難したレンだが、戦闘地域に民間人が取り残されているという話を耳にし、単独、戦地に舞い戻る――。」
中国企業がアフリカ進出しているということを知っていれば、アフリカが舞台になった映画も不思議ではない。「中国のランボー」がアフリカを救う内容であり、「中国人戦狼」vs「ヨーロッパ人傭兵」という枠組みは、「愛国エンターテインメント」という前提をはずしてしまえば、アジア人としては「戦狼」に肩入れしたくなるのも自然なことだ。
まあ、いろいろな解釈や評価が可能だろうが、「中国版ランボー」が超人的活躍する「愛国エンターテインメント」がメガヒットになる現在の中国を知るためにも、見て損はない映画だ。
かつてナチスの宣伝大臣ゲッベルスが喝破したように、大衆はプロパガンダ映画は歓迎しないのである。大衆教化のためにはエンターテインメントでなければならないのだ。感情移入しやすい主人公と分かりやすい内容は、ある意味、高等戦術だな、と。自分が中国人だったら、手放しで礼賛するだろう。そんな映画だ。
映画『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』は、エンターテインメントに徹した作品である。 だからこそ、日本人も中国研究の一環として視聴しておく必要があるといえる。
<ブログ内関連記事>
(2020年5月28日発売の拙著です)
(2019年4月27日発売の拙著です)
(2017年5月18日発売の拙著です)
(2012年7月3日発売の拙著です)
ツイート
ケン・マネジメントのウェブサイトは
ご意見・ご感想・ご質問は ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。
禁無断転載!
end