先日、いま住んでいる地域に生息しているノラネコを追跡していたら、ひじょうに珍しいことに、ネコが木に登ってしまいました。
「ブタもおだてりゃ木に登る」とはよくいいますが、「ネコも追い立てれば木に登る」とでも言うべきでしょうか(笑)
目の前から走っていったと思ったら、すぐ近くにあった木にスルスルと登って姿を消してしまいました。反対側に回り込んで木を見上げたら、高さ2.5mくらいの太い枝にネコがいました。キジネコの模様が保護色となって、なかなかネコを識別できないほどでした。
ノラネコとして生まれ育つと、野生動物の DNA のスイッチが ON になるようですね。
基本的に「上から目線」が大好きなネコは、高い塀の上などでリラックスしていることが多いですが、木登りネコを目撃したのは、これが生まれて初めてのことでした。しかも写真に撮ることができたのはラッキー。
上掲の写真は、左がルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』にでてくるチェシャ・キャット、右はうちの近所の「猫町」に生息するキジネコです。ほんとうによく似ていますよね。
チェシャ・キャットとは、アリスが道をたずねると禅問答のようなことをいって消えてゆく「木登りネコ」のことです。『アリス』に登場する動物や人物と同様、チェシャ・キャットもまた英語の慣用表現から生まれてきた存在ですね。
もともとイギリス英語の慣用表現に to grin like a Cheshire cat (=チェシャ・キャットのようにニヤニヤ笑う)という表現があって、そこから作者のルイス・キャロルがつくりだしたキャラクターだとか。数学者のキャロルは、コトバ遊びの天才でもあったわけです。
ただし、じっさいのネコは歯を見せて笑うことはありません。下をペロっと出してみせることはありますが、笑っているのかどうかはわかりません。飼い主やご主人を喜ばしたいという気性にあふれたイヌは、歯をみせて下もだらりと垂らして喜びを全面に表現しますが。
なお、おなじく『アリス』に登場する「三月ウサギ」(March Hare)のことは、「ウサギは英語でラビット? ヘア? バニー??」と題してこのブログにも書いてますので、ご興味のある方はどうぞ。
<読書案内>
『「不思議の国のアリス」の誕生(「知の再発見」双書 73)』(ステファニー・ラヴェット・ストッフル、 高橋 宏訳、創元社、1998)
・・表紙の挿絵は、チェシャキャットに道をたずねるアリス。右下にはホワイト・ラビットも
<ブログ内関連記事>
「ウサギは英語でラビット? ヘア? バニー??」
(2020年5月28日発売の拙著です)
(2019年4月27日発売の拙著です)
(2017年5月18日発売の拙著です)
(2012年7月3日発売の拙著です)
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