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2019年3月22日金曜日

『ル・コルビュジエ 絵画から建築へ ー ピュリスムの時代展』(国立西洋美術館・上野)に行ってきた(2019年3月21日) ー ル・コルビュジエ晩年の作品である国立西洋美術館が1959年に開館してから60年になる


上野の「国立西洋美術館」はル・コルビュジエ設計の建築物で、2016年に世界遺産に登録されている。 

その国立西洋美術館が開館してから今年で60年になるのを記念しての企画展。つまり国立西洋美術館が開館したのは1959年ル・コルビュジエ晩年の作品ということになる。

鉄筋コンクリート造でピロティ構造の建築物は、重厚だが軽みがある(・・だが、次の大震災に耐えうるのだろうか?という懸念をもってしまうのだが)。建築物それ自体が鑑賞の対象であり、その建築物のなかでル・コルビュジエの建築と、その前史である絵画について考えるという企画だ。 

建築という立体構造物は、外部から見るだけでなく、内部で体感していないと、ほんとに味わったことにはならない。当然といえば当然だが、そんな贅沢な体験ができるのは、日本にもル・コルビュジエの建築物があるからだ。




1887年生まれのル・コルビュジエは、ちょうど第一次世界大戦に青春時代が重なっているが、中立国スイスの国民だからル・コルビュジエ本人には戦争体験はない。だが、世界大戦で荒廃したヨーロッパ復興にあたって提案された建築は、まさに世界大戦以降のモダニズム建築そのものだ。建築物の模型が1階に展示されているが(撮影可)、集合住宅の原型なのだなあという感想をもつ。 


(パリの都市計画にも 「ヴォワザン計画」の模型での再現)

「現代」という時代が、まさに第1次世界大戦後が起点になるのだなと、あらためて実感するのである。 

今回の美術展は、画家として出発したが、その後は建築に専念し、画業はあくまでも趣味と位置づけていたル・コルビュジエの軌跡をたどったものだ。モダニズムというものを考えるための、いい機会になる。

常設のミュージアムショップで『国立西洋美術館1959-写真で振り返る創建時の本館』(国立西洋美術館、2016)を購入(500円)。できあがったばかりのシンプルな味わいが、モノクロ写真でよく表現されている。世界遺産登録を記念して作成されたこの小冊子は、ぜひ買っておくべきだ。



PS 「コルビジェ」と発音する人が多いが、ただしくは「コルビュジエ」。念のため






<ブログ内関連記事>

祝! ル・コルビュジエ設計の東京・上野の国立西洋美術館が念願の「世界遺産」登録が内定(2016年5月18日)

「日本近代建築の父アントニン・レーモンドを知っていますか-銀座の街並み・祈り-」にいってきた(2016年1月28日)-日本の教会建築と洋風建築に大きな影響を与えた知られざる建築家を知る
・・コルビュジエから盗作の抗議を受けているレーモンドは、日本では教会建築を多く手がけている

『連戦連敗』(安藤忠雄、東京大学出版会、2001) は、2010年度の「文化勲章」を授与された世界的建築家が、かつて学生たちに向けて語った珠玉のコトバの集成としての一冊でもある 
・・安藤忠雄はコルビュジエの「コンクリート打ちっ放し」の系譜のなかにあるが、安藤忠雄の理解でル・コルビュジエを理解するのはどうかな、と

「説教と笑い」について
・・モダニズム建築の代表的建築家・丹下健三が設計し、1964年に完成したコンクリート打ちっ放しの東京カテドラル聖マリア大聖堂の内部を体験

今年2011年の世相をあらわす漢字は 「水」 に決まり-わたしが勝手に決めました(笑) ・・「ピロティ(Pilotis)といえば、世界遺産登録が試みられている建築家ル・コルビュジエで有名ですが、ベトナムやカンボジア、タイでは民家ではよく見られます。伝承されてきた知恵。国立西洋美術館はコンクリート打ちっぱなしのピロティ構造


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