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2019年4月7日日曜日

映画『バイス』(Vice)を見てきた(2019年4月7日)ー ブッシュ・ジュニア政権を支えていた史上「最強」で「最凶」の「ナンバー2」が主人公!


ハリウッド映画の『バイス』(Vice)を見てきた。最初から最後まで、じつに面白く、存分に楽しむことができた。生きたアメリカ現代政治史といった内容だ。

主人公は、ジョージ・ブッシュ(ジュニア)政権で副大統領を務めたディック・チェイニー。日本では知名度は低いが、彼こそ真の実力者としてブッシュ政権を牛耳った影の実力者だ。映画のタイトル Vice は、副大統領(Vice President)と悪徳(vice)をひっかけている。言わんとすることは明らかだろう。

ブッシュ政権初期の「9・11」(2001年)が、アフガン戦争とイラク戦争のキッカケとなり、その後の世界を激変させることになったのだが、米国にとってのピンチを自分の野心にとってのチャンスとして活かしきったのがディック・チェイニーなのだ。「史上最強」でかつ「史上最凶」の「ナンバー2」といっていいかもしれない。

副大統領職は、政権の「ナンバー2」だが、実際にはお飾りの名目的なシンボリックなポジションとしての色彩が強い。政界でもビジネス界でも、「ナンバー1」と「ナンバー2」のあいだに存在する谷間は、じつは想像を絶するほど深いのだ。

だが、この職は使いようによっては「ナンバー1」の大統領を手玉に取ることができるポジションでもある。そのことに気がついて、うまくジョージ・ブッシュ(ジュニア)からのオファーを活かしきったのがチェイニーだ。

そして、この両者の関係は、双方にとって Win-Win であり、いわば共依存関係といってもよいものであった。お互いの長所と短所を補い合う関係であり、「ナンバー2」が「ナンバー1」の存在を脅かさない限り、関係は最初から最後まで良好のまま続く。実際問題、この「最強のナンバー2」の存在なくしては、ブッシュは大統領の任期を2期も勤め上げることはできなかったと断言して過言はない。




保守的なワイオミング(アメリカ西部の山岳地帯)生まれで、フライフィッシングとハンティングをこよなく愛し、口下手でけんかっ早く青年だが、酒におぼれて自堕落な生活を送り、東部の名門大学をドロップアウト(・・映画では言及されていないが、実際はその後地元の大学に転学して政治学の修士号も取得)したチェイニーを奮起させ再生させたのは、まさに賢女としかいいうようのない婚約者であたった。彼女はハイスクール時代からのステディ。

「内助の功」という表現が日本語にはあるが、この女性は自分自身の野心を実現するために、配偶者を使い切ったという言い方も可能だろう。ただし専業主婦ではなく、彼女自身が自分の分野である歴史文学の世界で成功を目指していた。そう考えると、「賢女」は「悪女」でもあり、ワシントンDCを舞台にしたこのパワープレイは、二重三重に入れ子構造になっている。

チェイニーの末娘にかんする家庭問題から、天職であったはずの政治の世界を退き、エネルギー関連の大企業でCEOに転身している。また、生涯に5回も心臓発作で倒れながらも再起した人物でもある。そんなヒューマンドラマ的なタッチもこの映画にはある。だが、基本的なノリは、アポなし突撃取材もので有名なマイケル・ムーアのようなスタイルであり、映画全体にリベラル派的なトーンが一貫している。とはいえ、リベラル派そのものをパロディ-化できる醒めた姿勢があるのが好感できる。

1963年から始まるこのストーリーは、ニクソン大統領の辞任にともなって昇格したフォード大統領(共和党)、そして再選に失敗したジミー・カーター大統領のあとに就任したレーガン大統領(共和党)、そしてジョージ・ブッシュ(ジュニア)と続く、共和党を中心にした一連の政治史の流れの振り返りにもなる。もちろん、ブッシュ(ジュニア)の描き方は、ややカリカチュアが過ぎるのではないか、という感は否めないが。

この映画は、コースから外れゆくアメリカ政治を、ディック・チェイニーという知られざる怪物を巡るさまざまな人物をとおして描いているが、そのなかでも、とりわけ興味深いのはドナルド・ラムズフェルドという個性的な政治家だ。彼を主人公にした映画でもよかったくらいの個性的なキャラであり存在感がバツグンだ。

というわけで、政治的な姿勢とかそういう話は別にして、じつに面白い映画であった。ただし、ある程度まで予備知識がないと、真の面白さは体感できないかもしれない。







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