40数年ぶりにスピルバーグ監督の映画『ジョーズ』(1975年)をDVDで視聴。124分。この前に『激突』(1971年)をひさびさに見たら、この映画も見たくなったのだ。
はじめて見たのは、日曜映画劇場か金曜ロードショーかまったく記憶にないがテレビでだった。 ものすごく流行った映画だったからね。この映画を知らない人はいないだろう。
とはいいながら、映画のディテールなどぜんぜん覚えてなかった。冒頭とラストしか覚えてなかった。泳いでる女性が襲われる冒頭のシーン。あの恐怖感をあおる音楽で盛り上がるやつ。それとラストシーンのちょっと前。まあ、人間の記憶力なんて、そんなものかもしれないな、と。
余談だが、当時はたしか中学生だったから、この映画のおかげで、動物のアゴは jaw だが、人間のアゴは chin ということを知った。 Jaws と複数形になるのは、上アゴと下アゴの2つがあるから。
さて本題に戻るが、意外と前半が面白いと感じたのは、実社会でいろいろ苦労してきたからだろう。夏しか稼げない島の経済が最優先の市長と、安全確保が第一の警察とのコンフリクトなど、「経済か安全か」という二項対立をめぐっての「あるある」系の話なので、そうだよなあと納得するわけだ。
後半は打って変わって、偏屈者の漁師とサメ研究者と警察隊長の3人によるサメの狩りとなる。これはメルヴィルの『白鯨(モビー・ディック)』やヘミングウェイの『老人と海』のテイスト。もちろん、エンタメ色ははるかに濃厚であるが。
今回ひさびさに視聴してみて、いちばん大きな収穫は、こういうものだ。
ハリウッド映画で海だから、てっきり西海岸のカリフォルニアが舞台だと思い込んでいたのだが、そうじゃなかったのだ。
アミティ島というのは架空の島だが、東海岸のマーサズ・ヴィニヤード(Martha's Vineyard)で撮影が行われたということ。直訳すると「マーサのぶどう園」となるが、東海岸では有名な別荘地で保養地。『白鯨』でも有名な、鯨で有名なナンタケッlト島にも近い島。
DVDならではの特典も大いに参考になる。
スピルバーグ自身は、『ジョーズ』は『激突』とおなじコンセプトだと認識している。つまり、人間が追い詰められる恐怖感を描きたかったようだ。そんな話を2000年時点で語っている。さすが苦労して自分が手がけた作品は、細かい点まで記憶にあるわけだ。
半世紀以上のキャリアをもつ映画人だけに、さまざまなジャンルの映画を製作しているが、初期スピルバーグの大胆不敵な作風には、あらためて感嘆している次第。
どんな人でもそうだが、20歳代だからできること、30歳だから40歳代にかけての全盛期、50歳代以降の成熟期と、それぞれキャリアの段階に応じて変化がある。初期には、初期ならではの素晴らしさがあるものだ。
わたしも、かつて米国滞在中に2年連続でカリブ海でダイビングしたことがあるが、サメには遭遇しなくてほんとに良かったと、あらためてこの映画をみながら思った。
<ブログ内関連記事>
・・マーサズ・ヴィニヤードに住む金持ファミリーの話もある
(2022年6月24日発売の拙著です)
(2021年11月19日発売の拙著です)
(2021年10月22日発売の拙著です)
(2020年12月18日発売の拙著です)
(2020年5月28日発売の拙著です)
(2019年4月27日発売の拙著です)
(2017年5月18日発売の拙著です)
(2020年5月28日発売の拙著です)
(2019年4月27日発売の拙著です)
(2017年5月18日発売の拙著です)
(2012年7月3日発売の拙著です)
ツイート
ケン・マネジメントのウェブサイトは
ご意見・ご感想・ご質問は ken@kensatoken.com にどうぞ。
禁無断転載!
end
ツイート
ケン・マネジメントのウェブサイトは
ご意見・ご感想・ご質問は ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。
禁無断転載!
end