「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2026 禁無断転載!



ラベル 金融政策 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 金融政策 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024年12月8日日曜日

書評『異次元緩和の罪と罰』(山本謙三、講談社現代新書、2024)ー 悪性インフレを軽んじてはならない。インフレは人心を荒廃させる

 

先日のことだが『異次元緩和の罪と罰』(山本謙三、講談社現代新書、2024)を読んだ。元日銀理事による「異次元緩和」の検証本だ。  

帯の推薦者に藤巻健史の名前があがっているので、読むかどうか躊躇していたが(・・なぜ躊躇するのか、わかる人にはわかるだろう)、著者が日銀出身であり日銀理事であったこと、「異次元緩和」時代には当事者ではなく、比較的冷静に観察する立場にあったことを知って読むことにした。 

この手の本を読んでも、たんなる一般市民である自分のような人間にはなずすべもないとは十分承知している。とはいえ、最初は効果があったものの、所期の目的を達成することなく、11年もつづいた「異次元緩和」は徹底的に検証されなくてはならないと考えている。 

それにしても驚くのは、国債を引き受けただけでなく、民間企業の株式を買い上げた結果、2024年の日銀の資産が、なんと2006年時点の5倍(!)にふくれあがっているという事実だ。

バランスシートであるから、資産が増えているということは、負債も増えていることを意味している。 日銀や金融政策に明るくなくても、この状態を異常だと思わない人はいないだろう。

本来は、政治から独立しているはずの中央銀行としての役割を、あきらかに逸脱している。今後数十年にわたってつづくであろう、資産を圧縮するプロセスが茨の道であることは、容易に想像できる。 

本書で著者は、「罪と罰」の両面にわたって「異次元緩和」にかんして詳細に論じているが、こまかい話は別にして、わたしが強い印象を受けたのは、「悪性インフレを軽んじてはいけない」という著者による警告だ。

「異次元緩和」がもたらす悪影響である。 著者は、物価上昇率が20%を超えた1970年代前半の状況に言及しているが、「物価と賃金の悪循環を如実に示す例」として、1973年の「首都圏国電暴動」を取り上げている。いまから半世紀まえのできごとだ。旧国鉄時代の順法闘争による電車遅延に通勤客がぶち切れた事件だ。

日本近現代史で「民衆暴動」というと、1905年の「日比谷焼き討ち事件」や1960年の「安保闘争」を想起するが、1973年の「首都圏国電暴動」は、悪性インフレという経済が原因の暴動であった。

著者は「ごく普通の通勤客が暴徒と化した。インフレは人心を荒廃させる」と書いている。まさに至言である。 


日本も世界的トレンドであるインフレに突入し始めているにもかかわらず、賃金上昇の伸びが遅く、しかも財務省は減税をかたくなに拒否しようという姿勢を崩さない。 現在のところ、日本社会でも不当にも困窮状態に追いやられている若年層を中心に、怒りのマグマが蓄積していることは明らかだ。 

「トランプ革命」に触発された面もあるだろうが、不満の声は日に日に顕在化している。イーロン・マスクが買収したX(旧Twitter)の投稿をみれば明らかだろう。政府不信、マスコミ不信はみな連動している。 

このマグマは、ガス抜き程度では沈静不可能だろう。いつ暴動やテロ行為に転化してもおおかしくないのではないか? すでに「トクリュウ」(匿名流動型犯罪グループ)による強盗事件で体感治安が悪化している。

若年層を中心とした貧困問題の解決なしに、社会の安定はありえない。 わたしは、最近そんな気がしてならない。 


画像をクリック!




目 次
まえがき 
第1章 異次元緩和は成功したのか? 
第2章 高揚と迷走の異次元緩和 前代未聞の経済実験の11年 

第3章 異次元緩和の「罪」その1 すべては物価目標2%の絶対視から始まった 
第4章 異次元緩和の「罪」その2 超金融緩和が財政規律の弛緩を生み出した 
第5章 異次元緩和の「罪」その3 介入拡大が金融市場をゆがめる 

第6章 異次元緩和の「罰」その1 出口に待ち受ける「途方もない困難」 
第7章 異次元緩和の「罰」その2 なぜ立ち止まれなかったのか? 
第8章 異次元緩和の「罰」その3 国と通貨の信認の行方 

第9章 中央銀行を取り戻せ 
第10章 中央銀行とは何者か 
あとがき


著者プロフィール
山本謙三(やまもと・けんぞう)
1954年、福岡県生まれ。1976年、日本銀行入行。1998年、企画局企画課長として日銀法改正後初の金融政策決定会合の運営に当たる。金融市場局長、米州統括役、決済機構局長、金融機構局長を経て、2008年、理事。金融機構局、決済機構局の担当理事として、リーマン・ショックや東日本大震災後の金融・決済システムの安定に尽力。2012年、NTTデータ経営研究所取締役会長。2018年からはオフィス金融経済イニシアティブ代表として、講演や寄稿を中心に活動している。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



<ブログ内関連記事>



(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2012年12月28日金曜日

書評『マネー資本主義 ー 暴走から崩壊への真相』(NHKスペシャル取材班、新潮文庫、2012 単行本初版 2009)ー 金融危機後に存在した「内省的な雰囲気」を伝える貴重なドキュメントの活字版


金融危機からまだあまり時間がたっていない2009年にNHKスペシャルとして4回にわたって放送された『マネー資本主義』の書籍化の文庫化である。番組を見てからすでに4年たつわけだが、読んでみて思うのは番組内容をあまり覚えていなかったということだ。

あらためて思うのは、番組の構成がじつによくできていることだ。金融危機にかかわったプレイヤーたちをカテゴリー別に4つに分類し、4つの位相からみている点である。この4つの視点が複眼的なものの見方を実現させているといっていい。その4つの位相とは以下のとおりだ。

① 投資銀行
② アメリカの金融財政政策
③ 年金基金などの機関投資家、ヘッジファンド
④ 金融商品をつくりだした金融工学者

①では、名門投資銀行のソロモンブラザーズで開発されたモーゲージ債がすべての出発点であったことが確認される。そして自己勘定取引の採用による投資銀行の基本からの逸脱株式会社による資金調達を利用したレバレッジなど、ソロモンではじまった投資銀行の「革命」から30年後に金融危機として破綻にいたったことが語られる。

②では、連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長の市場原理主義の思想的根源が小説家アイン・ランドにあったこと、ロバート・ルービン財務長官の「強いドル政策」によりアメリカの主要産業が製造業から金融へシフトしたこと、マネーの動きが大きく変わった1995年の背後には、つねにデフレ経済下の日本からの圧力があったこと、総称して「ミセス・ワタナベ」といわれていた日本人個人投資家たちのFX投資など、低金利の日本からあふれでたマネーが制御を失い、アメリカの金融政策の有効性を大きく減じたこと。

③では、高い利回りを求め続ける年金基金がヘッジファンドをさらにリスクの高い投資へと追い込んでいったことが明らかになる。ITバブル崩壊による損失をカバーするための需要が供給をつくりだすという関係だ。まさに「バブルのリレー」という綱渡りが繰り返されてきたのである。だが、かつてドラッカーが「年金社会主義」とネーミングした経済は金融危機後も変わることなく続いている

④では、アインシュタインによるブラウン運動(=ランダムな動きの確率論的把握)の理論化が引き起こした2つの「大爆発」は一つは原子爆弾という大量破壊兵器として、もうひとつは金融危機として人類に災厄をもたらしたこと。債券としてのCDO(債務担保証券)、保険商品としうてのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の開発にかんしては、金融危機という大爆発を招いたものの、金融テクノロジー自体は価値中立的であることが示される。問題はつかう側にあるということだ。

本書では格付け会社の金融危機において果たしたネガティブな役割についてはあまり触れられていないが、金融商品を販売する側の投資銀行における需要が高い格付けという供給をつくりだすという関係であったことも指摘されている。

世界的に低金利によるカネあまり状況が続いている。問題の根本的解決がなされることなく、先送りされているのだ。2009年のリーマンショックはすでに過ぎ去った歴史ではない。いまだに続いている問題であり、なぜ金融危機が発生したかは理解しておく必要がある。

映像とは違って活字だと内容を考えながら読めるので、番組を見た人もあらためて読んでみるといいと思う。映像番組の取材と編集にかかるコストを考えれば、文庫本で520円(+消費税)という価格はじつにお得である。

金融危機後の2009年に出版された本書は、2012年のいまから読んでもひじょうに示唆にとむ内容である。文庫本あとがきに書かれているが、金融危機後に存在した「内省的な雰囲気」のなかでおこなわれた関係者の貴重な証言はきわめて価値がある。

ぜひ読むことをすすめたいドキュメントである。




目 次

まえがき
第1章 投資銀行-暴走はなぜ止められなかったのか
第2章 超金余り-カリスマ指導者たちの誤算
第3章 年金マネー-「安全第一」からヘッジファンドと手を組むまで
第4章 金融工学-ウォール街の“モンスター”
あとがき
インタビュー


<関連サイト>

NHKスペシャル 『マネー資本主義』(番組の公式サイト)

第1回 “暴走”はなぜ止められなかったのか~アメリカ投資銀行の興亡~
2009年4月19日(日)午後9時00分~ 総合
第2回 “超金余り”はなぜ起きたのか? ~カリスマ指導者たちの誤算~
2009年5月17日(日)午後9時00分~ 総合
第3回 年金マネーの“熱狂”はなぜ起きたのか
2009年6月14日(日)午後9時00分~ 総合
第4回 ウォール街の“モンスター” 金融工学はなぜ暴走したのか
2009年7月19日(日)午後9時00分~ 総合
最終回 危機を繰り返さないために
2009年7月20日(月)午後7時30分~ 総合
ウォール街の“モンスター” バブルは再び起きるのか
2009年12月20日(日)午後9時45分~ 総合


<ブログ内関連記事>

書評 『世紀の空売り-世界経済の破綻に賭けた男たち-』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文芸春秋社)-アメリカ金融業界の周辺部からリーマンショックに迫る人間ドラマ

CAPITALISM: A LOVE STORY ・・映画 『キャピタリズム マネーは踊る』

マイケル・ムーアの最新作 『キャピタリズム』をみて、資本主義に対するカトリック教会の態度について考える

映画 『ウォール・ストリート』(Wall Street : Money Never Sleeps) を見て、23年ぶりの続編に思うこと

『資本主義崩壊の首謀者たち』(広瀬 隆、集英社新書、2009)という本の活用法について

「宗教と経済の関係」についての入門書でもある 『金融恐慌とユダヤ・キリスト教』(島田裕巳、文春新書、2009) を読む


(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end