「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2024 禁無断転載!



2009年8月20日木曜日

タイのあれこれ(5)-ドイツ風ビアガーデン




(バンコクのドイツ風ビア・ガーデンにて)

 ジョッキで飲む生ビール、これは夏のビアガーデンだけでなく、日本では居酒屋でも一年をとおして味わえる大きな楽しみである。
 
 ところが、このジョッキで生ビールという飲み方は決して世界標準ではないのだ。


■アメリカにはビアガーデンはない!

 1990年に生まれて初めて米国に住んでみて驚いたことは、ビアガーデンがない(!)ということだった。

 米国人は、ビールを飲むことは飲むが、中瓶サイズのビールを(・・それもやたら Bud Light などという水みたいなのが多いが)、立ち飲みでラッパ飲みすることが多い。この1本のことを a shot といい、何ショット飲ったか競い合ったりする。

 スーパーマーケットでもこの中瓶サイズのガラス瓶が半ダース(=6本)で売られていることが多い。日本と違って缶ビールというものがあまりない。値段はその当時、US1.99 なんていうのが多かったが今ではどうか。

 私は米国のビールは薄くて嫌いだったので、いつもミニ冷蔵庫にはメキシコの Corona(コローナ)を常備していた。

 ニューヨーク州に住んでいたのだが、21歳以下には酒は売らず、比較的年齢より若く見られがちなアジア人は、時にはライセンスの提示を求められる。しかも「禁酒法」の名残で日曜日は酒類の販売は禁止、全体的にあまり酒を飲まない風土があったように思う。これはニューオーリンズなどフランス系住民の多い都市とは大きな違いである。

 ラッパ飲みといえば余談だがロシアもそうで、モククワでも朝からスーツ着たビジネスマンがビールをラッパ飲みしているのには驚かされる。そういえば、迎え酒だといって朝からビールを飲むロシア人もいた。とくに男性がウォッカをよく飲むロシアは基本的に「泥酔文化圏」に属しているので、この点に関していえば、ヨーロッパというよりもモンゴル的である。


日本は戦前からドイツ風ビアホールが普及していた

 日本の場合は、戦前からドイツ風のビアガーデンがあり、東京でいえば「銀座ライオン」などはウェブサイトによれば1900年(明治32年 !)営業開始とある。和製英語でビアホールというが、ビアガーデンは米国ではなくドイツからもたらされてものではないだろうか。

 ドイツ、それも南ドイツ・バイエルンの州都ミュンヘンなどが、日本人のイメージするビアガーデンだろう。ドイツ語ではビアガーデンのことは Biergarten という。そのまんまである。

 有名な Hofbrau(ホッフブラウ) という店は大ジョッキで生ビールを飲める店だが、第一次大戦から復員して政治活動に関わっていたアドルフ・ヒトラーがここで大ジョッキを一気飲みしてから大演説し、「ミュンヘン一揆」を開始した場所として有名である(・・一気飲みかどかうかは不明)。

(ハノーファーのメッセ会場内のレーヴェンブロイ・ハウス)


 写真は、北ドイツ・ハノーファーのメッセ会場に常設されている日本でもライセンス生産されているので有名な Loewenbrau(レーヴェンブロイ)ハウスで、南ドイツのバイエルン人というのが本当にビール好きだな、と感心させらる。

 毎年10月にミュンヘンで開催されるオクトーバー・フェスト(Oktoberfest)には前から行きたいと思っているのだが、なかなか実現しない。ぜひ一度はいってみたいものだ。


バンコクにはドイツ風ビアガーデンがある!

 ドイツ流の、というか日本流のビアガーデンというのはドイツや日本しかないのかな、と思っていたら、実はアジアでもタイのバンコクにはビアガーデンがあるのだ。

 バンコク市内にもいくつかあるのだが、いずれもそんなに古くからある業態ではないようだ。

(バンコクのビアハウスのメニュー))


 写真は、1999年創業の Tawandang German Beer Brewery の店内で撮影したメニューだが、ここでは本格的なドイツビールとドイツ料理を食べることができ、しかも舞台では無料でショーを見ることができるという施設で、バンコクのミドルクラスのお客さんでいつもほぼ満席になっていた。

 キリンビールの調査によれば、2007年現在、タイは現在世界第17位の消費量で、日本の総消費量の3割程度、タイではビールはワインなど他の酒類と違って酒税の税率が低いので、大衆的なアルコール飲料ではなんといってもビールが一番である。この背景があってこそ、地場のビールではなく、本場ドイツのビールが飲めるというのがウリのビアガーデンは人気があるのだろう。

 なおタイでは、ドイツとの合弁企業によってソーセージやベーコンが生産されており、なかなか味は良いということを付け加えておく。


 このほか、バンコク市内中心部ルンピニにある常設会場ナイトバザールでもドイツビールを各種飲むことができる(写真)。複数で飲みに行く場合、生ビールのピッチャーを注文するのがよい。ここにはタイ人だけでなく、世界各地からの観光客も多くやってくる。日本と比べると、ほぼ一年中暑いタイなので、こういう施設があるのは実にありがたい。

(ルンピニのナイトバザールのビアガーデン ドイツビールの Paulaner)

 このナイトバザール、ところがつねに存続の危機にさらされている。土地が王室財産管理局の所有で、正式な賃貸契約が切れているためである。土地収用にかんする強制執行の公告が新聞にでたが、結局実行されなかった。すでに重要な観光資源となってしまっているためであろう。

 お釈迦様の生まれたルンピニ(Lumphini:ネパールのルンピニからとったネーミング)でナイトバザールというのも不思議な感覚だ。まあ王宮から出る前のシッダールタ王子と思えばよろしいか。


タイならではのビアガールとは?


 なおタイにはふつうの飲食店にもビアガールという広告宣伝媒体がおり、日本ではバドガールしかみないが、バンコクでは、地場のビア・シン(=シンハ・ビール)、ビア・チャーン(=象さんビール)のほか、シンガポールのタイガー・ビア、オランダのハイネケンなど色とりどりである。

(ハイネケンのボディコン・コスチューム姿のビアガール)

 ときにはモデル並の容姿の女性もおり、男性にとっては楽しみの一つなのではあるが、すすめられるままに何本もビアガール指定の銘柄を注文することになるので、果たしていかがなものか、という感もなくはない。ちなみに写真はハイネケン・ガールで、中華風タイスキの店にて。


仏教国タイには「不飲酒戒」が部分的に施行されている

 ただし、タイには仏教の教えに基づいて米国以上に厳しい「禁酒法」が存在する。仏教の五戒のひとつは不飲酒戒(ふおんじゅかい)、すなわち酒を飲んではいけない、というもので、上座仏教の世界では在家信者もこの戒律をまもることが求められる。とはいえ実際にはまもり難いのは人のサガであり、法律での規制が避けられないということだろう。

 毎日午後2時から5時までは酒類の販売は、なんと法律で禁止(!)されており、仏教関連の祝祭日はもちろん酒類販売は禁止、王室関連の祝祭日も同様。また奇妙なことには「選挙法」によって投票日の前日午後5時から翌日投票が終わる時間まで酒類販売は飲食店だけでなく、酒類販売店でも禁止されている。タイでは日本以上に古い法律がそのまま生き残っていることも多いのである。

 もちろん禁止されているのは販売だけなので、酒類販売禁止時間中や、禁止日にも自宅で飲むのは不問とされる。しかし、飲食店に入って食事してもビールが飲めないというのもなかなかつらいもので、対処するのがなかなか大変な慣習なのである。うっかりレバノン料理店に入って料理注文してから、アルコールを飲めないことを知るのと同じ状況だ。

 なお、前回2006年のクーデターで成立した暫定政権は、酒類販売広告を全面的に禁止すると主張していたのだが、結局のところ軍事政権ですらそれは不可能であった。ビール業界からの巨力なロビー活動があったためらしい。ビアガールは現在でも健在である。


先進国ではビール離れが進んでいるが・・・

 さて、最近こういうニュースを目にした。

 NNAというビジネスニュース専門会社の記事によれば、なんと本家本元のドイツでは「ビール離れ進む=上期の販売量は過去18年で最低」というらしいのだ。引用させていただく。

ビール離れ進む=上期の販売量は過去18年で最低

 ドイツで年々、ビールの消費量が減っている。連邦統計庁が発表した2009年1月~6月の国内販売量は493万キロリットルとなり、前年同期比4.5%減少した。統計の始まった1991年以降で最低を記録している。
 ドイツ醸造者連盟のペーター・ハーン代表によると、悪天候によりバーベキュー・パーティが中止されたり、ビアガーデンに来る人が減ったためという。また、飲食店やバーでの禁煙法が全国に広がり、生ビールの販売が25%減るなど大打撃となっている。ビールをレモネードやコーラなどで割ったミックスビールは若者に人気があるが、これも前年同期比7.4%減となった。
 アルコールが体に害を与えることをアピールする健康政策や、アルコール飲料の広告禁止の導入検討など、国の政策に同連盟は不満を表明。ビールのミックスドリンクの開発に力を入れるなど、ビール業界の生き残りに尽力している。

 ドイツでビール離れというのは、日本で日本酒離れというよりもインパクトが大きそうだ。

 先にみたキリンビールの調査によれば、一人あたりのビール消費量ではチェコが世界一だが、一般的には何となくドイツ人=ビールみたいな固定観念があると思う。実際はドイツ人は世界第3位。しかし、そのドイツ人がアルコール自体あまり飲まなくなってきているというのだからね。

 確かにジョッキでビール飲んでバカ騒ぎしているのは、ドイツでも中高年以上のような気がしないでもないなー。ライン地方はワインもよく飲むしね。

 まあ先進国ではどこでも、そういう傾向にあるようで・・・

            

PS 読みやすくするため改行を増やし、小見出しをつけた。写真を大判にしキャプションも加えた。なお、情報は記事執筆時点のものでありアップデートや書き換えは行っていないのでご注意いうただきたい。 (2014年1月20日 記す)


タイのあれこれ (6) につづく



<ブログ内関連記事>

「タイのあれこれ」 全26回+番外編 (随時増補中)                   
     
「タイガー・ビア」で乾杯!!

ミャンマー再遊記 (4) ミャンマー・ビアとトロピカルフルーツなどなど

ドイツの「ビール純粋令」(1516年4月23日発布)から本日で500年

『ベルギービール大全』(三輪一記 / 石黒謙吾、アートン、2006) を眺めて知る、ベルギービールの多様で豊穣な世界

『izakaya: The Japanese Pub Cookbook』(=『英文版 居酒屋料理帖』)は、英語で見て・読んで・楽しむ「居酒屋写真集」+「居酒屋レシピ集」

in vino veritas (酒に真理あり)-酒にまつわるブログ記事 <総集編>

(2018年7月23日 情報追加)


(2012年7月3日発売の拙著です)








Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは
http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。


禁無断転載!






end