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2009年8月26日水曜日

タイのあれこれ (6) 日本のマンガ




タイで流通している漫画本はほぼ99.9%が日本のマンガの翻訳である。

 しかも、正規のライセンス契約結んでの翻訳だから、マンガ本にかんしては、もはや海賊版はないといっていいだろう。

 DVDにかんしては、いまだにタニヤやパッポンといった夜の繁華街の露天では公然と販売されている。DVDなんて複製が簡単だからね。警察も見て見ぬふりだし。

 それにくらべるとマンガはセリフを日本語からタイ語に翻訳しなくてははならないし、日本と違って横書きのタイ語だから、マンガ本も洋書みたいに左から開いて読むことになるから、編集しなおさなければならない。手間がかかるというわけだ。


 写真は、高橋留美子の『うる星(せい)やつら』のタイ語版。ちゃんとライセンス取得して著作権を守っていることが左下のシールに明記してある。値段は1冊35バーツ、日本円ならだいたい100円である。安いね。

 『うる星やつら』といえば、高校時代「少年サンデー」で毎週連載を読んでいた。えんえんと続いていたからね。

 男性のあいだでは絶大な人気を誇る『めぞん一刻』 もいいけど、自分としては『うる星やつら』のほうが断然好きだな。

 アニメ版でラムちゃんの声を担当していた平野文(ひらの・あや)の声はいいねー。「ダーリン、××だっちゃ」。アニメ版とマンガはかなり違うけど。アニメ版のオープニング主題歌はこちらから(YouTube につき音声注意!)。アップしたのはメキシコ人のようだけど、日本のアニメはほんとうにすごいね。まさに全球的な人気だ。


 内容は、社会学者の宮台真司が1980年代後半に、PARCO系のマーケティング専門誌「アクロス」で連載していた『サブカルチャー神話解体-少女・音楽・マンガ・性の30年とコミュニケーションの現在-』(のちに単行本としてまとまっている・・PARCO出版、1993)で指摘するように、「閉じた世界の無害な戯れ」以外の何者でもない学園コメディなのだが。作者の高橋留美子自身も、どうやって連載終わらせるか苦労したらしい。


 こういった昔懐かしいマンガから最新のマンガまで、ほぼすべてがタイ語に翻訳されて出版されている。

 タイ語ではコミックスではなく、英語からきたカートゥーン(cartoon)というので、英語でタイ人と会話していると、話が少々食い違っていることがある。四コマ・マンガもストーリーマンガもみなタイ語でカートゥーンと表現するから、英語でもコミックスのことをカートゥーンといってしまうためだね。ちなみに、中国語でも卞通(カートゥン)と表記している。

 タイではマンガ家として食べていけるのはたった一人だけらしい。その人は、ウィスット・ポンニミット、代表作は『タムくんとイープン』、新潮社から日本語版も出版されている。ほのぼのとしたタッチの描線が特徴だ。

 もちろん日本でもマンガ家として食べていくのはたいへんなことだ。『消えたマンガ家 ダウナー系の巻-どこへいった?あの人気マンガ家-』(大泉実成、新潮OH!文庫、2000)というノンフィクションがあるが、そもそもマンガ家として頭角を現すのが難しいし、人気マンガ家になっても商業雑誌での連載のプレッシャーがあまりにも強くて、とくに発想力が勝負のギャグマンガ家の寿命は長くない。ほんとうに自殺してしまったギャグマンガ家が何人もいるくらいだ。
 

 バンコクでは、地下鉄のMRTで隣に座った学生が熱心に日本のマンガを読んでいる、こういう光景は決して珍しくない。ゲームしてる子供やら、i-Podで音楽聞いてる学生やらいるが、マンガ本読んでるのも必ずいる。のぞき込んでも気がつかないくらい熱中している。
 私の友人のタイ人から聞いた話だが、娘さんがいま高校生くらいだったかな、部屋が日本のマンガ本で埋まってしまっているそうだ。こういう話をきくとなんだかうれしいね。
 
 次回は、タイの日本アニメの話、だっちゃ。

            


       

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