昨日、「秋津あかね」の撮影に成功しました。歩道橋のうえに静止していたのをラッキーなことに撮影できました。
「秋津あかね」なんていうと最近の女の子の名前みたいですが、じつは「赤とんぼ」のことなのですね。
ちなみに古代では、日本のことは 「秋津島」(あきつしま)といわれていたそうですね。秋津島あるいは秋津洲とも書きますが、そのココロは、日本列島のかたちが「秋津あかね」(=とんぼ)に似ているということ。
日本を平定した初代天皇の神武天皇がそう言ったからだとか。いわれてみれば、たしかにそんな気もしなくもないですね。いわゆる神武東征ですね。
『日本書紀』では「大日本豊秋津洲」(おおやまと・とよ・あきつしま)、『古事記』では「大倭豊秋津島」(おおやまと・とよ・あきつしま)という万葉仮名で表記されています。
「あきつ」というコトバは、ちょっと古語辞典を引いて調べてみましょうか。日本語をよく知るには古語を知るのが第一ですからね。
『岩波古語辞典』には、あきづ(=蜻蛉)はとんぼの古名とあります。平安時代以降は濁音になったようですが、それ以前はあきつと清音であった、と。『記紀歌謡』にはすでに使われている表現ですので、神武天皇が実在の人物であるかはさておき、歴史のある、また季節感あふれる、うつくしい表現です。
蜻蛉とかいてトンボと読むこともあれば、カゲロウと読むこともあります。『蜻蛉日記』は『かげろふの日記』とも書きますね。右大将道綱の母。
「赤とんぼ」というと、どうしても「♫ 夕焼け小焼けの赤とんぼ」ではじまる、詩人・三木露風の作詞による童謡を思い出しますが、同じトンボのことも「秋津あかね」と呼ぶとまた別の連想が展開されることになるわけですね。
人生も赤とんぼのようにスイスイといければ、それにこしたものはないのですが。とはいえ「花の命は短くて」ではないですが、トンボもセミほどではないですが、たかだか数ヶ月の命。
何事もスイスイとはいかないようで。
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