雑誌『Pen (ペン)』(阪急コミュニケーションズ)最新号の特集は、「ユダヤ・キリスト・イスラム 三宗教の聖地へ。エルサレム」である。
雑誌の特集だが、内容豊富で一冊の単行本にも匹敵する内容になっている。内容は、ユダヤ教とは何か、ユダヤ人とは誰か?、それにイスラエル最新案内をつけ加えたものだ。
まずは目次を紹介しておこう。
目 次
【特集】ユダヤ・キリスト・イスラム 3宗教の聖地へ。エルサレム
唯一絶対の神と結ばれた、聖地の変遷。
3つの宗教から見た、聖なるエルサレム
イエス生誕の地、ベツレヘムのミサに与る。
民族の誇りの象徴、壮大なマサダを望む。
重厚な歴史が凝縮する、巨大博物館へ。
ユダヤ教とは何か? ユダヤ人とは誰か?
神による啓示、聖典トーラーを学ぶ意味。
世紀の発見、最古の聖書を含む 死海文書。
ユダヤ教の視点で、聖書を読み解く。
シャガールが描いた、ユダヤのためのステンドグラス。
遡ること4000年、ユダヤの歴史を知る。
地域住民を牽引する、ラビの1日に密着。
シナゴーグとは、こんな役目を果たす場所です。
生涯を鮮やかに彩る、さまざまな祭りや儀式。
ユダヤ宗教学校では、何を学んでいるのか。
ユダヤ人が、エルサレムに住む意味とは?
超正統派の人々が暮らす、未知のエリアへ。
つながるために活動する、ふたつの組織。
各界で才能を発揮する、ユダヤ系著名人。
【とじ込み付録】イスラエル最新案内
この雑誌の特集については、イスラエル大使館文化部からの情報で知った。現地での取材を含めて全面的に協力しているようだ。ふつうは入れないような施設の内部も取材している。
エルサレムで現地取材した記事と、なによりも大判の雑誌であるだけに、収録された美しい写真の数々がすばらしい。保存版として一冊買っておく価値はある。
日本ではあまり知られていない、ユダヤ教の観点からのエルサレムとイスラエルの特集である。いわば、日本人の一般読者のためのビジュアル版のジュダイカ(=ユダヤ文化総覧)になっている。
聖書は大きくわけて、旧約聖書と新約聖書でなりたっているというのが教科書的な常識となっている日本人にとっては、ユダヤ教による聖書解釈など、日本人読者の多くにとっては新鮮に映るものであろう。
一般に「ユダヤ・キリスト教」という表現で語られるユダヤ教であるが、キリスト教発生以後に発展したユダヤ教が視野に入っていない、誤解を生みやすい表現であることは、あらためて強調しておきたい。その意味では、きわめて意欲的な特集であるといえる。
【とじ込み付録】イスラエル最新案内は、とくにアートやデザイン関係の最新情報がありがたい。
わたしは、イスラエルには1992年に戦争の合間をぬってはじめて訪れて以来、かれこれもう20年もご無沙汰している。ぜひ、そう遠くない将来に再訪したいものだ。
「男のためのハイクオリティ・マガジン」をコンセプトにしている『Pen (ペン)』であるが、イスラエル入門のガイドになっているこの特集は、男女の関係なく買う価値のあるものだと言っておこう。
この特集は2012年12月に阪急コミュニケーションズから再編集のうえ書籍化された。
特集「ユダヤ・キリスト・イスラム 三宗教の聖地へ。エルサレム」(Pen)
Ofra Haza - Yerushalaim Shel Zahav (「黄金のエルサレム」 YouTube)
・・いまは亡きイスラエルの歌姫オフラ・ハザの熱唱。オフラ・ハザはイエメン系ユダヤ人。1980年代後半に、東京で開催されたコンサートにいったことがなつかしい。
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『イスラエル』(臼杵 陽、岩波新書、2009)を中心に、現代イスラエルを解読するための三部作を紹介
映画 『戦場でワルツを』(2008年、イスラエル)をみた
イスラエル産スウィーティーの季節
『ユダヤ教の本質』(レオ・ベック、南満州鉄道株式会社調査部特別調査班、大連、1943)-25年前に卒論を書いた際に発見した本から・・・
書評 『日本近代史の総括-日本人とユダヤ人、民族の地政学と精神分析-』(湯浅赳男、新評論、2000)-日本と日本人は近代世界をどう生きてきたか、生きていくべきか?
本の紹介 『ユダヤ感覚を盗め!-世界の中で、どう生き残るか-』(ハルペン・ジャック、徳間書店、1987)
「宗教と経済の関係」についての入門書でもある 『金融恐慌とユダヤ・キリスト教』(島田裕巳、文春新書、2009) を読む・・「ユダヤ・キリスト教」という一括した表現は誤解を生む元である。
書評 『緑の資本論』(中沢新一、ちくま学芸文庫、2009)
・・ユダヤ教、キリスト教、イスラームの3つの一神教を経済を軸に比較する
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