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2023年11月27日月曜日

映画『マイティ・ハート 愛と絆』(2007年、米国)をはじめて視聴した(2023年11月26日)― 憎しみはなにも生み出さない。たとえ異なる宗教であっても人間として信頼と友情は築くことができる


 
映画『マイティ・ハート 愛と絆』(2007年、米国)を DVD ではじめて視聴した。108分。

「9・11」(2001年)の翌年、対テロ戦争の取材のため滞在していたパキスタン南部の都市カラチで、狂信的なイスラーム過激派のテロリストたちによって誘拐され人質となり、殺害されたダニエル・パール氏。米国の経済誌「ウォールストリート・ジャーナル」(WSJ)の記者であった。

その妻が書いた手記『マイティ・ハート ー 新聞記者ダニエル・パールの勇気ある生と死』(マリアンヌ・パール、高濱賛訳、潮出版社、2005)を原作にした映画である。Based on a true story とある。ほぼ実話であり、原作に忠実に映画化したとDVD付録の「メイキング映像」で監督が語っている。

おとり取材で呼び寄せられ、そのまま拘束されて人質となり、首を切り落とされるという残酷な殺された方をしたダニエル・パール氏。殺害されたとき夫は38歳、妻は33歳だった。妻は身ごもっていたが、夫は子どもの顔を見ることもできなかったのだ。

その名字パール(Pearl)からもわかるようにユダヤ系米国人であった。ゴールドやシルバー、ダイヤモンドやサファイアなど、宝石や貴金属を名字にしているユダヤ人は多い。

イスラーム過激派の取材をユダヤ系のジャーナリストが行うなんて、それだけで危険ではないかとわたしなど思ってしまうのだが、真相究明に命を賭けるジャーナリスト精神の発露とはいえ、新聞社の上司はどう考えていたのだろうか。

実際、ユダヤ人であるということが、ダニエル・パール誘拐の原因になったのである。どうやら「あなたはキリスト教徒か?」とかまをかけられ、一瞬ひるんで思わずユダヤ人だと口にしてしまったようだ。「記者はユダヤ人」だという情報が回り回って、テロリストによって誘拐される原因をつくりだしたのである。

「ユダヤ人=イスラエル=モサド=CIA」という「邪悪な連想」が、過激なイスラーム主義者たちの固定観念になっていたのが原因と考えられる。この固定観念は現在でも変わっていないのではないか?





■映画の舞台はパキスタン南部の都市カラチ

映画は、ともにジャーナリストであったこの夫婦のパキスタンにおける日常生活の描写から始まる。

夫が誘拐されてから平和な日常が断ち切られてしまうが、彼女を励ます同僚のムスリム系インド人女性記者、そして新聞社の上司たち。パキスタン警察テロ対策部門(CID)のキャプテンとその部下たち。

人質の解放を待つ家族の気持ちに寄り添うかれらのあいだに、ほとんどひとつのチームのような連帯感も生まれてくる。


(インド洋に面したカラチはパキスタン第2の都市 クリックで拡大)


2001年の「9・11」後に米国の報復攻撃、逮捕され拘束された関係者は各国に設置された秘密基地で激しい拷問を受けていた。その象徴ともいえるのが、キューバにある米海軍グアンタナモ基地であった。

犯人側はグアンタナモ基地に拘束されている捕虜たちを解放せよと迫ってくるのだが、対テロ作戦を実行中の米国政府は断固として拒否する。この当時の国務長官はコリン・パウエル氏であった。

パキスタン警察テロ対策部門(CID)の総力をあげての必死の捜索活動で、ついに真犯人を追い詰めるところまでいったのだが・・・。



■ユダヤ教徒のダニエル・パール氏は宗教的に寛容であった

ユダヤ系米国人ジャーナリストのダニエル・パール氏の悲劇については、ユダヤ系フランス人の哲学者ベルナール=アンリ・レヴィ(BHL)の『だれがダニエル・パールを殺したか? 上下』(山本知子訳、NHK出版、 2005)というノンフィクションがでている。




ずいぶん前に読んだので、詳しい内容は忘れてしまったが、残念ながら日本ではあまり話題になっていなかったように思う。

ベルナール=アンリ・レヴィ氏は、アルジェリア生まれのセファルディム系。「フランスのネオコン」とよばれることもあるほど、熱烈にイスラエルを支持しているが、この事件とその取材活動をつうじて著作を行ったことで、さらにその確信を強めたのであろう。


イラク戦争を扇動した米国の「ネオコン」は、もともとは民主党支持の理想主義者のユダヤ系米国人の知識人が転向し、共和党支持になった人たちだ。ブッシュ・ジュニア政権のもとで猛威を振るったことは記憶にあたらしい。




だが、ダニエル・パール氏はユダヤ系であっても、それほど熱心にユダヤ教を実践していたわけではない。ましてやネオコンではまったくない。さらにその妻のマリアンヌはフランス人で、しかも仏教信者であった。夫婦でも異なる宗教だったのである。夫の家族も彼女を温かく迎え入れていた。

マリアンヌが仏壇の前で祈るシーンや、「南妙法蓮華経」とお題目を唱えるシーンもでてくる(・・ちょうど最初から71分時点)。ハリウッド映画でお題目が唱えられるのは、黒人ディーバであったティナ・ターナーの伝記映画以来かな。

田原総一郎のノンフィクション『創価学会』(田原総一郎、毎日文庫、2022)で、この映画のことをはじめて知った。昨年の今頃のことだ。それまでこの映画のことは、うかつなことにまったく知らなかったのだ。

あるいは、すでに『だれがダニエル・パールを殺したか?』を読んでいたから、あえて見るまでもないと黙殺したまま記憶から消えていたのかもしれない。


(マリアンヌ・パール氏とその手記)


田原氏の著書によれば、ダニエル・パール氏の妻マリアンヌは18歳から創価学会の信者であり、そのなかで人格形成してきたらしい。

夫の誘拐という身を引き裂くような事態に直面しながらも、冷静さを維持しつづけた強靱な精神力と、殺害という残酷な事実を受け止め、絶望から精神的に回復したリジリエンスは、そのたまものなのであろう。

二人の結婚式が回顧されるシーンでは、ユダヤ教ならではだが、新郎が飲み干したワイングラスを足で踏みつけて割る儀式とともに、仏教信者としての新婦の信条である「力と勇気、知恵と善意」について語られている。

(・・ただし、わたし自身は、創価学会どころか法華経の信者ですらない。Buddhist ではあるが、あえていえば「南無阿弥陀仏」の念仏系。とはいえ、浄土「真」宗ではない。しかも、まったく不熱心である。神社もお寺も参拝する、ごくごく普通の平均的な日本人、つまり山本七平いうところの「日本教徒」である。念のため)


(ダニエル・パール氏 Wikipediaより)


米国人でユダヤ教徒であったダニエル・パール、フランス人で仏教信者であったその妻、そして新聞社のカラチ支局で同僚であったムスリム系インド人女性、パキスタン社会のマジョリティであるムスリムたち。

夫婦のあいだの愛と絆、そして異なる宗教をもつ人びとのあいだでも信頼と友情は築くことができることを示した映画である。そして、憎しみがなにも生み出さないことも。

あの事件からすでに20年も経過している。わたしとはほぼ同世代のダニエル・パール氏にとっては、無念なことだっただろう。

その名前は日本では言及されることが少ないが、勇気あるジャーナリストとして、ダニエル・パール氏は長く記憶されるべきである。




<関連サイト>

Mariane Pearl
・・妻のマリアンヌ・パールにかんしては日本語版もある

Daniel Pearl
・・夫のダニエルにかんしては日本語版はない。残念ながら、日本での関心の薄さを反映しているようだ。
Daniel Pearl (October 10, 1963 – February 1, 2002) was an American journalist who worked for The Wall Street Journal. 
On January 23, 2002, he was kidnapped near a restaurant in downtown Karachi and murdered by terrorists in Pakistan. 
Pearl's kidnapping was carried out by Islamist militants after Pearl had gone to Pakistan as part of an investigation into the alleged links between British citizen Richard Reid (known as the "Shoe Bomber") and al-Qaeda. 
Pearl was beheaded by his captors, who later released a video of his murder. Ahmed Omar Saeed Sheikh, a British national of Pakistani origin, was sentenced to death by hanging for Pearl's abduction and murder in July 2002,[1] but his conviction was overturned by a Pakistani court on April 2, 2020.(・・後略・・)

・・ダニエル・パール氏の両親は、2020年にパキスタンの最高裁に対して、殺害犯人の死刑判決を取り下げるよう請願している。米国とパキスタンの架け橋となるべく活動されてきた両親。憎しみはなにも生み出さないという信念にもとづく





<ブログ内関連記事>

・・米国を代表する経済紙WSJ(=ウォール・ストリート・ジャーナル)と日本経済新聞の違いもまた、本書を読んでいてつよく印象づけられた。・・記者クラブのない米国の新聞ジャーナリズムの基本線をつくったのがWSJであった。

・・学会そのものも強靱な組織であるが、信者もまた精神的に強靱である。先日(2023年11月15日)、創価学会の第3代会長でカリスマ的存在であった池田大作氏が95歳で亡くなったが、これからどうなるかはわからない。国内と国外でも影響の現れ方には違いがでてくるかもしれない

・・キューバにある米海軍のグアンタナモ基地内に設置された監獄で行われた拷問。アメリカ同時多発テロ以降は、中東などからのテロリズム容疑者の尋問と収容を、この基地でおこなった。その背景は、アメリカ合衆国憲法下では被疑者の人権を保障しているため、租借条約上、米国が完全な管轄権を持ち、かつ米国の主権下ではない「灰色地帯」を利用することをもくろんだものと考えられている」


■テロリズム。アフガニスタン、パキスタン、インド

・・CIAによるウサーマ・ビンラディン殺害作戦


・・タリバーンによる「人類の文化遺産」バーミヤン仏教遺跡の破壊は2001年のことであった





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2023年11月26日日曜日

書評 『イスラエル vs. ユダヤ人 ― 中東版「アパルトヘイト」とハイテク軍事産業』(シルヴァン・シペル、林昌宏訳、高橋和夫-解説、明石書店、2022)― イスラエル社会の変化。フランスと対比した米国のユダヤ人の動向

 


リアル書店の店頭で入手したのは、2023年10月31日付けの「第2刷」。「10・7」のテロをキッカケに「2023年イスラエル・ハマス戦争」が勃発してから緊急重版されたようだ。初版発行から約2年での増刷である。おそらくこんな事態が発生しなかったら、増刷はもっと先になっていたかもしれない。


■内容は日本語版の副題「 中東版「アパルトヘイト」とハイテク軍事産業」そのもの

日本語版のタイトルは『イスラエル vs. ユダヤ人ー 中東版「アパルトヘイト」とハイテク軍事産業』となっているが、原著のタイトルは、フランス語版は L'État d'Israël contre les Juifs といたってシンプルだ。英語版も The State of Israel vs. the Jews とフランス語版の直訳である。




本書の内容は、日本語の副題「 中東版「アパルトヘイト」とハイテク軍事産業」そのものである。

日本語版の出版にあたって副題として追加したのだろうが、この措置は適切であったというべきだろう。

というのも、『イスラエル vs. ユダヤ人』というタイトルはシンプルで、問題の本質にズバリ斬り込んだものだが、ユダヤ人と日常的に接することのない日本人にとっては、ピンとこないかもしれないからだ。この件については後述する。

イスラエルは、近年とくにビジネス界では「スタートアップ・ネーション」という位置づけで賞賛されることが多かった。セキュリティ関連のIT分野では世界最高レベルの技術開発力をもったベンチャーが目白押しだ。そんなポジティブなイメージである。

もちろん、そうしたハイテク産業が盛んな背後には、イスラエルには徴兵制があり、そのなかでもとくに「8200部隊」という理数系に強いエリート中のエリートを選りすぐって選抜された人材が、退役後に起業するパターンが多いことも説明されてきた。
 
だが、さすがに「ハイテク軍事産業」と言われてしまうと、引いてしまうビジネスパーソンも少なくないのではないか。

実態は、まさにそのとおりなのだが、イスラエルがミリタリー分野全般で優位性をもっていることの意味を深く考えていくと、中東版「アパルトヘイト」という実態に直面せざるを得なくなるのである。

ビジネスパーソンはビジネスに徹していればいいのであって、余計なことは考えなくてもいい。そんなマインドセットもまかり通りがちだが、さすがに「10・7」をキッカケにした「2023年イスラエル・ハマス戦争のニュースを日々目にするようになったら、そんな態度をとり続けることもできなくなるのではないか。

その意味でも、まずはイスラエルの現実について、事実をきちんと知ることが大事なのだ。ポジティブな側面とネガティブな側面の両方について。

本書は、最近のイスラエルの現状について、フランスのフリージャーナリストが綿密な取材とインタビューをもとにして書き上げた本だ。

フランス語版は2020年、英語版は2021年、日本語版は2022年の出版である。2018年以降のイスラエルの状況を知ることができる。



■イスラエル社会の変化はグローバリゼーションの負の側面でもある

批判的な立場から書かれた本書は、日本人が知りたい内容以上のものを含んでいるといえる。

それは、タイトルの L'État d'Israël contre les Juifs(= The State of Israel vs. the Jews)に端的に表現されている。つまり、イスラエルという国家とユダヤ人は、もはやイコールの存在ではないということを示している。




著者はフリージャーナリストである。フランスを代表する『ルモンド』紙に長く在籍していたことからもわかるように、中道左派の立ち位置といっていいだろう。しかも、ユダヤ系のフランス人である。

「イントロダクション」では、著者自身が自分のアイデンティティについて「自分史」を語っている。

現在のウクライナ西部に生まれた労働シオニストの父親のもとに、1948年にフランスで生まれた著者は、父親の影響でシオニストの青年労働運動に参加し、累計12年間をイスラエルで過ごしている。その間にはイスラエル国防軍での3年間の兵役も体験し、キブツで暮らしてもいる。だが、最終的にシオニズムへの熱意を失ってしまったという。

イスラエルの「現実」が、フランスで考えていたような「理想」とは大きくかけ離れたものとなっていったことに幻滅したためだ。

イスラエル社会は「第3次中東戦争」(1967年)以後、大きく変化していったのである。

もはや「自民族中心主義」(ethno-centrism)の方向は止まることなく、排他的な姿勢は「アパルトヘイト」といっても言い過ぎではないような状態にパレスチナ人を追い込んでいる。第3次中東戦争から50年で、もはや不可逆的な動きとなっている。

パレスチナ人に対する殺害を含めた暴力も公然と行われているのであり、イスラエル国防軍の将兵の意識も麻痺しているとしか言いようがない。しかも宗教シオニストが国防軍の上層部まで昇進する状況になっている。もはや、かっての理想に満ちたイスラエルはどこにもない。

右派が政権をとるようになって長いが、それはユダヤ系イスラエル人社会を反映したものなのである。社会全体がいちじるしく劣化しつつあるのであり、右派政治家たちの粗野な言動も、それを支持する人たちが多いからなのだ。

かつて "ugly American" というフレーズがあったが、現在では "ugly Israeli"(醜いイスラエル人)というフレーズもあるくらい、ずうずうしく行儀が悪い。「フツパ」とはそのことだ。

驚くべきことに、イスラエルではトランプ大統領の支持率が7割を超えていたのだという。

いや、世界全体がそういう方向に進みつつある。グローバリゼーションの負の側面が一気に噴出し、逆説的に悪しきナショナリズムが活性化され、権威主義的な政治リーダーをもつ国が増加している。

イスラエルもまたその一例であり、ネタニヤフ首相(現在第3次政権)がロシアのプーチン大統領や、インドのモディ首相、ハンガリーのオルバン首相や、米国のトランプ元大統領と親しかったのはそのためなのだ。

この状態では、もはや30年前の「オスロ合意」(1993年)に定められた「二国家解決」(two-state solution)は現実性を失って久しいというのが著者の認識であり、大いに説得力がある。

では、「一国家解決」は、はたして可能なのだろうか? 著者の記述から離れて、東南アジアに状況を置き換えて考えてみよう。


そう考えると、あくまでも仮定の話だが、「一国家解決」によってユダヤ系とパレスチナ系が共存する体制がありえたとしても、ユダヤ系イスラエル人を説得することがきわめて困難であろうことは容易に想像がつく。出生率の違いによって「ユダヤ人国家」の維持など不可能となるからだ。

マレーシアはパレスチナ人への連帯からイスラム組織ハマスを支持してきたことも、今回の事件で明らかになったが、1965年にマレーシアから分離独立したシンガポールが、建国当初からとイスラエルとは軍事面を中心に密接な関係にあることは、知る人ぞ知る事実である。

パレスチナ問題にかんしては、出口なしの状況がこのまま続いてしまうのかと思うと、暗澹たる気持ちになる。





■フランスと対比すると米国のユダヤ人社会の変化は明らか

イスラエルの外部に目を転じれば、ユダヤ人とイスラエルの関係は、かってのように蜜月関係にはない。

とくに米国社会では、ユダヤ人のイスラエル離れが止められない動きになっている。2007年から2013年にかけて『ルモンド』紙のニューヨーク特派員を務めていただけに、米国のユダヤ人社会の動きにも詳しく書かれている。

ただし、イスラエル国外のユダヤ人がおなじ傾向をを示しているというわけではない。

フランスのユダヤ人社会は、米国のユダヤ人社会とは違うと著者は指摘している。600万人前後のイスラエルと米国を除けば、フランスのユダヤ系人口は45万人であり、2018年現在で世界第3位となっている。

米国のユダヤ人社会は「改革派」のユダヤ教徒が多く、民主党支持者が多い。ロシア東欧出身者が多いとはいえ、「啓蒙思想」の申し子であるアメリカ革命の理念を受け入れている人たちである。

これに対して、おなじく「啓蒙思想」の理念を受け継いでいるフランスであるが、現在のユダヤ人社会はフランスの理念に従っていないのだという。

というのも、現在のフランス人のユダヤ人社会は、アルジェリアなど旧フランス植民地からのセファルディム系の移民がマジョリティを占めており、ロシア東欧出身者のアシュケナージ系が多かった状況とはまったく異なるものになっている。

フランスのユダヤ人社会は、基本的にイスラエル支持である。フランスのユダヤ人社会では価値観の多様性は低いのだという。したがって、ユダヤ系のフランスの知識人も、表だってイスラエルに批判的な言動をしにくい状況にある。著者はそう述べている。

イスラム教徒にいる反ユダヤ主義暴力の危険にさらされており、「シャルル・エブド事件」(2015年)ではユダヤ系の商店が襲撃されている。不安を感じているフランスのユダヤ人のイスラエルへの移住が増加しているのはそのためなのだ。

フランスのユダヤ人の若者たちは、アラブ人に対して力で対応するイスラエル国防軍に魅力を感じているらしいが、はたしてフランスのユダヤ人にとってイスラエルが最終的な安住の地とあるのかどうか。

これに対して、米国のユダヤ人には「再生ディアスポラ」なる思想も生まれてきているという。「ユダヤ人国家」ではなく、ユダヤ人のディアスポラ状態を積極的に評価していくという方向だ。

以上のように、フランスのユダヤ人社会と対比してみると、米国のユダヤ人社会の変化が、よりいっそう際だっていることが見えてくる。

フランス語世界の発信力が大幅に落ちている現在、いい意味でも悪い意味でも、米国を中心にした英語圏から発信される情報や主張が大きく世界に影響を与えていることを考えれば、「イスラエル vs. ユダヤ人」の動きもまた、不可逆的なものとなっていく可能性があるのではないか。

日本人による日本人読者向けのものではなく、米国人による米国人読者向けのものでもなく、フランス人によるフランス語読者向けの本書を読んでいると、異なる視点にいる複眼的なものの見方ができるようになる。

本書 『イスラエル vs. ユダヤ人ー 中東版「アパルトヘイト」とハイテク軍事産業』もまた、副題の「中東版「アパルトヘイト」とハイテク軍事産業」という側面だけでなく、「イスラエル vs. ユダヤ人」という側面から読むことで、世界の動きをより深く知ることができるようになることだろう。


 (画像をクリック!)


目 次 
本書を読み解くための基礎知識 前編(高橋和夫)
イントロダクション ー 埋めることのできない溝
第1章 恐怖を植えつける ー 軍事支配 
第2章 プールの飛び込み台から小便する ー イスラエルの変貌 
第3章 血筋がものを言う ー ユダヤ人国民国家 
第4章 白人の国 ー 純血主義の台頭 
第5章 イスラエルの新たな武器 ー サイバー・セキュリティ
第6章 公安国家 ー 権威主義的な民主主義 
第7章 絶滅危惧種 ー イスラエル法制度の危機
第8章 ヒトラーはユダヤ人を根絶したかったのではない ー ネタニヤフの歴史捏造、反ユダヤ主義者たちとの親交 
第9章 黙ってはいられない ー 反旗を翻すアメリカのユダヤ人 
第10章 今のはオフレコだよ ー 臆病なフランスのユダヤ人 
第11章 イスラエルにはもううんざり ー ユダヤ教は分裂するのか 
第12章 鍵を握るアメリカの外交政策 ー トランプ後の中東情勢 
結論 イスラエル vs. ユダヤ人  
謝辞
本書を読み解くための基礎知識 後編(高橋和夫)
訳者あとがき
原注


著者プロフィール
シルヴァン・シペル(Sylvain Cypel)
パリを拠点とするフリーのジャーナリスト。
フランスの新聞『ルモンド』の国際報道部の副部長を経て副編集長を歴任。2007年から2013年にかけて同紙のニューヨーク特派員を務めた。
1948年、ボルドーに生まれ9歳でパリに移る。父親の影響でシオニストの青年労働運動に参加し、イスラエルに渡航。3年間の兵役ののちキブツで暮らし、エルサレム大学で国際関係の学位を取得。イスラエルには12年間滞在。イスラエル滞在中にシオニズムへの熱意を失う。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものに加筆)

日本語訳者プロフィール
林昌宏(はやし・まさひろ)
1965年名古屋市生まれ。翻訳家。立命館大学経済学部卒業。訳書多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<ブログ内関連記事>




■ユダヤ人自身によるイスラエル神話批判と反シオニズム




■米国のユダヤ人社会とその変化


■ユダヤ系フランス人と現代フランスのユダヤ人社会

・・セルジュはセルゲイ。オデッサ(=オデーサ)にルーツのあるユダヤ系

・・ジャック・アタリはアルジェリアからの移民のユダヤ系。フランス社会のエリートであるかれは、とくにユダヤ系であることは全面にださない。哲学者のジャック・デリダもアルジェリア出身のユダヤ系フランス人であったが、デリダはユダヤ性をだしていた




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2023年11月18日土曜日

書評『イスラエルとは何か』(ヤコブ・ラブキン、菅野賢治訳、平凡社新書、2012)― 「正統派ユダヤ教徒」は伝統的なユダヤ教の立場から「シオニズム」がもつ暴力性を批判し、国家としてのイスラエルの存在そのものを否定する



「イスラエル神話」の解体は、イスラエル内外で「新・歴史家」とよばれる「左派」の歴史家たちだけが行っているのではない。

「ユダヤ教の正統派」は、宗教の立場から、イスラエルという国家の存在そのものを批判するラディカルな主張が行われてきた。


ユダヤ史の研究者でもある訳者によれば、日本語版もでている大著『トーラーの名において ー シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史』(平凡社、2010)の要約版で、かつ増補改訂版とのことだ。日本語版オリジナルの内容である。

その後、『イスラエルとは何か』はさらに改訂され、英語版 What is Modern Israel? として2016年に出版されている。ロシア語版もあるという。もちろん、2023年時点では著者の思索はさらに深まっていることだろう。




『イスラエルとは何か』もまた、購入したまま11年(!)も積ん読のまま文字通りほこりをかぶっていた。『ユダヤ人の起源』(シュロモー・サンド、高橋武智監訳、佐々木之/木村高子訳、ちくま学芸文庫、2017)を読み終えたあと、この本も読まなくてはと思ったのである。

実際、両者をあわせて読めば、「イスラエル神話」とその問題が複眼的に理解できることになる。


「シオニズム」は、ロシア生まれの思想であり、しかもプロテスタント系キリスト教の影響下に育まれたものである。著者の主張を大胆に要約してしまえば、そういうことになる。

イスラエルが、暴力に対してそれをはるかに上回る暴力で応酬し、植民地主義的な拡張主義を放棄することがないのはそのためだ。

シオニズムは、伝統的なユダヤ教徒とは無縁の「イデオロギー」なのである。それが、本書の結論であり、イスラエルという国家を論じる議論の前提となる。



■シオニズムは帝政末期のロシア生まれ

シオニズムがロシア生まれであること、しかも帝政末期のロシアで生まれたことは、破壊活動やテロなど暴力も辞さない姿勢を受け継いでいることを意味している。

シオニズムは、帝政ロシア時代の閉塞感を打ち破るためにおこったユダヤ人による思想運動の1つであり、社会民主党(エスエル)その他の「ソーシャリズム」(=社会主義)系統の過激な運動と類似した性格をもっている。

また、「ロシア革命」で最終的に覇権を握ったボルシェヴィキには、いわゆる「民主集中制」という「革命エリート」が一般大衆の上に立って指導するという組織構造を基本としていた。シオニストもまた同様である。

その主たる担い手は、スターリンやトロツキーの評伝で知られる、マルクス主義の歴史家であったアイザック・ドイッチャーの有名な表現をつかえば、ユダヤ教の宗教伝統から離脱した「非ユダヤ的ユダヤ人」(Non-Jewish Jews)、つまり世俗的なユダヤ人で知識階層の若者たちであった。

ロシア帝国の版図内で、近代化が始まった時代に生まれた彼らは、自分が受けた高等教育に見合った仕事がないという現状への不満と焦燥感が鬱積していた。

その状況を打破するため、さまざまな思想運動が生まれていたが、そのなかでも階級闘争を主眼においた「社会主義」よりも、「民族主義」を前面に打ち出したのが「シオニズム」なのである。

暴力を肯定するロシア生まれのシオニズム。ロシアのもつ暴力性と人命軽視の姿勢が、2021年に始まり、いまなおつづいている「ウクライナ戦争」でも存分に発揮されている現実と、重なって見えてくるのは、わたしだけだろうか。



■シオニズムは、キリスト教の影響下で生まれたイデオロギー

プロテスタント系キリスト教の影響下に生まれたとは、シオニズムは民族主義を前面に打ち出していながら、ユダヤ教の伝統とはことごとく真逆の立場に立っていることを意味している。

本来のユダヤ教には暴力的な要素などまったくない。宗教的な少数派として生きる処世術を内在化したものとなっていた。シオニストたちは、それこそがユダヤ人を卑屈にしているのであり、暴力に対しては暴力で抵抗せよという姿勢を打ち出していった。ホロコーストも、そのような観点から見ていたのである。

そもそも「民族」という概念じたい、プロテスタント系のキリスト教から生まれてきたことは「常識」といっていい。カトリックと違って聖書を重視し、しかも旧約聖書を重視したプロテスタントは、旧約聖書のヘブルびとをその模範としたのであった。

この思想潮流は、まずは英国ではじまり、おなじくプロテスタント立国の米国へ、そして英国の影響下で始まった「フランス革命」を経てドイツに波及する。その思想は中東欧やロシアへと拡がっていった。

シオニズムは、ユダヤ人だけのものではない。まずはキリスト教シオニズムが先行している。その先行者として英国の外交官であったローレンス・オリファントがいた。

本書では触れられていないが、オリファントは日本とは縁が深い。幕末の日本に一等書記官として赴任して英国公使館焼き討ちテロに遭遇しているが、帰国後には森有礼など薩摩藩出身の日本人留学生と密接な関係をもっている。

晩年はキリスト教シオニストとしてパレスチナに移住し、活発な言論活動を行っていたことは、逆に日本人の常識とはなっていないようだ。

さて、著者の主張をわたしなりに言い換えると、以下のようになる。

イスラエル建国にあたって、ベングリオンなどシオニストの指導者立ちは「旧約聖書」を持ち出してきたが、それはあくまでも多様なバックグランドをもつ「帰還者」を統合するためのシンボルとしてであり、国家への「求心力」をつくりだすために活用したのに過ぎないのである。

「ユダヤ人国家」を志向している以上、それが「民族国家」(ネーション・ステート)であるためには、プロテスタント国におけるキリスト教の代替となる「統合シンボル」が必要だ。

とはいえ、キリスト教をもってくるわけにはいかない。だから、「宗教性抜きの疑似宗教」として旧約聖書を前面にだしてきたのである。だが、それは伝統的なユダヤ教とはまったく違うのだ、と。

これは、明治維新後の日本が「民族国家」として「西欧近代化」を推進するため、キリスト教の代替物として、民族宗教から「国家神道」をつくりあげたのとおなじ構図であろう。明治政府は、「国家神道」は宗教ではないと強弁していた。

イスラエルは、明治維新から80年後の「復古革命」の装いによる、後発組の「民族国家」(ネーション・ステート)樹立の事業であった。日本人の目から見ると、建国から75年を経過したイスラエルが、戦前の日本とおなじ過ちを繰り返していることが見えてくる。

建国前から「正統派ユダヤ教徒」(ハレディーム)は、一貫してイスラエルという国家そのものを否定してきたのである。これはイスラエル国内でもそうであり、イスラエル国外においてもそうなのだ、と。

「新・歴史家」とよばれる「左派」の歴史家が、ある程度までイスラエルでは許容されているのに対し、「超正統派」の反イスラエルの立場はイスラエルでは抑圧されてきたという。それだけ根源的な批判であるからだろう。

「反イスラエル」を声高に主張していたイランのアフメディネジャード大統領(当時)の招きで、テヘランで開催されたホロコースト会議に出席した「超正統派」のラビたちが、大統領と抱き合って親しく接している。様子を見ると、「常識」が揺さぶられるのを感じることだろう。

この動画を視聴すると、イスラエル政府として許しがたいことは容易に想像がつく。超正統派のラビたちの行動は、イランという宿敵を利する行為とみなされているのである。





■諸悪の根源はシオニズムにありとする「正統派ユダヤ教徒」

「正統派ユダヤ教徒」の立場からすれば、もともと平和的に共存していたパレスチナのユダヤ教徒とアラブ人を分断したのはシオニズムである。

西洋植民地主義の申し子であるシオニズムは、不安心理による安全確保という点から、無限にバッファーゾーンを確保し、結果として拡大することがプログラミングされている。拡張主義のワナにはまってしまった以上、そこから逃れることは容易なことではない。

戦前の日本が、朝鮮半島を領有したあとも、満洲へと拡大していった事情とよく似ている。占領地への入植活動が行われたことも似ている。その末路を知っている日本人からすれば、イスラエルについても同様の懸念を感じざるをえない。

また、ロシア生まれでキリスト教の影響下にあるイスラエルの支配階層は支配階層は、「白人至上主義」的姿勢のもと、パレスチナ人だけでなく、ユダヤ系アラブ人も見下してきた。

そんなイスラエルに対して、米国の福音派のキリスト教徒が熱烈に支持してきた。イスラエルは聖書の大地であるだけでなく、「前千年王国説」(Pre-Millennialism)をベースにした思想をがあるからだ。

福音派の「前千年王国説」とは、イスラエルの地にユダヤ人が集中し、その地でユダヤ人がキリスト教に改宗することで、キリストの「再臨」が加速化され、信者は救済されるという信仰である。

さらに2001年の「9・11」以降、米国が「イスラエル化」している。テロに対して、それをはるかに上回る暴力で応酬するという姿勢。国家全体が安全保障のハリネズミ状態となっている。

そんな米国の支配層が、福音派の熱烈な支持を受けるため、イスラエル支持に前のめりになる現状は止まることないことは、今回のイスラエルの「10・7」においても露骨に示されている。共和党であろうと民主党であろうと、米国の政財界の支配層にとってはイスラエル支持に違いはない。

だが、その結果、世界中でうねりのように巻きおこっている「パレスチナ支持」(=「反イスラエル」)の運動が、そのまま「反ユダヤ主義」にダイレクトに結びついてしかねないのが問題なのである。

米国ではZ世代とよばれる若年層を中心に、ユダヤ人のあいだからも停戦を求める声が上がっているのだ。"Not in Our Name": 400 Arrested at Jewish-Led Sit-in at NYC's Grand Central Demanding Gaza Ceasefire(Democracy Now  2023年10月31日)。ユダヤ人だからといって、無条件にイスラエルを支持しているのではないことが可視化されている。

イスラエル軍による無慈悲なまでのパレスチナ人の殺戮行為が、かえってイスラエル国内外のユダヤ人の安全を脅かす結果をもたらしている不条理ともいうべき状況。このことにイスラエル人は気がつかなくてはならない。

繰り返しいうが、ユダヤ人だからといって、シオニストではない。その意味をよく熟知しておかなくてはならない。反シオニズムや反イスラエルが、そのまま反ユダヤ主義につながらないよう、大いに注意しなくてはならない。

そのためには、「超正統派」のユダヤ教徒のように、イスラエルという国家そのものを否定する必要はない。当然の話である。すでに建国されてから75年以上もたっている国家の存在を否定するのは、現実的ではない。この間のイスラエルの成果は、誰も否定できないはずだ。

とはいえ、ユダヤ人でもユダヤ教徒でもない日本人も、イスラエルという国家の「起源」について知っておく必要がある。

イスラエルには、「戦前日本」の誤りを繰り返してほしくない。そう思うのは、わたしだけではないと思っている。



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目 次 
第1章 今日のイスラエル 
第2章 ヨーロッパのユダヤ教徒とユダヤ人 ― 平等と絶滅のはざまで 
第3章 シオニズムのキリスト教的起源 
第4章 シオニズムの企図 
第5章 シオニスト国家の形成と維持 
第6章 ユダヤ教の伝統にとって “イスラエルの地” が意味するもの 
第7章 ナチスによるジェノサイド、その記憶と教訓 
第8章 シオニズムに対するユダヤ世界内部からの抵抗 
第9章 変貌するイスラエル社会とユダヤ共同体 
第10章 国際的視点から 
訳者あとがき
用語集


著者プロフィール
ヤコヴ・M.ラブキン(Yakov M. Rabkin)
1945年、旧ソ連・レニングラード(現サンクト=ペテルブルグ)生まれ。レニングラード大学で化学を専攻、モスクワ科学アカデミーで科学史を学ぶ。1973年以来、カナダ・ケベック州モンレアル(モントリオール)大学で歴史学を講じる(現在、同大学教授)。科学史(とりわけSTS「社会における科学と技術」の観点から)、ロシア史、ユダヤ史を専門とする 

日本語訳者プロフィール
菅野賢治(かんの・けんじ) 
1962年、岩手県生まれ。パリ第10大学博士課程修了。一橋大学法学部助教授、東京都立大学人文学部准教授を経て、東京理科大学理工学部教授。専門はフランス語フランス語圏文学。『反ユダヤ主義の歴史 全5巻』(レオン・プリアコフ)など著訳書多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものに加筆)



■補論 「第3章 シオニズムのキリスト教的起源」 

「キリスト教シオニズム」のほうが先行していた件については、英米だけではなくオランダのそれについても見ておくべきであろう。

本書には言及はないが、南アフリカの支配者であるブール人(=ボーア人、アフリカーナー)もまたオランダ系であり、プロテスタント系のキリスト教徒であった。「白人至上主義」のかれらが「アパルトヘイト」政策を実行していたのである。

以下の記述を読んでみてほしい。

そして非ヨーロッパ世界にかんするかぎり、プロテスタンティズムの与えた影響はあまりないか、あっても望ましくないものであった。というのもプロテスタンティズムの予定説は、選民思想と結びついて、ヨーロッパ人以外を「人間」として認めない方向に向かったからである。・・(中略)・・北米大陸のインディアンの場合に明らかなように、プロテスタントは彼らを人間として認めず、殺戮、殲滅をもって恥じないどころか、それを神の摂理の名のもとに正当化したのである。地球上で最後まで公式にアパルトヘイト(人種隔離)政策を維持しつづけたのがオランダ系カルヴァン派の子孫の建国した南アフリカ共和国であったのは、偶然ではない。(『宗教改革とその時代(世界史リブレット)』(小泉徹、山川出版社、1996) P.85~86 より引用 太字ゴチックは引用者=さとう)


「白人至上主義」にもとづく「アパルトヘイト」は、なんと1991年(!)まで撤廃されなかったのである。



<関連サイト>



・・「反シオニスト」の超正統派は平和を呼びかける  

・・「アルジャジーラ」に登場していることに注目





<ブログ内関連記事>





■ロシア帝国とアシュケナージ系ユダヤ人

・・なぜユダヤ人はこの地域で「反ユダヤ主義」の暴力の発現である「ポグロム」の被害者になったのか

・・「ポグロム」について。ユダヤ人革命家について。

・・帝政ロシア時代の末期の革命運動には、社会革命党(エスエル)の武装部門である社会革命党戦闘団を率いる革命家サヴィンコフの同志として、多数のユダヤ人が男女を問わず積極的にテロに参加していた。


■宗教改革とプロテスタント。福音派の「前千年王国説」と熱烈なイスラエル支持

・・米国のベストセラー小説『レフト・ビハインド』の映画化。「前千年王国説」(Pre-Millennialism)をベースにした福音派の思想をベースにしたもの。聖書を文字通りに信仰する「終末論」の一種である。福音派の「前千年王国説」とは、イスラエルの地にユダヤ人が集中し、その地でユダヤ人がキリスト教に改宗することで、キリストの「再臨」が加速化され、信者は救済されるという信仰である。だからこそ、信者たちはイスラエルを熱烈に支持している。

・・聖書の大地である「イスラエルへの特別の思いを語るプロテスタント神学者」という立ち位置からのポジショントーク。カトリックとは違ってプロテスタントは、ローマではなくエルサレムを見ている。
キリスト教徒でも、カルヴァン派でも、福音派のプロテスタントでもない一般読者は、佐藤優氏の発言は、その点を意識してポジション・トークとして読む必要がある。逆からみたら、なぜイスラエルは福音派プロテスタントを盲目的に引き寄せるかという証明にもなっている

・・プロテスタント系の過激宗教思想。ニューヨーク生まれでイスラエルに移植された極右派のユダヤ教原理主義である「カハネ主義」。


書評 『メイド・イン・ジャパンのキリスト教』(マーク・マリンズ、高崎恵訳、トランスビュー、2005)-日本への宣教(=キリスト教布教)を「異文化マーケティグ」を考えるヒントに
・・イスラエルを熱烈に支持する日本のキリスト教団体である幕屋(まくや)についても「第6章 第二波の土着運動」のなかで「 3. 手島郁郎と原始福音運動」として取り上げられている

・・「アパルトヘイト政策」を1991年まで実行していた南アフリカは、オランダ人植民者であるブール人が開拓した国。その後ブール戦争で英国領となった。


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