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2012年11月12日月曜日

指宿温泉の「砂むし風呂」を初体験(2012年10月26日)




先週の2012年10月25日から11月3日まで、「西日本縦断ツアー」と銘打って、拙著 『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』(こう書房、2012)のプロモーションを兼ねて、鹿児島から京都まで高速バスをつかった長旅を行った。

旅の出発点は鹿児島にしたが、まずはその前に温泉で英気を養いたい、しかもこの機会を利用して、まだ一度も行ったことのない指宿温泉にはぜひ訪れたいと思っていた。なにごともツーインワン(Two-in-One)で行うと固定費削減につながる。日本語でいえば一石二鳥である。

指宿と書いて「いぶすき」と読む。読み方を知らなければ、なぜ指宿が「いぶすき」なのかわからないが、「ゆびしゅく」が「いぶすき」になまったと考えれば納得できるものだ。

ローマ字で表記すれば Yubi-shuku が Yibu-suki に音韻変化したと考えればいい。だから、ほんとうは Ibusuki ではなく Yibusuki と書けばその変化がわかるのである、おそらく、実際の発音もそのようだったのだろう。該当するカナがないので表記のしようがないであるが。




指宿では、その最大の訪問目的である「砂むし風呂」を初体験してきた。

わたしが少年時代を過ごした昭和40年代(・・1960年代~1970年代)には、指宿温泉の全国的な知名度はいまよりももっと高かったように思う。いまでは九州の温泉といえば湯布院温泉の知名度が圧倒的だが、いまから40年くらい前はそうではなかった。

砂のなかに生き埋めのようになる砂むし風呂。そのイメージは長いあいだ焼き付いたままであった。

鹿児島を訪れたのは今回が三回目だが、なかなか指宿まで足を伸ばす機会に恵まれなかったのである。まあ、三度目の正直とでも言うべきだろうか。




指宿温泉まちづくり公社が運営する「砂むし会館 砂楽(さらく)」は、気軽に利用できる砂むし風呂&温泉である。

そこでもらったパンフレットに与謝野鉄幹・晶子夫妻の歌が4首掲載されているので、孫引きになるが引用させてもらおう。この歌でイメージをつかめると思うから。

星月夜 海もなぎさも 白けれど
葦簀(よしず)の屋根の 暗き砂風呂 (与謝野寛)

砂風呂に 潮さしくれば かりそめの
葦簀(よしず)の屋根も 青海に立つ (与謝野寛)

しら波の 下に熱沙(ねっしゃ)の 隠さるる
不思議に逢へり 揖宿(いぶすき)に来て (与謝野晶子)

来て立つや 沙(すな)の身すらも 極熱(ごくねつ)の
おもひを持てる 揖宿(いぶすき)の磯 (与謝野晶子)

いずれも『霧島の歌』(昭和4年)に収録されているものだという。いまから80年以上前の指宿の砂むしだが、基本的には大きな変化はない。

いまでも、砂浜で高温のお湯がでているので、近づかないようにという看板がでている。


(屋根付きの全天候型 砂むし)

砂むし会館「砂楽」では、900円で砂むし1回と温泉を楽しむことができる。

会館のなかで砂むし専用のゆかたに着替えて、砂むし場に向かう。このゆかたは砂まみれになるので1回しか利用できない。うまくできた仕組みでもある。





砂むし場にいくと、木枠で囲ったスペースに8人くらいが仰向けになって寝ることになる。

横たわるとすぐに係の人がスコップで砂をかけてくれるのだが、砂は想像していたよりも熱く、また重かった。ずしんとくる重さである。

首だけだして生き埋めというスタイルだが、これが垂直に埋められたのであれば、自力で砂のなかから出るのはむずかしいだろう。それくらい砂というものは重い。

砂むしは10分間が限度だと、くどいように念を押される。

時間は、砂むし場に設置された時計で自分で確認するのだが、じっさいは尻が焼けるような感じになってくるので、10分もたたないうちにそろそろやめようという気持ちになってくる。砂むしとはカラダに荷重をかけながら行うサウナのようなものだ。

10分たったのを確認して、自分で砂をどけて起き上がる。しばらくは風に吹かれて気を静める。あっという間に終わった不思議な体験であった。

パンフレットによれば、さまざまな効能があり、医学的な検証も行われているようだ。いちいちあげることはしないが、10分間の砂むしで静脈血流がきれいになるという。デトックス効果はきわめて大きいようだ。

砂むしが終われば、専用のゆかたの砂を払って温泉に入浴。この温泉もまたたいへん気持ちのよいものであった。海水温泉のためかやや塩分のかんじられるまろやかなお湯である。



砂むしのまわりでは、ピーヒョロヒョロと、とんびの鳴く声。海辺でとんびがたくさん飛んでいる光景もなんだかめずらしい。かもめではなく、とんびである。

(足湯)

指宿温泉には、無料で入れる足湯も多数ある。

指宿温泉が「東洋のハワイ」(?)というニックネームで売りだそうとしたようだが、果たしてこの比喩はいまでも効能があるのだろうか? 

それよりも、砂むしの指宿温泉と言い切ったほうが、高齢化社会でのアンチエージング目的の観光客や湯治客を呼び込むことができるのではないかと思う。

(独特の風合いの指宿の石壁)

「西日本縦断ツアー」ではこのあと愛媛県の松山にも立ち寄った。松山といえば道後温泉。この「西日本縦断ツアー」をさして温泉めぐりみたいという感想をくれた方がいるが、当たらずとも遠からず。先にも書いたように、一石二鳥を狙っているのは言うまでもない。

人生で一度は体験しておきた指宿温泉の砂むしで。その夢(?)が実現し、満足な気分が続いている。


<関連サイト>

「砂むし会館 砂楽(さらく)」


<ブログ内関連記事>

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(2012年7月3日発売の拙著です)





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