いま話題のミュージカル映画 『レ・ミゼラブル』をTOHOシネマズで観てきた。
こんなに泣ける映画だとは思いもしなかった。映画のなかでなんども涙がこみあげ、あふれでる涙を止めることができなかった。
もちろん、観る人の年齢、男女によってまったく異なる受け取れ方をされるのだろう。ある程度の年齢を重ねた男性にとっては、どうしても主人公ジャン・バルジャンに感情移入してしまうのではないだろうか。
ラウトシーン近く、天に召されるシーンでは思わず涙がこみあげてきた。逆境のなかさまざまな苦難を体験しながらも、みずからに課した義務を遂行し、やるべきことをやりぬいた悔いのない人生。
映画館でこんな思いをするのは、そう多くはない。
アメリカにいたときにミュージカル版の『レ・ミゼラブル』を観る機会があったのだが逸してしまった。いまから20年前の留学中のことだ。まだ日本では公演されていなかったと思う。
ミュージカルが日本で公演されるようになるまでは、『あゝ無情』という日本語タイトルのほうが有名だったかもしれない。わたしも、一切れのパンを盗んだため投獄された主人公について話ということころまでは小学校時代に知っていたが、原作はいまにいたるまで読んでいない。
だから、あらすじを知らないままいきなり映画を見たのだが、断片的に知っていたエピソードはかなり端折られていた。岩波文庫で4冊もあるヴィクトル・ユゴーのあの長い原作本を、わずか2時間40分に圧縮しているのだから当然といえば当然だろう。ひじょうにテンポの早いスピーディーな展開で、まったく飽きることなく最後まで観てしまう。
(ジャン・バルジャンの養女となった孤児コゼット)
ミュージカル映画だから当然のことながらセリフはすべて歌で、しかも英語である。かなり聞きやすい簡単な英語である。スラングの多い映画の英語セリフと違って、単純な表現で明瞭な発声なので英語の勉強のためにはいいかもしれない。
じつは、この映画は観るか観ないか決めかねていたが、観ることにきめたのは、韓国では空前の大ヒットになっているという記事を読んだからだ。映画「レ・ミゼラブル」に熱狂する韓国人 韓国の今を映し出す映画として社会現象に(趙 章恩、日経ビジンスオンライン 2013年1月30日)。
キリスト教徒が全人口の 1/3 を超える韓国ならではというわけでもないようだ。基本的に19世紀フランスが舞台なのでキリスト教(・・とくにカトリック)の色彩のつよい内容だが、もちろんキリスト教徒ではなくても感動する内容である。
秘密を抱えたまま黙って世を去っていく主人公の姿には、日本人の琴線に触れるものがあるといっていいかもしれない。
しかも、人生の節々で倫理的な難問を突きつけられる主人公は、なんだか対話型授業で有名になった『ハーバード白熱授業』のサンデル教授の授業内容のようでもある。
真人間に改心してからのジャン・バルジャンがとった選択肢は、いずれも彼にとっては不利になるものであったが、自分にウソをつかない悔いのない人生とは何かとは考えることにつなることも、この映画に感動する理由の一つなのだろうと思ってみる。
エルビスも歌っているアメリカのスタンダードナンバーの『マイ・ウェイ』のような内容であると言ってもいいかもしれない。
『オペラ座の怪人』の映画版もそうであったが、ミュージカル映画やオペラ映画は映画館で観るに限る。ステレオの大音量でなければ十分に楽しめないからだ。
観る価値のあるミュージカル映画である。まだ観ていない人はぜひ観ることをお薦めしたい。
<関連サイト>
『レ・ミゼラブル』 (公式サイト)
http://www.lesmiserables-movie.jp/
TOHOシネマズ 映画紹介
http://hlo.tohotheater.jp/net/movie/TNPI3060J01.do?sakuhin_cd=009489
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(2014年8月7日 情報追加)
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