『反省記-ビル・ゲイツとともに成功をつかんだ僕が、ビジネスの“地獄で学んだこと』(西和彦、ダイヤモンド社、2020)を読了。この本はほんと面白かった。
アスキーの西和彦といったら、とくにパソコンおたくではなくても(・・自分もそうではない)、バブル時代をビジネスパーソンとして過ごした人なら懐かしい名前だ。まだ現役なので懐かしいといったら失礼だろうが、あの時代はほんとすごかったのだ。西和彦氏の成功も、その転落ぶりもまたジェットコースターのようであった。
「反省記」というタイトルは、もちろん「半生記」をもじったものだろうが、1956年生まれで現在64歳の著者が、猛スピードの成功と数多い失敗経験を包み隠さず書き記し、自分自身の反省と学び、そして読者の参考とすべく執筆したものだ。
副題に「ビル・ゲイツとともに成功をつかんだ僕が、ビジネスの“地獄で学んだこと」には誇張も嘘偽りもない。まさに地獄であり、それも半端なものではまったくない。赤裸々な告白録であり、バブル時代とバブル崩壊後の日本について追体験しながら、著者の再生物語をいっしょに体験することになる。
思うに、うまくやることだけが人生ではないのである。著者のように大金持ちになるチャンスをみすみす捨て去るのもまた人生だ。
ある意味、本人の業(ごう)のなすわざではあるが、ネガティブな感情をいかに克服するかの生きた事例でもある。 西和彦という人物に興味があればなおさら、なくても読む価値のある本だと思う次第。
目 次遭遇 萌芽 武器 船出 ゲリラ進撃 伝説 開拓 対決 未完 訣別 瓦解 暴落 ブラック 造反 屈辱 陥落 撤退 負け犬 再生
著者プロフィール西和彦(にし・かずひこ)株式会社アスキー創業者。東京大学大学院工学系研究科IoTメディアラボラトリーディレクター。1956年神戸市生まれ。早稲田大学理工学部中退。在学中の1977年にアスキー出版を設立。ビル・ゲイツ氏と意気投合して草創期のマイクロソフトに参画し、ボードメンバー兼技術担当副社長としてパソコン開発に活躍。しかし、半導体開発の是非などをめぐってビル・ゲイツ氏と対立、マイクロソフトを退社。帰国してアスキーの資料室専任「窓際」副社長となる。1987年、アスキー社長に就任。当時、史上最年少でアスキーを上場させる。しかし、資金難などの問題に直面。CSK創業者大川功氏の知遇を得、CSK・セガの出資を仰ぐとともに、アスキーはCSKの関連会社となる。その後、アスキー社長を退任し、CSK・セガの会長・社長秘書役を務めた。2002年、大川氏死去後、すべてのCSK・セガの役職から退任する。その後、米国マサチューセッツ工科大学メディアラボ客員教授や国連大学高等研究所副所長、尚美学園大学芸術情報学部教授等を務め、現在、須磨学園学園長、東京大学大学院工学系研究科IoTメディアラボラトリーディレクターを務める。工学院大学大学院情報学専攻博士(情報学)。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)
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