酒をやめて「500日」になったこともあり、積ん読となっていた本をささっと読んでみた。 著名な投資家は、「酒を飲まない人」を大ぐくりで「ゲコノミスト」と命名している。
「下戸(げこ)」とは厳密にいえば「酒を飲めない人」のことだが、「酒を飲めないから、飲まない人」だけでなく、「酒は飲めるが、飲まない人」までカバーしている。 わたしも自分自身が「酒を飲まない人」にならなかったら、こんな本はまず読むことはなかっただろう。
わたしは「酒は飲めるし、強いし、好きだ(った)が、飲まないことにした人」なので、厳密にいえば狭い意味の「下戸」ではない。だが、広い意味で「ゲコノミスト」に分類委されるということになるのだろう。そんな人は少なくないようだ。 「ゲコノミスト」の個別性、多様性が重要なのである。
(2022年5月16日に500日達成していた)
2020年5月に初版がでた本だが、読んでいると2019年には「飲み会スルー」が流行語になったとあった。 ああ、そういえばそんなこともあったなと思い出しながら読んだが、2020年1月から始まった「新型コロナウイルス感染症」(COVID-19)がパンデミックとなって、この2年間で組織が主催する「飲み会」がほぼ絶滅危惧種となった。 大きな環境変化である。
この流れは、もはや不可逆の流れといっていいだろう。お酒を飲まない人がマジョリティになる! 飲む飲まないは、あくまでも「個人の自由意志」にもとづく「選択の自由」の問題だという認識が定着してきたのである。
酒を飲みたい人は飲めばいいし、飲みたくない人は飲まなければいい。そんな社会が到来しつつあり、定着しつつあるのだから、たいへん結構なことではないか! ようやく日本も、先進国になりつつあるわけだ。
すでに「お酒を飲まない人」の巨大な市場が存在するのに、業界はまだ、まだ対応しきれていないというのが本書の趣旨。その通りだろう。
ちなみに、わたしは酒を飲まなくなってからも「ノンアルビール」は飲まない。むかしから嫌いだからだ。ビールからアルコールを抜けばいいというのは陳腐な発想だ。
個人的な話だが、なんといっても「水」がいちばんうまい。それも「炭酸の入っていない純水」。料理の味はアルコールで舌をごまかすのではなく、水ならきちんと味わうことができる。我慢して酒を飲まないのではない。飲みたいという気持ちじたいが失せてしまった。
巻末の「ゲコゲコ 特別対談 糸井重里×藤野英人」は面白かった。 著者の藤野英人氏だけでなく、糸井重里氏も「下戸」だったのか。
目 次序章 ゲコノミクスについて、大マジメに語ろう第1章 見落とされてきた巨大な「ゲコ市場」第2章 投資家が考える「企業経営とアルコール」第3章 多様性と「飲む・飲まない」の選択との関係第4章 ゲコ市場開拓のヒントゲコ×ゲコ特別対談 糸井重里×藤野英人
著者プロフィール藤野英人(ふじの・ひでと)レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役社長・最高投資責任者。1966年富山県生まれ。1990年早稲田大学法学部卒業。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。JPXアカデミーフェロー、明治大学商学部兼任講師、東京理科大学上席特任教授。一般社団法人投資信託協会理事。著書多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)
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