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2013年12月2日月曜日

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた(2013年12月2日)-ことしはチャイコフスキーの 『荘厳序曲(1812年)作品 49』


ことしもまた玉川大学の「第九演奏会」にご招待いただいた。毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(会場はサントリーホール)である。

はや『第九』の季節である。昨年より一週間早い。第九だが、ことしはテノールはふたたび錦織健に戻った。

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◆曲目: チャイコフスキー/荘厳序曲(1812年)作品 49
  L.v.ベートーヴェン/交響曲第九番ニ短調「合唱付」作品125
◆指揮:秋山和慶
◆独唱:大倉由紀枝(ソプラノ)、永井和子(メゾ・ソプラノ)、錦織健(テノール)、木村俊光(バリトン)
◆管弦楽:玉川大学管弦楽団
◆合唱:玉川大学芸術学部合唱団

◆日時:2013年12月2日(月)19時開演(開場18時30分)
◆会場:サントリーホール

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ことしは、『荘厳序曲(1812年)』。タイトルの「1812年」とはナポレオンのロシア遠征が行われた年である。いまから200年も前のことだ。作曲されたのは1880年。戦いから68年後である。

クライマックス付近では「ラマルセイエーズ」の調べに乗りながら大砲が使用となっているようだが、さすがにサントリーホールでは大砲を発射することはできない。パンフレットによれば、サンプリング音をパソコンからの出力で代用したとのことだ。日本国内で演奏に大砲を発射できるのは自衛隊の演習場だけだから。

1824年に初演された『第九』が啓蒙思想を反映したものであることは有名だが、フランス啓蒙思想を軍隊のチカラで欧州全域に拡散したのがナポレオンである。ナポレオンのロシア遠征はトルストイの『戦争と平和』に描かれているが、セリフのかなりの部分がフランス語であることが記憶にあるかもしれない。

ナポレオンのロシア遠征はドイツ占領を前提としたものだ。ドイツを通らなければ陸路ではロシアにはいけない。

当時まだ統一されておらず小国分立状態であったドイツにおいて、先進国フランスによる占領は大きなインパクトとなった。これはベートーヴェンでいえば『第九』ではなくむしろ『第三交響楽の英雄(エロイカ)』のテーマである。哲学者ヘーゲルにとってはナポレオンは「馬上の世界精神」とされ、啓蒙主義(Enlightenment)はまさに文字通り「光」(Light)のものであったわけだ。

ロシアにとってはナポレオン遠征軍は戦うべき外敵であった。60万人のフランス軍はロシアで敗走して5千人に減少したという。

ともに後進国であったドイツとロシアとでは、フランスとの距離の近さがその後の歴史を決定していく。ドイツはナポレオン戦争後、約60年でようやく国家統一。しかしその60年後ナチズムの暴威がふるう。ロシアはナポレオン戦争後、1917年には革命によって社会主義国となり、その後スターリンの暴威がふるう。「後進国」ゆえの問題であったといえよう。

クラシック音楽の分野に限定すれば、ドイツとロシアにおいてこそ、深く重い精神性のある音楽がつくられたのは、「後進国」ゆえの苦悩があったからだろう。

そのドイツ音楽、ロシア音楽好きな日本人は、さらにロシアより東方の極東の「後進国」であったが、明治時代以来、西洋音楽は完全に定着し、現在では当たり前のようにきわめて高度な演奏技術を駆使して聴衆を感動させている。

どういう意図で今回の選曲がなされたか知らないが、啓蒙思想と西洋音楽、そして日本というお題でものを考えてみるのも面白い。


(サントリーホール前のカラヤン広場 「光」のアーケード)


『第九』というと、ただちに年末が連想されるが、ことしも玉川大学の『第九』を聴いて、あっという間の一年だったような、早いものだなあという感慨を抱く。

ことしは例年以上に迫力ある「第九」だったのではないかと思った。指揮・演奏・コーラスの三拍子がじつによく融合してパワーをつくりだしていたからだ。指揮者の秋山和慶氏も年齢を感じさせない男性的で雄々しいし、ことしはとくにコーラスの迫力がすごかったように思う。

聴いていてふと思ったのだが、すでにCDで聴いた回数よりも玉川大学の演奏で聴いたほうが多くなっているのかもそれない。


ことし一年を無事に(?)過ごすことができたことを感謝し、そしてまた来年も無事に過ごすことができるよう祈願する次第だ。

それが日本人にとっての『第九』の意義なのであろう。今後も末永くこの慣習は続くことだろう。


<関連サイト>

2013(平成25年度) 玉川大学 第九演奏会(サントリーホール)のご案内 (玉川大学)

Tchaikovsky - 1812 Overture (Full with Cannons) (YouTube動画)
・・『荘厳序曲(1812年)』の大砲使用バージョン。大砲がぶっ放されるので音声に注意!!!





<ブログ内関連記事>

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた(2012年12月9日)-ことしはシベリウスの交響詩 『フィンランディア』!

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた-多事多難な2011年を振り返り、勇気をもって乗り越えなくてはと思う

今年(2010年)もまた毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)に行ってきた

師走の風物詩 「第九」を聴きに行ってきた・・・つれづれに欧州連合(EU)について考える

書評 『指揮者の仕事術』(伊東 乾、光文社新書、2011)-物理学専攻の指揮者による音楽入門

書評 『オーケストラの経営学』(大木裕子、東洋経済新報社、2008)-ビジネス以外の異分野のプロフェッショナル集団からいかに「学ぶ」かについて考えてみる 

映画 『ロイヤル・アフェア-愛と欲望の王宮-』(2012、デンマーク他)を 渋谷の Bunkamura ル・シネマ)で-「啓蒙の世紀」を小国デンマークから見る

書評 『近代の呪い』(渡辺京二、平凡社新書、2013)-「近代」をそれがもたらしたコスト(代償)とベネフィット(便益)の両面から考える
・・フランス革命そのものよりもナポレオン戦争が「近代」のカギであった

讃美歌から生まれた日本の唱歌-日本の近代化は西洋音楽導入によって不可逆な流れとして達成された




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2012年12月10日月曜日

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた(2012年12月9日)-ことしはシベリウスの交響詩 『フィンランディア』!


ことしもはや『第九』の季節である。はやいものだ。

ことしもまた玉川大学の「第九演奏会」にご招待いただいた。

今回は日曜日の午後の開催である。マチネである。「マチネ」(matinee)とは朝から午後を意味するフランス語。夕方を意味する「ソワレ」(soiree)の反対語だ。

ことしは、テノールも交替した。錦織健から市原多朗への交替である。

さらに、ことしはわたしが大好きな交響詩 『フィンランディア』というのもうれしい。フィンランド苦難の歴史から生み出されたこの名曲は、聞いているだけで熱くなってくる。フィンランド民族の不屈の精神は日本人の底力につうじるものがあるからだ。腹の底から元気がでる曲である。

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◆曲目:シベリウス 交響詩 《フィンランディア》 作品26
  L.v.ベートーヴェン/交響曲第九番ニ短調「合唱付」作品125
◆指揮:秋山和慶
◆独唱:大倉由紀枝(ソプラノ)、永井和子(メゾ・ソプラノ)、市原多朗(テノール)、木村俊光(バリトン)
◆管弦楽:玉川大学管弦楽団
◆合唱:玉川大学芸術学部合唱団

◆日時:2011年12月9日(日)14時開演(開場13時30分)
◆会場:サントリーホール

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つい先日読んだ 『オーケストラの経営学』(大木裕子、東洋経済新報社、2008) にも書いてあったが、一つの曲に専念して入念に練習を積み重ねてきたオーケストラのほうが、有名なオーケストラよりもすばらしい演奏を行うことがあるという。「玉川大学の第九」もまたその典型的な例であろう。

また、いつ聴いても合唱パートがすばらしいのだが、いかんせんドイツ語の歌詞を耳で聴いてもドイツ語そのものとしては聞き取れないのが残念だ。『第九』を歌った経験がないから歌詞がアタマのなかに入っていないのだろう。プログラムにドイツ語の歌詞を書いておいてもらういといいのだが。

だが、今回は『第九』の聴き方にすこしは深みがでてきたかもしれない。書評 『指揮者の仕事術』(伊東 乾、光文社新書、2011)-物理学専攻の指揮者による音楽入門 でも触れたが、歌詞(=コトバ)を介して音楽と思想が結びつく、19世紀ドイツにおける音楽史と思想史のうねりを感じ取ることの必要をあたらめて知ることができたからだ。

シラーの原詩とベートーヴェンが変更した詩句との比較、ドイツ語の原詩の深い意味、『歓喜の歌』と題されているが、そのままストレートに受け取るべきものではないことなど、ほんとうはそこまで突っ込んで考えなくてはならないようなのだ。

難聴のため耳が聞こえなくなっていたとはいえ、自分のアタマのなかでは自分の声は聞こえていたと考えるべきこと、も。

ご関心のある方は、ぜひ『指揮者の仕事術』の「第5章 言葉に命を吹き込む仕事-「第九交響曲」の魂を訪ねて」を読んでいただきたい。日本語の訳詞だけでは深掘りに限界があるからだ。

『第九』というと、ただちに年末が連想されるが、ことしも玉川大学の『第九』を聴いて、あっという間の一年だったような、早いものだなあという感慨を抱く。

戦後間もなくはじまった慣習のようだが、第九(だいく)といえば年末という連想を日本人のアタマから切り離すのはもはや困難であろう。おなじく12月ネタであるが、大工(だいく)といえばマリアさまの旦那ヨセフという連想は、キリスト教徒でないとピンとこないかもしれないが。

一年の終わりが近づいてきて思うのは、月並みな感想かもしれないが、生きているいることに感謝という気持ちである。

つい数日前にも「3-11」のかなり大きな余震があったばかりだからだ。幸いなことにコンサート当日は大きな地震もなく、演奏は中断されることなくフィナーレを迎えることができた。めでたし、めでたし。



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書評 『指揮者の仕事術』(伊東 乾、光文社新書、2011)-物理学専攻の指揮者による音楽入門






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2011年12月2日金曜日

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた-多事多難な2011年を振り返り、勇気をもって乗り越えなくてはと思う



 昨日(12月1日)、毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」にいってきた。

 12月といえば、ベートーヴェンの第九が日本の年末の風物詩。昭和13年(1938年)以来という。教育諮問委員を拝命していることから、毎年お招きいただいている玉川大学の 「第九演奏会」だが、ことしは一足早く、12月1日とちょっと早いような気もするが、十分に堪能させていただいた。

 毎年思うのだが、玉川大学管弦楽団と合唱団のレベルはほんとうに高い。大学一年生は全員が第九の合唱をすることになっているらしいが、合唱団はそのなかでも芸術学部の現役学生やOB・OGによって構成された精鋭であるからだろう。

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◆曲目:フランツ・リスト 交響詩《レ・プレリュード》LW-G3
  L.v.ベートーヴェン/交響曲第九番ニ短調「合唱付」作品125
◆指揮:秋山和慶
◆独唱:大倉由紀枝(ソプラノ)、永井和子(メゾ・ソプラノ)、錦織健(テノール)、木村俊光(バリトン)
◆管弦楽:玉川大学管弦楽団
◆合唱:玉川大学芸術学部合唱団

◆日時:2011年12月1日(木)19時開演(開場18時30分)
◆会場:サントリーホール

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 まずは「3-11」の死者と、今年亡くなられた前学長の小原哲郎氏の追悼のため、バッハの「G線上のアリア」の演奏。これはプログラムにはなかったものだが、この曲を聴きながら、いろいろなことが走馬燈のように浮かんで消えた。ほんとうに今年は多事多難な年であったのだ、と。

 前奏曲のフランツ・リスト 交響詩《レ・プレリュード》LW-G3 は、当日もらったパンフレットによると、1991年に発見された「まぼろしの交響楽」で、ことし201110月に「日独交流150年」の認定事業の一環として、「復活世界初演」が玉川大学管弦楽団によっって行われたという。

 「第九」にかんしていえば、指揮者も独唱者もこの3年間同じで、その意味では安定感がさらに増したというべきか。管弦楽も合唱にかんしていえば、構成メンバーに異動はあるかもしれない。なお、現学長が合唱団のなかで合唱されていたことにお気づきになられただろうか。

 ところで、「歓喜の歌」といえば、1985年には「欧州連合賛歌」(EU賛歌)として採用されている。

 一昨年のこのブログ記事に 師走の風物詩 「第九」を聴きに行ってきた・・・つれづれに欧州連合(EU)について考える という記事を書いているが、読み直してみて思うのは、いままさに崩壊寸前にある共通通貨ユーロについてである。

 「3-11」にはじまり歴史の激変期を体験している日本だけでなく、欧州もまた欧州金融危機のまっただなかにある。

 ベートヴェンがこの第九交響楽を作曲した 1823年から1824年は、52歳から53歳にあたるが、すでに耳はほとんど聞こえていなかったという。自分が作曲した音をまったく聞いてないのであるが、けっして絶望に陥ることなくこの交響楽を書き上げたのである。

 それを思えば、絶望なんかしていられないではないか。

 「歓喜の歌」の歌詞ではないが、Per aspera ad astra. というラテン語の格言を思い出す。ペラスペラ・アダストラとよむこのラテン語の意味は、「苦難をつうじて星まで」というものだ。

 2011年を振り返り、絶望することなく、勇気をもって乗り越えなくてはと思うのである。日本では「第九」の意味はそういうところにあるのかもしれない。



<ブログ内関連記事>

今年(2010年)もまた毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)に行ってきた

師走の風物詩 「第九」を聴きに行ってきた・・・つれづれに欧州連合(EU)について考える




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