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2013年12月2日月曜日

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた(2013年12月2日)-ことしはチャイコフスキーの 『荘厳序曲(1812年)作品 49』


ことしもまた玉川大学の「第九演奏会」にご招待いただいた。毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(会場はサントリーホール)である。

はや『第九』の季節である。昨年より一週間早い。第九だが、ことしはテノールはふたたび錦織健に戻った。

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◆曲目: チャイコフスキー/荘厳序曲(1812年)作品 49
  L.v.ベートーヴェン/交響曲第九番ニ短調「合唱付」作品125
◆指揮:秋山和慶
◆独唱:大倉由紀枝(ソプラノ)、永井和子(メゾ・ソプラノ)、錦織健(テノール)、木村俊光(バリトン)
◆管弦楽:玉川大学管弦楽団
◆合唱:玉川大学芸術学部合唱団

◆日時:2013年12月2日(月)19時開演(開場18時30分)
◆会場:サントリーホール

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ことしは、『荘厳序曲(1812年)』。タイトルの「1812年」とはナポレオンのロシア遠征が行われた年である。いまから200年も前のことだ。作曲されたのは1880年。戦いから68年後である。

クライマックス付近では「ラマルセイエーズ」の調べに乗りながら大砲が使用となっているようだが、さすがにサントリーホールでは大砲を発射することはできない。パンフレットによれば、サンプリング音をパソコンからの出力で代用したとのことだ。日本国内で演奏に大砲を発射できるのは自衛隊の演習場だけだから。

1824年に初演された『第九』が啓蒙思想を反映したものであることは有名だが、フランス啓蒙思想を軍隊のチカラで欧州全域に拡散したのがナポレオンである。ナポレオンのロシア遠征はトルストイの『戦争と平和』に描かれているが、セリフのかなりの部分がフランス語であることが記憶にあるかもしれない。

ナポレオンのロシア遠征はドイツ占領を前提としたものだ。ドイツを通らなければ陸路ではロシアにはいけない。

当時まだ統一されておらず小国分立状態であったドイツにおいて、先進国フランスによる占領は大きなインパクトとなった。これはベートーヴェンでいえば『第九』ではなくむしろ『第三交響楽の英雄(エロイカ)』のテーマである。哲学者ヘーゲルにとってはナポレオンは「馬上の世界精神」とされ、啓蒙主義(Enlightenment)はまさに文字通り「光」(Light)のものであったわけだ。

ロシアにとってはナポレオン遠征軍は戦うべき外敵であった。60万人のフランス軍はロシアで敗走して5千人に減少したという。

ともに後進国であったドイツとロシアとでは、フランスとの距離の近さがその後の歴史を決定していく。ドイツはナポレオン戦争後、約60年でようやく国家統一。しかしその60年後ナチズムの暴威がふるう。ロシアはナポレオン戦争後、1917年には革命によって社会主義国となり、その後スターリンの暴威がふるう。「後進国」ゆえの問題であったといえよう。

クラシック音楽の分野に限定すれば、ドイツとロシアにおいてこそ、深く重い精神性のある音楽がつくられたのは、「後進国」ゆえの苦悩があったからだろう。

そのドイツ音楽、ロシア音楽好きな日本人は、さらにロシアより東方の極東の「後進国」であったが、明治時代以来、西洋音楽は完全に定着し、現在では当たり前のようにきわめて高度な演奏技術を駆使して聴衆を感動させている。

どういう意図で今回の選曲がなされたか知らないが、啓蒙思想と西洋音楽、そして日本というお題でものを考えてみるのも面白い。


(サントリーホール前のカラヤン広場 「光」のアーケード)


『第九』というと、ただちに年末が連想されるが、ことしも玉川大学の『第九』を聴いて、あっという間の一年だったような、早いものだなあという感慨を抱く。

ことしは例年以上に迫力ある「第九」だったのではないかと思った。指揮・演奏・コーラスの三拍子がじつによく融合してパワーをつくりだしていたからだ。指揮者の秋山和慶氏も年齢を感じさせない男性的で雄々しいし、ことしはとくにコーラスの迫力がすごかったように思う。

聴いていてふと思ったのだが、すでにCDで聴いた回数よりも玉川大学の演奏で聴いたほうが多くなっているのかもそれない。


ことし一年を無事に(?)過ごすことができたことを感謝し、そしてまた来年も無事に過ごすことができるよう祈願する次第だ。

それが日本人にとっての『第九』の意義なのであろう。今後も末永くこの慣習は続くことだろう。


<関連サイト>

2013(平成25年度) 玉川大学 第九演奏会(サントリーホール)のご案内 (玉川大学)

Tchaikovsky - 1812 Overture (Full with Cannons) (YouTube動画)
・・『荘厳序曲(1812年)』の大砲使用バージョン。大砲がぶっ放されるので音声に注意!!!





<ブログ内関連記事>

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた(2012年12月9日)-ことしはシベリウスの交響詩 『フィンランディア』!

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた-多事多難な2011年を振り返り、勇気をもって乗り越えなくてはと思う

今年(2010年)もまた毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)に行ってきた

師走の風物詩 「第九」を聴きに行ってきた・・・つれづれに欧州連合(EU)について考える

書評 『指揮者の仕事術』(伊東 乾、光文社新書、2011)-物理学専攻の指揮者による音楽入門

書評 『オーケストラの経営学』(大木裕子、東洋経済新報社、2008)-ビジネス以外の異分野のプロフェッショナル集団からいかに「学ぶ」かについて考えてみる 

映画 『ロイヤル・アフェア-愛と欲望の王宮-』(2012、デンマーク他)を 渋谷の Bunkamura ル・シネマ)で-「啓蒙の世紀」を小国デンマークから見る

書評 『近代の呪い』(渡辺京二、平凡社新書、2013)-「近代」をそれがもたらしたコスト(代償)とベネフィット(便益)の両面から考える
・・フランス革命そのものよりもナポレオン戦争が「近代」のカギであった

讃美歌から生まれた日本の唱歌-日本の近代化は西洋音楽導入によって不可逆な流れとして達成された




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2012年12月10日月曜日

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた(2012年12月9日)-ことしはシベリウスの交響詩 『フィンランディア』!


ことしもはや『第九』の季節である。はやいものだ。

ことしもまた玉川大学の「第九演奏会」にご招待いただいた。

今回は日曜日の午後の開催である。マチネである。「マチネ」(matinee)とは朝から午後を意味するフランス語。夕方を意味する「ソワレ」(soiree)の反対語だ。

ことしは、テノールも交替した。錦織健から市原多朗への交替である。

さらに、ことしはわたしが大好きな交響詩 『フィンランディア』というのもうれしい。フィンランド苦難の歴史から生み出されたこの名曲は、聞いているだけで熱くなってくる。フィンランド民族の不屈の精神は日本人の底力につうじるものがあるからだ。腹の底から元気がでる曲である。

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◆曲目:シベリウス 交響詩 《フィンランディア》 作品26
  L.v.ベートーヴェン/交響曲第九番ニ短調「合唱付」作品125
◆指揮:秋山和慶
◆独唱:大倉由紀枝(ソプラノ)、永井和子(メゾ・ソプラノ)、市原多朗(テノール)、木村俊光(バリトン)
◆管弦楽:玉川大学管弦楽団
◆合唱:玉川大学芸術学部合唱団

◆日時:2011年12月9日(日)14時開演(開場13時30分)
◆会場:サントリーホール

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つい先日読んだ 『オーケストラの経営学』(大木裕子、東洋経済新報社、2008) にも書いてあったが、一つの曲に専念して入念に練習を積み重ねてきたオーケストラのほうが、有名なオーケストラよりもすばらしい演奏を行うことがあるという。「玉川大学の第九」もまたその典型的な例であろう。

また、いつ聴いても合唱パートがすばらしいのだが、いかんせんドイツ語の歌詞を耳で聴いてもドイツ語そのものとしては聞き取れないのが残念だ。『第九』を歌った経験がないから歌詞がアタマのなかに入っていないのだろう。プログラムにドイツ語の歌詞を書いておいてもらういといいのだが。

だが、今回は『第九』の聴き方にすこしは深みがでてきたかもしれない。書評 『指揮者の仕事術』(伊東 乾、光文社新書、2011)-物理学専攻の指揮者による音楽入門 でも触れたが、歌詞(=コトバ)を介して音楽と思想が結びつく、19世紀ドイツにおける音楽史と思想史のうねりを感じ取ることの必要をあたらめて知ることができたからだ。

シラーの原詩とベートーヴェンが変更した詩句との比較、ドイツ語の原詩の深い意味、『歓喜の歌』と題されているが、そのままストレートに受け取るべきものではないことなど、ほんとうはそこまで突っ込んで考えなくてはならないようなのだ。

難聴のため耳が聞こえなくなっていたとはいえ、自分のアタマのなかでは自分の声は聞こえていたと考えるべきこと、も。

ご関心のある方は、ぜひ『指揮者の仕事術』の「第5章 言葉に命を吹き込む仕事-「第九交響曲」の魂を訪ねて」を読んでいただきたい。日本語の訳詞だけでは深掘りに限界があるからだ。

『第九』というと、ただちに年末が連想されるが、ことしも玉川大学の『第九』を聴いて、あっという間の一年だったような、早いものだなあという感慨を抱く。

戦後間もなくはじまった慣習のようだが、第九(だいく)といえば年末という連想を日本人のアタマから切り離すのはもはや困難であろう。おなじく12月ネタであるが、大工(だいく)といえばマリアさまの旦那ヨセフという連想は、キリスト教徒でないとピンとこないかもしれないが。

一年の終わりが近づいてきて思うのは、月並みな感想かもしれないが、生きているいることに感謝という気持ちである。

つい数日前にも「3-11」のかなり大きな余震があったばかりだからだ。幸いなことにコンサート当日は大きな地震もなく、演奏は中断されることなくフィナーレを迎えることができた。めでたし、めでたし。



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2012年6月27日水曜日

「アート・スタンダード検定®」って、知ってますか?-ジャンル横断型でアートのリベラルアーツを身につける


「アート・スタンダード検定®」って、知ってますか?

「アート・スタンダード検定®」は、芸術(アート)全般にかんする基礎知識と教養の理解力を問う「検定」です。「アート・スタンダード検定」は登録商標です。

個別の分野だけでなく、芸術(アート)にふくまれる分野はすべて網羅しており、音楽・美術・演劇・舞踊だけでなく建築や工芸までふくんだ幅広い分野の基礎知識が、レベル1から5までの5段階で検定される仕組みになっています。

まだまだ知名度が高くないのは当然、2011年4月に玉川大学芸術学部で始まったばかりだからです。基本的に、芸術学部の学生が、自分の専攻分野以外の関連領域について、横断的に知ることが重要だという考えに基づいたものです。

ことし2012年の春に出版されたばかりの『アート・スタンダード検定®公式テキストブック』(玉川大学芸術学部編、玉川大学出版部、2012)には、項目数が500ありますが、ほんとにおどろくほど幅広く収録されています。

「レベル1」は大学入学前程度なので簡単ですが、さすがに芸術学部卒業レベルの「レベル5」になると、わたしも知らない項目が多いので、冷や汗がでますねえ・・・。芸術の基礎知識や基礎教養は、かなり奥が深いものがあります。

この公式テキストが面白いのは、芸術ジャンル別ではなく、50音順にすべての項目が並んでいることにあります。試験勉強用のテキストというよりも、芸術にかんする基礎用語事典みたいなつくりになっています。

現代美術の項目のつぎにクラシック音楽の項目があったり、ジャンルを横断して芸術分野のすべたがカバーされています。しかも、「レベル1」の項目のとなりに「レベル5」の項目があったりしますので、ついつい続けて読んでしまいます。  
       
そうなんです、芸術はすべての分野が、じつは連動しあっているのですね。音楽と美術は切り放して考えてはいけないのです。たとえば、バロック音楽とバロック美術は、おなじ文脈のなかで考える必要があるのです。その他の芸術分野も、それぞれがお互い密接に関連しあっているのです。

ネット検索があたりまえになってしまった現在、自分がいま調べている項目しか読まないことが当たり前になってしまってますが、あまり関係ない項目も一緒に読んだり、寄り道することはすごく重要です。そういう読み方をしていると、知識が関連づけられて文脈ができあがります。だからこそ、アナログの紙媒体のテキストに意味があるのです。

この構成は、じつはかなり考え尽くされたものであるようです。芸術にかんするリベラルアーツの実践を目的にしているようです。このテキストに書いてあることが全部アタマのなかに入っていたら「レベル5」です。それでも、大学4年終了程度なんですね。

世の中は「検定」ブームですが、いま全体でいくつの「検定」があるのかわからないほどです。しかし、意外とありそうでないのが、アートにかんする検定です。 「アート・スタンダード検定®」は、もっと広く知られていいんじゃないかなと思って、この機会に紹介いたしました。

芸術学部出身者の方だけでなく、一般のアート愛好家の方もご興味があれば、いちどぜひこのテキストの中身をのぞいてみてください。その価値は十分にあると思います。




目 次

アート・スタンダード検定公式テキスト(50音配列)

芸術関連専門事典・入門書一覧
文庫クセジュ(Collection QUE SAIS-JE ?)・芸術関係文献一覧
「知の再発見」双書・芸術関係文献一覧
玉川選書・芸術関係文献一覧


<ブログ内関連記事>

アートスタンダード検定 公式テキスト(玉川大学芸術学部 学生向け説明)

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた-多事多難な2011年を振り返り、勇気をもって乗り越えなくてはと思う

玉川大学の 「植物工場研究施設」と「宇宙農場ラボ」を見学させていただいた-一般的な「植物工場」との違いは光源がLEDであること!

東南アジア入門としての 『知らなくてもアジア-クイズで読む雑学・種本-』(アジアネットワーク、エヌエヌエー、2008)-「アジア」 とは 「東南アジア」 のことだ!

書評 『私が「白熱教室」で学んだこと-ボーディングスクールからハーバード・ビジネススクールまで-』(石角友愛、阪急コミュニケーションズ、2012)-「ハウツー」よりも「自分で考えるチカラ」こそ重要だ!



 
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2012年1月28日土曜日

玉川大学の 「植物工場研究施設」と「宇宙農場ラボ」を見学させていただいた-一般的な「植物工場」との違いは光源がLEDであること!



本日(2012年1月28日)、玉川大学の 「植物工場研究施設」と「宇宙農場ラボ」を見学させていただきました。教育諮問委員を拝命していることもあって、見学をお願いしていたところ、本日ようやくその願いが実現したというわけです。

玉川大学農学部で研究開発がすすんでいるのは、「LED(=発光ダイオード)を光源にした植物工場」。これは世界最先端の技術です。現在は、先端技術の化研究開発施設である Future Sci Tech Lab で研究開発中です。  

最近のニュースとしては、通常タイプの「植物工場」が「3-11」の被災地でも導入されています。津波による塩害や原発事故による放射能によって、農地が使用できなくなってしまっているためです。このケースでは従来型の太陽光を光源として利用するタイプです。

玉川大学の「植物工場」が、一般的な「植物工場」となにがどう違うかというと、光源にLEDを使用することによって、より計画的、安定的な「農業の工業化」を推進することができることにあります。

太陽光はコストゼロの無料のエネルギー源ですが、いかんせん気象条件や気象状況によって左右されがちという欠点があります。東北地方の太平洋側は、豪雪地帯の日本海側と比べると比較的、天気は安定していますが、それでも一年365日をとおして、一日24時間をとおして一定しているわけではありません(・・もちろん夜間は日は照りません)。

これを技術的に解決しようというのが、LEDを光源として利用する「植物工場」なわけです。

玉川大学のウェブサイトに解説があるので引用しておきましょう。


植物工場研究施設では、都心のビルでも地下室でも作物が栽培できる新しい農業技術の開発をめざし、無農薬で安全な作物生産の実証実験を行います。またそれを広く紹介するための情報発信施設の役割を担います。室内には多段式水耕栽培システムを設置し、植物栽培用に新しく開発したダイレクト水冷型ハイパワーLEDパネルを光源にして、レタス、サラダナ、イチゴ、トマトなどの栽培実験を行います。宇宙農場ラボでは、宇宙ステーションや惑星基地において作物を栽培できるシステム開発を行います。ここでは植物にとって擬似的な無重力状態を作り出す栽培装置や、減圧下での水耕栽培システムを設置し、仮想宇宙空間での作物栽培実験を行います。

"LED" で育てる新しい農業のかたち
 新しい農業の形として植物工場が注目されています。天候に左右されず、効率的かつ安全に作物を生産するこのシステムは、食料不足が予想される将来、世界的に必要不可欠な技術と考えられています。現在、蛍光灯や高圧ナトリウムランプを光源とした植物工場が提案されていますが、植物工場研究施設では、世界で初めてダイレクト水冷システムを導入したハイパワーLEDを主光源としたシステムを構築しました。これは波長制御がしやすいというLEDの特長を活かしながら、きわめて高い光出力とLEDチップの耐久性を両立させた技術であり、LEDの特長を植物工場にうまくフィットさせた実用的なシステムといえます。

 植物工場における要素技術は、宇宙空間での食料生産を可能とする宇宙農場を実用化する技術でもあります。「宇宙農場ラボ」と名付けた実験室では、宇宙ステーションや火星などの惑星基地での食料生産をめざし、LEDを光源とした擬似的な無重力条件での植物栽培実験や、大気圧の十分の一以下の低圧下で植物の生育を可能とする栽培システムの開発を行い、宇宙空間での作物栽培をめざした研究を推進します。


また、"LED" で育てる新しい農業のかたち(学術研究所生物機能開発研究センター 農学部生命化学科 渡邊博之教授)という記事もたいへん参考になります。

本日は、その渡辺教授にもお時間をいただいて、いろいろ質問させていただきました。

お話のなかで印象が強かったのが、LEDは家庭用の照明器具むけとしてはさておき、工業用として使うにはいろいろと問題があるようですね。LEDは発する熱を冷却するために、風冷方式や水冷方式を採用したとのことです。

LEDの技術的な問題が、ようやくクリアできてきたそうですが、最初に取り組み初めてから、ここまでくるのに20年近くもかかったとのこと。

ちなみにこのレタス、収穫されてから3日のものですが味はいいですよ。3週間は長持ちする(!)とのことです。クリーンルームでの水耕栽培ですから、害虫や病気の心配もないのが「植物工場」で収穫された野菜です。

豪雪のため日照時間の短い冬期の日本海側や、高緯度のため冬期の日照時間の短い英国や北欧などの地域(・・南半球も同様)では、新鮮な野菜を供給することができるシステムとして、LED利用の植物工場が有望ではないかと質問したところ、実際に日本でも東北地方のある県で取り組みが始まっているという答えをいただきました。

富士山噴火による噴煙が関東平野を覆う事態も「想定内」に入ってきています。日照時間が短くなる事態に備えて、LED型植物工場の普及は、いまや喫緊の課題ですね!

わたし自身は植物工場のビジネスに直接かかわっているわけではありませんが、もともと小学生の頃から野菜づくりをやっていたことや、大学での専攻は本来は生物学にするつもりだったので「植物工場」には多大な興味をもっています。

技術(テクノロジー)によって社会問題の解決を行うとともに、ビジネスとしても両立することになれば、「農業の工業化」は、たいへん頼もしい技術開発といえますね。

まだ、量産化の段階には入ってませんが、そのメドがついてきたということでたいへん楽しみな話です。今後も要注目の技術開発ですね。





PS 玉川大学のLED農園「サイテックファーム」が完成

2013年1月26日にLED農園「サイテックファーム」(Sci Tech Farm TN Produce)を見学してきた。いよいよ研究段階から量産段階に入ってきた。
2月1日から小田急沿線にあるスーパーマーケット小田急OXでレタスの販売開始であるという。乞うご期待。 (2013年1月27日 記す)

⇒ 東京都・玉川大学などがLEDの光で栽培した未来のレタスが発売開始 (マイナビ、2012年12月13日)



<関連サイト>

拝見、最新式「植物工場」-人工の光と水と土で安心な野菜づくり (PRESIDENT 2013年2月4日号)

スマートアグリ先進国 オランダ式「強い農業」を学べ(動画 ワールドビジネスサテライト 2013年7月18日放送)

安倍首相も驚いたオランダ植物工場-半世紀の貿易競争で磨いた強さの秘訣 (日経ビジネスオンライン、2014年5月12日)



<ブログ内関連記事>

書評 『植物工場ビジネス-低コスト型なら個人でもできる-』(池田英男、日本経済新聞出版社、2010)

三度目のミャンマー、三度目の正直 (3) インレー湖のトマトがうまい理由(わけ)・・屋外天然の水耕栽培なのだ!(インレー湖 ②)



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2011年12月2日金曜日

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた-多事多難な2011年を振り返り、勇気をもって乗り越えなくてはと思う



 昨日(12月1日)、毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」にいってきた。

 12月といえば、ベートーヴェンの第九が日本の年末の風物詩。昭和13年(1938年)以来という。教育諮問委員を拝命していることから、毎年お招きいただいている玉川大学の 「第九演奏会」だが、ことしは一足早く、12月1日とちょっと早いような気もするが、十分に堪能させていただいた。

 毎年思うのだが、玉川大学管弦楽団と合唱団のレベルはほんとうに高い。大学一年生は全員が第九の合唱をすることになっているらしいが、合唱団はそのなかでも芸術学部の現役学生やOB・OGによって構成された精鋭であるからだろう。

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◆曲目:フランツ・リスト 交響詩《レ・プレリュード》LW-G3
  L.v.ベートーヴェン/交響曲第九番ニ短調「合唱付」作品125
◆指揮:秋山和慶
◆独唱:大倉由紀枝(ソプラノ)、永井和子(メゾ・ソプラノ)、錦織健(テノール)、木村俊光(バリトン)
◆管弦楽:玉川大学管弦楽団
◆合唱:玉川大学芸術学部合唱団

◆日時:2011年12月1日(木)19時開演(開場18時30分)
◆会場:サントリーホール

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 まずは「3-11」の死者と、今年亡くなられた前学長の小原哲郎氏の追悼のため、バッハの「G線上のアリア」の演奏。これはプログラムにはなかったものだが、この曲を聴きながら、いろいろなことが走馬燈のように浮かんで消えた。ほんとうに今年は多事多難な年であったのだ、と。

 前奏曲のフランツ・リスト 交響詩《レ・プレリュード》LW-G3 は、当日もらったパンフレットによると、1991年に発見された「まぼろしの交響楽」で、ことし201110月に「日独交流150年」の認定事業の一環として、「復活世界初演」が玉川大学管弦楽団によっって行われたという。

 「第九」にかんしていえば、指揮者も独唱者もこの3年間同じで、その意味では安定感がさらに増したというべきか。管弦楽も合唱にかんしていえば、構成メンバーに異動はあるかもしれない。なお、現学長が合唱団のなかで合唱されていたことにお気づきになられただろうか。

 ところで、「歓喜の歌」といえば、1985年には「欧州連合賛歌」(EU賛歌)として採用されている。

 一昨年のこのブログ記事に 師走の風物詩 「第九」を聴きに行ってきた・・・つれづれに欧州連合(EU)について考える という記事を書いているが、読み直してみて思うのは、いままさに崩壊寸前にある共通通貨ユーロについてである。

 「3-11」にはじまり歴史の激変期を体験している日本だけでなく、欧州もまた欧州金融危機のまっただなかにある。

 ベートヴェンがこの第九交響楽を作曲した 1823年から1824年は、52歳から53歳にあたるが、すでに耳はほとんど聞こえていなかったという。自分が作曲した音をまったく聞いてないのであるが、けっして絶望に陥ることなくこの交響楽を書き上げたのである。

 それを思えば、絶望なんかしていられないではないか。

 「歓喜の歌」の歌詞ではないが、Per aspera ad astra. というラテン語の格言を思い出す。ペラスペラ・アダストラとよむこのラテン語の意味は、「苦難をつうじて星まで」というものだ。

 2011年を振り返り、絶望することなく、勇気をもって乗り越えなくてはと思うのである。日本では「第九」の意味はそういうところにあるのかもしれない。



<ブログ内関連記事>

今年(2010年)もまた毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)に行ってきた

師走の風物詩 「第九」を聴きに行ってきた・・・つれづれに欧州連合(EU)について考える




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