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2015年10月31日土曜日

「パンプキン詐欺」にご用心!-平成のいまハロウィーンは完全に日本に定着した(2015年10月31日)


ことしもハロウィーンがやってきた。というよりも、ことしのハロウィーンの勢いはすごい。もはや押しとどめることができない流れのようだ。

ハロウィーンはもともと欧州の先住民族であるケルト人の農耕儀礼として始まったものが新天地のアメリカで発展し、それがさらに欧州に逆輸入されて世界的な大発展の過程にあるわけだが、日本におけるハロウィーンは、そもそもアメリカからの輸入文化である。

日本のハロウィーンも、すでに日本の年中行事の一つとして急速に定着しつつあるといってもいいかもしれない。

「なぜ1000億円市場になれた?独自の進化を遂げた日本式ハロウィンの実態|データで読み解くニッポン|ダイヤモンド・オンライン(2015年10月31日)という記事にこういうくだりがある。「日本記念日協会はハロウィンの市場規模は1220億円に上ると推計を発表した。同協会は、2011年の推計市場規模を560億円と発表しており、これをなぞるならわずか4年で市場は2倍以上に拡大したことになる」。

4年間で2倍である!この勢いがどこまで続くかわからないが、右肩上がりで増大していくことは間違いないだろう。クリスマスとバレンタイン、そしてハロウィーン。クリスマスが戦前の日本で導入され戦後に定着したものであれば、バレンタインは戦後日本のものであり、ハロウィーンは戦後というよりも平成になってからのものだ、といえる。


平成という時代のパラレルな現象である詐欺事件とハロウィーン

平成という時代は、オレオレ詐欺をはじめとする、さまざまな詐欺事件が横行するようになった時代でもある。とくに平成20年代になってからのここ数年は、その勢いにさらに拍車がかかっている。

そういった詐欺のなかに「還付金詐欺」というものがある。還付金(かんぷきん)の支払いにかこつけて詐欺行為が行われるわけだが、テレビでの注意喚起を画面を見ないで音声だけ聞いていると、どうしても「パンプキン詐欺」と聞こえてしまう(笑)

そう思う人は必ずしも少なくないようで、「パンプキン詐欺」でネット検索したら、いくらでもでてくるので安心(?)したりもするのだが・・・。

ハロウィーンといえば、オレンジ色のかぼちゃ(=パンプキン)のお化けが主役といってもいい。この時期は、日本全体がパンプキンだらけといっていいような状態だ。ハロウィーンで地域を盛り上げようという商店街もある。いわゆる町おこしの重要なアイテムになっているのだ。

アメリカでは子どもたちが「トリック・オア・トリート」(Trick or treat)といって家々を訪問してはお菓子をねだるのが習慣だ。「お菓子をくれなきゃ、イタズラしちゃうぞ!」という意味だ。

そう、ハロウィンにはそもそもトリック(=詐欺)が含まれている。だから「パンプキン詐欺」というのは、けっしておかしな話ではない。まあ、牽強付会(けんきょうふかい)というか、こじつけに近い話ではあるが(笑)

だが、詐欺事件の横行とハロウィーンの定着はパラレルな関係にある。因果関係はまったくないとしても、ビッグデータ的にみれば相関関係はあるのではないか? ともに時代を代表する現象であることは否定できまい。


なぜ日本人はハロウィーンを受け入れるようなったのだろうか?

では、なぜ日本人はハロウィーンを受け入れるようなったのだろうか?

そのひとつには「仮装」があると思われる。ハロウィーンの仮装は、日本がその震源地であるコスプレ文化とシンクロしあっているというべきだろう。

年間をつうじて楽しめるコスプレと期間限定のハロウィーンの仮装との違いは存在するが、コスプレ愛好家とハロウィーンで仮装する人たちは精神構造的には似たものが共有しているというべきかもしれない。仮装というコスチューム・プレイによって、ほんとうの自分という個性を消しつつ、じつは間接的に個性を主張するという素直ならざる方法論である。

この意味においては、日本では一部を除いては定着していないヴェネツィア型のカーニバル(=謝肉祭)の仮面による仮装があげられる。これは秘密クラブなどでは年間をつうじて行われているものだが、わたし自身は参加したことはないので、その実態については知らない。映画『アイズ・ワイド・シャット』に描かれている世界がそれである。セレブ感が強いだけに、一般的な普及は考えにくいかもしれない。

ハロウィーンはキリスト教色がほとんどないという点も大きいのではないか? 

クリスマスもまた、もともとはキリスト教とは関係のない農事暦にもっとづいた年中行事であったが、キリスト生誕日としての色彩が強いことは否定できない。だから、クリスマスは嫌いだというに発言にはいまでも日本人おあいだで一定の支持がある。

その点、ケルト人の民俗に由来するハロウィーンには、キリスト教の影響はない。農事暦のなかでもっとも重要な秋祭りである。日本の秋祭りとおなじ意味合いをもつ。

いまからちょうど4年前の2011年10月31日のことだが、このブログに ケルト起源のハロウィーン-いずれはクリスマスのように完全に 「日本化」 していくのだろうか? という記事を書いた。

その記事のなかの末尾でこんなことを書いているので、ちょっと長いが再録しておこう。

日本でもお盆やお正月は、最近でこそ形骸化しつつあるとはいえ、まだまだ伝統行事としての性格が強く保たれています。伝統行事と時期が重なる祭については、外国から伝来した新たな祭も、旧来のものにとって変わるのは簡単ではないようです。 この時期の祭礼であるお神楽などとは、完全に棲み分けがされていますが、もしかすると、もともと農耕儀礼であったハロウィーンが神社の祭礼と融合していくなんてことになるかもしれません。 貪欲に外来文化を取り入れてきた日本人が将来どのような取捨選択をするのか、たいへん興味深いものがあります。

この文章を書いてから4年たつが、状況は急速に進展した。というよりも急速に変化する途上にあるというべきだろうか。

そのうち神社の秋祭りにハロウィーンのお化けかぼちゃが登場することだろう。いや、わたしが知らないだけで、すでに登場している神社もあるかもしれない。日本でも巨大なオレンジ色のパンプキンの栽培は普及しつつあるのだから。というより、かぼちゃ自体がカンボジア経由で日本に渡来した作物ではないか!

伝統なんて、じつは創られたものであり、それは言い換えれば誰かが発端になって作り変えてしまうものだ。とくに無意識レベルで融通無碍(ゆづうむげ)な日本人にとっては、抵抗感はそれほど大きくないだろうだろう。あとは「あらたな伝統」の拡散プロセスが、どうスピードアップするだけの問題だ。

この4年間で市場規模が2倍に拡大した日本のハロウィーン。4年後の2019年(=平成31年)のハロウィーンはどうなっているか、おおいに楽しみである。





<ブログ内関連記事>

ケルト起源のハロウィーン-いずれはクリスマスのように完全に 「日本化」 していくのだろうか?(2011年10月31日)

5月1日は メーデー(May Day)
・・メーデーもまたケルトの民俗

バレンタイン・デーに本の贈り物 『大正十五年のバレンタイン-日本でチョコレートをつくった V.F.モロゾフ物語-』(川又一英、PHP、1984)
・・バレンタインのチョコレートは、日本のチョコレート製造会社メリー・カムパニーが戦後に始めたもの

「創られた伝統」

「恵方巻き」なんて、関西出身なのにウチではやったことがない!-「創られた伝統」についての考察-
・・英国の歴史家ホブズボームの『創られた伝統』(invented tradition)を援用して考察してみる

書評 『日本をダメにしたB層の研究』(適菜収、講談社+α文庫、2015)-徹底した「近代」批判の書は俯瞰的に左右両極を叩く
・・この著者にかかればハロウィーンなどB層の最たるものであろうが、「伝統」を伝統というだけで「伝統」の中身について論じていないのが致命的ではある。「伝統」軽視よりも規範意識の喪失のほうが日本人が劣化する原因であろう


平成時代と詐欺の高度化

「振り込め詐欺」はなぜなくならないのか?-ルポライター鈴木大介氏の『老人喰い』(ちくま新書、2015)と『奪取-「振り込め詐欺」10年史-』(宝島SUGOI文庫、2015)




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2015年4月10日金曜日

「振り込め詐欺」はなぜなくならないのか?-ルポライター鈴木大介氏の『老人喰い』(ちくま新書、2015)と『奪取-「振り込め詐欺」10年史-』(宝島SUGOI文庫、2015)


『老人喰い』というすさまじいタイトルの本を読んだ。副題は「高齢者を狙う詐欺の正体」。著者は鈴木大介氏。2015年2月の新刊新書。
  
「「犯罪する側の論理」「犯罪現場の貧困問題」をテーマに、裏社会・触法少年少女たちの生きる現場を中心とした取材活動を続けるルポライター」(カバー裏の著者プロフィール)である。
    
なんで「振り込め詐欺」なんかに騙されるのだ、バカじゃないの? といつも思っていたのだが、なるほど、これでは「振り込め詐欺」がなくなることはないな、と読みながら納得。詐欺を実行する側のほうが、騙される側よりも、はるかに高度化しているからだ。これでは勝てるわけがない。
   
ほとんど「ビジネス」化し、「仕事」と化している振り込め詐欺の実態。ほとんど合資会社といっていいような「資本と経営の分離」の徹底した組織づくり、振り込め詐欺のプレイヤーたちのモチベーションを引き出す研修などには、ほんと驚かされる。
    
そのあと同じ著者による『奪取-「振り込め詐欺」10年史-』(宝島SUGOI文庫、2015)を読んだ。2013年に出版された単行本の文庫化のようだ。「振り込め詐欺元年」の2003年からの10年間における推移を密着取材に基づいて、読みやすくストーリー化したものだ。この本を読むと、振り込め詐欺の、背景も含めた全体像が見えてくる。

猛烈にモチベーションの高い振り込め詐欺のプレイヤーの若者たちと、「出し子」や「受け子」と呼ばれるいとも簡単に切り捨てられる末端、そして絶対に逮捕されない出資者たち。 これらが組織的に完全に「分断」されているために、いくら「出し子」や「受け子」が逮捕されても、組織の摘発にはつながらない。
   
あまりにもうまく構築され高度化をつづけてきた振り込め詐欺の「ビジネスモデル」(?)の実態を知ると、なんとも言えない気になってしまう。
    
改めて思う。詐欺組織の隆盛の背後にあるのは、日本の格差社会、高齢者に偏重する資産、末端にまで行き及ばぬ経済回復や、伸び悩む雇用、そして軽視される社会的弱者や子どもたちへの福祉だ。(「文庫版あとがき」 より)

根底にあるのは、現在の若年層の、老人世代とのいちじるしい経済的格差世代間格差が経済格差となっている現状。もちろんこれだけが原因ではないが、振り込め詐欺という社会的問題の背景にあるものを見つめる必要はある。
 
たとえ高齢者ではなくても、他人事と考えない方がよさそうだ。とくに『老人喰い』は、騙されたと思って買って読むことをつよく薦めたい。詐欺の被害金額に比べたら、書籍代など、たかがしれているから。 




『老人喰い』

目 次

第1章 老人を喰らうのは誰か-高齢者詐欺の恐ろしい手口
第2章 なぜ老人喰いは減らないか-(株)詐欺本舗の正体
第3章 いかに老人喰いは育てられるか-プレイヤーができるまで
第4章 老人喰いとはどのような人物か-4人の実例からみた実像
第5章 老人喰いを生んだのは誰か-日本社会の闇のゆくえ
あとがき




『奪取-「振り込め詐欺」10年史-』 

目 次

序章 オレオレ詐欺の萌芽
第1章 若年化する詐欺現場
第2章 天職・振り込め詐欺プレイヤー
第3章 番頭格から見た景色
第4章 下克上
第5章 詐欺組織の生存競争
第6章 詐欺マネーの行方
あとがき
文庫のためのあとがき
統計 特殊詐欺の被害総額・認知件数の推移
解説 鈴木智彦(ルポライター)


著者プロフィール

鈴木大介(すずき・だいすけ)
1973年千葉県生まれ。「犯罪する側の論理」「犯罪現場の貧困問題」をテーマに、裏社会・触法少年少女らの生きる現場を中心とした取材活動を続けるルポライター。著書に『家のない少女たち』『援デリの少女たち』『振り込め犯罪結社』(いずれも宝島社)、『家のない少年たち』(太田出版)、『最貧困女子』(幻冬舎新書)など。現在、「週刊モーニング」(講談社)で連載中の『ギャングース』(原案『家のない少年たち』)でストーリー共同制作を担当。



<関連サイト>

『最貧困女子』著者による迫真のルポ 『老人喰い-高齢者を狙う狙う詐欺の正体-』(出版元の筑摩書房のウェブサイト)


<ブログ内関連記事>

ヤミ金融

マンガ 『闇金 ウシジマくん ① 』(真鍋昌平、小学館、2004)-圧倒的な迫力。リアリティあるストーリーに迫力のある絵柄。読み出したら、眠気が一気に覚める

韓国映画 『嘆きのピエタ』(キムギドク監督、2012)を見てきた-「第69回ベネチア国際映画祭」で最高賞の金獅子賞を受賞した衝撃的な映画
・・主人公はヤミ金融の末端にいる取り立て人。これもまたリアリティある迫力にみちた作品


■詐欺-語りは騙り

泣く子も黙る IRS より督促状!? ・・ネット詐欺

有名人の「なりすまし」からの友達リクエストに要注意!-ビジネス用途のリンクトイン(LinkedIn)でも「419詐欺」が横行

「セルフブランディング」と「セルフプロデュース」、そして「ストーリー」で「かたる」ということ-「偽ベートーベン詐欺事件」に思う


「史上空前規模の論文捏造事件」(2002年)に科学社会の構造的問題をさぐった 『論文捏造』(村松 秀、中公新書ラクレ、2006)は、「STAP細胞事件」(2014年)について考える手助けになる


秩序崩壊時代に多発する詐欺

書評 『ならず者の経済学-世界を大恐慌にひきずり込んだのは誰か-』(ロレッタ・ナポレオーニ、田村源二訳、徳間書房、2008)-冷戦構造崩壊後のグローバリゼーションがもたらした「ならず者経済」は、「移行期」という「大転換期」特有の現象である
・・地球全体という、より広いパースペクティブで捉えるために。「ならず者経済」は、冷戦崩壊後の秩序崩壊時代の世界的現象。けっして日本だけの現象ではない


世代間格差と経済的格差

書評 『ゼロから学ぶ経済政策-日本を幸福にする経済政策のつくり方-』(飯田泰之、角川ONEテーマ21、2010)-「成長」「安定」「再分配」-「3つの政策」でわかりやすくまとめた経済政策入門書




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2014年11月21日金曜日

有名人の「なりすまし」からの友達リクエストに要注意!-ビジネス用途のリンクトイン(LinkedIn)でも「419詐欺」が横行


フェイスブックやラインなどSNS(=ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を舞台にしたトラブルや詐欺事件があとを断たない.。アカウントの乗っ取り以外にも、大小さまざまな詐欺が横行している。

被害者を装った内容とか、難病で苦しんでいる人を助けてほしいとか、人の善意につけ込んだ詐欺が SNS上ではあとを断たない。慣れれば、「ああ、あれだな」とすぐにわかるのでシカトすればいいのだが、最初はあやうくダマされかかることも少なくないだろう。しかも英語で書かれていれば、なおさらだ。

仕事を主目的としたSNSであるリンクトイン(LinkedIn)でも同様の詐欺が発生している。たんなる「つながり」であれば、いとも簡単にできてしまうのが SNS の特徴だが、だからこそ敷居が低いとはいえる。

わたしが最近リンクトインで遭遇したのは、いわゆる「なりすまし」である。著名人になりすまして友達リクエストを送ってくるタイプの詐欺である。「なりすまし」は英語で Identity theft という。文字通り他人の「身分を窃盗」する行為である。乗っ取りである。

リアルな空間ではなかなか交友関係にはなれない著名人と、ネット空間で簡単に「知り合い」になることができることもあるのだが、よくよく考えれば、リアル世界ではめったにないレアケースであることに、なかなか気がつかないのは不思議ですらある。

フェイスブックでは有名人の「なりすまし」には、かつてよく遭遇していたが、リンクトインでも「なりすまし」に遭遇するとは考えていなかった。

わたし自身も最近、とある著名人から友達リクエストがあって、それに応じてしばしやりとりを行ったので、その事例について紹介しておきたいと思う。


「なりすまし」事例の紹介

2014年11月3日のことだ。LinkedInにて、Yinluck Shinawatra と名乗る人から友達リクエスト(friend request)があった。日本語で表記すればインラック・チナワットである。。タイ王国の前首相である。プロフィール写真も前首相のものである。

先のクーデターで政権の座を追われてから半年、政治の世界から足を洗って(?)ビジネスに戻ったのだろうと考えてリクエストを承諾した。リクエスト承諾はボタンをクリックするだけなので簡単だ。名刺マニアではないが、有名人もリストに加えておこうくらいの軽い感覚である。

その後、Yinluck Shinawatra氏からメールがあった。アメリカの大学院時代の「学友」かという質問がその内容であった。同姓同名の人違いなのだろうと考えて、「残念ながら学友ではなく、別の大学院の卒業だ。だから学友ではないが、タイでビジネスをやっていたので、あなたのことはよく知っている」、と返信。

そのメールに対する返事がきたが、文章の最後が、Who are you ? とあったので、失礼だなと思った。本人はタイ人で英語を母語としているわけではないので、多少は割り引いて考える必要があるかな、などと好意的に考えることにした。この段階の人間心理というのは、自分のことでありながら不思議なものだ。だが、返事は出さずそのままにしておいた。

そしたらその翌日(2014年11月4日)の朝、ふたたびメールがきた。「日本で高額のプロジェクトがあるので、ストラテジストを探しているが、あなたたは関心あるか?」、という内容だ。

リンクトインのプロフィールには、Yinluck Shinawatra氏は現在、不動産会社のCEO職とある。高額のプロジェクトとは不動産がらみのことか? 「直接連絡を取りたいのでスカイプのアドレスを教えてほしい」という要請もあった。

午後には返事をしなくてはならないだろうなあと思ってアタマの片隅に置いておいたが、まったくの偶然のことだが、同じ日にフェイスブック上で、「東久邇宮記念文化褒賞」なるものを受賞した人の報告がアップされていた。「東久邇宮記念文化褒賞」?? なにか匂うな、と直観的に感じたネットで調べてみたら、わたしの直観どおりのものであるようだ。

そこでふとリンクトインの一件を思い出された。そこで、Yinluck Shinawatra と LinkedIn など複数ワードでグーグル検索してみたら、下記のアラートがでてきたのだ。英語の文章の文言もそっくりではないか!! わたしが受け取った文面は省略するが、きわめて酷似している。それなりにカスタマイズ(!)されていたが・・・。




ここに画像として掲載した文言には、2014年7月31日現在なのに「タイ王国首相」と書いてある。すでに5月22日の時点でクーデターによって職を解かれていたので首相ではなかったのだが・・・。これは送信側のあきらかなミスである。

わたしにきたメールには、さすがに、Best Regards, Yingluck Shinawatra, ex-Prime Minister, Kingdom of Thailand(タイ前首相) と変えられていた。最初は何の記載もなかったのに、二回目以降のメールにはしっかりとそう記されていた。

オレオレ詐欺も実在の息子を騙った「なりすまし」(identity theft:身分窃盗)の一種だが、詐欺の手口で多いのが、政治家や王族、その他の著名人やセレブが関係しているようにみせる手口だ。「M資金」詐欺などその最たるものだが、日本だと旧宮家がらみのものも少なくないようだ。

わたしのケースでも、リンクトインに記載されたタイ王国の元首相のプロフィールに間違いはない、ポートレート写真も同じである。事実関係に間違いはない。だが、だからといって、それが本人のものだという保証はない

有名人のプロフィールは公開されているので、その点について偽造する必要はないのだ。事実関係を押さえて、それに基づいてストーリーを構築すればいいというわけだ。

わたしが遭遇したケースは、アメリカ留学中の大学院時代の学友かとたずねてからはじまるストーリーであった。手口がなかなか巧妙である。この対応は個別対応というカスタマイズ以外のなにものでもない。

また、散見される英単語のつづりの間違いや英語表現の未熟さも、母語として使用しているのではないというニュアンスさえ感じさせる手口(?)である。こちらは意図的なものかどうかはわからないが、もしそうだとすると巧妙すぎる。

今回の件が詐欺だとわかった時点で、即座にリンクトインの「つながりリスト」から削除したことはいうまでもない。知らずに「友達」のままにしている日本人もいるようだが・・・。「知らぬが仏」というべきか。だが、わたしの知り合いではないので注意勧告はしない。そんなことは余計なお世話であろう。


中途半端に英語ができると詐欺に遭いかねない

おなじく atwing というサイトだが、別の投稿には,「Received and invitation to connect from Yingluck Shinawatra, Ex-minister of Thailand ? It’s a Ghana based scam. Beware. via LinkedIn」とある。日付は、2014年8月1日付けだ。(追記:この投稿も Not Found 状態)。


どうやら「ガーナ詐欺」(Ghana based scam)という名称で知られた詐欺(scam)のようだ。またの名を「419詐欺」(419 scams)というらしい。

ガーナはアフリカの独立国。チョコレートの原料のカカオ豆の生産で有名だが、ガーナはもともと英国の植民地であったから公用語は英語である。なるほど、いわゆるナイジェリア国際詐欺と同じ構造なわけだな。

「ナイジェリアの手紙」という項目がwikipedia日本語版に立てられているので、詐欺の性格について引用しておこう。

ナイジェリアの手紙またはナイジェリア詐欺 (Nigerian money transfer fraud, Nigerian scam, 419 scam) とは、アフリカ地域(主にナイジェリア)を舞台に多発している国際的詐欺の一種であり、先進国など豊かな国に住む人から、手紙やファクシミリ、電子メールを利用して金を騙し取ろうとする詐欺である。現在では電子メールで行われることが多い。 419事件という別名もあるが、これは、この手の詐欺がマネーロンダリングを規制するナイジェリア刑法第419条に抵触することに由来している。 この手の詐欺の原型として、16世紀の「スパニッシュ・プリズナー(スペインの囚人)」や日本の「M資金詐欺」などがあるが、1980年代半ばから、ナイジェリアから先進国を狙った手紙・ファックスを使った信用詐欺がおこり、他のアフリカ諸国や欧米に住むナイジェリア人らも巻き込んで世界に広がった。 もともと詐欺師たちは、1980年代には企業オーナーや教会指導者ら個人に手紙を送り話を持ちかけていたが、電子メールの発達にともない、低いコストで不特定多数の一般人に対して詐欺を仕掛けることが可能になった。 2001年頃から世界中でこの「ナイジェリアからの電子メール」による被害が多発し、日本の個人のメールボックスにも英文で書かれた丁寧な申し出が多数届くようになり、受取人を困惑させている。(*太字ゴチックは引用者=さとう)


まったくもって「生兵法は怪我の元」(A little learning is a dangerous thing.) だなとつくづく思う。へたに英語なんかできると、かえって詐欺の被害にあう可能性が高まるというのは皮肉なことだ。

「横文字なんか見る気もしない」という健全な(?)精神の持ち主なら、即座にシカトすることろう。だから、結果として詐欺に巻き込まれることもない。英語を勉強すればいいことだらけというのは幻想に過ぎないのでありますよ

詐欺というのは、詐欺師の側もさることながら、詐欺の「被害」にあう側にも問題があるということ。「問題がある」という表現には「問題がある」かもしれないが、騙す側の騙そうとする意図と、騙される側の騙されやすい状況や傾向がジャストミートしたとき、詐欺が成立するということだ。ミクロ経済学の「需要供給の法則」のようだが・・・。

それは、「オレオレ詐欺」にひっかかる認知症傾向のケースもあれば、ある程度の英語ができるという能力の持ち主の場合もある。万人が騙される詐欺というのは、それほど多くはない。それぞれの能力や状態に応じて、対応すべき詐欺の種類は異なるということだ。

いずれにせよ用心、用心!!





(追記)

詐欺だと発覚したのは、awing というサイトであったが、なぜか投稿だけでなく、サイトじたいが消えている 404 Not Found 状態だ。なぜ?

http://atwing.com/wp/scam-alert-if-you-are-contacted-by-tho-stake-profile-on-050814-819-am-yingluck-shinawatra-wrote-thanks-for-your-urgent-response-mr-i-am-yingluck-sh/
Not Found
The requested URL /wp/scam-alert-if-you-are-contacted-by-tho-stake-profile-on-050814-819-am-yingluck-shinawatra-wrote-thanks-for-your-urgent-response-mr-i-am-yingluck-sh/ was not found on this server.
Additionally, a 404 Not Found error was encountered while trying to use an ErrorDocument to handle the request.
Apache/2.2.27 (Unix) mod_ssl/2.2.27 OpenSSL/1.0.1e-fips DAV/2 mod_bwlimited/1.4 Server at atwing.com Port 80

もしこの投稿を見ていなかったら、詐欺だとわかるまで、もうしばらく時間がかかったかもしれない。






<ブログ内関連記事>

泣く子も黙る IRS より督促状!?
・・アメリカの内国歳入庁(・・日本でいえば税務署)からの督促状。これもあきらかに詐欺

「セルフブランディング」と「セルフプロデュース」、そして「ストーリー」で「かたる」ということ-「偽ベートーベン詐欺事件」に思う
・・2014年2月に発覚した詐欺事件。このケースは、ストーリーで「騙る」行為を長年にわたってつづけてきた佐村河内守という詐欺師の話。多くの人を騙すデクニックのオンパレードである

書評 『毒婦。木嶋佳苗 100日裁判傍聴記』(北原みのり、朝日新聞出版社、2012)-これは「女の事件」である。だから「女目線」でないとその本質はわからない
・・なぜ次から次へと男たちはいとも簡単に騙され殺されていったのか?

書評 『地獄へようこそ-タイ刑務所/2700日の恐怖-』(コリン・マーティン、一木久生訳、作品社、2008)-無実の罪で投獄された白人ビジネスマンが手記につづるタイの刑務所の恐るべき実態
・・海外在住の白人が白人を騙す詐欺にひっかかった著者の手記。騙す側と騙される側に共通点があると、詐欺が成立しやすい

三度目のミャンマー、三度目の正直 (10) 特別講義:「即席ミャンマー人なりすまし」作戦
・・ミャンマーで外見からミャンマー人になりすますための指南

史上空前規模の論文捏造事件」(2002年)に科学社会の構造的問題をさぐった 『論文捏造』(村松 秀、中公新書ラクレ、2006)は、「STAP細胞事件」(2014年)について考える手助けになる
・・学術論文の中身の捏造問題。これも詐欺まがいの話である

英語よりも日本語をキチンと教育してもらいたい!-「英語至上主義」と訣別し、人的資源の有効活用策を考えるべし

(2015年12月31日 情報追加)




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