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2011年2月16日水曜日

書評 『ハビビな人々-アジア、イスラムの「お金がなくても人生を楽しむ」方法-』(中山茂大、文藝春秋社、2010)




「旅人というアウトサイダー」の眼から見た、発展途上国の「身内主義」

 著者によれば、「ハビビ」とは、アラビア語で「身内の仲のいい関係」のことだという。著者が旅してきたインド、エジプト、イラン、モロッコ、シリアなど、西アジアでは、「ハビビ」優先の姿勢が、何よりも徹底しているようだ。

 つまり、「ハビビ」な関係と「ハビビでない」関係の二項対立日本語でいってみれば、「ウチ」と「ソト」の関係ということだろう。

 私もインドやネパールは、バックパックーとして旅したことがあるが、著者と同じような経験もしているし、似たような印象ももっている。

 カネがなくてもハッピーに見える発展途上国の側から見ると、日本や日本人は世界的にも例外的な存在だろう。あまりにも素晴らしすぎて、逆にストレスがたまる日本社会。

 しかし、ちょっと引いて考えてみると、日本人だって「ウチとソト」を無意識のうちに区別しているし、いわゆる「世間」とそれ以外の区別もかなりハッキリしているのではないか?


 旅人としての著者の視線は当然のことながら、アウトサイダーとしての「観察者」の視線であって、インサイダーとしての「ハビビ」のウチ側の人間の視線ではない。現地人と結婚して「ハビビ」のウチ側に入った日本人女性の話とは根本的に異なるものだ。

 旅人の眼からは、「ハビビ」な人たちはハッピーに見えるが、なかにいるとうっとおしいこともあるのではないだろうかという気がしないでもない。たしかに、日本もうっとおしいが、日本以外だって、それはそれなりにうっとおしいのではないかとも思うのである。


 ただし、問題は、日本の場合、家族関係が西洋人並に崩壊してしまい「ハビビ」ではなく、会社の人間関係も「ハビビ」ではなくなっているということだろう。これはもはや不可逆的な流れなのだろうか? 「ハビビ」な家族関係へ戻ってゆくのは、もはやたいへん困難な道ではあるが、ハッピーになるための一つの方法ではあるかもしれない。

 著者は自分の経験や観察を補強するために、実に多くの本から引用を行っている。個人的な経験を知識に変換するための方法として旅は重要である。この本に紹介された数々の本を読んでみるのもいい。日本を異なる視線で見ることができるから。

 まあ、バックパッカーの旅行体験記として、気楽に受け止めればいい読み物である。
 「アジア、イスラム」というのなら、インドネシアやマレーシアはどうなのだ?、とツッコミを入れたいところだが・・・


<初出情報>

■bk1書評「「旅人というアウトサイダー」の眼から見た、発展途上国の「身内主義」」投稿掲載(2010年8月14日)
■amazon書評「「旅人というアウトサイダー」の眼から見た、発展途上国の「身内主義」」投稿掲載(2010年8月14日)





<書評への付記>

 「世間」というものは、なかにいて窮屈に思うとイヤでイヤでしょうがないが、そのなかにいて居心地がよければ、ほとんど意識することもないものである。

 イスラーム世界の「ハビビな関係」というものも、同じようなものだろう。
 多くの人は居心地がいいと感じるのだろう。英語の cozy という形容詞で表現されるような状態か。
 しかし、なかにはノンコンフォルミストもいなくはないはずだ。

 人間関係というものは、そういうものだ。

 ヨソの世界からみっるとすばらしく見えても、なかにいる人がそうであるかどうかはわからない。
 逆もまたしかり。

 そういえば、スハルト退陣後のインドネシアの大統領にハビビという人がいたが、そういう意味だったのか。「ハビビ」は音の響きからは、「ビビビのねずみ男」というのも思い出してしまうが・・・



<ブログ内関連記事>

書評 『「空気」と「世間」』(鴻上尚史、講談社現代新書、2009)・・日本のうっとおしさの原因は「空気」と「世間」にある。その共通性と違いは何か。

本日よりイスラーム世界ではラマダーン(断食月)入り
・・井筒俊彦訳の『コーラン』(クルアーン)についても言及。『ハディース』の詳細についても。

書評 『日本のムスリム社会』(桜井啓子、ちくま新書、2003)

「マレーシア・ハラール・マーケット投資セミナー」(JETRO主催、農水省後援)に参加

タイのあれこれ (18) バンコクのムスリム

     

 
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