Congratulations !!!
フェイスブック(Facebook)の創業者のマーク・ザッカーバーグとその新婦プリシラ・チャンの写真です。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグのページにアップされています。
フェイスブックの外ではありますが、これも「シェア」(share=共有)といえば、「シェア」です。すでに一万以上「シェア」されてますが、フェイスブックのIPOよりも、本人にとってはこちらのほうが重要かもしれませんね。心から祝福したいと思います。
さて、この写真から読み取るべきなのは、幸福感にあふれた若いアメリカ人カップルだけではありません。
「エスニシティからアメリカ社会を読む」という観点から、この写真を読み解いてみましょう。エスニシティ(ethnicity)とは、民族性としておきます。
まず、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)はユダヤ系アメリカ人。結婚相手のプリシラ・チャン(Priscilla Chan)は中国系アメリカ人。プリシラ・チャンといえば、香港の女性歌手・陳慧嫻を思い出しますが、もちろん彼女とは別人です。ハーバード大学時代の同級生だそうですね。
ユダヤ系はアメリカの総人口のわずか2%程度、中国系はわずか1%強で、ともにアメリカ社会ではマイノリティ(少数派)です。しかし、ユダヤ系も中国系も教育熱心なことではアメリカ社会では双璧といってよいでしょう。
昨年2011年には日本でも話題となった「タイガー・マザー」(Tiger Mother:虎母)という本の著者エイミー・チュアは、中国系アメリカ人の大学教授です。「孟母三遷」という故事があるように、孟母ならぬ猛虎母といったところでしょうか。教育熱心という特性は、アメリカでの中国人のイメージの一つとなりました。
アメリカは、英国ほどあからさまな階級社会ではありませんが、そうはいってもエスニシティ(民族)による擬似的な階級は存在します。いわゆるWASPを頂点にした支配構造がガッチリと構築されて揺るぎないことは、書評 『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)を参照してください。
ユダヤ系というと、「ユダヤ人=金持ち」というステレオタイプの固定観念を日本人はもっていると思いますが、すべてのユダヤ系アメリカ人が金持ちではありません。むしろ、知的職業に従事している中流階級がマジョリティであるといってよいでしょう。
マーク・ザッカーバーグの場合も、両親がともに医者という知的環境に生まれた人で、金融などのビジネス関係ではありません。
映画『ソーシャル・ネットワーク』を見れば明らかなように、アメリカのエリート層はユダヤ系ではないのです。ウィンクルボス兄弟という登場人物をみれば明らかなように、ハーバードなどアイビーリーグの大学に多額の寄付をしている一族などが、WASPという伝統的な支配層なのです。ザッカーバーグは財力ではなく、アタマの良さで合格を認められたわけですね。
映画 『ソーシャル・ネットワーク』 を日本公開初日(2011年1月15日)の初回に見てきた にもいろいろ書いておきましたのでご参照してください。
ちなみに、子どもの教育という観点から、ザッカーバーグ夫妻に子どもが生まれたときどうなるのかは興味があります。
ユダヤ人は、母親がユダヤ人の場合のみユダヤ人と見なされるので、新婦がユダヤ教に改宗すれば問題ありませんが、そうでない場合はユダヤ人にはならないわけです。
ユダヤ系アメリカ人と結婚したマリリン・モンローやエリザベス・テイラーがユダヤ教に改宗したことは、知る人ぞ知る事実です。マリリンは劇作家のアーサー・ミラーと結婚した際にユダヤ教に改宗しましたが、女性の場合は比較的簡単に改宗が許可されるようです。
なお、ザッカーバーグ(Zuckerberg)という名字は、文字通りの意味は「砂糖山」。
ドイツ語の Zucker(ツッカー:砂糖)にBerg(ベルク:山)ですから、日本語でいえば里山さんという感じでしょうか(笑)
おそらくドイツ語というよりもイディッシュ語でしょうから、東欧系ユダヤ人のファミリーということになるわけです。イディッシュ語というのは、ドイツ語とヘブライ語が融合した東欧のユダヤ人の言語です。
ニューヨーク市長のブルームバーグ(Bloomberg)も同様です。Bloomberg BusinessWeek-知らないうちに BusinessWeek は Bloomberg の傘下に入っていた・・・ に書きましたが、Bloom+berg で花の山。「人のゆく裏に道あり花の山」という相場の格言を想起させるこの名字は、株関連ビジネスにはまさに最適な名字だといえるでしょう。
一枚の写真からさまざまなことを読み取る。これは、「アタマの引き出し」をフル活用しないとできません。漫然と眺めているだけでなく、「写真を読む技術」は向上させたいものですね。
<関連サイト>
紅茶館(Youtube)・・1965年生まれの香港の女性歌手・陳慧嫻(プリシラ・チャン:Priscilla Chan)の、わたしがいちばん好きな曲。平浩二の「バスストップ」(1972年)の、1992年発表のカバー曲。
ザッカーバーグ氏、「FB禁」の中国で新戦略-清華大学経営管理学院の諮問委員に就任 (東洋経済オンライン、2014年10月24日)
マーク・ザッカーバーグ、北京の清華大学で中国語を披露して大反響 (TechCrunch日本語版、2014年10月24日)
・・中国語で質疑応答に応じるザッカーバーの動画(29分)リンクあり(字幕なし)
ザッカーバーグ氏が中国語で講演、聴衆わかせる (CNN日本語版、2014年10月24日)
・・「同氏が中国語を話し始めると、聴衆は驚いた様子で拍手と歓声を送った。妻のプリシラ・チャン氏は中国系米国人。ザッカーバーグ氏は以前から、親類と話をするために中国語を習っていることを明かしていた」
(2014年10月26日 情報追加)
書評 『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)
映画 『ソーシャル・ネットワーク』 を日本公開初日(2011年1月15日)の初回に見てきた
書評 『フェイスブック 若き天才の野望-5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた-』(デビッド・カークパトリック、滑川海彦 / 高橋信夫訳、日経BP社、2011)
Bloomberg BusinessWeek-知らないうちに BusinessWeek は Bloomberg の傘下に入っていた・・・
・・ブルームバーグというユダヤ系米国人
書評 『エリートの条件-世界の学校・教育最新事情-』(河添恵子、学研新書、2009)
イラン系日本人ダルビッシュがベースボールをつうじてアメリカとイランの関係改善に一役買う可能性がある
書評 『人種とスポーツ-黒人は本当に「速く」「強い」のか-』(川島浩平、中公新書、2012)-近代スポーツが誕生以来たどってきた歴史的・文化的なコンテクストを知ることの重要性
・・エスニシティの観点んから
(2014年2月14日、8月22日 情報追加)
(2022年12月23日発売の拙著です)
(2022年6月24日発売の拙著です)
(2021年11月19日発売の拙著です)
(2021年10月22日発売の拙著です)
(2020年12月18日発売の拙著です)
(2020年5月28日発売の拙著です)
(2019年4月27日発売の拙著です)
(2017年5月18日発売の拙著です)
(2020年5月28日発売の拙著です)
(2019年4月27日発売の拙著です)
(2017年5月18日発売の拙著です)
(2012年7月3日発売の拙著です)
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