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2018年9月3日月曜日

書評 『「統一朝鮮」は日本の災難』(古田博司、飛鳥新社、2018)ー朝鮮半島の「現在」を知り「未来」を予見するためには、「過去」の歴史を押さえておかなくてはならない


『「統一朝鮮」は日本の災難』(古田博司、飛鳥新社、2018)が9月3日に出版され、全国の書店店頭に並ぶことになっている。発売に先立って、著者である古田教授から1冊いただいたので、ここで内容を私なりに紹介しておきたいと思う。

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韓国がますます北朝鮮に引き寄せられつつあり、そう遠くない将来に「統一朝鮮」が誕生する流れであることは、朝鮮半島情勢を冷静に観察していれば否定できないことだ。

「統一朝鮮」成立の暁には「一国二制度」が導入されることも、過去の経緯を見ていれば容易に予見できる。 だが、「統一朝鮮」は日本の災難になるのである。なぜそうなのか、その理由を朝鮮半島の歴史にさかのぼって解説しているのが本書である。

「統一朝鮮」の成立は、著者のいう『東アジア「反日」トライアングル』の完成になる。それは統一朝鮮(=北朝鮮+韓国)と中国という、いわゆる「東アジア」(あるいは「特定アジア」)が、「反日」を軸にして共同戦線を張る事態のことだ。すでにその流れにあるだけでなく、その動きがさらに強化されることを意味している。

中国大陸と朝鮮半島は、異なる言語を話す異なる人たちで構成されている地域であるにもかかわらず、地政学的な関係をベースに考えると一蓮托生の関係にあることがわかる。 歴史的にみて中国による実質的な朝鮮半島支配が常態化していたが、日清戦争後に初めて中国から切り離され、日本統治下で「日本化」された。そしていま、ふたたび中国の「影響圏」に逆戻りしつつあるのが現在の状況なのだ。

帯には「自由韓国の死」という強烈な文言が記されている。日本統治下で「近代化」が始まった韓国だが、「近代」を構成する法治主義や基本的人権が軽視され踏みにじられているのが韓国の現状だ。韓国がもはや「失敗国家」であることは明白だというべきだろう。

その結果、ふたたび「東洋的専制主義」に逆行しつつある韓国対岸の日本とは真逆の流れだ。半島に生きる人びとは、玄界灘を挟んだ対岸の日本から見れば不幸としかいいようがない。そういう突き放した見方をしたくなるのは当然だ。

とはいえ、「統一朝鮮」への流れが、もはや不可逆なものとなりつつあることを踏まえれば、日本人は「嫌韓」といった情緒的反応を超えて、冷静に「統一朝鮮」後に備えなくてはならないのは当然だろう。対岸の火事とすませてしまうわけにはいかないのだ。対岸の火事は、こちら側まで及んできて延焼する可能性があるからだ。

なぜなら、「反日」が劇化するだけでなく、「統一朝鮮」に幻滅し、脱出を試みる人たちが増大することは目に見えているからだ。それは「難民」という形をとって顕在化することになる。

最前線が38度線から対馬まで南下し(いや、実質的に朝鮮戦争時と同じく北九州が最前線となる)、安全保障という軍事面でのハードな備えだけでなく、激変する状況への意識対応にかかわるソフト面での備えが必要になることを意味しているのだ。

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以上、個人的な感想をまじえながら、私なりに本書を通じての著者のメッセージを要約してみた。

タイトルは刺激的だが、内容は深くて濃い。既発表の論説を再編集して、加筆修正のうえ1冊にまとめたものだが、なかなか噛みごたえがある。「朝鮮半島研究40年」のエッセンスが凝縮された内容になっているといっていいだろう。

ただ、前近代の朝鮮史に触れる以上、漢字が多くて読みにくい箇所があるかもしれないが(・・ハングル文字の普及が始まったのは日本統治時代から)、「現在」を知り「未来」を予見するためには、「過去」の歴史を押さえておかなくてはならないのである。難しい内容もあるが、読み飛ばさないほうがいい。

「嫌韓」でも「親韓」でもなく、あくまでも「リアリズム」に徹して、ありのままの朝鮮半島を観る。日本人にとって、これがいかに難しいことか。だが、目をそらしてはいけないのである。情緒的な反応に流されてはいけないのである。そのためには、この本を読むことを薦めたい。


目 次 
はじめに 
序章 "困った隣人たち"から日本国民を守るために 
第1章 「地形」と「歴史」から見えてくる韓国人の考え方 
第2章 「歴史」を捏造するしかない韓国 
第3章 なぜ韓国は法治国家になれないのか? 
第4章 近代化できない韓国は、「告げ口外交」に頼る 
第5章 韓国と北朝鮮は「一国二制度」になるか? 
第6章 慰安婦合意も世界遺産も、韓国の手に乗るな!
終章 米中衝突と東アジア「反日」トリニティの襲来に備えよ 
初出一覧

著者プロフィール 
古田博司(ふるた・ひろし) 
筑波大学人文社会科学研究科教授。1953年、神奈川県横浜市生まれ。慶應義塾大学文学部史学科卒業。同大学大学院文学研究科東洋史専攻修士課程修了。著書に『悲しみに笑う韓国人』『朝鮮民族を読み解く』『新しい神の国』『日本文明圏の覚醒』『「紙の本」はかく語りき』『ヨーロッパ思想を読み解く──何が近代科学を生んだか』(以上、筑摩書房)、『東アジアの思想風景』(岩波書店)、『東アジア「反日」トライアングル』(文春新書)、『東アジア・イデオロギーを超えて』(新書館)など多数。(前著のプロフィールより)






 
<ブログ内関連記事>

■古田博司氏の著作など

書評 『日本文明圏の覚醒』(古田博司、筑摩書房、2010)-「日本文明」は「中華文明」とは根本的に異なる文明である

書評 『ヨーロッパ思想を読み解く-何が近代科学を生んだか-』(古田博司、ちくま新書、2014)-「向こう側の哲学」という「新哲学」

書評 『「紙の本」はかく語りき』(古田博司、ちくま文庫、2013)-すでに「近代」が終わった時代に生きるわれわれは「近代」の遺産をどう活用するべきか

書評 『醜いが、目をそらすな、隣国・韓国!』(古田博司、WAC、2014)-フツーの日本人が感じている「実感」を韓国研究40年の著者が明快に裏付ける

古田博司教授の「産経新聞に掲載拒否された原稿」を「独占公開」!-タイトルは「現代は先見と常識で生き抜こう」


■「東洋的専制主義」の「中心」である中国大陸と「周辺」である朝鮮半島、そして「亜周辺」に位置する日本

書評 『「東洋的専制主義」論の今日性-還ってきたウィットフォーゲル-』(湯浅赳男、新評論、2007)-奇しくも同じ1957年に梅棹忠夫とほぼ同じ結論に達したウィットフォーゲルの理論が重要だ

書評 『日本近代史の総括-日本人とユダヤ人、民族の地政学と精神分析-』(湯浅赳男、新評論、2000)-日本と日本人は近代世界をどう生きてきたか、生きていくべきか?

梅棹忠夫の『文明の生態史観』は日本人必読の現代の古典である!

書評 『封建制の文明史観-近代化をもたらした歴史の遺産-』(今谷明、PHP新書、2008)-「封建制」があったからこそ日本は近代化した!

書評 『海洋国家日本の構想』(高坂正堯、中公クラシックス、2008)-国家ビジョンが不透明ないまこそ読むべき「現実主義者」による日本外交論




(2017年5月18日発売の拙著です)





(2012年7月3日発売の拙著です)









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