コリン・パウエル将軍がお亡くりなった。コロナとの合併症だという。享年84歳。ジャマイカ移民で、はじめて四つ星の将軍まで上り詰めた米国人だ。
パウエル将軍は、1990年の「湾岸戦争」(The Gulf War)のとき統合参謀本部議長として、現場指揮官のシュヴァルツコフ将軍とのコンビで米国をパーフェクトゲームで勝利に導いた陸軍軍人。
MBAコースに留学して米国生活を送っていた時期と重なっていたので、リアルタイムでニュースを視聴していた頃を思い出す。
パウエル将軍は、陸軍から派遣されてMBA(経営学修士号)を取得していることもあり、尊敬だけでなく親しみも感じてきた。派遣されてのMBA取得(システム専攻)について、政治将校へのキャリアパスについては、日本でも出版された『マイ・アメリカン・ジャーニー -コリン・パウエル自伝 上中下』(角川文庫、2001)に詳しく書かれている。
退役後は国務長官としても活躍されたが、2003年の「イラク戦争」(=第2次湾岸戦争)では、開戦のきっかけとな大量破壊兵器文書にもとづいた国連演説が汚点として残ったが、この件については『リーダーを目指す人の心得』(飛鳥新社、2017)でも振り返っており、過ちを認めて真摯な反省の弁を述べている。その誠実な姿勢がまた、あらたな尊敬をまた生み出す源泉となったことは間違いない。
『リーダーを目指す人の心得』は、今年2021年になってからはじめて読んだが、これはほんとうにすばらしい本だ。
軍隊時代と国務長官時代の具体的で豊富なエピソードを引き合いに出して語りながら、どのポジションにおいてもリーダーとしてどう振る舞うべきかについて説かれている。しかも、上から目線ではまったくない。パウエル氏の人柄や人徳をしのばせる内容の本になっている。
英語のオリジナルのタイトルは、"IT WORKED FOR ME In life and and Leadership" (それは自分には役に立った-人生において、リーダーシップにおいて)というものであり、けっして万人にあてはまるなどと大言壮語しない。それがまたすばらしい。
そんなコリン・パウエル将軍がお亡くなりなったのは、ほんとうに残念だ。哀悼の意を表したい。ご冥福をお祈りします。合掌
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