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2022年7月31日日曜日

映画『グリーン・ゾーン』(2009年、米国)を視聴(2022年7月30日)- イラク戦争開戦の引き金となった WMD(大量破壊兵器)をめぐる陰謀を描いたエンタメ作品

 
映画『グリーン・ゾーン』(2009年、米国)を amazon prime video で視聴。 翌日7月31日に「無料視聴期間」が切れると急かしてくるので急遽視聴。おせっかいだとは思いながらも、面白そうな映画だったので見ることに。  

「イラク戦争」(2003年)の発端となったWMD(Weapon of Mass Destruction:大量破壊兵器)をめぐる陰謀を暴いた映画。主演はマット・デイモン。イラク駐留の米陸軍准尉で、WMD捜索を任務としたMET(Mobile Exploitation Team:移動捜索班)の隊長を演じている。114分。 

暑いに日には、暑い国を舞台にした、暑苦しい映画を視聴する。エアコンなしの部屋なら、言うことはない。



WMDをめぐるCIAと国務省の暗闘。あくまでも米国に都合の良い人物をイラク指導者として据えようと画策する国務省。WMDなど存在しないとして動いているCIA。国務省の命令で動く陸軍特殊部隊。 

いくら捜索しても WMDなど見つからないことに、偽情報に基づいた命令ではないか、そんな疑問をもつにいたった主人公はCIAに接近することに。そして繰り広げられる陰謀まみれの事件とアクション。 

どこまで真相に近いのか、それとも限りなくフィクションなのかがわからないが、アクション映画でポリティカル・スリラーとして楽しめるエンタメ作品であった。 

(米国版ポスター Wikipediaより)

いまとなっては、開戦の口実となった WMD など最初から存在しなかったことは、誰もが知っている事実である。関係者すべてがダマされていたのだ。戦争の結果、グチャグチャになってしまったイラク。米国がイラク再建に手を焼いたのは当然の報いである。 

いったい「イラク戦争」とは何だったのか、すでに20年も前のことになるが、複雑な思いを感ぜざるをえない。 


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2022年7月13日水曜日

書評『戦争はいかに終結したか ― 二度の大戦からベトナム、イラクまで』(千々石泰明、中公新書、2021)― 戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しい

 

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が2022年2月24日始まってから、すでに4ヶ月を経過している。

やはり、短期間での終結は難しかったのだ。戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しい。 

「1日も早く戦争が終わってほしい」という思いは、当事者も含めて正直な気持ちだろう。

戦争が長引くのは、侵略側にとっては誤算だし、侵略された側にとっても、いつまで抗戦を持続できるか不透明だからだ。 

昨年、米軍がアフガニスタンから撤退したが、撤退のドタバタのさなかの7月に『戦争はいかに終結したかー二度の大戦からベトナム、イラクまで』(千々石泰明、中公新書、2021)という本が出版された。これはまさに時宜を得た出版だなと思って購入しておいたが、なかなか読むヒマがなかった。 

そうこうしているうちに、「ウクライナ戦争」が勃発し、現在進行中の戦争をいかに終結させるかが、まさに喫緊の課題となったのである。先月終わりにようやく読み終えたが、戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しいと、あらためて強く痛感している次第だ。 

戦争の勃発について書かれた本は、それこそ無数にあるが、戦争がどう終結したかについての本は意外と少ない。 

おそらく今回のウクライナ戦争も、始まりは衝撃的だったが、時間の経過につれて見ている方にとっても慣れが生じて、関心の度合いがだんだんと減少していくのだろう。ソ連による「アフガン侵攻」も衝撃的なニュースであったが、それがどのように終わったのか、あまり語られることはない。 

防衛省防衛研究所の主任研究官による本書は、20世紀になってからの大きな戦争について、もっぱらその終結に至るプロセスをケーススタディとして記述した歴史書である。 

第1次大戦以降に始まり、第2次世界大戦(欧州/アジア)、朝鮮戦争とベトナム戦争、米国の主導による2つの湾岸戦争(湾岸戦争とイラク戦争)とアフガン戦争を扱っている。


「戦争原因の根本的解決」と「妥協的和平」のどちらを重視するか

読んでいて思うのは、戦争の終わらせ方は、そう簡単なものではないということだ。妥協を重視して停戦を急いだ結果、将来に禍根を残して戦争がふたたび勃発することは多い。 

将来の禍根を断つため、(勝者の立場からだが)徹底的に完膚なきまでまでたたきのめす場合は、交戦国の双方に多大な損害と犠牲を発生させる。 

著者は、「序章 戦争終結への視角」と題して、戦争終結にかんする理論的フレームワークを設定している。それは、「戦争原因の根本的解決」と「妥協的和平」のどちらを重視するかという視点である。 

実際の戦争は、このトレードオフの関係にある両極端のあいだでグラデーションを描いているわけだが、このようなフレームワークで整理すると、本質がよく見えてくる。ただし、いずれも勝者の側からみたものだ。 

具体的に事例をあてはめれば、「戦争原因の根本的解決」を重視したのが、第2次世界大戦(欧州)とイラク戦争(=第2次湾岸戦争)であり、勝者の側も犠牲に耐えきれず「妥協的和平」を重視したのが、朝鮮戦争とベトナム戦争である。 

「戦争原因の根本的解決」を徹底できなかったのが、第1次世界大戦と第2次世界大戦(アジア)である。

この見方によれば、第1次世界大戦では徹底的に問題解決されなかったために、結局は20年後に第2次世界大戦という惨事を招いたことがよく理解できるし、なぜアジアで緊張状態が続いてきたかも理解できるのである。


■問題の根っこを絶ったとしても、未来永劫に保証されるわけではない

読んでいて思ったのは、たとえ将来に禍根を残さないように問題の根っこを絶ったとしても、未来永劫にわたって問題が発生しないわけではないということだ。 

問題の根っこを絶つという、そのタイムフレームはあくまでも主観的なものだ。四半世紀かもしれないし、半世紀を想定しているのかもしれない。いずれにしせよ、勝者の側に主観に過ぎない。

戦争原因となっている問題そのものを当事者がどう解釈するか、その解釈の仕方はさまざまなファクターによって左右されるのであり、決まり切った解などないのである。 

第2次世界大戦によって実現された米国主導の戦後体制だが、戦争終結から70年もたてばほころびが見えてくる。時間の経過とともに戦争当事国をめぐる環境が変化してくるのは、ある意味では当然のことだ。つまり、「時間軸の議論」が重要なのだが、残念なことに本書ではそういった観点が欠けている。 

とはいえ、戦争の終結のあり方について考えるために、重要な視点を与えてくれる本である。戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しい以上、本書で展開された議論をアタマのなかに入れて世界情勢を見る必要がある。


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目 次
はしがき 
序章 戦争終結への視角ー「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」のジレンマ
第1章 第一次世界大戦ー「勝利なき平和」か、懲罰的和平か
第2章 第二次世界大戦 “ヨーロッパ” ー無条件降伏政策の貫徹
第3章 第二次世界大戦 “アジア太平洋” ー「幻想の外交」の悲劇
第4章 朝鮮戦争-「勝利にかわるもの」を求めて
第5章 ベトナム戦争ー終幕をひかえた離脱
第6章 湾岸戦争・アフガニスタン戦争・イラク戦争ー共存から打倒へ
終章 教訓と出口戦略-日本の安全保障への示唆
あとがき
主要参考文献
 

著者プロフィール
千々和泰明(ちじわ・やすあき)
1978年生まれ。福岡県出身。2001年、広島大学法学部卒業。2007年、大阪大学大学院国際公共政策研究科博士課程修了。博士(国際公共政策)。ジョージ・ワシントン大学アジア研究センター留学、京都大学大学院法学研究科COE研究員、日本学術振興会特別研究員(PD)、防衛省防衛研究所教官、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付主査などを経て、2013年より防衛省防衛研究所主任研究官。この間、コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。国際安全保障学会最優秀新人論文賞受賞。国際安全保障学会理事。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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2021年10月19日火曜日

コリン・パウエル将軍が亡くなった(2021年10月19日)-また一人「湾岸戦争」の老兵が消えていった・・

 
コリン・パウエル将軍がお亡くりなった。コロナとの合併症だという。享年84歳。ジャマイカ移民で、はじめて四つ星の将軍まで上り詰めた米国人だ。 

パウエル将軍は、1990年の「湾岸戦争」(The Gulf War)のとき統合参謀本部議長として、現場指揮官のシュヴァルツコフ将軍とのコンビで米国をパーフェクトゲームで勝利に導いた陸軍軍人。 

MBAコースに留学して米国生活を送っていた時期と重なっていたので、リアルタイムでニュースを視聴していた頃を思い出す。 

パウエル将軍は、陸軍から派遣されてMBA(経営学修士号)を取得していることもあり、尊敬だけでなく親しみも感じてきた。派遣されてのMBA取得(システム専攻)について、政治将校へのキャリアパスについては、日本でも出版された『マイ・アメリカン・ジャーニー -コリン・パウエル自伝 上中下』(角川文庫、2001)に詳しく書かれている。  

退役後は国務長官としても活躍されたが、2003年の「イラク戦争」(=第2次湾岸戦争)では、開戦のきっかけとな大量破壊兵器文書にもとづいた国連演説が汚点として残ったが、この件については『リーダーを目指す人の心得』(飛鳥新社、2017)でも振り返っており、過ちを認めて真摯な反省の弁を述べている。その誠実な姿勢がまた、あらたな尊敬をまた生み出す源泉となったことは間違いない。 


『リーダーを目指す人の心得』は、今年2021年になってからはじめて読んだが、これはほんとうにすばらしい本だ。  

軍隊時代と国務長官時代の具体的で豊富なエピソードを引き合いに出して語りながら、どのポジションにおいてもリーダーとしてどう振る舞うべきかについて説かれている。しかも、上から目線ではまったくない。パウエル氏の人柄や人徳をしのばせる内容の本になっている。 

英語のオリジナルのタイトルは、"IT WORKED FOR ME  In life and and Leadership" (それは自分には役に立った-人生において、リーダーシップにおいて)というものであり、けっして万人にあてはまるなどと大言壮語しない。それがまたすばらしい。 

そんなコリン・パウエル将軍がお亡くなりなったのは、ほんとうに残念だ。哀悼の意を表したい。ご冥福をお祈りします。合掌 




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