ウクライナ映画を探していたら、映画『バンデラス ウクライナの英雄』(2019年、ウクライナ)というものが見つかったので、先週のことだが amazon prime video で視聴した。112分。
ロシアによる軍事侵攻(=ウクライナ戦争)の渦中にあるウクライナ東部。この地域のロシア語住民を中心とした「親ロシア派」に対して、支配地域をめぐって激しい戦闘を続ける「ウクライナ政府軍」を、後者の立場から描いた映画だ。原題は、Позивний "Бандерас" 英語タイトルは、Call Sign "Banderas"(コールサイン「バンデラス」)。
2014年に「クリミア併合」によって領土を奪われたウクライナだが、ウクライナ東部のドンバス地方もまた、実質的にウクライナからの分離を目指す「親ロシア派」によって支配されている。先般、プーチンが一方的にドネツク州とルガンスク州の「独立」を承認して軍事侵攻を開始したことは周知のとおり。
映画の舞台となっている農村は、まさにその最前線にあって親ロシア派と政府軍と対峙しており、停戦状態がいつ破綻するかわからないという強い緊張状態にある。
そんな状態のなか、あらたにウクライナ政府軍から派遣されてきた主人公の情報将校が特殊任務を遂行する。彼はこの村の出身である。
戦争アクションスリラー映画として楽しめるエンタテインメント作品だが、映画をみただけでは、いまいちその背景がわかりにくい。わからなくても、手に汗握る内容なので大いに楽しめる映画だが、背景がわかればウクライナ情勢を理解する1つのヒントになるだろう。
日本語版のタイトルにも含まれる「バンデラス」とはなにか?
それは、ウクライナ独立派の英雄ステパン・バンデラにちなむものだろう。バンデラは、第2次大戦中にナチスドイツに接近して、ソ連からの独立運動のリーダーの1人として活躍した「ウクライナの英雄」だ。
だからこそ、プーチンは「バンデラ主義者」を目の敵にしているのである。「ナチを排除する」という発言の背景にあるものは、現実に存在する極右のネオナチと、ナチスドイツに接近したバンデラと重なり合うのである。
ウクライナ側の視点でウクライナ東部の戦闘を描いた戦争アクション映画なので、当然のことながら「親ロシア派」は敵として描かれている。個人が特定されないように、黒の目出し帽をかぶった、顔のない戦闘服姿の男たちとしてのみ扱われる。
とはいえ、複雑にからみあった状況は、農村の住民を引き裂いている。おなじ村の村民が「親ロシア派」をめぐって引き裂かれているからだ。
親類関係も、友人関係もまた。誰もがその現実に、苦い思いと悔恨を感じている。 そう一筋縄でいかないのが、ウクライナの現状なのだ。 そんな現実も見えてくる映画である。
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