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2022年4月12日火曜日

ウクライナ映画『ウクライナ・クライシス』(2019年)を視聴 ― 2014年のウクライナ東部ドンバス地方での戦闘を描いたドキュメンタリータッチの戦争映画

 

DVDでウクライナ映画『ウクライナ・クライシス』(2019年)を視聴。2014年のウクライナ東部ドンバス地方での戦闘を描いたドキュメンタリータッチの戦争映画。120分。原題は Beshoot 

日本未公開のようだが、amazonで DVD が格安945円になっているので、購入して即視聴。日本での発売日は、2020年11月3日とある。

この映画はもっと早く見ておくべきだった。

 なぜなら、すでに2014年から始まったウクライナ東部での親露派分離主義者とウクライナ政府軍の戦いは、現在に至るまで続いているからだ。2022年2月24日に突然始まったわけではないのだ。 

ウクライナ東部でも広がるひまわり畑。ひまわり畑をかきわけて攻撃を仕掛けるウクライナ軍。正規軍には多くの義勇兵が参加している。 かつて、日中戦争においても丈の高いコウリャン畑をかきわけ退却するシーンがあったことを想起させるものがある。もちろん、戦争映画のシーンであるが・・ 




セリフはウクライナ語とロシア語だが、ロシア語をしゃべる人間がすべて親露派でも、かれらの背後にいるロシア軍の兵士でもないロシア語を話すウクライナ市民にもウクライナ支持派がいる。じつに複雑な状況なのである。 

さきにジョージア映画の『キリングフィールド 極限戦線』(原題:シンディシ、2019年)を視聴したが、それに劣らぬリアルな戦闘シーンに圧倒される。戦闘シーンにはBGMは必要ないという、当たり前の事実を示している映画。 

この映画は、「イロヴァイスクの戦い」を映画化したものだ。wikiによれば以下のとおり。

2014年8月7日、ウクライナ軍と親ウクライナ準軍事組織が、親ロシア派に占領されているイロヴァイスク市の奪回を試みた戦闘である。親ロシア派はドネツク人民共和国(DPR)およびロシア連邦軍と連携していた。ウクライナ軍は2014年8月18日に市内に進入したが、越境したロシア連邦軍の参戦によって8月24日から26日に包囲された[27][28]。包囲から数日後、プーチン大統領の同意の元、ウクライナ軍は親ロシア派と合意し、撤退が許されたが、結局、この合意は守られず、脱出中に多数のウクライナ軍兵士が死亡した」 
この映画でも、停戦協定を結んだあとに「人道回廊」を通って退却するウクライナ政府軍が、ロシア軍によってだまし討ちにあって砲撃されるシーンがある。 

やはり、ロシアは平気でウソをつく国なのだ、その思いをあらたにさせられた。 


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2022年3月28日月曜日

映画『バンデラス ウクライナの英雄』(2019年、ウクライナ)― ウクライナ側の視点でウクライナ東部の戦闘を描いたアクション映画

 

ウクライナ映画を探していたら、映画『バンデラス ウクライナの英雄』(2019年、ウクライナ)というものが見つかったので、先週のことだが  amazon prime video で視聴した。112分。  

ロシアによる軍事侵攻(=ウクライナ戦争)の渦中にあるウクライナ東部。この地域のロシア語住民を中心とした「親ロシア派」に対して、支配地域をめぐって激しい戦闘を続ける「ウクライナ政府軍」を、後者の立場から描いた映画だ。原題は、Позивний "Бандерас" 英語タイトルは、Call Sign "Banderas"(コールサイン「バンデラス」)。

2014年に「クリミア併合」によって領土を奪われたウクライナだが、ウクライナ東部のドンバス地方もまた、実質的にウクライナからの分離を目指す「親ロシア派」によって支配されている。先般、プーチンが一方的にドネツク州とルガンスク州の「独立」を承認して軍事侵攻を開始したことは周知のとおり。 

映画の舞台となっている農村は、まさにその最前線にあって親ロシア派と政府軍と対峙しており、停戦状態がいつ破綻するかわからないという強い緊張状態にある。 

そんな状態のなか、あらたにウクライナ政府軍から派遣されてきた主人公の情報将校が特殊任務を遂行する。彼はこの村の出身である。 




戦争アクションスリラー映画として楽しめるエンタテインメント作品だが、映画をみただけでは、いまいちその背景がわかりにくい。わからなくても、手に汗握る内容なので大いに楽しめる映画だが、背景がわかればウクライナ情勢を理解する1つのヒントになるだろう。 

日本語版のタイトルにも含まれる「バンデラス」とはなにか? 

それは、ウクライナ独立派の英雄ステパン・バンデラにちなむものだろう。バンデラは、第2次大戦中にナチスドイツに接近して、ソ連からの独立運動のリーダーの1人として活躍した「ウクライナの英雄」だ。  

だからこそ、プーチンは「バンデラ主義者」を目の敵にしているのである。「ナチを排除する」という発言の背景にあるものは、現実に存在する極右のネオナチと、ナチスドイツに接近したバンデラと重なり合うのである。 




ウクライナ側の視点でウクライナ東部の戦闘を描いた戦争アクション映画なので、当然のことながら「親ロシア派」は敵として描かれている個人が特定されないように、黒の目出し帽をかぶった、顔のない戦闘服姿の男たちとしてのみ扱われる。 

とはいえ、複雑にからみあった状況は、農村の住民を引き裂いている。おなじ村の村民が「親ロシア派」をめぐって引き裂かれているからだ。

親類関係も、友人関係もまた。誰もがその現実に、苦い思いと悔恨を感じている。 そう一筋縄でいかないのが、ウクライナの現状なのだ。 そんな現実も見えてくる映画である。




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(2022年4月4日 情報追加)


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2021年4月15日木曜日

書評『ルポ プーチンの戦争 ―「皇帝」はなぜウクライナを狙ったのか』(真野森作、筑摩選書、2018)― 足で稼いだ現地取材で描いた「ウクライナ危機」のルポルタージュは貴重な現代史の証言

 



毎日新聞の現地特派員が足で稼いだ詳細な現地報告を1冊にまとめたものだ。400ページ近くもある大冊だが、フットワークの軽さと、新聞社に入ってから身につけたというロシア語を駆使しての取材力に驚嘆した。 

内戦で破壊されたウクライナ東部の戦闘地域だけでなく、クリミア半島も、ウクライナ危機の一環として発生した「マレーシア航空機撃墜事件」についても現地で取材を行っている。

これらの事件は7年近くたった2021年現在、すでに忘れかけられている事件かもしれないが、事件発生当時の衝撃を思い起こす必要がある。けっして終わった問題ではないからだ。2021年4月現在、ロシアとウクライナの双方が国境付近で大規模な動員を行っており、ふたたび一触即発の危険が高まっている。

現在の日本では、ロシア東欧の情報は、もっぱら英米の英語メディア経由のものが多いが、これは大きな問題だ。英語情報のバイアスに敏感になることはもちろん、英米系メディアに頼らない独自の取材は、じつに重要だ。

だから、紛争地に入るジャーナリストを「自己責任」などといって斬り捨ててならない。むしろ国民はこぞってジャーナリストたちを応援すべきなのだ。 

「ウクライナ危機」の2014年以降、ロシアをめぐる状況が大転換したことは記憶にとどめておくべきだろう。 その意味では、現在進行形の事象を探索したルポは、時間がたつと貴重な現代史の証言となる。

この本のことを知ったのは、一橋大学合気道部の後輩からだ。著者の真野森作氏は、その後輩の後輩にあたる。直接の面識はないが、合気道部OBとして、じつに頼もしい存在だ。今後の活躍に期待したい。 


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目 次
序章 戦争がはじまった 
第1章 謎の覆面部隊 
第2章 親露派の武装占拠 
第3章 マレーシア航空機の撃墜現場 
第4章 タタール、蹂躙された歴史
第5章 親露派支配地域の人々
第6章 裏切られた戦争
終章 皇帝プーチンの戦略


著者プロフィール
真野森作(まの・しんさく)
1979年、東京都生まれ。一橋大学法学部第三課程(国際関係)卒業。2001年、毎日新聞入社。北海道報道部(札幌、苫小牧)、東京社会部、外信部、ロシアでの語学留学を経て、2013年10月から2017年3月、モスクワ特派員として旧ソ連諸国を担当した。(出版社サイトより)


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・・穀倉地帯ウクライナでなぜ大量飢餓が発生したのか?

・・ソ連時代のイタリア映画『ひまわり』の舞台は穀倉地帯のウクライナ

・・クリミア半島はロシア帝国に併合される前はオスマン帝国の影響圏にある「クリミア・ハーン国」だった。スターリン時代も含めたクリミア・タタールの苦難を想起すべし


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