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2023年8月3日木曜日

美術展「スペインのイメージ  版画を通じて写し伝わるすがた」(国立西洋美術館)に行ってきた(2023年8月3日)ー ステレオタイプな「スペインのイメージ」とスペイン人自身によるイメージの違いを知る

 

この美術展は、英語のタイトル IMAGED AND IMAGINED  SPAIN SEEN THROUGH PRINTS FROM JAPANESE COLLECTIONS の下線部にあるように、「日本の美術館の所蔵品である版画作品」から、「スペインのイメージ」の歴史的変遷をあぶりだそうとした試みだ。

したがって、海外からの出品はなく、すべてが日本の美術館に散在している版画作品の再構成展示といえる。もちろん、そのなかにはこの美術展を主催した国立西洋美術館の所蔵品も含まれる。

展示の構成は、以下のようになっている。

0. 導入 INTRODUCTION
1. 黄金世紀への照射:ドン・キホーテとベラスケス  REFLECTING ON TRADITION
2. スペインの「発見」 THE “DISCOVERY” OF SPAIN
3. 闘牛、生と死の祭典  BULLFIGHT, FESTIVAL OF LIFE AND DEATH
4. 19 世紀カタルーニャにおける革新  CATALONIA AND THE MODERNITY IN THE NINETEENTH CENTURY
5. ゴヤを超えて:スペイン20世紀美術の水脈を探る  BEYOND GOYA: FINDING THE UNDERCURRENTS OF 20TH-CENTURY SPANISH ART
6. 日本とスペイン:20 世紀スペイン版画の受容  JAPAN'S RECEPTION OF SPANISH MODERN PRINT


■スペインの「ステレオタイプなイメージ」

「スペインのイメージ」は、スペイン人自身がイメージしたものもあるが、その多くはフランスを中心とした西欧人がイメージした「ステレオタイプなイメージ」である。この対比が面白い。

フラメンコや闘牛といった「情熱の国スペイン」というのは、スペイン国外でつくられたものだ。フラメンコといえばカルメンだが、そのカルメンを主人公にした小説は、19世紀フランスの作家メリメによるもの。おなじくフランスの作曲家ビゼーがこれをもとに『カルメン組曲』をつくっている。

フランスを中心としたエキゾチックなステレオタイプなイメージは、誇張があるとはいえ、歴史的な要因もある。

「ピレネーの西はアフリカ」というのは有名なフレーズだが、歴史的経緯を考えればその通りで会った。ピレネー山脈があったからこそ、イスラーム勢力はイベリア半島から東には進出できなかったのであり、ピレネーを境にイスラーム勢力とキリスト教西欧が並立している状況は、中世をつうじて長きにわたってつづいたのである。

だからこそ、現在にいたるまでイスラーム建築の代表的存在である「アルハンブラ宮殿」がスペインを代表する観光スポットとなっているわけだし、コルドバのようにイスラーム的雰囲気を濃厚に残している都市もある。

このイスラーム建築とそのデザインにインスパイアされたのは19世紀の英国であった。英語圏では19世紀前半の米国人外交官で作家のワシントン・アーヴィングによる『アルハンブラ物語』が流通していた。

エキゾチックなイメージといえば、フランスのタバコの銘柄「ジタン」(gitanes)であろう。今回の美術展には「ジタン」の広告ポスター版画も展示されているが、フランス語の「ジタン」とはジプシーのことである。カルメン、フラメンコ、ジプシーという連想は、スペインでつくられたものではないのだ。

スペインが広く西欧世界に知られるようになったのは、19世紀初頭のナポレオン戦争によるスペイン占領以降のことだ。スペインの画家ゴヤの時代である。ゴヤが描いた戦争の悲惨さの作品は、20世紀のピカソにつながるものがある。

15世紀末には、スペインのカトリック化(=キリスト教化)が完成したが、「レコンキスタ」として知られるこの勢いはピレネー山脈を越える形ではなく、もっぱら大西洋を越えてアメリカ大陸に向かうことになった。フランス王国という強力な勢力があったため、ヨーロッパ域内ではオランダやイタリア南部を支配するにとどまったのであった。

その意味では、むしろ戦国時代末期の日本のほうが、ダイレクトにスペインとのかかわりをもったといえるかもしれない。太平洋地域ではフィリピンに拠点を置いたスペインは、ヌエバ・エスパーニャ(=メキシコ)を中継点にして中国貿易を行っていたのである。キリスト教に対する禁教政策が実行されるまで、日本はスペインとの関係を維持していた。


■ありのままのスペインのイメージを知るには

さて、美術展の話題に戻れば、ステレオタイプなイメージがいかに形成されてきたかを見ることによって、ありのままのスペインのイメージとのギャップを考えるいい機会になると思う。ベラスケス、ゴヤ、ピカソ、ダリといった画家たちの作品の、一筋縄ではいかない魅力はどこからくるものであるのか。

わたし自身は、過去2回スペインに行っているが、いずれも暑い、いや熱い時期だった。スペインはマドリードだけではない。個性豊かな地方都市こそ面白い。そこにはステレオタイプなスペインではない、多様性に富んだほんとうのスペインがある。







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