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2023年11月21日火曜日

「松戸市立博物館」にはじめて行ってみた(2023年11月21日)ー「常設展示」の常盤平団地とテーマ別展示の「虚無僧」と「二十世紀梨」が興味深い

 

「松戸市立博物館」にはじめて行ってみた(2023年11月21日)。ここのところ関東南部は暖かい日が続いているので、ふと思い立ったという次第。

じつは5ヶ月前にもいっているのだが、そのときは閉まっていた。うかつなことに事前に開館スケジュールを調べておかなかったのだ。というわけで、ようやく計画が実現したことになる。


■松戸は交通の要衝。東西交通と南北交通の交差点

東京から松戸へはJR常磐線1本でいける。船橋市内(or 習志野市の津田沼)からは各駅停車なのでちょっと時間はかかるが、格安の新京成電鉄で1本でいける。

つまり、松戸は東西交通と南北交通の交差点にあたる要衝なのである。

この事情は江戸時代以前からそうであった。千葉県松戸市は江戸川の東岸にある。現在は江戸川が東京都と千葉県の県境になるが、前近代社会において流域が下総の国であり、舟運は物流の重要な担い手であった。

江戸川舟運は江戸への物資輸送の重要なルートだった。対岸にわたるための「矢切の渡し」は、よく知られていることだろう。

松戸は、将軍のお膝元である江戸と、親藩の水戸藩を結ぶ街道の中間にあたるので、徳川氏とのゆかりも深い。その名残は、徳川昭武の旧宅であった戸定邸(とじょうてい)にうかがうことができる。


■団地の一室がまるごと再現展示

さて、松戸市立博物館である。JR武蔵野線の新八柱駅、ないしは新京成電鉄の八柱駅で下車して徒歩18分、やや歩くが整地された「21世紀の森と広場」という森林公園のなかに設置されている。入場料はおとな310円。



市町村レベルで博物館をもつということは、きわめて重要なことだ。松戸市はことしで市制80年とのことだ。博物館は、1993年に「市制50年」を記念して建設されたのだそうだ。博物館じたいも30年となるわけだ。

「常設展示」は、「旧石器・縄文時代から団地の誕生まで三万年の歴史の息吹に触れる」と公式ウェブサイトにあるように、ワンフロアで縄文時代から古代、中世を経て近世の江戸時代から現代まで扱っている。

なかでも特筆すべきは「団地」の展示であろう。

松戸市内には、1959年から募集が始まった「常盤平団地」(ときわだいら・だんち)という大規模団地があり、その常盤平団地がそのまま博物館の展示物として再現されている。


(玄関から団地の室内を見る 筆者撮影)


「昭和」の匂いたっぷりの団地の部屋内が再現されているほか、玄関から階段まであるだけでなく、団地の建物の一部が再現されている。


(団地の外観がそのまま展示されている! 筆者撮影)


「団地」はかつて憧れの存在であったのだ。「なんども抽選に落ちたがよやく入居できた」
なんて話は、むかしいく耳にしたものだ。現在はマンションがそれにとって代わってひさしいが、団地はふたたび注目が始まっており、その流れは若い人たちのあいだでも定着しているようだ。

(昭和30年代の風呂桶は木製だったのだ! 筆者撮影)


「国立歴史民俗博物館」にも戦前から戦後にかけての住居が再現されているが、さすがに団地そのものを展示していることはない。松戸市立博物館ならではといえるだろう。



■テーマ別展示スペースに「虚無僧」と「二十世紀梨」

興味深いのは、2階に展示されているテーマ別の展示スペースである。

全部で4つあるのだが、わたし的に関心をひいたのは、「虚無僧」と「二十世紀梨」である。

「虚無僧」(こむそう)は、かつて松戸には、編み笠をかぶって尺八を吹いて歩く虚無僧をたばねる仏教の普化宗(ふけしゅう)の一月寺(いちげつじ)という関東総本山があったのだという。そのことは、今回はじめて知った。


(虚無僧の展示ルーム 筆者撮影)


虚無僧については、時代劇に登場するので知らない人はないだろうが、隠密活動の隠れ蓑として虚無僧がスパイとしてつかわれていたこともあったためだろう、普化宗は明治4年(1871年)に明治政府によって解体されてしまった。以後、尺八は虚無僧とは離れて伝承されることになった。

*****

黄色くて斑点のついた、みずみずしい「二十世紀梨」は、現在では鳥取県の名産となっており、関東地方ではかつてほど目にすることもなくなっている。

だが、二十世紀梨の発祥の地は松戸なのである。この事実はわたしは小学生時代から知っていたが、全国的にはどなのだろうか。

発祥というよりも、発見というべきだろう。二十世紀梨は突然変異種なのである。その経緯は、「ごみ溜めから生まれた「二十世紀」ナシ 松戸覚之助の大発見」などのエッセイを読むとわかるだろう。

ナシの二十世紀は、明治21年(1888年)に千葉県八柱村(現・松戸市)の松戸覚之助によって発見された。この大品種も、もとは親類のごみ溜めに自生していたみすぼらしい幼木だったという。 当時13才の覚之助少年がこのちょっと変わったナシに目をつけ、自園に移植したところからこのドラマははじまる。(後略)


(二十世紀梨の発見者・松戸覚之助 筆者撮影)


降雨の多い千葉県は栽培に適していなかったため、現在では産地は鳥取県が中心になっているが、「二十世紀梨」の原樹の一部がガラスケースのなかで保存展示されている。2002年に「松戸市指定文化財」とのこと。


(「二十世紀梨原樹」 筆者撮影)

松戸市民に限らず、千葉県民なら、いや関心のある人なら誰でも、感慨を受けることだろう。

「発見」は科学分野だけではないのである。農業分野でも、しかも近代に入ってからまったくあたらしい品種が「発見」される。そんな「発見物語」があるのだ。


(博物館へ向かう途上に設置された「松戸の梨」の石像 筆者撮影)



■博物館は地域の学習拠点

平日の訪問だったので、館内はガラガラだった。おかげで誰にも邪魔されることなく見学できたが、いつもこんな感じなのだろうか。

さすがにどうなのかなと思って、博物館を出る際に警備員のおじさんに聞いてみたら、平日は小中学校の社会科学習ですごい人なのだという。多いときには複数の学校から来るので300人くらいになることもあるのだとか。

なるほど、生きた学習拠点として活用されているのだな。地域にとっての博物館の位置づけがよくわかる話であった。

自分が暮らしている地域のことを知ることは、アイデンティテイ確認の原点である。同心円状に拡げていって、日本、そして世界のことを知る。そしてまた、足下を振り返る。そのための博物館の使命はきわめて大きい。

財政難が要因の一つとなって日本全国で美術館を含めたミュージアムへの逆風が吹いているが、博物館の原点を見つめ直し、公共機関としての博物館がサステイナブル存在として永続することを願う。

そのためにも、応援として地方自治体の博物館には足を運ぶべきなのだ。入館料だけでなく、入館者数を増やすことが維持するために説得力をもつからだ。

ただし、入館料など「現金のみ」というのはいただけない。あまりにも利便性が低すぎる

こういうところから改めることも、公共機関としての博物館が生き延びるためには必要ではないかな? 関係者には、よくこの意味を考えてほしい。




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(2023年12月16日 項目新設)


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