(日本はチベットを見捨てない!)
東京の護国寺で開催されている 「チベット・フェスティバル・トウキョウ 2013」にいってきた。会期は、5月1日から5月6日まで。
チベット関連のフェスティバルに参加するのは、2009年に新宿のお寺で開催された「チベット・スピリチュアル・フェスティバル 2009」以来4年ぶりになる。今回もそのときと同じく、南インドに再建されたタシルンポ寺から僧侶の来日である。
「チベット・フェスティバル・トウキョウ 2013」が開催されていることは、うかつなことにじつは昨日までまったく知らなかった。情報源としてのフェイスブックさまさまといったところだ。
本日(5月4日)は晴天なり。ということで、まず「東日本大震災復幸支縁 善光寺出開帳 両国回向院」にいってから、そのあと移動して護国寺へ。お寺めぐりには最適の日和である。
護国寺は、かつて住んでいた場所からも歩いて行ける範囲内にあったので何度も参詣しているのだが、今回はひさびさに訪問したことになる。東京メトロ有楽町線の護国寺駅で下車したのははじめてだが、出口をでるといきなり護国寺があるのにはビックリした。
主催者のダライ・ラマ法王日本代表部事務所(チベットハウス・ジャパン)による公式サイトには、開催概要が以下のように書かれている。
日本初の規模!24名のチベット僧侶が、仏画(タンカ)絵師、仏師を伴って来日。砂曼荼羅、仏画の美術展と仮面舞踏(チャム)公演を行い、チベットの料理人や音楽家たちがチベット人の暮らしを再現します。
今回は、チャム(仮面舞踏)はパスすることにした。2009年にはかぶりつきの席で見ているためである。そのとき撮影した映像は YouTube にアップしてあるのでご参考まで。 「チベット密教僧による「チャム」牛と鹿の舞」。
砂曼荼羅には、入り口でかなりの人が並んで待っていたので、今回はパス。これも2009年にはじっくりと制作の様子を最前列で見ることができたから。ちなみに砂曼荼羅は制作には細心の集中力を要するが、完成したら壊してしまう。仏教においては「執着」してはいけないのである。変転してきわまりない「無常」を旨としなくてはならないのだ。
今回の楽しみは、まったくもって形而下な話だが、ひさびさにチベット料理を食べたかったということにある。
チベット餃子のモモ(700円)にバター茶(200円)。1995年に中国領のチベットとインドのチベット人居住地区のラダック地方を旅したことがあるが、モモを食べるのもバター茶を飲むのもそれ以来のことになる。
(これがチベット餃子モモ)
餃子はシベリアからトルコまでユーラシア大陸全域に普及しているポピュラーな食べものだが、チベットにもある。小麦粉からつくった皮であんをつつむ形態は。基本的にどの地域でも共通している。餃子という粉食は中国文化ではありません。
バター茶は粉茶にバターを入れた熱いお茶だが、お茶というよりも塩味のつよいスープのようなものだと考えればよい。チベットのお寺で僧侶からヤカンに入ったバター茶をふるまってもらったが、それ以来なのでじつに懐かしい思いがした。
(バター茶 色はやや白い 塩分がつよい)
チベットビールのチャンが完売というのは残念であった。まだ一度も飲んだことがないので・・・
このほか、チベット人歌手の無料コンサートやチャム(チベット僧による仮面舞踏)につかう仮面などを見た。その他、タンカ(仏画)やメディテーション・ボウルなどチベット仏教関連の工芸品のコーナーなどもひやかして歩く。
(チベット仏教の仏具の販売)
わたしは、1995年に渡航した際にタンカやマニ車などの仏具はチベットとネパールですでに収集しているので、今回はあくまでも見るだけ購入はしないが、仏具の使い方はその場でチベット僧にに教えてもらった。なにごともその道のプロに教えてもらうのが一番である。
えんじ色の袈裟をつけたチベット僧たちが護国寺の境内を歩いているのを見るのは、なんだか不思議な感じがするが、しかしそれほど違和感がないのは、日本仏教もチベット仏教も大乗仏教であるためだろうか。日本人とチベット人は顔立ちもよく似ているし。
中国による圧政下にあるチベットの現状については、さまざまな情報が日本にももたらされており、個人的にはたいへん憂慮している。また多くの人もチベット僧たちによる抗議の焼身自殺がつづいていることを痛ましく思っていることであろう。
だが、あえてそういった点にはふれずに、このような肩のこらないフェスティバルというかたちで日本人がチベット文化とチベット仏教に触れる機会はじつに意義あることだと思う。
なにごとも機縁というものがあるからだ。縁がつながる機会は多ければ多いほどよいのである。このフェスティバルもそんな機縁の一つとなることだろう。そこからチベット問題について考える人がでてくればよい。
そして仏教文化こそ、チベットの存在を世界にアピールしているソフトパワーなのである。正義がいずれの側にあるか、言うまでもなくあきらかであろう。
<関連サイト>
チベットフェスティバル (フェイスブックページ)
「チベット・フェスティバル・トウキョウ 2013」 公式サイト
<ブログ内関連記事>
チベット・スピリチュアル・フェスティバル 2009
・・ 「チベット密教僧による「チャム」牛と鹿の舞」と題して、YouTube にビデオ映像をアップしてある。ご覧あれ http://www.youtube.com/watch?v=jGr4KCv7sAA
「ダライラマ法王来日」(His Holiness the Dalai Lama's Public Teaching & Talk :パシフィコ横浜)にいってきた
書評 『目覚めよ仏教!-ダライ・ラマとの対話-』 (上田紀行、NHKブックス、2007. 文庫版 2010)
「チベット蜂起」 から 52年目にあたる本日(2011年3月10日)、ダライラマは政治代表から引退を表明。この意味について考えてみる
(2012年7月3日発売の拙著です)
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