「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2024 禁無断転載!



2015年4月8日水曜日

書評『南の島の日本人 ー もうひとつの戦後史』(小林泉、産経新聞社、2010)-ミクロネシアにおける知られざる日本民族史の一コマ


いまから100年前の1914年、第一次世界大戦に参戦した日本が「敵国ドイツ」から奪いとったのは中国の青島(チンタオ)だけではない。南太平洋の島々であるミクロネシアもまたそうであった。
  
第一次大戦後にできた国際連盟(League of Nations)において、日本「委任統治領」となって30年間統治した土地。第二次世界大戦の激戦地となり、日本が敗北するした結果、アメリカの信託統治領となって日本人は退去させられた。
      
その後、アメリカから独立したなかにはパラオ共和国もある。人口の5分の1近くが、なんらかの形で日本人の血を引いているとのこと。初代大統領が日系人のトシオ・ナカムラ氏であった。また、大酋長になったススム・アイザワ氏もいる。

本日(4月8日)から一泊二日で、天皇皇后両陛下が「太平洋戦争」の激戦地となったペリリュー島などパラオを公式訪問されるのは、たいへんよろこばしいことであります。
         
5年前に買って積ん読状態のままだった『南の島の日本人-もうひとつの戦後史-』(小林泉、産経新聞社、2010)という本をこの機会に通読してみた。本書は、先に名前を出した大酋長になったススム・アイザワ氏と初代大統領になったトシオ・ナカムラ氏という、おなじトラック島生まれで子ども時代からの友人であった「ススムとトシオの物語」とでもいうべき内容である。

天皇皇后両陛下のパラオご訪問にかんして、テレビではご訪問理由として「先の大戦の慰霊」のことばかりが強調されている。慰霊という祈りはきわめて重要なことだ、天皇陛下の南の島々への思いは、もっと深いものがあるような記述に出会った。
  
皇太子時代、東宮御所を訪れたミクロネシアのポナペから交流事業で招かれた小中学生との会話で、こんなことを述べられているようだ。
   
「小学校の教科書には『トラック島便り』というのがあって、それを読んだ私はいつか南の島に行ってみたいと思うようになっておりました。そんな子供の頃を思い出して、皆さんにお会いするのがとても楽しみでした」(P.107)

1979年のご発言である。天皇陛下は、そんな「戦中派世代」なのだ。2004年のご訪問予定が流れてから10年後のパラオ訪問の実現。天皇陛下にとっては、まことにもって感無量のことでありましょう。
   
日本の旧植民地としての台湾と朝鮮半島、移民先としての満洲や北米と南米ばかりが話題になるが、南洋諸島にもまた多くの日本人が入植した土地だったことをぜひアタマのなかに入れておきたいものである。日本人と日系人をあわせて「日本民族」となるのだ。

しかも、パラオを代表とするミクロネシアの島々が、じつは「親日国」であるという事実もまた。





目 次

第1章 ススムとトシヲの物語
第2章 日本人たちのミクロネシア
 (1) 南洋に渡った先覚者たち
 (2) 敗戦で日本人が日系人に
 (3) ミクロネシアの日系人
エピローグ
ススム&トシヲの歩み年表
主な参考文献・資料


著者プロフィール

小林泉(こばやし・いずみ)
1948年東京生まれ。大阪学院大学教授、太平洋諸島研究所理事、農業経済学博士。『太平洋島嶼諸国論』(大平正芳賞)、『アメリカ極秘文書と信託統治の終焉』(大平正芳賞)、『中国と台湾の激突-太平洋をめぐる国際関係-』、『オセアニアを知る事典』ほかの著書がある(本書記載のデータによる)。



<ブログ内関連記事>

「JICA横浜 海外移住資料館」は、いまだ書かれざる「日本民族史」の一端を知るために絶対に行くべきミュージアムだ!
・・日本に住んでいて日本語を話す日本人だけが日本民族ではない!!

『単一民族神話の起源-「日本人」の自画像の系譜-』(小熊英二、新曜社、1995)は、「偏狭なナショナリズム」が勢いを増しつつあるこんな時代だからこそ読むべき本だ
・・「帝国」であった時代の「戦前」の保守派のほうが「開かれた精神」をもっていた

書評 『民俗学・台湾・国際連盟-柳田國男と新渡戸稲造-』(佐谷眞木人、講談社選書メチエ、2015)-「民俗学」誕生の背景にあった柳田國男における新渡戸稲造の思想への共鳴と継承、そして発展的解消
・・「官僚を辞めて朝日新聞社に入社していた柳田國男は、国際連盟の「委任統治委員」の日本側委員として抜擢されジュネーヴに赴任する」 また柳田國男の実弟の松岡静男は元海軍大佐で、退役後に南洋問題の専門家となった

「夢の島」にはじめて上陸(2014年11月15日)-東京都江東区の「夢の島」に日本戦後史の縮図をみる
・・マーシャル群島で米国の水爆実験の死の灰を浴びて被爆した第五福竜丸が展示されている

『近代の超克ー世紀末日本の「明日」を問う-』(矢野暢、光文社カッパサイエンス、1994)を読み直す-出版から20年後のいま、日本人は「近代」と「近代化」の意味をどこまで理解しているといえるのだろうか?
・・矢野暢氏の『南進の系譜』は、日本人の南方進出にかんする古典的名著

書評 『帰還せず-残留日本兵 60年目の証言-』(青沼陽一郎、新潮文庫、2009)-日本に「帰還しなかった」元日本兵たちの人生の軌跡を丹念にインタビューした、きわめて良質なノンフィクション
・・ビルマ(=ミャンマー)とタイ、インドネシア、そしてベトナムから帰還しなかった元日本兵たちの人生

『移住・移民の世界地図』(ラッセル・キング、竹沢尚一郎・稲葉奈々子・高畑幸共訳、丸善出版,2011)で、グローバルな「人口移動」を空間的に把握する

書評 『西欧の植民地喪失と日本-オランダ領東インドの消滅と日本軍抑留所-』(ルディ・カウスブルック、近藤紀子訳、草思社、1998)-オランダ人にとって東インド(=インドネシア)喪失とは何であったのか
・・ドイツとは異なり、オランダにとって東南アジア植民地はきわめて大きなものであった

『ストロベリー・ロード 上下』(石川 好、早川書店、1988)を初めて読んでみた ・・伊豆大島からカリフォルニアに移民した著者の若き日を描いた作品

(2015年5月23日 情報追加)


(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end