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2022年11月23日水曜日

書評 『22世紀の民主主義ー選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』(SBI新書、2022)ー きわめて真っ当な議論であり、しかも穏当な結論だ

 
ことし2022年の7月頃だが、経済学とデータ科学の境界領域を専門にしているイエール大学の成田裕輔氏が語る内容が本質をついており、しかもかなり特異なキャラとあいまって面白いので、出演番組を YouTube で見まくっていた。 

その際に購入しておいて『22世紀の民主主義』(SBI新書、2022)を、11月になってからようやく通読してみた。7月に amazon で購入したした際にはまだ2刷だったが、現在(2022年11月)の時点では、なんと20万部超えのベストセラーだという。

副題は「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」。これだけ見ると、ふざけた印象がなくもないが、発想は健全であり内容はじつにまっとうだ。 

21世紀になってから顕著になってきたのが、資本主義と乖離していく民主主義であり、劣化して機能不全状態の民主主義である。経済成長と民主主義のあいだには相関関係がないだけでなく、因果関係もないことがデータ分析によってわかってしまったのだ。

本書では、まずは理路整然と現在の民主主義の診断を踏まえて選挙制度の本質を分析し、テクノロジーがもたらした激変する環境のなかで、民主主義制度の根幹とされてきた選挙制度の代替となる仕組みを考察している。 

その結論を1行でいってしまえば「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」となるわけだが、最初から読んでみると、論を進めるにあたって国内外の豊富な事例が集められており、それを読むだけでも興味深い。もちろん、本質的な議論が展開されており読み応えがある。 

わたしもそうだが、そもそもリアルの政治にはそれほど関心はないし、生臭い政治家の世界にはほとんどなんの共感も感じないので、成田氏の分析と提言には大いに賛同する。

面倒くさいことがきらいなのは人間の性(さが)なので、機械にできることには機械にやってもらえばいい機械が行うのは入力と出力であり、その機械を動かすのがアルゴリズムである。そのアルゴリズムがブラックボックス化していなければいいいのである。

そもそも、複雑化する一方の社会では、それこそ無数のイシューが発生するわけであり、人間である政治家がすべてのイシュー理解し、それらに対応することなど不可能なのであり、したがってそう化投げれば、選挙によって政治家を選ぶという現行の制度にはムリがあるのは当然だ。どんなイシューであれ、是々非々で対応するのが筋というものだろう。

 成田氏も、結論として「政治家はネコでよい」といっているだけで、「アルゴリズムですべてが完結する」とまでは言ってない。その意味では、穏当な見解だというべきではないか。一読の価値はある本である。 



目 次
A. はじめに断言したいこと 
B. 要約 
C. はじめに言い訳しておきたいこと 
第1章 故障 
第2章 闘争 
 政治家をいじる
 メディアをいじる 
 選挙をいじる
 UI/UX(ユーザーインターフェース)をいじる 
第3章 逃走 
第4章 構想 
 選挙なしの民主主義に向けて 
 民主主義とはデータの変換である 
 アルゴリズムで民主主義を自動化する 
 不完全な萌芽 
 政治家不要論 
おわりに:異常を普通に 
脚注

著者プロフィール
成田裕輔(なりた・ゆうすけ)
夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想株式会社代表。専門は、データ・アルゴリズム・ポエムを使ったビジネスと公共政策の想像とデザイン。ウェブビジネスから教育・医療政策まで幅広い社会課題解決に取り組み、企業や自治体と共同研究・事業を行う。混沌とした表現スタイルを求めて、報道・討論・バラエティ・お笑いなど多様なテレビ・YouTube番組の企画や出演にも関わる。1986年生まれ。東京大学卒業(最優等卒業論文に与えられる大内兵衛賞受賞)、マサチューセッツ工科大学(MIT)にてPh.D.取得。一橋大学客員准教授、スタンフォード大学客員助教授、東京大学招聘研究員、独立行政法人経済産業研究所客員研究員などを兼歴任。内閣総理大臣賞・オープンイノベーション大賞・MITテクノロジーレビュー Innovators under 35 Japan、KDDI Foundation Award 貢献賞など受賞。(amazon著者紹介に加筆)


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