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2022年11月23日水曜日

書評 『22世紀の民主主義ー選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』(SBI新書、2022)ー きわめて真っ当な議論であり、しかも穏当な結論だ

 
ことし2022年の7月頃だが、経済学とデータ科学の境界領域を専門にしているイエール大学の成田裕輔氏が語る内容が本質をついており、しかもかなり特異なキャラとあいまって面白いので、出演番組を YouTube で見まくっていた。 

その際に購入しておいて『22世紀の民主主義』(SBI新書、2022)を、11月になってからようやく通読してみた。7月に amazon で購入したした際にはまだ2刷だったが、現在(2022年11月)の時点では、なんと20万部超えのベストセラーだという。

副題は「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」。これだけ見ると、ふざけた印象がなくもないが、発想は健全であり内容はじつにまっとうだ。 

21世紀になってから顕著になってきたのが、資本主義と乖離していく民主主義であり、劣化して機能不全状態の民主主義である。経済成長と民主主義のあいだには相関関係がないだけでなく、因果関係もないことがデータ分析によってわかってしまったのだ。

本書では、まずは理路整然と現在の民主主義の診断を踏まえて選挙制度の本質を分析し、テクノロジーがもたらした激変する環境のなかで、民主主義制度の根幹とされてきた選挙制度の代替となる仕組みを考察している。 

その結論を1行でいってしまえば「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」となるわけだが、最初から読んでみると、論を進めるにあたって国内外の豊富な事例が集められており、それを読むだけでも興味深い。もちろん、本質的な議論が展開されており読み応えがある。 

わたしもそうだが、そもそもリアルの政治にはそれほど関心はないし、生臭い政治家の世界にはほとんどなんの共感も感じないので、成田氏の分析と提言には大いに賛同する。

面倒くさいことがきらいなのは人間の性(さが)なので、機械にできることには機械にやってもらえばいい。機械が行うのは入力と出力であり、その機械を動かすのがアルゴリズムである。そのアルゴリズムがブラックボックス化していなければいいいのである。

そもそも、複雑化する一方の社会では、それこそ無数のイシューが発生するわけであり、人間である政治家がすべてのイシュー理解し、それらに対応することなど不可能なのであり、したがってそう化投げれば、選挙によって政治家を選ぶという現行の制度にはムリがあるのは当然だ。どんなイシューであれ、是々非々で対応するのが筋というものだろう。

 成田氏も、結論として「政治家はネコでよい」といっているだけで、「アルゴリズムですべてが完結する」とまでは言ってない。その意味では、穏当な見解だというべきではないか。一読の価値はある本である。 



目 次
A. はじめに断言したいこと 
B. 要約 
C. はじめに言い訳しておきたいこと 
第1章 故障 
第2章 闘争 
 政治家をいじる
 メディアをいじる 
 選挙をいじる
 UI/UX(ユーザーインターフェース)をいじる 
第3章 逃走 
第4章 構想 
 選挙なしの民主主義に向けて 
 民主主義とはデータの変換である 
 アルゴリズムで民主主義を自動化する 
 不完全な萌芽 
 政治家不要論 
おわりに:異常を普通に 
脚注

著者プロフィール
成田裕輔(なりた・ゆうすけ)
夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想株式会社代表。専門は、データ・アルゴリズム・ポエムを使ったビジネスと公共政策の想像とデザイン。ウェブビジネスから教育・医療政策まで幅広い社会課題解決に取り組み、企業や自治体と共同研究・事業を行う。混沌とした表現スタイルを求めて、報道・討論・バラエティ・お笑いなど多様なテレビ・YouTube番組の企画や出演にも関わる。1986年生まれ。東京大学卒業(最優等卒業論文に与えられる大内兵衛賞受賞)、マサチューセッツ工科大学(MIT)にてPh.D.取得。一橋大学客員准教授、スタンフォード大学客員助教授、東京大学招聘研究員、独立行政法人経済産業研究所客員研究員などを兼歴任。内閣総理大臣賞・オープンイノベーション大賞・MITテクノロジーレビュー Innovators under 35 Japan、KDDI Foundation Award 貢献賞など受賞。(amazon著者紹介に加筆)


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2014年12月30日火曜日

『前田建設ファンタジー営業部』(前田建設工業株式会社、幻冬舎、2004)で、ゼネコンの知られざる仕事内容を知る


「前田建設ファンタジー営業部」というのは、準大手ゼネコンの前田建設工業株式会社(MAEDA CORPORATION)の一部門という設定だが、もちろん架空の部署である。前田建設のウェブサイトにのみ存在するバーチャルな部署である。

大型の建設工事現場そのものは目にすることがあっても、「関係者以外立ち入り禁止」になっているので、たいていの人は中で何が行われているか見たことはないだろう。

しかも、建設工事全般を仕切っているゼネコンの仕事じたい、ある種の固定したイメージ(・・それもかならずしも好ましくないもの)がまとわりついている割には一般人にはあまり知られていないのは現在でも変わらないと思う。

その外からはわかりにくいゼネコンの仕事を、アニメの名作に登場する構造物の予算(=工費)と工期にかんする「見積もり」を行う作業をつうじて、理解してもらおうという趣旨の「プロジェクト」である。ただし、「受注」から先の「工事」そのものまで扱われていないのは、残念ながらじっさいに発注した者がいないからだ。

その第一弾が、ロボットアニメの名作「マジンガーZ」に登場する「地下格納庫」建設の見積もりである。結論は、予算72億円、工期6年5ヶ月(ただし機会獣の襲撃期間を除く)というものだが、この見積もりを作成するまでのプロセスが、じっさいに受注して工事を開始するまでのゼネコンの主要な仕事の一つなのである。

キャラ化されマスコット化された社員たちによる、おもしろおかしい会話をつうじて土木と建設にかんするウンチクが語られるという構成になっている。見積もり完成というゴールにむけてのプロセスが面白いのだ。

(前田建設ファンタジー営業部の公式サイトより)

ファンタジー営業部による「プロジェクト」は好評のため、すでにシリーズ化されて「PROJERCT5」まで進展している。プロジェクトのキックオフ以降の歴史を、ウェブサイトに掲載されている年表を引用してみておこう。

2003年
 2月 Project01 昭和47年作品「マジンガーZ」格納庫検討
 10月 Project02 昭和57年作品「銀河鉄道999」地球発進用高架橋検討
2004年
 11月 書籍Project01(日本語版)出版
 11月 Yahoo! Internet Guide主催「Web of the Year 2004」ノミネート
2005年
 6月 Project03 平成17年作品 PS2「グランツーリスモ4」サーキット検討
 7月 日本SF大賞 星雲賞 ノンフィクション部門 受賞
 7月 書籍Project01(韓国語版)出版
2006年
 6月Project04 「世界初!ロボット救助隊を創ろう」(組織実現概略検討)
2007年
 7月 書籍Project02(日本語版)出版
2009年
 5月書籍 Project02(韓国語版)出版
2010年
 4月Project05 昭和54年作品「機動戦士ガンダム」地球連邦軍基地ジャブロー検討
2012年
 3月Project05 出版



すでに、「マジンガーZ」の地下格納庫、「銀河鉄道999」の高架橋、「機動戦士ガンダム」の巨大基地、のプロジェクトが単行本化され、文庫本化されている。しかも韓国語版も出版されているらしい。



わたし自身は、世代的にはガンダム世代にかかっているものの、子ども時代にもっとも心奪われたロボットアニメが「マジンガーZ」だったので、第一弾となった『前田建設ファンタジー営業部』をここでは取り上げることにしたい。なんせ、「マジンガーZ」も「グレート・マジンガー」も、わたしにとっては、カラオケなしのアカペラで歌えるアニソンである!!

さて、本書の内容だが、アニメに描かれた世界を、その当時にじっさいに視聴していた社員もそうでない社員も、真剣にビデオを解析して検討し、現在の技術(・・マジンガーZのケースでは2003年段階)で対応可能なものを徹底的に検証している。その作業を踏まえて「積算」によってコスト計算を行い、「見積書」が最終的に完成するわけだ。

内容については、「目次」をご覧になっていただくのが手っ取り早いだろう。

目 次

まえがき
プロローグ 架空の建造物を思い描いた、すべての方々へ
PART. 1 ファンタジー営業部颯爽登場
PART. 2 汚水処理場の夕陽に咲くマジンガー
 [COLUMN.1] 地下水と建設工事
PART. 3 兜博士の遺産
PART. 4 グシオスβ3の歌が聞こえる
 [COLUMN.2] 東京湾アクアライン 
PART. 5 立坑の掘り方教えます
 [COLUMN.3] 薬液注入 
PART. 6 掘削法面は立っているか
 [COLUMN.4] マジンガーZが前田建設に配備されたら
 ・建設機械図鑑
 [番外編] この人に聞く①
PART. 7 水槽300t の水圧
 [番外編] この人に聞く②
 [COLUMN.5] 大きかったり小さかったり 
PART. 8 ジャッキアップ超特急
 [番外編] この人に聞く③
 [COLUMN.6] 各場面の実現 
 [COLUMN.7] 転倒防止機能 
PART. 9 積算はいかが
 [COLUMN.8] 切り盛りのバランス 
 [番外編] この人に聞く④
PART. 10 ファイルProject01を提出せよ
エピローグ
附録 「マジンガーZ格納庫・模型」
あとがき

もちろん「受注」できるかどうかは、また別の話。金額は大きいが、見積もり段階で終わってしまうプロジェクトはじつに多い。競争入札であればなおさらだ。

「受注」できて「工事」が始まる際には、さまざまな下請け(=サブコントラクター)や外注先をマネジメントするという仕事が待っている。コスト管理しながら、安全第一で工期までにプロジェクトを完成させるという施工管理の仕事である。これはプロジェクト・マネジメントである。

この本は、土木と建設にかんする技術的なウンチク、機械設計にかんする技術などなど、ゼネコン関連で仕事をする人、これからゼネコンを目指している就活生にも、役に立つ内容になっていると思う。下手な就活本よりも面白くてためになるのではないかな。

シリーズのうち好みの一冊を手元においておけば、ゼネコンの仕事ガイドブックとしても役に立つだろう。





<関連サイト>

前田建設ファンタジー営業部 - 前田建設工業
・・「ファンタジー営業部」は、アニメ、マンガ、ゲームといった空想の世界に存在する特徴ある建造物を当社が本当に受注し、現状の技術および材料で建設するとしたらどうなるかについて、工期、工費を公開するコンテンツです」。



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「サンダーバード博」(東京・科学未来館)にいってきた(2013年7月17日)

解体工事現場は面白い!-人間が操縦する重機に「人機一体」(=マン・マシン一体)を見る
・・あたらしい構造物の建設の前には解体という作業が待っている

マンガ 『いちえふ-福島第一原子力発電所労働記 ①』(竜田一人、講談社、2014)-廃炉作業の現場を作業員として体験したマンガ家による仕事マンガ
・・原子炉関係の建設も、もちろんゼネコンの仕事

タダノの大型クレーンの商品名ピタゴラス-愛称としてのネーミングについて

『新世紀 エヴァンゲリオン Neon Genesis Evangelion』 を14年目にして、はじめて26話すべて通しで視聴した

書評 『大倉喜八郎の豪快なる生涯 』(砂川幸雄、草思社文庫、2012)-渋沢栄一の盟友であった明治時代の大実業家を悪しき左翼史観から解放する ・・ゼネコン大手の大成建設は大倉組の中核事業にさかのぼることができる

(2015年7月23日 情報追加)




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2014年11月23日日曜日

解体工事現場は面白い! ー 人間が操縦する重機に「人機一体」(=マン・マシン一体)を見る


解体工事現場は面白い。小学生でなくても、解体現場というのは、なぜだが興味津々でついつい見入ってしまうものだ。とくに男子ならその気持ちはわかると思う。

この現場で解体しているのはRC造(=鉄筋コンクリート)の建造物。コンクリートを破砕して、コンクリートと鉄筋を分別する作業を行っていた。これは、なかなか大変な作業だ。鉄筋コンクリート造の建造物が頑丈なのは当然だ。

(重機の先端部分のアタッチメントは着脱自由)

油圧ショベル(重機)の先端に装着されたアタッチメントのグラップルの形が面白い。グラップルというのはハサミのことだが、この現場で使用されているグラップルは鳥のアタマのようだ。

クレーンは鳥のツルという意味だが、パワーショベルは怪鳥のようである。怪鳥がクチバシでガリガリとコンクリートの塊をかみ砕いていくさまは見応えがある。破砕音や振動、ガソリンの匂いなど五感を再現できれば臨場感が増すのだが、やはり観察はリアルな現場に限るのである。


■建築と解体は対(つい)で考えることが必要

鉄筋コンクリート(RC:Reinforced Concrete)は、コンクリートの補強として鉄筋を入れたものだが、鉄筋とコンクリートが融合しているので、鉄筋に錆がでて劣化しない限り、きわめて堅固なものである。

建築の際には、いかに堅固な建築物を構築するかばかりを考えるものだが、解体の際には、コンクリートの瓦礫から鉄筋を分別するのがいかに大変であるかがわかる。それほど、鉄筋コンクリートは基本的に頑丈なのである。

解体した建築廃材(=ガラ)は分別したうえで、産業廃棄物として処分される。解体業は産廃事業であり、いわゆる静脈(じょうみゃく)産業である。これは、人体をめぐる血管のアナロジーとして命名された産業分類だ。動脈と静脈は対(つい)の関係にある。

同様に、建築と解体は対(つい)にして考えるべきなのだと、あらためて納得する。スクラップ・アンド・ビルドという表現があるが、建築が解体され更地となるだけでなく、解体のあとには建築が行われることも多々あるのだ。




■人機一体(=マン・マシン一体)

パワーショベル(重機)で作業している現場を見ていると、人間が操縦する巨大なロボットを連想させるものがある。重機という機械と、操縦する人間が一体化しているのだ。

小学生が引き込まれるのもそのためだろう。かつて小学生だった大人だってワクワクするのも当然だ。重機の操縦はバランスをとるのが、なかなかむずかしそうだ。

「人馬一体」という表現がある。乗り物としての馬と、それに乗る人の息がピッタリとあって一体化しているさまを表現したものだ。自動車が馬車の延長線上にあることは、技術史の常識である。

この表現になぞらえれば、重機の場合は「人機一体」だ。「マン・マシン一体」である。マン・マシン・システムというと、一般には人とコンピュータの一体化のことをいうが、重機もコンピュータ(・・そもそもの意味は計算機)も機械であることは共通している。

かつて「コンピューター付きブルドーザー」と呼ばれた田中角栄という首相がいたことを思い出した。1970年前後の話であるが、現在の重機は電子制御化が進んでいるので、文字通り「コンピューター付きブルドーザー」となっている。

とはいえ建設機械の大半は無人化された自動操縦ではない。アームの操作によって作業を行う点は産業用ロボットに似ているが、自動運転ではなく人間が操縦するのでロボットではない。人工知能ではなく、人間の頭脳が状況を判断し、手でスティックを握って操作するのである。重機という道具(ツール)もまた、手の延長線上にあるわけだ。

原子炉の内部などは無人化したロボットの導入が行われているが、市街地の解体現場に無人化した重機が登場することはあるのだろうか?

技術の進歩は経済性との関数でもあるので、将来の解体現場がどのようなものになるのか判断がつきかねるものがある。だが、当分のあいだは、「人機一体」の解体シーンを観察することができそうだ。






<関連記事>

「日本一難しい解体工事」に深夜潜入  鉄道3路線を止めずに渋谷駅直上で東急百貨店を壊す(日経ビジネスオンライン、2015年6月2日)

(2015年6月2日 情報追加)


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クレーンはツルである-アナロジーによるネーミング(=類推による命名)

マンガ 『いちえふ-福島第一原子力発電所労働記 ①』(竜田一人、講談社、2014)-廃炉作業の現場を作業員として体験したマンガ家による仕事マンガ
・・廃炉作業もまた解体作業の一種

書評 『馬の世界史』(本村凌二、中公文庫、2013、講談社現代新書 2001)-ユーラシア大陸を馬で東西に駆け巡る壮大な人類史
・・「人馬一体」から「人機一体」へ

書評 『思想としての動物と植物』(山下正男、八坂書房、1994 原著 1974・1976)-具体的な動植物イメージに即して「西欧文明」と「西欧文化」の違いに注目する「教養」読み物
・・「Ⅳ章 馬から機械へ」では、動力源の変化が、馬から機械への転換を促し、その移行期においては馬のメタファーが使用されていたことが指摘されている。馬力(horse power)という英単語が端的にその事情を表現している」


■ロボット

「ロボカップ ジャパンオープン 2013」(会場:玉川大学・玉川学園)の最終日にいってきた(2013年5月6日)

書評 『ロボット新世紀』(シリル・フィエヴェ、本多力訳、文庫クセジュ、2003)-ロボット大国ではないフランスのジャーナリストが簡潔にまとめたロボット開発の見取り図


■日本のロボットアニメが展開してきた「人機一体」の世界観

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2014年8月9日土曜日

書評『謎のチェス指し人形「ターク」』(トム・スタンデージ、服部桂訳、NTT出版、2011)-18世紀後半のオートマトンにコンピュータとロボットの原型をさぐる「知の考古学」



17世紀以降、日本だけでなく西欧でも娯楽目的の「からくり人形」が流行した。いわゆる「西洋からくり人形」であるが、正確にはオートマトンという。自動人形または自動機械のことである。流行は日本でも西欧でも19世紀半ばまで続いた。

機構そのものにプログラムを内蔵させたオートマトンは、完全に自動化されているものも、手動式にものもあったが、機械言語によって動く現在のコンピュータとロボットの前身と位置づけられている。

オートマトンの歴史のなかで18世紀の終わりに登場したのが、本書の主人公、謎のチェス指し人形「ターク」である。ターク(Turk)といはトルコ人のことだ。

啓蒙専制君主であった女帝マリア・テレジア統治下ののハプスブルク帝国で、上級官吏であったヴォルフガング・フォン・ケンペレンが1770年に「発明」したのであった。当時のハプスブルク帝国では、隣接するオスマントルコ帝国の風俗が流行していたらしい。

「ターク」は第一級のチェスプレイヤーとして数々の名人を打ち負かし、ナポレオンと対戦し、ロシアの女帝エカチェリーナなど当時のセレブたちをを驚かせたらしい。同時代に生きたフランクリンやゲーテも記録に残しているくらいだ。

本書は、英国のテクノロジーライターで作家が、「ターク」誕生以来の歴史をノンフィクションとしてたどり、「ターク」が引き起こしたセンセーションと、「ターク」の謎を解こうと挑戦した人々、「ターク」の存在に刺激を受けて自動機械やコンピュータの原型を開発したエンジニアたちを描いた技術史をベースにした「知の考古学」である。ポピュラーサイエンスものだが、推理小説のような知的エンターテインメントといっていいだろう。

原著は、The Life and Times of The Famous Eighteenth-Century Chess-Palying Machine, by Tom Standage, 2002 である。直訳すれば、『かの有名な18世紀のチェス指しマシンの生涯とその時代』で、2002年の出版である。どうも21世紀に入ってからの数年に、この手の作品が多いことに気がつく。


調べればどこにでも書いてあることだからネタバレにはならないと思うが、「ターク」は実際のところ、自動機械ではなかったのである。よくいって半自動機械であったというべきだろう。機械は機械であったが、人間がオペレートしていたのである。もちろん「ターク」じたいには、チェスを指す知能は備えていなかった。

原著のカバーには、ロボットアームのような「ターク」のアームが駒を握っているイラストが描かれている。21世紀の現在も、宇宙船でのロボットアームをつかった各種の作業も宇宙船内で乗員がオペレートしているものであることを考えれば、それじたい非難(?)すべきものとは思われない。

「ターク」が出現した18世紀の終わりから19世紀にかけての時期は、ちょうど英国で「産業革命」(Industrial Revolution)が起こった時期にあたる。

大陸ではもっぱら娯楽用であったオートマトンだが、英国では「ターク」の存在が刺激となって自動機械の開発がさかんに行われるようになったらしい。牧師のカートライトの自動織機の発明もその一つである。娯楽用機械の存在が、実用目的の自動機械の開発意欲を誘発したわけである。 

おなじく同時代の英国の数学者バベッジもまた「ターク」の存在に刺激を受け、機械式汎用コンピュータの原型「階差機関」を構想している。機械装置で論理的な推論と演算ができると考えたのであったが、バベッジのコンピュータは彼が生きているうちに実現はしなかった。バベッジは「コンピュータの父」とされている。

「ターク」の生涯は、娯楽用オートマトンの流行が終わった19世紀半ばにはいったん終えることになるが、20世紀になってから人工知能研究の進展によってふたたび「ターク」は想起されることになる。IBMが開発したディープ・ブルーとチェスの世界チャンピオンとの対戦である。まさに「ターク」の再現であったというべきだろう。日本でもコンピュータ将棋の開発はつづいている。

だが、著者もいうように、ディープ・ブルーにおいてすら完全に自動機械が実現したのではないといっていいのかもしれない。なぜなら、人工知能といえどもコンピューターの背後にはプログラムする人間がいるからだ。オペレーターは完全自動化可能でも、プログラムそのものを完全に自動化することははたして可能なのかどうか。

人工知能による完全自動機械というエンジニアの「夢」は、いまだに実現することはない「夢想」にとどまっているが、もしそれが実現したあかつきには、人間は完全に不要になってしまうかもしれない。その日は遠い将来ではないと主張する人もいるが、特化した機能では人間の知能を凌駕するコンピュータやロボットが実現しても、人間の総合的な知能を凌駕するのはそう簡単な事ではないような気もする。

公式の技術史には登場しないが、間接的にきわめて多くの刺激を与えてきた「ターク」というチェス指し人形の存在。娯楽機器が実用開発を刺激するという点においては、18世紀も21世紀も変わらないようだ。

コンピュータやロボット開発の動機を考えるうえで、オートマトンの歴史を知っておくと意味があるといっていいだろう。その意味では「ターク」の存在はじつに興味深い。

英国の良質なポピュラーサイエンスものとしておすすめの一冊である。




目 次

まえがき
第1章 クイーンズ・ギャンビット
第2章 タークのオープニングの動き
第3章 最も魅惑的な仕掛け
第4章 独創的な装置と見えない力
第5章 言葉と理性の夢
第6章 想像力の冒険
第7章 皇帝と王子
第8章 知性の領域
第9章 アメリカの木製の戦士
第10章 終盤戦
第11章 タークの秘密
第12章 ターク対ディープ・ブルー
謝辞
原注
参考文献
訳者解説
オートマトン計算機の歩み(年表)
索引


著者プロフィール
トム・スタンデージ(Tom Standge)
1969年生まれ。ジャーナリスト・作家。英『エコノミスト』誌テクノロジー担当ライター。 著書に『世界を変えた6つの飲み物』(インターシフト)などがある。

訳者プロフィール
服部桂(はっとり・かつら)
1951年生まれ。元・朝日新聞社科学部記者。 著書に『メディアの予言者』(廣済堂出版)、『人工生命の世界』(オーム社)などが、訳書に『デジタル・マクルーハン』『パソコン創世 第3の神話』(ともにNTT出版)などがある。


<ブログ内関連記事>

書評 『からくり人形の夢-人間・機械・近代ヨーロッパ-』(竹下節子、岩波書店、2001)-「西洋からくり人形」にさぐるバロック時代の精神世界

書評 『ロボットとは何か-人の心を写す鏡-』(石黒浩、講談社現代新書、2009)-「人間とは何か」、「自分とは何か」というロボット工学者の哲学的な問い

書評 『ロボット新世紀』(シリル・フィエヴェ、本多力訳、文庫クセジュ、2003)-ロボット大国ではないフランスのジャーナリストが簡潔にまとめたロボット開発の見取り図

書評 『ねじとねじ回し-この千年で最高の発明をめぐる物語-』(ヴィトルト・リプチンスキ、春日井晶子訳、ハヤカワ文庫NF、2010 単行本初版 2003)-「たかがねじ、されどねじ」-ねじとねじ回しの博物誌
・・「(ヨーロッパでは)「紳士にとって旋盤を回すことは、婦人にとっての刺繍のようなもので、18世紀の終わりまで趣味として人気を保っていた」(第5章)」ことを同時にアタマのなかにいれておくとよい

『西洋事物起原 全4巻』(ヨハン・ベックマン、特許庁技術史研究会訳、岩波文庫、1999~2000)は、暇つぶしにパラパラとやると雑学に強くなれる本
・・ベックマンは「ターク」目撃者でもある

書評 『グラハム・ベル空白の12日間の謎-今明かされる電話誕生の秘話-』(セス・シュルマン、吉田三知世訳、日経BP社、2010)

電気をつかわないシンプルな機械(マシン)は美しい-手動式ポンプをひさびさに発見して思うこと
・・自動人形もエネルギー源に電気を使用しない機械である

ファラデー『ロウソクの科学』の 「クリスマス講演」から150年、子どもが科学精神をもつことの重要性について考えてみる
・・ポピュラーサイエンスという英国の伝統

「史上空前規模の論文捏造事件」(2002年)に科学社会の構造的問題をさぐった 『論文捏造』(村松 秀、中公新書ラクレ、2006)は、「STAP細胞事件」(2014年)について考える手助けになる
・・21世紀人おいても科学雑誌の分野では英国と米国の存在が双璧


書評 『2045年問題-コンピュータが人間を超える日-』(松田卓也、廣済堂新書、2013)-「特異点」を超えるとコンピュータの行く末を人間が予測できなくなる?


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2014年8月8日金曜日

書評『からくり人形の夢 ― 人間・機械・近代ヨーロッパ』(竹下節子、岩波書店、2001)―「西洋からくり人形」にさぐるバロック時代の精神世界



「からくり人形」というと、まず想起するのは江戸時代の「茶運び人形」などだが、同時代のヨーロッパにも「からくり人形」が存在した。「西洋からくり人形」である。

日本の「からくり人形」は、17世紀から19世紀半ばにかけてつくられたものだ。もっぱら見て楽しませるための娯楽用として製作されたものだが、「第一次グローバリゼーション」の16世紀に西洋から伝来した機械時計に使用されていた「歯車」(ギア)を応用したものだ。歯車はきわめて重要な機構部品である。

「西洋からくり人形」もまた17世紀から19世紀半ばまでが全盛期であったが、本書の表現を借りれば、「奇跡と遊びとパッションが一体をなしていたバロック時代」の産物である。おなじく工学的発想にもとづく「からくり人形」であるが、日本の「からくり人形」とは背景となる思想が異なっていた。

「西洋からくり人形」は、正確にはオートマタ(automata)という。単数形はオートマトン(automaton)、直訳すれば自動機械である。機構そのものにプログラムを内蔵させたオートマトンは、機械言語によって動くコンピュータとロボットの前身である。

本書は、「西洋からくり人形」の背景を見ていくことによって、「近代科学」成立以前のバロック時代の科学観と人間観を明らかににしながら、「近代科学」成立によって切り捨てられていった初期近代の精神世界についてエッセー風に考察したものである。

日本ではいまだに「科学技術」と4文字熟語で一緒くたにされているが、「科学」と「技術」(=工学)はイコールではない。近代科学を生み出した西欧と生み出せなかった日本。その違いについて考えるためにも、「西洋からくり人形」というオートマトンについて振り返ってみる意味がある。

以下、わたし自身の関心にしたがって、わたしのコトバで解釈しながら読んでみる。著者はオートマタととしているが、19世紀以降の「近代科学」のもとにおける発展を視野に入れた場合、オートマトンと表記したほうが適切であろう。、


■オートマトンは機械式時計の技術と連動

「西洋からくり人形」のオートマトンは、本書によれば、精密機器である機械時計技術と連動して発展したらしい。からくり時計もその一つであるが、時計職人のブランドイメージのため製作されたもので、いわば技術のショーケースといった性格をもっていたようだ。

機械式時計の製作は、フランス・アルプスの北側グルノーブルからスイスのフランス語圏へと波及していった。だからオートマトンはフランスを中心に発達したようだ。レオナルド・ダヴィンチを生んだイタリアで発達せず、フランスで発達した理由も興味深い。

本書カバーの写真は、自らオルガンを弾く貴婦人の「西洋からくり人形」だが、もともと「自動楽器」のほうがオートマトンに先行していたようだ。

自動楽器は、音楽の保存方法として、楽譜による記譜法と並列して重要な役割をもっていたらしい。記録媒体としてのレコードと蓄音機が19世紀にエジソンによって発明される以前は、自動楽器が貴重な音源となっていた。18世紀から19世紀にかけて活躍したベートヴェンもまた、自動楽器向けの曲を作曲しているらしい。

自動楽器は、現代でもオルゴールとして生き残っているが、ピックという楔(くさび)のついたシリンダーを回転させ、楔を鍵盤をひっかけて音を再生する仕組みである。機構そのものにプログラムを組み込んだ記憶装置であり、再生装置であるといっていいだろう。

音楽の再生にあたって動力源は人力だが、オペレーターが手動で駆動しながら同時に制御するか、ゼンマイに蓄えたエネルギーを利用して自動再生するかの二種類があったが、機構そのものはおなじである。

この自動楽器の技術がオートマトンに活かされることになる。機構そのものにプログラムを組み込んだ記憶装置であり、再生装置である点は同じである。人間がプログラムを作成し、人間が動力源であり、オペレーターでもある。


■オートマトンと「人間機械論」

オートマトンの製作は、初期近代のバロック時代の科学観が背景にある。いわゆる「近代科学」成立以前の科学観である。

そもそも機械式時計は、神が造った被造物の一つである天体の動きを、歯車のかみあわせでムーブメントとしてメカニカルに再現したものである。大宇宙であるマクロコスモスと小宇宙であるミクロコスモスがコレスポンデンス(=照応)しているという近代以前の神学的科学観が背景にある。

人工美を表現した幾何学的なフランス庭園もそうであるが、アタマのなかで考えたイメージを素材をつかって表現したいという西欧人の欲望がストレートに表現されたものといえるだろう。「目に見えるもの」をいじっているうちに「目に見えないもの」を感じ始める日本人とは、真逆の発想なのかもしれない。

オートマトンにおいては、神が造った被造物である人間を一個の機械として理解した「人間機械論」が思想的背景にある。「人間機械論」は、「心身二元論」で有名な哲学者デカルトが打ち出したものだが、当事の西欧世界に与えたインパクトはきわめて大きかったようだ。フランスがオートマトン製作の中心であった理由の一つがデカルト哲学の影響である。

初期近代は、数学と解剖学の時代であり、解剖学の知見がメカニズムの解明と再現へ、そして数学で世界を表現する思考が浸透していった。

だが著者によれば、「人間機械論」は、現代人のわれわれが理解している「心身二元論」とはニュアンスが異なるようだ。デカルトはあくまでも人間は神の被造物であるという前提に立っていたのである。身体のメカニズムの究明をつうじて、精神の秘密を探ろうとしていた。「目に見える身体」のメカニズムをつうじて「目に見えない精神」を、探ろうという方法論である。

オートマトンもまた、目に見える機構というメカニズムをつうじて魂の問題を探求するという姿勢があったことを著者は強調している。人形に魂が宿るという発想は、日本人的な発想と似ていなくもないが、「人間機械論」においては、探求心が向かう方向と方法論が日本人とは異なるようだ。

「近代科学」を生み出した西欧人の発想をオートマトンに見ることができるのである。


■ロボットの原型としてのオートマトン

人形には魂が宿る。こういう感覚は日本人なら子ども時代に誰もが観じたことがあるのではないだろうか。ロボット工学者の森政弘博士による「不気味の谷」仮説がその一つの説明であろう。人間型ロボットは人間に近づくと親近感を増すが、ある閾値を超えると「不気味の谷」に入り込むという仮説である。

日本人に限らず、西欧人も人形には魂が宿るという感覚があったようだ。西欧人の深層意識に痕跡を残している古代的な感性といえようか。

自動人形のオートマトンであれ、マリオネットなどの操り人形であれ、人形自体には魂は存在しない。したがって誰かが動かしてやらなくてはならない。操り人形の場合は、人形師に憑依するという形で神の意志が反映されるというのは、ある意味では古代的な感性といえるだろう。

オートマトンは、アタマのなかで考えたイメージを素材をつかって表現したいという西欧人の欲望の表現であるが、オートマトンの延長線上にロボットがあると考えると、ロボットの原型となるイメージについて振り返ってみる意味もある。

著者は、オートマトンには以下の3つの類型があるとしている。わたしなりに補足して整理すると以下のようになる。

●アダム型: 神自身が造った神の似姿(←旧約聖書 『創世記』)
●ゴーレム型: ドッペルゲンガー型の分身。人格統合されるべき人間の「影」(←中欧ユダヤ伝承)
●イヴ型: 自分の理想や夢の投影。ギリシア神話のピュグマリオン。ピノッキオ

アダム=ゴーレム型の代表としてドイツ文学の『ゴーレム』(グスタフ・マイリンク)、イブ型の代表としてフランス文学の『未来のイヴ』(ヴィリエ・ド・リラダン)をとりあげて、内容を紹介しながらにくわしく解説している。

著者が使用していない精神分析的な解釈を加えれば、西欧人の深層意識を知るうえで有効な分析材料となるだろう。ロボットの原型としてのオートマトンについて考えることは、つまるところ人間の欲望について考えることなのである。

ロボットがますます身近な存在となりつつある現在、初期近代のバロック時代、「近代科学」以前の西欧を視野にいれることの重要性をあらためて感じるのである。


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目 次

はじめに
序章 オートマタのフランス
第1章 パリのバロック夢追い人たち
第2章 歴史の中の自動楽器
第3章 歴史の中のオートマタ
第4章 オートマタのファンタジー
終章 夢見るオートマタ
おわりに
参考文献について


著者プロフィール
竹下節子(たけした・せつこ)
1976年、東京大学大学院比較文学比較文化修士課程修了。同博士課程、パリ大学比較文学博士課程を経て、高等研究所でカトリック史、エゾテリズム史を学んだ。パリでアーティスト支援の文化協会を主宰し、室内楽アンサンブルのメンバーとしても活動中。著書に『パリのマリア』『ジャンヌ・ダルク』『ローマ法王』『バロックの聖女』『さよならノストラダムス』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<参考>

『機械式時計【解体新書】-歴史をひもとき機構を識る-』(本間誠二=監修、大泉書店、2002)
・・この本は時計職人が書いた機械式時計のメカニズムと歴史がつまった本。出版以来のロングセラー





<ブログ内関連記事>

■機械文明の原型

書評 『ねじとねじ回し-この千年で最高の発明をめぐる物語-』(ヴィトルト・リプチンスキ、春日井晶子訳、ハヤカワ文庫NF、2010 単行本初版 2003)-「たかがねじ、されどねじ」-ねじとねじ回しの博物誌
・・「(ヨーロッパでは)「紳士にとって旋盤を回すことは、婦人にとっての刺繍のようなもので、18世紀の終わりまで趣味として人気を保っていた」(第5章)」ことを同時にアタマのなかにいれておくとよい

『歴史のなかの鉄炮伝来-種子島から戊辰戦争まで-』(国立歴史民俗学博物館、2006)は、鉄砲伝来以降の歴史を知るうえでじつに貴重なレファレンス資料集である
・・銃器という機械もまた、西欧近代を推進した軍事テクノロジーである

電気をつかわないシンプルな機械(マシン)は美しい-手動式ポンプをひさびさに発見して思うこと
・・自動人形もエネルギー源に電気を使用しない機械である

書評 『ブランド王国スイスの秘密』(磯山友幸、日経BP社、2006)-「欧州の小国スイス」から、「迷走する経済大国・日本」は何を教訓として読み取るべきか
・・なぜスイスが機械式時計の一大生産地帯となったのか

『西洋事物起原 全4巻』(ヨハン・ベックマン、特許庁技術史研究会訳、岩波文庫、1999~2000)は、暇つぶしにパラパラとやると雑学に強くなれる本
・・近代が生み出したさまざまな機械についても、その起源を調べている


■解剖学とバロック精神

書評 『猟奇博物館へようこそ-西洋近代の暗部をめぐる旅-』(加賀野井秀一、白水社、2012)-猟奇なオブジェの数々は「近代科学」が切り落としていった痕跡 
・・16世紀から18世紀にかけてのヨーロッパの知られざる世界

『バロック・アナトミア』(佐藤 明=写真、トレヴィル、1994)で、「解剖学蝋人形」という視覚芸術(?)に表現されたバロック時代の西欧人の情熱を知る
・・16世紀から18世紀にかけてのヨーロッパの知られざる世界


■ロボットと魂

書評 『ロボット新世紀』(シリル・フィエヴェ、本多力訳、文庫クセジュ、2003)-ロボット大国ではないフランスのジャーナリストが簡潔にまとめたロボット開発の見取り図

書評 『ロボットとは何か-人の心を写す鏡-』(石黒浩、講談社現代新書、2009)-「人間とは何か」、「自分とは何か」という哲学的な問いを考える手引き ・・ロボットに魂をもちうるのか?

書評 『動物に魂はあるのか-生命を見つめる哲学-』(金森修、中公新書、2012)-日本人にとっては自明なこの命題は、西欧人にとってはかならずしもそうではない
・・デカルトの「動物機械論」の波紋とその攻防の西欧近代思想史

(2014年8月9日 情報追加)


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