本日(2023年10月14日)は「空挺館」の「一般解放日」なので、秋晴れの気持ちのよい空気のなか、自宅から歩いて陸上自衛隊の習志野駐屯地(船橋市)に行ってきた。「第1空挺団」の本拠地である。50分くらいのウォーキングである。
徳川幕府直轄の「野馬牧」であった習志野は、明治になってからは広大な陸軍演習場として使用され、現在に至っている。
騎兵隊の本拠地が置かれたが、時代の変化とともに騎兵の価値がなくなってからは、おなじく戦略部隊である空挺部隊の本拠地となって現在に至る。
「空挺館」と命名され、保存されているのはそのためだ。
「空挺館の一般公開日」にかんしては、陸上自衛隊第1空挺団のウェブサイトの「イベント」記載されている。ただし、公開日が終了すると、次回の公開日の前まで記載がなくなってしまうので、こまめにチェックする必要がある。次回の公開日はわからない。
空挺館(旧御馬見所)の概要 明治44年(1911年)に東京目黒区駒場に所在した旧陸軍騎兵実施学校の学生終業式における臨幸のための建物として、また高官並びに外国貴賓接客用の施設として使用されていました。大正5年(1916年)、旧陸軍騎兵実施学校の習志野への移転に伴い、御馬見所も習志野へ移設されました。現在では「空挺館」と名を改め、隊員の教育、伝統の継承などのため、空挺(落下傘部隊)に関わる貴重な資料などを展示している資料館となっています。
基地内にあるため、特別の日を除いては一般には開放されていない。
一般公開日のことはネットのニュースで知ったが、前回の一般公開日には行けなかった。あらためて10月14日の「一般開放日」に訪問した次第だ。
基地の出入りの際には、警備に当たる自衛官から敬礼される。こちらは軍人ではなくシビリアンなので会釈するだけで敬礼は返さないが、身の引き締まる思いがする。基地内なのである。
入場は午前8:30から11:30まで。「入場無料」だが、入場に際しては住所と氏名、連絡先を記し、許可証を胸に下げることになる。
とはいえ、思っていたよりもセキュリティが厳しくなかった。もっと厳しくてもいいような気もするが、まだ「平時」であるから、そこのところはバランスが求められるというわけであろう。
空挺館の前に待機している自衛官に、いちおう念のため「写真を撮影してよいか?」と聞いてみたら、外観も内部も撮影して問題ない、ということであった。
14年以上前の2009年の「夏祭り」の際に訪問した際には写真撮影禁止だったので、隔世の感である。空挺館じたい、そもそも資料館であるし、「広報」としては、むしろ情報公開の意味もあって積極的に公開することにしたのであろうと推測する。
(2Fの貴賓室には菊の紋章 筆者撮影)
■習志野と騎兵隊、そして空挺部隊
「習志野」は明治天皇の命名による由緒ある地名だ。
演習を指揮した薩摩藩出身の篠原国幹(しのはら・くにもと)の指揮がすばらしかったので、明治天皇が「篠原に習え」とおっしゃったらしい。
夏草もしげらざりけりもののふの道怠らずならしのの原(明治天皇御製)
「篠原に習え」が縮まって「習え篠原」、それがさらに「習志野」となったという。なんだか都市伝説めいているが、実話であるようだ。
(歴代の騎兵学校長 カラーの肖像画は秋山好古 筆者撮影)
(「騎兵戦の様相」と題された油絵より 筆者撮影)
(昭和天皇の弟宮の三笠宮は騎兵将校であった 筆者撮影)
(バロン西とウラヌス号の勇姿 筆者撮影)
大東亜戦争初期の蘭印スマトラ島での「パレンバン空挺作戦」(1942年)で有名になった「空の神兵」など、空挺団の歴史も館内に展示されている。
(「パレンバン空挺作戦」における「空の神兵」 筆者撮影)
このほか、1Fには現代の空挺部隊の展示もあるので、日本近代史と現代の軍事に関心のある人は、ぜひ訪問してみるといいだろう。
ただし、ウェブサイトには、「災害等の発生及びその他止むを得ない状況により、空挺館の一般開放を中止する場合がありますので、ご了承ください」とあるが当然であろう。なんといっても、軍事基地なのである。有事になったらイベントどころではない。
ウェブサイトなどで、こまめに情報をチェックすることをすすめる。
<ブログ内関連記事>
・・習志野原は明治天皇の命名。江戸時代には徳川幕府直轄の「野馬牧」であった
・・秋山好古陸軍大将は「日本騎兵の父」。日露戦争ではロシア帝国軍のコサック部隊と死闘を演じた
・・バロン西とよばれた西竹一男爵は陸軍大佐で騎兵科出身であった。戦車隊を率いた西大佐は硫黄島で戦死している。硫黄島守備の司令官であり、「散るぞ悲しき」という辞世を遺した栗林忠道陸軍大将もまた騎兵科出身で、ともに習志野にはゆかりある人たちである
・・「第1章 青春の習志野」に騎兵士官であった三笠宮様の話が登場。三笠宮も現在の空挺館に宿泊された
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