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2024年3月16日土曜日

我孫子にプチ旅行 その1 「我孫子の手賀沼文学散歩」(2024年3月16日)― まずは駅ホームの「弥生軒6号店」で名物の「2ヶ唐揚げうどん」を食べ、天才画家・山下清画伯を偲ぶ

(名物の「唐揚げそば」。写真は「2ヶ唐揚げうどん」 筆者撮影) 


我孫子と書いて「あびこ」と読む。東京メトロ千代田線を利用する人なら、この漢字を読めない人はいないだろう。 

千葉県北西部に住んでいても、南北方向の移動はあまり行わない。だから、東京湾岸の船橋に住んでいるわたしは、内陸部の我孫子にいくことはほとんどない。 

千代田線に接続した常磐線各駅停車の始発駅であり、JR成田線の始発駅でもある我孫子駅は、乗り換えのために下車したことがあるが、駅の外に出たのは今回が初めてだ。 

本日は晴天なり。天気がいいので小旅行を実施。船橋市内からだと、新京成電鉄で終点の松戸までいって、そこで常磐線の快速に乗り換えるのが、もっとも安上がりである。ちょっと遠回りになるが、乗り換えも1回で済む。

今回の我孫子プチ旅行の目的は、手賀沼北岸の文学散歩柳宗悦を筆頭に、志賀直哉や武者小路実篤といった「白樺派」の作家たちが、若い頃に手賀沼北岸に集まって「文士村」を形成していたのだ。 

その話はまたのちほどにすることとして、まずは我孫子駅のホームで昼食とする。常磐線快速の我孫子行きが入選する1番線のホームで「弥生軒6号店」に入る。立ち食いそばの店である。B級グルメである。 


(弥生軒6号店 筆者撮影)


注文したのは当然のことながら(?)、「2唐揚げ(2ヶ)そば・うどん」。660円也。「そば」ではなく「うどん」で注文。 (上掲の写真)

食べるのは2回目だが、それにしても鶏の唐揚げがでかい。しかも2つというと、丼が隠れる程だ。

まずは左の唐揚げ1つを片付けてから麵を食べる。 つぎに右の唐揚げを食べる。汁につかった唐揚げはうまい。ただし、汁に漬かっていると熱々になっている。

関西生まれのわたしは、関東の立ち食いそば店では汁は飲まずに済ませる。濃すぎる醤油味はいまでも苦手だ。とはいえ、この濃いいつゆに漬かった唐揚げが美味いのは確かなことだな、と。 

ちなみに、この弥生軒という立ち食いそば店は、かつてかの山下清画伯が働いていたことで有名らしい。「裸の大将」である。 弥生軒は、天才画家・山下清(1922~1971)の画業を経済的に支えていたお店なのだ。


(店舗の外から見えるプレート 筆者撮影)


山下清が弥生軒で働いていたのは、戦中のことだったようだ。


「脱走から2年後の1942年(昭和17年)の20歳の時に、受けることになっていた徴兵検査を受けたくなかったため、更に放浪を続けた。千葉県我孫子市の我孫子駅売店弥生軒にて住み込みで働いていたのもこの頃で、半年ごとに放浪しては千葉に戻ってくる事を5年ほど繰り返したという」(Wikipediaより


我孫子駅の「弥生軒」は、山下清が好きな人なら、「聖地巡礼」の目的地としても記憶されるべき場所であろう。


ということで、腹を満たしてから階段を上がって改札を出て、我孫子市内を手賀沼に向けて歩いて行く・・ (つづく) 






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2011年6月4日土曜日

「特別企画展 放浪の天才画家・山下清展」(千葉県立美術館)にいってきた(2011年6月4日)


 「特別企画展 放浪の天才画家・山下清展」(千葉県立美術館)にいってきた。千葉港めぐり観光船に乗りにいったついでである。

 せっかく行くなら、ついでに2~3箇所は同時にまわって交通費を有効活用したい。交通費は固定費だから節約になるいう、よくいえば合理性、はっきりいってしまえば貧乏性から、何かついでに立ち寄るところはないかと探したところ、アクセス地図には千葉県立美術館がすぐ近くにあることがわかった。

 さっそく検索でウェブサイトをみると、なんと「特別企画展 放浪の天才画家・山下清展」(2011年5月28日~7月10日)ではないか! 

 天才・山下清画伯! 千葉県市川市にある知的障害児の施設にいた山下清は、千葉県にはきわめてゆかりの深い人物である。ゆえに、千葉県立美術館で特別展が開催される。きわめてわかりやすいロジックである。

 中学校時代に、美術好きで自ら絵筆も握っていた祖父から、山下清の貼り絵が表紙になったスケッチブックをもらって以来の山下清ファンである。たしか、東海道線の小田原トンネルを描いたものだったが、残念ながら今回の展示にはなかった。

 もちろん、芦屋雁之助主演の「裸の大将」を知らない人は、日本人には少ないだろう。

 「ぼ、ぼくは・・」、「兵隊の位(くらい)でいうとどうなるのかな?」がクチグセの、ランニングシャツ一枚に短パン、それに麦わら帽子の「裸の大将」。




 ところが、じっさいは戦前の放浪時代は、浴衣(ゆかた)に帯を締めて、リュックサックを背負った姿の写真しかない。会場には、戦後「ライフ誌」が主導した捜索によって、鹿児島で発見(!)されたときの写真もあったが同様である。丸刈りなので、ややちいさな西郷さんみたいな感じである。どうやら、ランニングシャツ姿はテレビがつくった虚像のようだ。上の写真は、大阪の戎橋で撮影されたものらしい。

 しかも、旅先でスケッチなどはいっさいせず、アタマのなかに焼き付けた画像そのものと、それを貼り絵でどう再現するか、この2種類の画像を記憶しており、放浪の旅から施設に戻ると、貼り絵というきわめて根気のいる作業に没頭したという。そして飽きるとまたふらりと放浪に出てしまう。

 虚像と実像のギャップは山下清の場合は、本人が生きているあいだに、商業主義によって意識的に創り出されたものであっただけに、本人も大いに悩んでいたらしい。痛ましい話だ。

 いわゆる特異な画像記憶の持ち主であった山下清は、サヴァン症候群であったという説もあるようだが、こういった話は精神分析専門家にまかせておけばよい。さいきんの画家では、ジミー大西のようなものか。鮮やかな色彩感覚は両者に共通している。

 こういった余計な知識はワキにおいて、虚心坦懐に作品を見る。展覧会に足を運ぶのはそのためである。自分の目でちょくせつ作品をみて何を感じるか、そのほうがはるかに重要だ。

 じっさいに自分の目で貼り絵を見て、その技量レベルの高さには正直いって驚いた。しかも、説明書きによれば、自ら開発した技量をフルに使用しているらしい。紙を手でちぎって貼っていく貼り絵。立体感をだすために紙でこよりをつくって貼り付けていく手法は、教えられたものではないのだと。拡大写真をみて驚かされる。

 貼り絵の立体感は、油絵の立体感に似ている。戦後、油絵も手がけているが、その量感は貼り絵そのものである。

 山下清の貼り絵の立体感と量感は、写真ではとても再現できるものではない。じっさいに自分の目で見て実感するのでなければ意味はない。

 モチーフを楽しむのであれば写真でも問題はないだろう。だが、なぜ貼り絵なのか? を感じるためには、作品をちょくせつ見るしかないだろう。だから、今回は図録の購入はやめることにした。どうしても、貼り絵の質感が写真では再現されていないからだ。

 山下清(1922~1971年)は、戦前戦中から戦後の高度成長時代の日本を生きた人だ。まさに昭和時代そのもののような人生であった。会場には中高年が多かったのはそのためでもあろう。

 モチーフだけみれば、「週刊新潮」の表紙を描いている谷口六郎を髣髴(ほうふつ)させるものがあるからだろうか。こういった郷愁をさそう画題が日本人の琴線に触れるということはよくわかる。

 だが、天才が天才といわれたゆえんは別のところにある。やはり、絵画作品にかぎらず、なにごとであれ、自分の目でホンモノをみることの重要性をあらためて感じた。

 じつは、山下清の作品をこれだけまとまった形で見たのは、今回がはじめてなのであった。わたしもまた虚像によって、あやまった固定観念をもっていたことを恥じるばかりだ。

 



<関連サイト>

特別展 放浪の天才画家・山下清展(千葉県立美術館)
 
“放浪の天才画家”素顔に迫る 千葉県立美術館で「山下清展」開催(産経新聞 地方版 2011年5月30日)



<ブログ内関連記事>

美術展 「田中一村 新たなる全貌」(千葉市美術館)にいってきた

Vietnam - Tahiti - Paris (ベトナム - タヒチ - パリ)
・・2009年の「ゴーギャン展」など。ただし、田中一村を「日本のゴーギャン」とよぶのはミスリーディングである。山下清を「日本のゴッホ」というのも同様


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