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2015年5月17日日曜日

「イスラム横町」に行ってみた(2015年5月17日)ー 東京・新大久保でハラール・フードの世界を知る

(東京・新大久保駅近くの「イスラム横町」 筆者撮影)


友人が出演している芝居を新宿のミニシアターで観劇したあと、「イスラム横町」に立ち寄ってみた。新宿・歌舞伎町から歩いて数分なのだが、JR新大久保駅周辺は歌舞伎町以上にエキゾチックな界隈である。

途中にコリアタウンがある。数年ぶりに訪れたが、韓国料理店の数は依然として多い。だが、かつてほどの賑わいが感じられないのは、韓流ブームがすでに去ってしまったからだろうか。それとも嫌韓派のデモを避けるためだろうか。

それに比べて新大久保駅周辺は、あいかわず国際的というか、それも中国大陸や朝鮮半島だけではない、イスラーム世界も含めたエキゾチックな様相を呈している。だから、歩いていて面白い。

「イスラム横町」の存在を知ったのはつい最近のことだ。ネット記事を読んで知った。これはぜひ行ってみたいものだと思ったので、新宿に用事があるついでに立ち寄ってみることとしたわけだ。

面白いことに Google Map で「イスラム横町」で検索すると、すぐに場所が表示される。ごく狭い地域に、イスラームのハラールフード関連の食材店と飲食店がある。

そのなかでもっとも有名なのがグリーン・ナスコ(Green Nasco)。JR新大久保駅改札から道路をはさんで北側に少し歩くとすぐに目に飛び込んでくる。店頭で肉の串焼を売っている。

日曜日とはいえ夕食の時間帯では込んでいるだろうと思い、それを避けるためにまずレストランに入る。4人掛けのテーブル席が6つほどあり、空いていたテーブルに座る。

こういうときにネットのブログ情報は有用だ。ブログ記事を読んで、あらかじめ食べたいと思っていたが、メニューをもらって確認してからマットン・ビリヤニ(1,000円)を注文メニューのウラはモロッコ料理で有名なクスクスである。

(ビリヤニのメニュー3種)

ビリヤニとはインドの米料理カレー味のスパイスとコメと肉などで作るものだ。この店では羊肉のマトンと鶏肉のチキン、卵の三種がある。「マットン」という表記は笑ってしまうが、mutton というつづりだから、けっして変ではない。

(マットン・ビリヤニ)

注文したら、あっというまに出てきたマットン・ビリヤニはドライカレー風でじつにうまい。マトン味がしみこんだコメ、その下に敷き詰められたマトン肉がうまい。コメはもちろん細長くてパサパサしたインディカ米である。つけあわせは、ヨーグルトにひたした野菜。

北海道を除く本州では、子ヒツジのラム肉しか流通しなくなってしまったので、羊肉のマトン料理はインドカレーを除けば、なかなか食べる機会がない。マトンを食べることができてじつにうれしい。

(コメの下にはうまいマトン肉)

この店はインド料理だが、アラブ料理もトルコ料理も扱っているので、イスラームのハラール適用である。したがって、もちろんアルコールはない。タダで飲める水があれば十分だ。

お店にも、周辺の食材店でも豊かなヒゲを蓄えたムスリム男性が店頭に立っているので、価格表示が日本円である以外は、イスラーム圏そのものである。エキゾチックというべきか。

国際化でもグローバル化でもコトバはどちらでもいいのだが、イスラーム世界もまたグローバル世界の重要な要素であることを肌で感じることのできるスポットである。「イスラム横町というネーミングもまた面白い。

タイの首都バンコクのアラブ人街と比べると、まだまだだなという印象は否定できないが、それでもこういう一角が日本全土に増えていくことは、たいへん良いことだと考えている。


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<関連サイト>

新大久保にある「イスラム横丁」に行ってみた ハラル専門店が増殖しているワケ(東洋経済オンライン、2015年5月5日)

イスラム横丁の人情 (菅瀬晶子・国立民族学博物館助教、初出:毎日新聞 2014年5月8日)

ハラルフードなら新大久保「イスラム横丁」で 小さなモスクもある外国人の街 (How To Read Maps、2013年4月30日)

イスラム横丁街角食堂。「ナスコ フードコート」 (カレー細胞 -The Curry Cell-、2014年2月28日)

Nasco Halal Food (公式サイト 英語)
・・食材の写真と価格表示(日本円)が記載されている



<ブログ内関連記事>

インド文明圏とイスラーム

「ナマステ・インディア2010」(代々木公園)にいってきた & 東京ジャーミイ(="代々木上原のモスク")見学記

書評 『日本のムスリム社会』(桜井啓子、ちくま新書、2003)-共通のアイデンティティによって結ばれた「見えないネットワーク」に生きる人たち

書評 『ハビビな人々-アジア、イスラムの「お金がなくても人生を楽しむ」方法-』(中山茂大、文藝春秋社、2010)

タイのあれこれ (18) バンコクのムスリム

バンコクのアラブ人街-メディカル・ツーリズムにかんする一視点 ・・この記事では、バンコクに長期滞在しているアラブ人について書いてある。


ラムとマトンの羊肉

サッポロビール園の「ジンギスカン」を船橋で堪能する-ジンギスカンの起源は中国回族の清真料理!?

書評 『世界屠畜紀行 The World's Slaughterhouse Tour』(内澤旬子、解放出版社、2007)-食肉が解体される現場を歩いて考えた自分語り系ノンフィクション

書評 『食べてはいけない!(地球のカタチ)』(森枝卓士、白水社、2007)-「食文化」の観点からみた「食べてはいけない!」 ・・羊と羊肉についての記述がこの本にはある

フランスの童謡 「雨が降ってるよ、羊飼いさん!」(Il pleut, Il pleut, bergère)を知ってますか?


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2014年7月28日月曜日

サッポロビール園の「ジンギスカン」を船橋で堪能する ― ジンギスカンの起源は中国回族の「清真料理」!?



かなり以前のことだが、札幌のサッポロビールのサッポロビール園の「ジンギスカン」を食べたことがある。

出張で札幌にいったとき、相手から「せっかくだから、飯でも食いましょう」という話になってサッポロビール園に連れて行っていただいた。屋外で食べるジンギスカンは旨かったという記憶がある。時期は冬であったが。

昨日(2014年7月27日)、ひさびさにジンギスカンを食べた。今回は札幌ではない。船橋である。サッポロビールの千葉ビール園は、千葉ではなくじつは船橋にある。船橋港の近くにビール工場が立地しており、レストランが併設されている。




暑気払いということで人数が集まったので、29日の「肉の日」ではないが、「ジンギスカン食べ放題、ビール飲み放題コース 2時間)をやってみた。

サッポロビールの経営だから、当然のことながらビールはサッポロビールである。大人数でワイワイいいながらなので、「男は黙って」と決めゼリフをクチにするわけにはいかないが(笑)。日曜日だが、ほぼ満員御礼状態であった。今場所(=名古屋場所)の大相撲並である。ジンギスカンは4人以上であらかじめ予約しておくことが必要だ。

内容は、ジンギスカン3種(=手もみラム、塩漬ラム、味噌漬ラム)食べ放題に飲み放題、料理3品がついたご宴会コース。

食べ放題とはいっても1時間も焼いて食べているともう満腹状態になる。20歳代であればもっと食べることができるかもしれないが、さすがに寄る年波には勝てないのか・・(残念)。一人当たり税込みで 4,900円。じっさいに食べてみて、この価格設定はなかなか巧みであるとわかった(笑)。




ところで、「ジンギスカン」という名称だが、これはモンゴル料理ではない。日本人が勝手につけた名称であることは、バイキングとおんなじだ。いずれも本国にはそんな料理はない(笑) wiikipedia英語版では、Jingisukan (ジンギスカン) is a Japanese grilled mutton dish prepared on a convex metal skillet or other grill. と説明されている。じっさいは、マトン(mutton) もあるが、ラム(lamb) のほうが多いと思うのだが。

では、どこの料理かといえば、中国の清真料理が起源らしい清真料理とはムスリム(=イスラーム教徒)の料理のことである。中国ではムスリムのことを回族といい、モスクである清真寺、イスラーム料理である清真料理店はどこにでもある。

wikipedia の記述によれば、「日本軍の旧満州(現中国東北部)への進出などを機に、満州で食べられていた清真料理の「烤羊肉」(カオヤンロウ)という羊肉料理が日本でアレンジされ、現在のような形式となったものとみられる」、とある。

おそらくそんなところだろう。ムスリムはブタ肉は絶対に食べないし、牧畜生活の中心はなんといっても羊である。だから羊料理としての焼き肉は、当然ながら存在する。肉といえばブタ肉を意味する中国では、清真料理という専用の飲食店がなければ、ムスリムは飲食が不可能なのである。

チベット、モンゴル、回族、ウイグル。いずれも大陸国家中国の辺境、あるいは内部にありながら、漢民族の中国ではない、さまざまな"少数民族"である。かれらは、草原の羊文化を共有している。

BSE(=狂牛病)問題でいっときラム肉が流行ったようだが、また下火になっているらしい。だが、来年2015年は未年(ひつじどし)。ふたたび業界をあげてブームを起こすべき時期にきているのかもしれない。羊肉はカラダにはいいし、とくにラムであれば匂いもきつくないのがいい。

羊肉を食べて、中国の少数民族問題を考える。といってもジンギスカンはハラールではないし、供されている羊肉は、おそらく豪州からの輸入ものだろうが・・・。


(レストラン内からも「南極探検船しらせ」の雄姿が見える)




<関連サイト>

札幌ジンギスカン倶楽部


<参考文献>

中国の食文化について徹底的なフィールドワークを行った文化人類学者・石毛直道氏の『鉄の胃袋中国漫遊』(平凡社ライブラリー、1996)には、「精進料理と清真菜」という章があって、各種の清真料理が写真入りで紹介されている。

『世界ぐるっと肉食紀行』(西川治 文・写真、新潮文庫、2011)「第4章 羊を食う」で、中国・モンゴル・トルコ・スペイン・モロッコの羊料理が紹介されている。(2015年1月7日 情報追加)



<ブログ内関連記事>

「生命と食」という切り口から、ルドルフ・シュタイナーについて考えてみる
・・ You're what you eat ! 

書評 『食べてはいけない!(地球のカタチ)』(森枝卓士、白水社、2007)-「食文化」の観点からみた「食べてはいけない!」
・・羊と羊肉についての記述がこの本にはある

書評 『世界屠畜紀行 The World's Slaughterhouse Tour』(内澤旬子、解放出版社、2007)-食肉が解体される現場を歩いて考えた自分語り系ノンフィクション

「マレーシア・ハラール・マーケット投資セミナー」(JETRO主催、農水省後援)に参加(2009年7月28日)-ハラール認証取得でイスラーム市場を攻略

本日よりイスラーム世界ではラマダーン(断食月)入り

「馬」年には「馬」肉をナマで食べる-ナマ肉バッシングの風潮のなか、せめて「馬刺し」くらい食わせてくれ!

秋空の下、BBQを楽しむ joie de vivre(生きる喜び)

書評 『帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」-機密公電が明かす、戦前日本のユーラシア戦略-』(関岡英之、祥伝社、2010)-戦前の日本人が描いて実行したこの大構想が実現していれば・・・
・・「チベット、モンゴル、回民(=回族、中国のムスリム)、ウイグル。いずれも大陸国家中国の辺境、あるいは内部にありながら、漢民族の中国ではない、さまざまな"少数民族"である」

書評 『回想のモンゴル』(梅棹忠夫、中公文庫、2011 初版 1991)-ウメサオタダオの原点はモンゴルにあった!

南極観測船しらせ(現在は SHIRASE 5002 船橋港)に乗船-社会貢献としてのただしいカネの使い方とは?
・・船橋港を母港とするしらせ

(2014年7月30日 情報追加)


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