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2021年1月21日木曜日

書評『グローバル資本主義 vs アメリカ人』(篠原匡、日経BP、2020)-グローバリゼーションが生み出した根本問題が解決しない限り米国は変わらない

 
日本時間では本日(=米国時間では2021年1月20日)、米国ではバイデン新大統領が就任した。だが、祝賀ムードとはほど遠い。

さすがに州兵(=ナショナル・ガード)という軍隊による厳重な警備体制を敷いているので、ワシントンの就任式そのものは、つつがなく進行したようだ。だが、全米各地では不穏な空気が充満している。

米国の大統領がトランプ氏からバイデン氏に変わろうと、グローバリゼーションによって拡大した経済格差がにわかに縮小するとは考えにくい。はたしてバイデン氏が癒やしを与えるBことが可能かどうかは定かではない。そもそもトランプ氏が浮上したのは、米国の底辺層の草の根の怨念のつまった、声なき声を拾い上げたからだ。昨年11月の大統領選で役半分の得票を獲得したトランプ支持者の動向が気になるところだ。 

大統領選以前の2月に出版されたものだが、『グローバル資本主義 vs アメリカ人』(篠原匡、日経BP、2020)という本がある。大統領選後になってから読んで見たが、米国の底辺層の草層の声を拾い上げたこの取材記録を読んでいると、根底にある問題が解決しない限り、誰が大統領であろうと米国は変わらないという感想を持たざる得ない。本の帯のコピーにあるとおりだ。  

2019年3月まで日経BP社のニューヨーク支局長だった著者は、とくにメキシコ国境(=ボーダー)の街を中心に回って、草の根のナマの声を拾い集める取材を行っている。その一部は日経BPオンラインで読んでいたが、まとまった書籍として通読すると、それが点描であるに過ぎないとはいえ、イメージをつかむことが可能となる。 

一言でいってしまえば、すべては現場にあり、ということだ。問題は現場にあり、問題の解決方法もまた現場にある。ニューヨークやワシントンといった経済や政治の中枢から見ていてはわからないのだ。メディアで作り上げられた固定観念を捨てることが必要だ。 

いずれにせよ、米国という存在は、日本人が考えているようなものではない。多種多様なバックグラウンドをもち、多種多様な生き方や考え方が、多種多様な価値観のもとに存在している国だ。立場が違えば、ものの見方もまったく異なる。わかりやすい図式で理解しようとしても、しょせんムリなのだ。 

その意味では、この本の著者は、最近よく耳にする「(21世紀の)南北戦争」(Civil War=内戦)などのわかりやすい構図を持ち込むことをしないことには大いに好感がもてる。

「Qアノン」などの陰謀論に扇動された「極右勢力」や、「アンティファ」(Antifascist)などの「極左勢力」が、現在の米国人の代表であるはずがない。見間違ってはならない。

国境に生きる普通の人びと」、「銃規制をめぐる賛否両論」、「オピオイド(などのドラッグ)が蝕む炭鉱地帯」「公教育復活にむけての関係者の努力」「市民権獲得のために米軍に入隊した中南米出身の兵士たちのその後」「先住民たちのいま」「メガチャーチに代表されるキリスト教」。

こういったテーマは、個々のテーマではこれまでも描かれてきたが、米国社会の底辺層から中間層を知るには格好のテーマであろう。 

もちろん、底辺層で苦闘する人びとだけでなく、テキサス州で活発化している「風力発電ビジネス」(再生可能エネルギー)の話や、メキシコ国境のティファナの IMMEX(かつてのマキラドーラ)ビジネスなどの新しい動きを取り上げた章は、日経BPの記者ならではのものであり、読んでいて興味深い。 (*なるほど、テキサス州にハイテク産業がシフトする状況の背景がわかるというものだ。テキサス州は州単独で送電網をもっているという)。

米国の全体像を捉えることは、誰にとっても難しい課題である。俯瞰的に見るバーズアイとともに、足許から見上げる視点も重要だ。個人でできるのは、個々のピースをできるだけ集めて全体像を類推することのみだ。でも、それをやらなければ米国というものは見えてこない。困難な課題ではあるが、続けていかなくてはならない課題なのである。


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著者プロフィール
篠原匡(しのはら・ただし) 
日経ビジネス副編集長 1975年生まれ。1999年慶應義塾大学商学部卒業、日経BPに入社。日経ビジネス記者、日経ビジネスオンライン記者、日経クロスメディア編集長、日経ビジネスニューヨーク支局長を経て、2019年4月から日経ビジネス副編集長。執筆、編集に加えて、動画ドキュメンタリーの企画・制作も手がける。著書に『腹八分の資本主義』(新潮新書)、『おまんのモノサシ持ちや! 』(日本経済新聞出版社)、『神山プロジェクト』(日経BP)、『ヤフーとその仲間たちのすごい研修』(日経BP)などがある。


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2015年5月17日日曜日

「イスラム横町」に行ってみた(2015年5月17日)ー 東京・新大久保でハラール・フードの世界を知る

(東京・新大久保駅近くの「イスラム横町」 筆者撮影)


友人が出演している芝居を新宿のミニシアターで観劇したあと、「イスラム横町」に立ち寄ってみた。新宿・歌舞伎町から歩いて数分なのだが、JR新大久保駅周辺は歌舞伎町以上にエキゾチックな界隈である。

途中にコリアタウンがある。数年ぶりに訪れたが、韓国料理店の数は依然として多い。だが、かつてほどの賑わいが感じられないのは、韓流ブームがすでに去ってしまったからだろうか。それとも嫌韓派のデモを避けるためだろうか。

それに比べて新大久保駅周辺は、あいかわず国際的というか、それも中国大陸や朝鮮半島だけではない、イスラーム世界も含めたエキゾチックな様相を呈している。だから、歩いていて面白い。

「イスラム横町」の存在を知ったのはつい最近のことだ。ネット記事を読んで知った。これはぜひ行ってみたいものだと思ったので、新宿に用事があるついでに立ち寄ってみることとしたわけだ。

面白いことに Google Map で「イスラム横町」で検索すると、すぐに場所が表示される。ごく狭い地域に、イスラームのハラールフード関連の食材店と飲食店がある。

そのなかでもっとも有名なのがグリーン・ナスコ(Green Nasco)。JR新大久保駅改札から道路をはさんで北側に少し歩くとすぐに目に飛び込んでくる。店頭で肉の串焼を売っている。

日曜日とはいえ夕食の時間帯では込んでいるだろうと思い、それを避けるためにまずレストランに入る。4人掛けのテーブル席が6つほどあり、空いていたテーブルに座る。

こういうときにネットのブログ情報は有用だ。ブログ記事を読んで、あらかじめ食べたいと思っていたが、メニューをもらって確認してからマットン・ビリヤニ(1,000円)を注文メニューのウラはモロッコ料理で有名なクスクスである。

(ビリヤニのメニュー3種)

ビリヤニとはインドの米料理カレー味のスパイスとコメと肉などで作るものだ。この店では羊肉のマトンと鶏肉のチキン、卵の三種がある。「マットン」という表記は笑ってしまうが、mutton というつづりだから、けっして変ではない。

(マットン・ビリヤニ)

注文したら、あっというまに出てきたマットン・ビリヤニはドライカレー風でじつにうまい。マトン味がしみこんだコメ、その下に敷き詰められたマトン肉がうまい。コメはもちろん細長くてパサパサしたインディカ米である。つけあわせは、ヨーグルトにひたした野菜。

北海道を除く本州では、子ヒツジのラム肉しか流通しなくなってしまったので、羊肉のマトン料理はインドカレーを除けば、なかなか食べる機会がない。マトンを食べることができてじつにうれしい。

(コメの下にはうまいマトン肉)

この店はインド料理だが、アラブ料理もトルコ料理も扱っているので、イスラームのハラール適用である。したがって、もちろんアルコールはない。タダで飲める水があれば十分だ。

お店にも、周辺の食材店でも豊かなヒゲを蓄えたムスリム男性が店頭に立っているので、価格表示が日本円である以外は、イスラーム圏そのものである。エキゾチックというべきか。

国際化でもグローバル化でもコトバはどちらでもいいのだが、イスラーム世界もまたグローバル世界の重要な要素であることを肌で感じることのできるスポットである。「イスラム横町というネーミングもまた面白い。

タイの首都バンコクのアラブ人街と比べると、まだまだだなという印象は否定できないが、それでもこういう一角が日本全土に増えていくことは、たいへん良いことだと考えている。


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<関連サイト>

新大久保にある「イスラム横丁」に行ってみた ハラル専門店が増殖しているワケ(東洋経済オンライン、2015年5月5日)

イスラム横丁の人情 (菅瀬晶子・国立民族学博物館助教、初出:毎日新聞 2014年5月8日)

ハラルフードなら新大久保「イスラム横丁」で 小さなモスクもある外国人の街 (How To Read Maps、2013年4月30日)

イスラム横丁街角食堂。「ナスコ フードコート」 (カレー細胞 -The Curry Cell-、2014年2月28日)

Nasco Halal Food (公式サイト 英語)
・・食材の写真と価格表示(日本円)が記載されている



<ブログ内関連記事>

インド文明圏とイスラーム

「ナマステ・インディア2010」(代々木公園)にいってきた & 東京ジャーミイ(="代々木上原のモスク")見学記

書評 『日本のムスリム社会』(桜井啓子、ちくま新書、2003)-共通のアイデンティティによって結ばれた「見えないネットワーク」に生きる人たち

書評 『ハビビな人々-アジア、イスラムの「お金がなくても人生を楽しむ」方法-』(中山茂大、文藝春秋社、2010)

タイのあれこれ (18) バンコクのムスリム

バンコクのアラブ人街-メディカル・ツーリズムにかんする一視点 ・・この記事では、バンコクに長期滞在しているアラブ人について書いてある。


ラムとマトンの羊肉

サッポロビール園の「ジンギスカン」を船橋で堪能する-ジンギスカンの起源は中国回族の清真料理!?

書評 『世界屠畜紀行 The World's Slaughterhouse Tour』(内澤旬子、解放出版社、2007)-食肉が解体される現場を歩いて考えた自分語り系ノンフィクション

書評 『食べてはいけない!(地球のカタチ)』(森枝卓士、白水社、2007)-「食文化」の観点からみた「食べてはいけない!」 ・・羊と羊肉についての記述がこの本にはある

フランスの童謡 「雨が降ってるよ、羊飼いさん!」(Il pleut, Il pleut, bergère)を知ってますか?


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2015年5月4日月曜日

書評『あなたのTシャツはどこから来たのか?ー 誰も書かなかったグローバリゼーションの真実』(ピエトラ・リボリ、雨宮 寛/今井章子訳、東洋経済新報社、2007)ー「市場と政治の確執」のグローバル経済をストーリーで描く



『あなたのTシャツはどこから来たのか?-誰も書かなかったグローバリゼーションの真実-』(ピエトラ・リボリ、雨宮 寛/今井章子訳、東洋経済新報社、2006)を読んでみた。

グローバリゼーションという、ひんぱんにクチにされる割にはあいまいな概念を、どうやったら経済を専門とする以外の人たちに説明することができるのか? なにかいい本がないかと探しているのだが、そんなときに知ったのが本書であった。

あまり期待せずに読み始めたのだが、読み始めたらすっかり引き込まれてしまった。グローバリゼーションという経済学の概念を理論的バックグラウンドをしっかり抑えたうえで、ストーリーとして語っているからだ。

一枚6ドルのTシャツという、きわめて日常的でありふれた製品を取り上げて、その原材料であるコットン(=綿)から綿糸、その綿糸を縫製するアパレルとしてのTシャツ、Tシャツへのプリント、そして消費者にわたったのちの古着と、生産者から消費者への流れをサプライチェーンとして追いながら、同時にコットンとアパレルの関係を経済史として記述する。

Tシャツからみたグローバル経済入門である。ケーススタディとしてのコットンとアパレル産業である。そこにみられるのは「市場」と「政治」の確執の歴史である。

Tシャツの生産が、自国より労働コストの安い国や地域で行われることは、経済学でかならず学ぶ「比較生産費説」で説明可能だが、この理論はあくまでも結果としての現状の説明であって、原因を説明してくれるものではない。だから、経済理論もさることながら経済史を知る必要があるのだ。

Tシャツ生産では「世界の工場」となった中国が主要生産国なのに、原材料としてのコットン(=綿花)生産においてはアメリカがいまだに世界的な支配力をもっているのか?

一つには生産性の向上というファクターが存在する。フォスターの曲に歌われているように、かつてはアメリカ南部のプランテーションで黒人奴隷の労働に依存して行われていた綿花栽培だが、農業生産技術高度化と綿花摘み取り作業の機械化の進展というイノベーションによって、生産性が大幅に向上したことがあげられる。いまでも綿花摘み取りを人手に頼っている貧困国とは比べようもない優位性だ。

だがそれだけではない。アメリカは自国のコットン産業保護のために多額の助成金を生産農家に出しており、なんとその総額はアフリカの最貧国のGDPを上回っているという。アメリカの保護貿易政策は、農産物や畜産物その他、かなり広範囲にわたっており、その背後には業界団体による活発なロビー活動が存在する。だからエルヴィスの時代になっても、南部はランド・オブ・コットンであると歌い上げられるのだ。

グローバル経済は、けっして完全競争の世界ではないのだ。完全な競争市場が成り立っているのは、タンザニアの古着ビジネスであるという著者の追跡結果がじつに興味深い。

グローバル経済は、原材料生産から消費者までサプライチェーンでつながっているとはいえ、けっしてグローバル市場という単一の経済が成立しているのではないグローバル経済が実体として存在していても、依然として「国境」は厳然として存在する。

本書ではテーマとして取り上げられていないが、消費市場を細かく見ていけば、消費者の趣味嗜好の国ごとの違いがあることも明らかだろう。グローバル経済は、単一の市場を意味しているのではない

原著のタイトルは、The Travels of a T-Shirt in the Global Economy: An Economist Examines the Markets, Power, and Politics of World Trade、直訳すれば『グローバル経済におけるTシャツの旅-経済学者による世界貿易の市場・権力・政治の分析-』となる。2005年度の「全米出版社協会最優秀学術書」を「金融・経済部門」で受賞し、現在でも大学の経済学の副読本として使用されているという。

近年の日本では、経営学の分野においても「物語」の重要性が強調されるようになっている。その意味では本書のスタイルは、走りというべきか。日本語訳が出版されてからすでに8年、原著出版からすでに10年たっているが、内容的にはまったくもって面白い。

原著は2009年版につづいて、2014年にはアップデート版がでている。参考のために2014年の最新版で増補された「目次」を掲載しておこう。

EPILOGUE: DEVELOPMENTS 2009~2014
 I: American Cotton Is Still King
 II: The Race to the Bottom Speeds Up
 III: The Alphabet Armies March On
 IV: Competition Heats Up in the Used Clothing Business

経済学の知識がない高校生でも読んで理解できる内容だと思う。グローバリゼーションやグローバル経済に関心をもつ一般読者にもおすすめしたい。


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目 次

日本語版に寄せて
序文 わたしを旅へと駆り立てた女子学生の一言
第1部 キング・コットン-200年にわたる米国綿産業の覇権
 第1章 テキサス州ラボック、ラインシュ綿農園
 第2章 米国綿の歴史-勝利の鍵は労働市場の回避
 第3章 ラインシュ農園ふたたび-「怖いのは補助金だけじゃない」
第2部 メイド・イン・チャイナ
 第4章 綿、中国へ上陸
 第5章 底辺へ向かう長い競争
 第6章 女工今昔物語-農場から搾取工場へ、そして…
第3部 もう一つの国境問題-アメリカに帰るわたしのTシャツ
 第7章 怒声の合唱-政治が貿易を支配する理由
 第8章 保護貿易政策の意外な結末
 第9章 40年の暫定的保護の終焉
第4部 本物の市場原理-ついに自由貿易に向かうわたしのTシャツ
 第10章 中古Tシャツの行方-日本、タンザニア、そしてボロ切れ工場
 第11章 零細企業と東アフリカとアメリカンTシャツ
結論
謝辞
訳者あとがき



著者プロフィール

ピエトラ・リボリ(Petra Rivoli)
米東部名門校ジョージタウン大学マクドナウ・ビジネススクール教授。専門は国際ビジネス、国際金融、ビジネスにおける社会的問題など。1983年より同大学の学部生、大学院生、企業エグゼクティブなどを対象に金融および国際経済を教えている。中国を含む国際ビジネスにおけるビジネス倫理や社会公正問題が専門。米フロリダ大学において金融と国際経済の博士号を取得。最新書である『あなたのTシャツはどこから来たのか?』は独特のアプローチでグローバル化に迫った著作としてマスコミや学界など幅広い層からの称賛を集めた。フィナンシャルタイムズ紙とゴールドマン・サックス社が共催した第1回年間優良ビジネス書の最終選考5冊にエントリーされたほか、2005年の最優秀ビジネス書として多くの賞(フィナンシャルタイムズ紙、米コンサルティング会社ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン社、そして米アマゾン・ドット・コム社等)、全米出版社協会より2005年の最優秀学術書(金融・経済部門)に選ばれた 。著書に「International Business」、専門学術誌「Journal of International Business Studies」「Journal of Ethics Quarterly」「Journal of Money, Credit and Banking」などへの掲載論文多数。(「BOOK著者紹介情報」より)。


訳者プロフィール

雨宮寛(あめみや・ひろし)
コーポレートシチズンシップ代表取締役。コロンビア大学ビジネススクール経営学修士およびハーバード大学ケネディ行政大学院行政学修士。クレディ・スイスおよびモルガン・スタンレーにおいて資産運用商品の商品開発を担当。2006年8月CSRのコンサルティングおよび教育研修プログラムを行うコーポレートシチズンシップを創業。CFA協会認定証券アナリスト (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

今井章子(いまい・あきこ)
コーポレートシチズンシップ取締役。ハーバード大学ケネディ行政大学院行政学修士。英文出版社にて外交評論誌の編集を担当。ジョンズホプキンス大学ライシャワー東アジア研究所客員研究員、東京大学法学政治学研究科客員研究員を経て、現在国際交流基金勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<ブログ内関連記事>

書評 『中国貧困絶望工場-「世界の工場」のカラクリ-』(アレクサンドラ・ハーニー、漆嶋 稔訳、日経BP社、2008)-中国がなぜ「世界の工場」となったか、そして今後どうなっていくかのヒントを得ることができる本

書評 『中国絶望工場の若者たち-「ポスト女工哀史」世代の夢と現実-』(福島香織、PHP研究所、2013)-「第二代農民工」の実態に迫るルポと考察

書評 『日本式モノづくりの敗戦-なぜ米中企業に勝てなくなったのか-』(野口悠紀雄、東洋経済新報社、2012)-産業転換期の日本が今後どう生きていくべきかについて考えるために

書評 『ユニクロ帝国の光と影』(横田増生、文藝春秋社、2011)-ユニクロのビジネスモデルを物流という観点から見たビジネス・ノンフィクション

書評 『新・国富論-グローバル経済の教科書-』(浜 矩子、文春新書、2012)-「第二次グローバリゼーション時代」の論客アダム・スミスで「第三次グローバル時代」の経済を解読

書評 『増補改訂版 なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか-ルールメーキング論入門-』(青木高夫、ディスカヴァー携書、2013)-ルールは「つくる側」に回るべし!

製造業ネットワークにおける 「システミック・リスク」 について

「後工程」はお客様 (きょうのコトバ)

書評 『中古家電からニッポンが見える Vietnam…China…Afganistan…Nigeria…Bolivia…』(小林 茂、亜紀書房、2010)

Tommorrow is another day (あしたはあしたの風が吹く)
・・南北戦争時代のアメリカ南部を描いた『風と共に去りぬ』のラストシーンのセリフ

(2016年6月19日 情報追加)


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2015年2月1日日曜日

書評『イスラーム化する世界 ― グローバリゼーション時代の宗教』(大川玲子、平凡社新書、2013)― 変化する現代世界のなかイスラームもまた変化しつつある



『イスラーム化する世界  ―  グローバリゼーション時代の宗教』(大川玲子、平凡社新書、2013)は、自分が知らない世界を垣間見るという経験をする本だ。

グローバル化するイスラーム。イスラーム世界に反映されたグローバル化。グローバル化しているのはビジネスだけではない。宗教もまたグローバル化しているのである。

本書で切り取られたこの側面は、なぜかほとんど日本のメディアで紹介されることもない。イスラーム教徒ではない非ムスリムにとっては、そのほとんどが「知られざる世界」である。

同時代に生きていながら、こういう世界があって、しかも活発に活動が行われているのとをはじめて知るのである。そこにこそ、本書を手に取って読む意味がある。

本書の内容は、『クルアーン』(=コーラン)の現代的解釈を英語で発信し、グローバル規模で対話を繰り広げている4人のイスラーム指導者を紹介したものだ。いずれも中東出身者ではなく、アラビア語を母語とする人でもない。しかも、そのうちの2人は成人してからの改宗者である。

その4人とは以下のとおりだ。

アミナ・ワドゥード: アメリカ人の黒人女性の改宗者
●ビラール・フィリップス: ジャマイカ生まれでカナダで成人した黒人男性の改宗者
●ファリド・イサク: 南アフリカに生まれたインド系移民出身のムスリム
●フェトフッラー・ギュレン: トルコ生まれでアメリカ在住

わたしは、トルコ出身の世界的市民運動家フェトフッラー・ギュレン以外はまったく知らなかった。もちろん名前を知っているという程度で具体的な言動や活動については本書を読むまでほとんど知らないも同然であったが。

もともと「近代国家」成立以前からグローバルな存在であったイスラームだが、西欧主導の「近代」という「西洋の衝撃」を体験し、その後のグローバリゼーションの流れのなかで、現代社会に生きるムスリムにとっての「手引き」ともなる解釈が求められるようになっているのである。

クルアーンが現代的問題への答えとなることをムスリムは求めており、それがある程度試みられ成功してきている。(P.127)

自分が置かれたローカルな環境から出発し、グローバルな世界で普遍的な問題解決につながる道を模索しているのである。グローバリゼーションのグローバルとは、多種多様なローカルの集合体でもある。まさにグローカルなのである。

かれらが依拠している「個人見解によるクルアーン解釈」とは以下のようなものだ。

個人やそれを取り巻く社会の問題の解決策をクルアーンから抽出しよう(というの)ではなく、アッラーがすでにクルアーンのなかで示唆していることを、自分たちがようやく理解することができた、ということになる。全知全能のアッラーはどのような時代や場所においても適応できる言葉を啓示として人々に伝えたはずだからである。(P.111)

こういう記述を読むと、なるほどと思わされる。恣意的な解釈ではなく、クルアーン原典を徹底的に精読することをつうじて新たな解釈を引き出してくるというロジックがそこにあるわけだ。

本書で取り上げられている4人は、ムスリムがマジョリティを占めるトルコ出身のギュレンを除けば、いずれも中東アラブ圏から離れた「辺境」の「マイノリティ・ムスリム」である。ギュレンは中東のトルコ出身者だが、トルコは政教分離の近代国家という事情がある。

ジェンダー問題、アパルトヘイトによる差別、西欧的価値観とは違う価値観の「強調」、あるいは西欧的価値観との「協調」と、それぞれの個人的目的意識の出発点は異なるが、多元化し、多様化する現実への対応に、多様化する解釈でもって応じ、実践への手引きを提供するという活動を行っているわけである。

本書で取り上げられた4人のなかで、わたしにとってもっとも興味深いのはギュレンである。スーフィズムの影響を受けているギュレンの「内的解釈」が、非ムスリムのわたしでも共鳴するものを感じるのは、内面性を重視する瞑想法が日本人にも共通して存在するからだろう。

西洋社会との協調を説くギュレンが、英語世界ではイスラーム世界を越えて知られている存在となっているのは、世界中に学校をつくって教育を行っている影響もあるが、スーフィズム自体がイスラームの枠を越えて普及しているからかもしれない。英語圏では、スーフィズムを体現した13世紀のルーミーは「愛の詩人」として有名である。

また、「進歩的クルアーン解釈者」であるワドゥードやイサクが、『クルアーン』解釈にあたって、『コーラン』の日本語訳者・井筒俊彦英文著作『コーランにみる倫理宗教的概念』(・・日本語訳は『意味の構造』)を参照して引用しているという記述も興味深い。ちなみに井筒俊彦は『ルーミー語録』をペルシア語から日本語訳している。

いまこれを書きながらシンガポールの英語放送 Channel News Asia をインターネットで聴いていたら2014年秋にオープンしたロサンゼルスの The Women's Mosque of America が2015年1月30日から金曜礼拝を開始したというニュースを放送していた。女性による女性のためのモスクが世界で初めて実現したということだ。金曜礼拝の指導者であるイマームも女性なのだという。日本在住の日本人が知らないだけで、イスラーム世界もまた確実に変化しつつあるのだ。

このように変化する現代世界のなかで、イスラームもまた変化しつつあることを知ることは、日本人の世界認識にとっては、きわめて意味あることだといっていい。2050年には世界人口の 1/4 がムスリムになるのであるから。

自分の知らない世界を知るという意味でも、一読する価値のある本である。簡潔によくまとまった読みやすい良書である。


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目 次
序章 グローバリゼーションのなかのイスラーム
 イスラームの内側からグローバリゼーションを問い直す
 「分かりにくい」イスラームを超えて
Ⅰ イスラームとコーラン(クルアーン)
 1. クルアーン成立の背景
 2. 聖典解釈の歴史-伝承主義から近代的解釈へ
Ⅱ アメリカ人「フェミニスト」の模索-アミナ・ワドゥード
 1. アフリカ系アメリカ人としての差別と改宗
 2. 男女平等の視点によるクルアーン解釈
Ⅲ アパルトヘイト解決への道-ファリド・イサク
 1. 南アフリカの人種差別とイスラーム
 2. 「他者」(キリスト教徒)との共存をクルアーンに読む
Ⅳ イスラーム主義への回帰-ビラール・フィリップス
 1.  カリブ海からカナダ、そして中東へ
 2. 伝統主義的なクルアーン解釈の継承
Ⅴ 西洋社会との協調-フェトフッラー・ギュレン
 1. トルコが生んだ世界的市民運動家
 2. 自己を律し、他宗教との対話を追求するクルアーン解釈
おわりに-クルアーン解釈の今
 イスラーム社会における限界-アブー・ザイド亡命事件
 マイノリティ・ムスリムの貢献
あとがき
関連年表
参考文献
人名索引


著者プロフィール
大川玲子(おおかわ・れいこ)
1971年、大阪生まれ。文学博士。東京大学文学部イスラーム学科、同大学大学院を経て、カイロ留学、ロンドン大学大学院東洋アフリカ研究学院(SOAS)修士課程修了の後、東京大学より博士号取得。現在、明治学院大学国際学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

Women's Mosque Opens In L.A. With A Vision For The Future Of Muslim-American Leadership (The Huffington Post, By Antonia Blumberg, 2015年1月30日)
・・ロサンゼルスにオープンした「女性による女性のためだけのモスク」で、女性イマームによる金曜礼拝が開始


<ブログ内関連記事>



グローバリゼーションと宗教

書評 『世界を動かす聖者たち-グローバル時代のカリスマ-』(井田克征、平凡社新書、2014)-現代インドを中心とする南アジアの「聖者」たちに「宗教復興」の具体的な姿を読み取る


イスラーム関連

本日よりイスラーム世界ではラマダーン(断食月)入り

「害に対して害で応じるな」と、ムハンマドは言った-『40のハディース-アッラーの使徒ムハンマドの言行録』より

書評 『井筒俊彦-叡知の哲学-』(若松英輔、慶應義塾大学出版会、2011)-魂の哲学者・井筒俊彦の全体像に迫るはじめての本格的評伝


日本とイスラーム世界の身近なかかわり

書評 『日本のムスリム社会』(桜井啓子、ちくま新書、2003)-共通のアイデンティティによって結ばれた「見えないネットワーク」に生きる人たち

日本のスシは 「ハラール」 である!-増大するムスリム(=イスラーム教徒)人口を考慮にいれる時代が来ている

(2023年9月18日 情報追加)


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