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2012年12月24日月曜日

書評『世紀の空売り - 世界経済の破綻に賭けた男たち』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文芸春秋社)ー アメリカ金融業界の周辺部からリーマンショックに迫る人間ドラマ


2008年のリーマンショックか4年以上たったが、世界経済はいっこうに回復する兆しもない。

そんななか、 『世紀の空売り ー 世界経済の破綻に賭けた男たち』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文芸春秋社)を読んだ。原著も日本語版も2010年に出版されている。

アメリカ金融破綻を、逆張りで空売りに賭けた少数のアウトサイダーたちから描いた作品だが、読んでいて思ったのはアメリカ資本主義の行き詰まりにほかならない。

フロンティアを失っていたアメリカ資本主義が、ついには国内の低所得者層を巨大なフロンティアとみなして収奪の限りを尽くしたものの、壮大な「虚構」がついに崩壊してしまったという印象だ。

低所得者向けの住宅ローンを小口にして債券化したサブ・プライムローン証券の詳細については本書を読めば理解できるように書かれているが、その仕組みと意味について、金融業界内部のインサイダーたちもほとんど理解していなかったという事実がまた恐ろしいことなのだ。

その虚構に気付いたごく少数のトレーダーたちのアウトサイダーが賭けたのが「空売り」(ショート)であった。逆張りである。そしてその賭けに勝利するまでのドラマが、このノンフィクションの内容だ。

その反対側にいる投資銀行は「買い」(ロング)に賭けていた結果、無残にも惨敗。ベア・スターンズは破綻し買収され、名門投資銀行のリーマン・ブラザーズはこの世から姿を消した。

金融商品の仕組みを理解していない投資銀行、格付け機関のいい加減な格付け、規制し監督する立場にいながらなにも理解していなかった連邦準備制度理事会や財務省。まさに「財務省・ウォールストリート複合体」というインサイダーモラルハザードとしかいいようがない。

金融世界のインサイダーとアウトローの対比は、買い(ロング)と売り(ショート)という対比で、コントラストが鮮やかに描かれている。

1985年に名門投資銀行であるソロモン・ブラザーズが、会社形態を合資会社から株式会社に変換したことから金融世界の暴走が始まったのである。

1985年、これもまたメルクマールとなる年であったのだ。

わたしが金融系コンサルティング会社に入社して社会人となったこの年、著者のマイケル・ルイスは名門投資銀行ソロモン・ブラザーズの社員となっている。そしてその経験をもとに処女作『ライアーズ・ポーカー』を書き上げて世界的ベストセラーとなった。

オリバー・ストーン監督のハリウッド映画 『ウォール街』が製作公開されたのが1987年のことである。

原書のカバーは、釣針がドル札を巻き上げているイラストが描かれている。原書の副題にある Inside the Doomsday Machine は直訳すれば「世界の終わりの日をつくるマシーン内部」ということになる。

「世界の終わり」というドゥームズデイをつくってしまったアメリカの金融世界は、はたして正常化するのであろうかまたあらたなフロンティアをでっちあげるしか生きる道はないのだろうか?

それにしても、よくここまで詳細な取材を行ったうえで、迫真の人間ドラマに仕立て上げることができるものだと、著者マイケル・ルイスのストーリーテラーとしての手腕には驚くばかりだ。

読んでどうなるということもないのだが、読むとじつに面白い物語である。


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<ブログ内関連記事>

書評 『ブーメラン-欧州から恐慌が返ってくる-』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文藝春秋社、2012)-欧州「メルトダウン・ツアー」で知る「欧州比較国民性論」とその教訓
・・『世紀の空売り』のあと。金融危機はアメリカから欧州へ、そしてアメリカに逆流

書評 『マネー資本主義-暴走から崩壊への真相-』(NHKスペシャル取材班、新潮文庫、2012 単行本初版 2009)-金融危機後に存在した「内省的な雰囲気」を伝える貴重なドキュメントの活字版

CAPITALISM: A LOVE STORY ・・映画 『キャピタリズム マネーは踊る』

マイケル・ムーアの最新作 『キャピタリズム』をみて、資本主義に対するカトリック教会の態度について考える

映画 『ウォール・ストリート』(Wall Street : Money Never Sleeps) を見て、23年ぶりの続編に思うこと

『資本主義崩壊の首謀者たち』(広瀬 隆、集英社新書、2009)という本の活用法について

「宗教と経済の関係」についての入門書でもある 『金融恐慌とユダヤ・キリスト教』(島田裕巳、文春新書、2009) を読む

書評 『ユーロ破綻-そしてドイツだけが残った-』(竹森俊平、日経プレミアシリーズ、2012)-ユーロ存続か崩壊か? すべてはドイツにかかっている

Bloomberg BusinessWeek-知らないうちに BusinessWeek は Bloomberg の傘下に入っていた・・・


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2012年12月19日水曜日

書評『成金炎上 ー 昭和恐慌は警告する』(山岡 淳一郎、日経BP社、2009)ー 1920年代の政治経済史を「同時代史」として体感する


「昭和恐慌」は日本経済が経験した最大の経済恐慌であり、破滅への道を開いたものであった。

本書はこの昭和恐慌前後を時代背景に、既成の経済勢力と新興の経済勢力との衝突、経済恐慌がもたらした人心の荒廃を歴史ノンフィクションとして描いたものである。

第一次世界大戦の大戦景気の反動で不景気に陥っていたなか、帝都東京を襲った1923年(大正12年)の「関東大震災」で経済はおおきなダメージを受けて疲弊、経済を世界標準に戻すために「金解禁」を1930年には断行したが、たちまち米国発の「世界大恐慌」の波に飲み込まれて、「想定外」の危機的な状況に追い込まれた。

これが「昭和恐慌」である。いわゆる「1940年体制」以前の日本は、むきだしの資本主義社会のまっただ中にあったのだ。

本書に登場する主人公たちは、たたき上げの実業家たちと、学歴エリートである金融マンたちであり、しかもそれぞれが異なる性格をもった男たちである。

一時期は三井や三菱といった巨大財閥を追い上げる勢いをもっていた鈴木商店の大番頭・金子直吉、泥亀の異名で呼ばれた新興の海運王・山下亀三郎。ともに学歴はなかったが、前者は合理主義に徹した商売の天才、後者は人間心理を知り尽くしていた人間通の商人であった。

財界エリートを代表する三井財閥の金融部門の総帥・池田成彬日銀総裁から大蔵大臣になった井上準之助。前者が筋金入りの合理主義者であったのに対し、後者は理だけではなく情にも厚かった。

こういった個性の強い男たちが経済という場で世の中をリードしていた大正時代は、明治維新以来の支配勢力と新興勢力が激しく衝突した時代でもあった。

だが、この歴史ノンフィクションのほんとうの主人公はマネーである。暴走するマネーである。

好況時のマネーは、経済成長によって金持ちがさらに金持ちになるだけでなく、幅広い人たちが恩恵を受けることになる。だが、不況になるとマネーは一転して破産者を多数つくりだすだけでなく、それを機会に焼け太りする金持ちもでてくる。

人間の欲望に突き動かされ、意志を乗り越え、制御不能となる暴走するマネー。マネーに蹂躙され、失われる倫理観。暗殺というテロリズムの横行。それが「昭和恐慌」の時代であり、その後、破滅に向かって突き進んでいった日本なのであった。

「昭和恐慌」からすでに80年以上たった現在、直接体験し、それについて語れる人がほとんどいなくなってしまた。

「リーマンショック」と「3-11」以後、あの時代を「同時代史」として振り返ることの意味は、さらに重要になってきている。本書を読んでいると、1920年代はいつか来た道ではないかという既視感(デジャヴュー)にもとらわれてしまうからだ。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と喝破したのはドイツの宰相ビスマルクであったが、われわれもまたまずは1920年代をきちんと振り返る機会をもたねばらないとつよく思うのである。

最初から最後まで読ませる、よくできた良質の歴史ノンフィクション作品である。ぜひ読んでほしい。



(注) 2012年4月5日に投稿した amazonレビューへの投稿に加筆修正した。


PS 「バブル崩壊後」の中国こそ、戦前の日本の道を突き進む可能性もある。中国はバブル崩壊を体験したことがないのだ。中国はいつバブルが崩壊してもおかしくない状況がつづいている。バブル崩壊後の中国社会の激動は想像を絶するものとなる可能性もある。日中ともに注視していかねばなるまい。






目 次

プロローグ
第1章 丁稚、大欲を抱く
第2章 白鼠と泥亀、大正ベンチャーの旗手がゆく
第3章 大戦バブルと鈴木炎上
第4章 財閥の逆襲、鈴木王国崩壊
第5章 恐慌の鬼子たち
エピローグ
あとがき
注釈
参考文献

著者プロフィール

山岡淳一郎(やまおか・じゅんいちろう)
1959年愛媛県生まれ。出版関連会社、ライター集団を経て、ノンフィクション作家へ。「人と時代」を共通テーマに近現代史、建築、医療、政治など分野を超えて旺盛に執筆中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<ブログ内関連記事>

書評 『震災復興の先に待ちうけているもの-平成・大正の大震災と政治家の暴走-』(山岡 淳一郎、2012)-東日本大震災後の日本が「いつか来た道」をたどることのないようよう
・・本書とあわせて読みたい本

書評 『原発と権力-戦後から辿る支配者の系譜-』(山岡淳一郎、ちくま新書、2011)-「敗戦国日本」の政治経済史が手に取るように見えてくる

書評 『田中角栄 封じられた資源戦略-石油、ウラン、そしてアメリカとの闘い-』(山岡淳一郎、草思社、2009)
・・山岡淳一郎氏による上記の2冊は、戦後の自民党政治がなんだったかのを具体的に検証してみせてくれるすぐれたノンフィクションである

書評 『国家債務危機-ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?-』(ジャック・アタリ、林昌宏訳、作品社、2011)-公的債務問題による欧州金融危機は対岸の火事ではない!

書評 『警告-目覚めよ!日本 (大前研一通信特別保存版 Part Ⅴ)』(大前研一、ビジネスブレークスルー出版、2011)-"いま、そこにある危機" にどう対処していくべきか考えるために

書評 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤陽子、朝日出版社、2009)-「対話型授業」を日本近現代史でやってのけた本書は、「ハーバード白熱授業」よりもはるかに面白い!

「リスボン大地震」(1755年11月1日)後のポルトガルのゆるやかな 「衰退」 から何を教訓として学ぶべきか?


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